ティアハイム運営指針では「安楽死は傷病が理由の場合は獣医師1人の判断でできる」とされている~「ドイツでは動物の安楽死では数人の獣医師の同意が必要」という環境省の大嘘資料㉞
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(Zusammenfassung)
Wenn die Regierung in Deutschland einen Hund oder eine Katze auf gesetzlicher Grundlage einschläfert, ist unabhängig vom Grund nur das Urteil eines einzigen Tierarztes erforderlich, und die Zustimmung mehrerer Tierärzte ist nicht erforderlich.
Selbst wenn eine private Einrichtung einen Hund oder eine Katze einschläfert, kann dies im Ermessen eines einzelnen Tierarztes erfolgen, wenn der Grund eine Verletzung oder Krankheit ist, und die Zustimmung mehrerer Tierärzte ist nicht erforderlich.
記事、
・「ドイツでは殺処分を行うには複数の獣医師の同意が必要」という環境省の大嘘資料(大笑)㉜
・ドイツにおける犬猫等殺処分制度の概要~「ドイツでは犬猫等の殺処分では数人の獣医師の同意が必要」という環境省の仰天大嘘㉝
の続きです。
環境省による、ドイツの犬猫等の殺処分に関する資料の記述、「ドイツでは犬猫等の殺処分(安楽死)では、複数の獣医師の同意が必要」が真っ赤な嘘であることを前回記事で述べました。行政が行う犬猫等の殺処分では理由を問わず獣医師単独の判断で行えます。行政が行う殺処分では根拠法が複数数ありますが、いずれも「複数の獣医師の同意が必要」という規定は一切ありません。「獣医師1人」と明記されています。民間施設のティアハイムの民間の自主規制(ティアハイム運営指針等=法令に様な強制力がない)では、殺処分の理由が傷病である場合は獣医師1人の判断で行うことができます。傷病以外の殺処分では、獣医師2人を含む委員会の同意を得ることが望ましい(あくまでも推奨事項)としています。今回は「ティアハイム運営指針(民間の自主規制)」の犬猫等の殺処分について示します。
サマリーでにおべた通り、先にドイツにおける犬猫等の殺処分の制度について、概要を以下に示します。
(公的殺処分)
・行政が法令に基づいて行政が運営する公的動物収容所で行う殺処分。
・公的動物収容所は、動物の飼主の任意による直接の引き取りは行わない。
・所有者不明犬猫等の行政が捕獲したもの(ドイツでは民法上所有者不明の犬猫等の家畜はすべて「遺失物」と解されるために、所有者不明犬猫等の収容は行政しかできない)、および行政が法令に基づいて押収・没収したものは行政が運営管理する公的動物収容所のみが収容できる。
・それらの動物の殺処分の決定は、行政のみに権限がある。
・理由の如何を問わず、殺処分は行政獣医師1人以上の判断同意を要する。
(主な根拠法)
1、Tierschutzgesetz 「動物保護法(連邦法)」
2、各州の犬法 例:Gesetz über das Halten und Führen von Hunden in Berlin (Hundegesetz - HundeG) Vom 7. Juli 2016 「ベルリン州における犬の保持と導くことに関する犬の法律 犬法」(ベルリン州 犬法 州法)
3、Gesetz zur Vorbeugung vor und Bekämpfung von Tierseuchen (Tiergesundheitsgesetz - TierGesG) 「動物の疾病の予防及び管理に関する法律 (動物衛生法 連邦法)
4、Verordnung zum Schutz gegen die Tollwut (Tollwut-Verordnung) 「狂犬病予防規則 (狂犬病規則) 連邦規則」
↓
上記のうち、
・行政または一般市民により捕獲保護された所有者不明犬猫は、一定期間内に飼主返還や、所有者がなく明らかに譲渡に適さないものは行政が殺処分を行う。残りはティアハイムに移譲される。殺処分決定は行政獣医師1人の同意でできる。
・咬傷犬、行動等により危険と判断された犬、法律で飼育等が禁止されている犬種の押収・没収されたものは、重大咬傷事故の場合は「行政は殺処分を命じなければならない」と法令で規定されている。禁止犬種、軽微な咬傷事故犬、行動等から意見と判断されて押収・没収された犬については犬の気質テストに合格すれば、飼主へ返還されることもある。まれに飼主から所有権をはく奪された犬は民間ティアハイムに移譲され、一般譲渡の対象となることもある。
・狂犬病等の感染の有無の検査殺処分、感染症防止のための殺処分は行政獣医師1人以上の判同意が必要。
↓
実際の運用は民間の自主規制により行われる。(民間の動物保護施設=ティアハイムにおける私的な殺処分)
・民間の動物保護施設=ティアハイムは、飼主の任意での引取りを有料で行っている。
・民間団体が私的な施設で行う殺処分。
・法令上は動物保護法16条a に基づき、正当な理由がなければならない(傷病もしくは問題行動と解されるが、条文には具体例は明記されてはいない)。
・傷病を理由とする場合はいずれも獣医師1人の判断で行えるとされる。
・傷病以外の殺処分では、推奨事項として(=強制はしない。あくまでも可能であればそうすることが望ましい)「獣医師2人を含む委員会での決定が望ましい」としているが、民間の自主規制であるために、法令のような強制力はない。
(民間の自主規制)
5、 Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes 「ドイツ動物保護連盟によるティアハイムの運営指針」
サマリーで示した通り、環境省は令和3年度に「ペット関連産業の健全育成に向けた実態調査業務報告書(資料編)」という資料を作成しています。この資料では「ドイツでは犬猫等の殺処分を行うには(行政であれ民間の施設であれ)数人の獣医師の同意が必要」としていますが、荒唐無稽な大嘘です。
先の私が作成した一覧の通り、ドイツでは行政が行う公的殺処分では「犬猫等の殺処分決定は理由の如何を問わず獣医師は1人の判断で足りる」と、各法令の条文で明記されています。民間のティアハイムでの犬猫等の殺処分では、ドイツ動物保護連盟が「ティアハイム運営指針」を出しており、それによれば傷病を理由とする場合は獣医師1人の同意でよいとされています。それ以外の場合は「2人の獣医師を含む委員会の判断を行うことが望ましい(あくまでも推奨事項)」としています。そのデマ資料を提示します。
(画像)
最終更新: 2023年10月7日 環境省(動物虐待、殺処分)調査資料 情報公開 から「平 成 29 年度 ド イツ にお ける 動物 保 護の 取組 みに 係る 調 査業 務報 告書 」(特 定非 営利 活動 法 人ア ナイ ス)より 関 係箇 所を 抜粋 4~5ページから
なおこの資料は、 平成 29 年度 訪独調査結果 平成 29 年 5 月 30 日 特定非営利活動法人アナイス 環境省 「より関係個所を抜粋」とあります。
「動物の安楽死は複数の獣医師の同意が必要」として、動物保護施設規定として、Muster-Tierheimordnung TVT Tierärztliche Vereinigung für Tierschutz e.V 「ドイツ動物保護獣医師協会による動物保護施設での安楽死に関するモデル規約(民間自主規制ですらなく、民間団体による単なる提案)」を典拠としてしてあげています。しかしこの資料は、動物保護施設(ティアハイム)による規定ではありません。この資料でも、「動物の安楽死では法律上は1人の獣医師の判断でできる」と明確に記述していますが。
「動物保護施設規定」は、ドイツ動物保護連盟(Deutscher Tierschutzbund)による、「ティアハイム運営指針(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes )」です。こちらでも「ティアハイムが行う動物の安楽死は傷病が理由の場合は獣医師1人の同意と判断で足りる」としています。原文の引用と訳文は、後ほど行います。
ところでこの環境省の資料では「行政による殺処分」が、民間の自主規制に従う義務がある(笑)という内容の記述です(しかも提示した資料は実は「民間の自主規制」ですらなく、単なる獣医師団体による「提案」です)。あり得ません。資料作成者は余程無知で知能が低い方なのでしょう(大笑)。
順次、ドイツにおける殺処分規定の法令と民間自主規制を取り上げていきます。前回記事では最も基本となる、「動物保護法(連邦法」)Tierschutzgesetz における犬猫等の殺処分について説明しました。
同法16条aでは、「不適正飼育者の動物を行政が没収し、所有権をはく奪することができる。動物福祉上必要ならば、飼主の意思に反してでもその動物を安楽死(殺処分)することができる」という規定があります。その動物保護法16条aですが、行政の強制殺処分決定においては「獣医師1人」と、明確に条文の記述があります。その他でもドイツでは、「動物の安楽死では数人の重視の同意が必要」と規定している法令はありません。
今回は民間の自主規制の「ティアハイムの運営指針」(Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes )」の、殺処分に関する記述を取り上げます。以下に「安楽死」に関する記述を引用します。
なお環境省の資料では、「アニマルシェルター規定」として、Muster-Tierheimordnung TVT Tierärztliche Vereinigung für Tierschutz e.V. 「ドイツ動物保護獣医師協会による動物保護施設での安楽死に関するモデル規約」を提示していますが、誤りです。これはアニマルシェルター=ティアハイム(の統括団体)が作成したものですらなく、当然各ティアハイムに対する強制力はありません。これは獣医師団体がティアハイムに対して、収容動物の殺処分(安楽死)を行う場合の提案、要望を示したものです。その点については後ほど述べます。
・Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes 「ドイツ動物保護連盟 ティアハイム運営指針」 8ページ から引用
Ⅷ. Einschläfern von Tieren
1. Grundsatz
Grundsätzlich darf im Tierheim kein Tier eingeschläfert werden.
Die Einschläferung (Euthanasie) unheilbar kranker Tiere, die nur unter Schmerzen, Leiden oder Schäden weiterleben könnten, ist ein selbstverständliches Gebot des Tierschutzes.
Die medizinische Indikation ist nur vom [Tierarzt] zu treffen und anschließend darf die schmerzlose Einschläferung auch nur von [diesem durchgeführt] werden.
2. Ausnahmen
In folgenden Ausnahmefällen ist, nach Ausschöpfung aller anderen Möglichkeiten, in Übereinstimmung mit den Bestimmungen des Tierschutzgesetzes die Einschläferung unumgänglich: Bei Tieren, die starke, nicht behebbare, konstante Verhaltensstörungen zeigen, und deren Weiterleben mit schweren Leiden verbunden wäre, oder bei Tieren, die infolge abnormer und nicht behebbarer Verhaltensstörungen eine akute Gefahr für sich oder ihre Umwelt darstellen.
Wenn alle verhaltenstherapeutischen Maßnahmen, diese Tiere an ein Leben mit Menschen oder unter Artgenossen zu gewöhnen, fehlgeschlagen sind und die Einschaltung von Sachkundigen nicht erfolgreich war, muss in diesen Ausnahmefällen die Entscheidung über die Einschläferung von einer Kommission getroffen werden.
Die Kommission muss möglichst aus einem Vorstandsmitglied, den verantwortlichen Sachkundigen (zum Beispiel dem Tierheimleiter und der Betreuungsperson) und zwei Tierärzten, von denen einer nach Möglichkeit Amtstierarzt sein sollte, bestehen.
Ⅷ. 動物の安楽死
1、原則
原則としてティアハイムでは、動物を安楽死させることはできません。
痛み、苦痛を伴う傷病を抱えながら生き続けるしかない末期の病気の動物を安楽死させることは、動物保護上当然の要件です。
獣医学的な対応は獣医師(1人でよい。Tierarzt 獣医師 男性名詞単数形)のみが行なわなければならず、獣医師(1人でよい。diesem 指示代名詞 「あの者」 単数形の男性名詞もしくは中性名詞の指示代名詞)のみが無痛での安楽死を行うことができます。
2、例外
以下のような例外的な場合は、他のすべての選択肢を尽くした後に動物保護法の規定に従えば安楽死は避けられません。
重度で治癒不可能な恒常的な行動障害を示し、その動物が生き続ければ自身に深刻な苦しみを伴う場合、または異常でかつ矯正が不可能な行動障害の結果、動物自身または周辺環境に深刻な危険をもたらす動物。
これらの動物を人間や他の動物との生活に慣れさせるための行動療法がすべて失敗し、専門家の関与も成功しなかった場合のこのような例外的なケースでは、安楽死の決定は委員会によって下されなければなりません。
もし可能であれば、委員会はティアハイムの理事会メンバー、責任ある専門家(動物保護施設の管理者や飼育者など)、および獣医師2名で構成されることが望ましく、可能であればそのうちの獣医師1名は行政獣医師であるべきです。
(画像)
Tierheimordnung des Deutschen Tierschutzbundes 「ドイツ動物保護連盟 ティアハイム運営指針」 8ページ から
つまりドイツでは、法令の様に強制力がない、単なる民間の自主規制においても「理由が傷病の場合の安楽死は獣医師1人決定し実行できる」としています。傷病以外では「獣医師とティアハイムの管理者や飼育責任者を含めた委員会の決定を要する」としています。
獣医師については、「もし可能であるならば行政獣医師1人を含む獣医師2名を含むことが望ましい」としています。獣医師2名以上による殺処分(安楽死)の決定は、法的強制力がない民間の自主規制でもさらに「可能であればそれが望ましい」とする推奨事項にとどまり、さらに傷病を理由とする場合は除外されます。
そのような民間の自主規制を、行政事務である公的殺処分で「殺処分は獣医師2名の同意が必要」と、義務規定とするとは、環境省の本資料を作成した人はよほど頭が悪いとしか思えません。中学の公民レベルからお勉強をし直した方が良いと思います。
さらに「アニマルシェルター規定」として提示した文書は、アニマルシェルターとは直接関係のない、獣医師団体の提案・要望書の類を挙げているのがお笑いです(この文書は次回記事で取り上げます)。さらにさらにこの「獣医師団体の提案・要望書」においても、「殺処分は法律上は獣医師1人の判断で行える」と明記されているのです。漫才でもしているつもりですかね(笑)。このような荒唐無稽なお笑いな調査報告書の作成を委託する、バ官狂症の担当者のオツムも小学生並みでしょう。
(参考記事)
・犬などのペットの非対面インターネット販売の規制が全くないドイツ~環境省のデタラメ資料①、
・続・犬などのペットの非対面インターネット販売の規制が全くないドイツ~環境省のデタラメ資料②
・「ベルリンでは1歳未満の犬の販売を禁止した」という誤訳~環境省のデタラメ資料③
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・犬のリード義務が極めて厳しいドイツ~環境省のデタラメ資料⑤
・続・犬のリード義務が極めて厳しいドイツ~環境省のデタラメ資料⑥
・ドイツ、ニーダーザクセン州の厳しい犬のリード義務~環境省のデタラメ資料⑦
・続・ドイツ、ニーダーザクセン州の厳しい犬のリード義務~環境省のデタラメ資料⑧
・ベルリン州の犬の咬傷事故は日本の5.5倍~環境省のデタラメ資料⑨
・ドイツの犬の咬傷事故の多さは深刻~環境省のデタラメ資料⑩
・悪質ブリーダーに苦しめられるドイツの犬~環境省のデタラメ資料⑪
・続・悪質ブリーダーに苦しめられるドイツの犬~環境省のデタラメ資料⑫
・「動物保護に反する立法は無効」というドイツ基本法(憲法)の悶絶講釈~環境省のデタラメ資料⑬
・「ドイツは基本法(憲法)で実験動物の保護が規定された」という悶絶講釈~環境省のデタラメ資料⑭
・「ドイツは基本法(憲法)でペット動物の所有物という観点から解放された」という悶絶講釈~環境省のデタラメ資料⑮
・「ドイツでは動物は可能である限り治療が前提となる」という、環境省のデタラメ資料⑯
・続・「ドイツでは動物は可能である限り治療が前提となる」という、環境省のデタラメ資料⑰
・「ドイツでのティアハイムでの安楽死の統計はない」という環境省のデタラメ資料⑱~殺処分率36%のティアハイムが統計を公表していますが(笑い)
・「経済的理由」で収容猫すべてを殺処分したティアハイムの行為は合法~環境省のデタラメ資料⑲
・わなで捕らえたのちに飼犬飼猫を殺害することが合法なドイツ~環境省のデタラメ資⑳
・続・わなで捕らえたのちに飼犬飼猫を殺害することが合法なドイツ~環境省のデタラメ資料㉑
・アニマルホーダーの動物を押収して強制的に殺処分する規定があるドイツ動物保護法~環境省のデタラメ資料㉒
・続・アニマルホーダーの動物を押収して強制的に殺処分する規定があるドイツ動物保護法~環境省のデタラメ訳㉓
・「ドイツでは犬をつないだまま飼うことが禁止されている」という、環境省の発狂資料(笑) ㉔
・続・「ドイツでは犬をつないだまま飼うことが禁止されている」という、環境省の発狂資料(笑) ㉕
・ティアハイム・ベルリンはコロナ対策の補助金を受給した〜「ティアハイム・ベルリンは一切公的資金を受けていない」という環境省の発狂㉖
・「ドイツでは禁止犬種法施行以来それに基づいて殺処分された犬は5頭」という環境省の大嘘資料~8,000頭程度になる可能性がある㉗
・続・「ドイツでは禁止犬種法施行以来それに基づいて殺処分された犬は5頭」という環境省の大嘘資料~8,000頭程度になる可能性がある㉘
・ドイツの行政組織は強い権限を持ち司法手続きを経ずに動物の飼主の私有地の強制捜査、動物の没収、強制殺処分までできる㉙
・飼主の留守中に犬を持ち去り無断で犬を安楽死させることが合法なドイツの行政組織㉚
・飼主の庭から老犬を無断で没収し安楽死させたドイツの行政は合法。飼主は動物虐待で有罪になった㉛
・「ドイツでは殺処分を行うには複数の獣医師の同意が必要」という環境省の大嘘資料(大笑)㉜
・ドイツにおける犬猫等殺処分制度の概要~「ドイツでは犬猫等の殺処分では数人の獣医師の同意が必要」という環境省の仰天大嘘㉝