憲法で牛の屠殺を禁じ、犬を大量殺処分しているインド~「犬猫は特別な存在だから家畜に優越して保護されるのは普遍的価値観」は幻想



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(Summary)
India is prohibiting the slaughter of cattle by the Constitution.
Meanwhile, there are no provisions prohibiting the murder of stray dogs and stray cats in India.
CONSTITUTION OF INDIA (Updated upto (One Hundredth Amendment) Act, 2015)
48. Organisation of agriculture and animal husbandry.
—The State shall endeavour to organise agriculture and animal husbandry on modern and scientific lines and shall, in particular, take steps for preserving and improving the breeds, and prohibiting the slaughter, of cows and calves and other milch and draught cattle.


 前回記事、「犬猫は特別な存在だから家畜に優越して保護されるのは普遍的価値観」は幻想、の続きです。前回記事では、日本の動物愛護家が主張している「犬猫は特別な存在だから家畜に優越して保護されるのは普遍的価値観」が誤りであると述べました。動物愛護家が主張している、「犬猫は人類の長い歴史で、伴侶動物として地位を確立した。したがって使役や食料を目的とした他の飼育動物とは異なる」。「欧米など先進国ではその考えが定着しており、普遍的な倫理としてほかの国もそれに倣うべきである」はいずれも当てはまりません。今回は具体例としてインドを取り上げます。インドは憲法で牛の屠殺を禁じていますが、犬を大量殺処分しています。


 「インドは殺処分を廃止している」という、日本のメディアの報道があります。記事の内容からは「犬猫の殺処分」を廃止していると取れますが、これは完全に誤りです。インドは憲法で牛の殺害を禁じているのに対して、極めて多くの犬を殺処分しています。また犬食が行われています。
 問題のメディアの記事から引用します。台湾、犬猫の殺処分廃止 アジアでインドに次ぐ2番目。2017年2月6日(山陽新聞)。


台湾政府は6日、捨てられた犬や猫などを収容する各地の公立施設で行われてきた犬猫の殺処分を同日から全面的に廃止したと発表した。
台湾政府によると、アジアではインドに次ぐ2番目の導入で、世界的にも例が少ない。



 「公立施設内」での殺処分に限るということでしょうか。しかしインドの法令を調べた限り、インドではアニマルシェルターは民営のようです(のちの記事で根拠法を挙げます。州・自治体によっては公営シェルターがあるのかもしれませんが)。「インドでは犬猫の殺処分を廃止している」と解釈できる文章です。もしこの報道が「インドでは犬猫の殺処分を廃止している」という意味ならば、誤りです。インドは狂犬病対策のために、犬を毒殺などで極めて大量に殺処分しています。南部のケララ州(人口33,387,677 人)だけでも、毎年50万もの野犬を殺処分しています。人口比ではインドのケララ州は、日本の118倍もの犬を殺処分していることになります(2017年日本の人口速報値1億2698万人/平成27年度環境省発表犬殺処分数15,811頭)。
 それを裏付けるニュースソースを引用します。Kerala ~ what you should know as a tourist 「インド、ケララ州~観光客として知っておくこと」(日本語自動翻訳、動画あり)。


Kerala kills 500,000 dogs each year by poisoning them on its streets to keep itself ‘stray dog free’and to present you - the tourist - the squeaky clean ‘God’s Own Country’ that you wanted to see.
Kerala kills 500,000 dogs a year for YOUR tourist money.
And they do this every year.
From the beginning of tourist season to the end of it, so that you - the tourist - won't be bothered by stray dogs.

インド、ケララ州は自らを、「野良犬がいない状態」に保つために、そして観光客が見たいと思っていた、きれいな「神の国」を観光客に見せるために、街頭に毒を仕掛けることによって毎年50万匹の犬を殺します。
ケララ州では、年間50万頭の犬を殺しています。
そして彼らは毎年そのようにしています。
観光シーズンの初めから終わりまでー観光客ーが野良犬に悩まされないように。



(動画)

 The dangerous stray dogs in Kerala will be killed, says State Government. 「ケララ州政府は、ケララ州の危険な野良犬は殺されるべきだと述べています」。2016年8月23日。英語のタイトルしか私は理解できませんが。「州政府が野良犬を殺害する」と発表しているというニュースでしょうね。




(動画)

 Vigilante Group Set Up To Kill Stray Dogs In Kerala 「インド、ケララ州で野良犬を殺害するために設立された自衛団グループ」。2015年9月24日公開。




 対してインドでは、最高法規である憲法で牛の屠殺を禁じています。例えば日本の動物愛護管理法44条1項のように「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する」といった、「みだりではない=正当な理由があれば殺害できる」規定ではなく、例外のない屠殺禁止規定です。なお、インド憲法においては牛以外の動物で殺害を禁じる条文はありません。インドの国民の大多数がヒンズー教徒であることから、「牛は神聖なものである」という、ヒンズー教の教義に則ったということでしょう。
 以下に、インド憲法から該当する条文を引用します(英語版)。CONSTITUTION OF INDIA (Updated upto (One Hundredth Amendment) Act, 2015)


48. Organisation of agriculture and animal husbandry.
—The State shall endeavour to organise agriculture and animal husbandry on modern and scientific lines and shall, in particular, take steps for preserving and improving the breeds, and prohibiting the slaughter, of cows and calves and other milch and draught cattle.

48条 農業と畜産の組織。
国は近代的な農業と畜産を組織することを努力し、そして具体的には家畜の品種の保存と改善のための措置を取ること、さらに牛と子牛、その他の乳牛と使役牛の屠殺を禁止する。



 インドは牛を特別な存在であり、他の飼育動物に優越して保護しています。屠殺は憲法で禁じられ、牛を食べることは違法行為です。次回以降の記事で取り上げますが、インドでは刑法においても、動物の殺害においては、犬猫に対して「牛、馬」などの家畜を優越して保護しています。またインドの多くの州で犬は食用です。つまり日本の動物愛護家が主張している、「犬猫は特別な存在だから家畜に優越して保護されるのは普遍的価値観」、つまり「犬猫はほかの家畜と異なり、殺したり食べたりしてはいけない」は誤りです。
 このような反論があるかもしれません。「インドはヒンズー教徒が大多数を占め、欧米などの先進国とは異なる価値観を持つ。欧米などの先進国の価値観がスタンダードであり、それを普遍的価値観として倣うべきだ」。しかしこの連載で書きますが、アメリカ合衆国は、合衆国連邦法で馬の屠殺を禁じています。アメリカ連邦両議会は、「馬は特別な動物でほかの家畜に優越して保護されるべきである」と決議しています。アメリカ合衆国で、連邦両議会がこのように決議した動物は馬だけです。対してアメリカ合衆国では、44州で犬猫の食用屠殺が合法です。


(参考資料)

台湾でペットの殺処分廃止、アジアではインドに次いで2番目(ヤフーニュース)。2017年6月10日。

 このニュースでは「殺処分廃止は、アジアではインドに次いで台湾が2番目である」と明記しています。さらに、出典資料として、
(*1)Animal euthanasia ban goes into effect / TAIPEI TIMES(Taiwan bans euthanasia of stray animals
(*2)Euthanasia ban may pile stress on shelters:groups / TAIPEI TIMES(Animal euthanasia ban goes into effect
を挙げています。

 しかし上記の2つの資料は、どちらもインドのことについては一切書かれていませんでした。「インドが殺処分を廃止した」は、日本語の記事を書いた記者の捏造でしょう。呆れはてます。相変わらず日本における海外の動物愛護情報は、嘘でこり固められています。ヤフー・ニュースはすぐに削除されますので、原文全文をコピーしておきます。


台湾でペットの殺処分廃止、アジアではインドに次いで2番目
6/10(土) 8:11配信 @DIME
台湾でペットの殺処分廃止、アジアではインドに次いで2番目
犬は友にもなり、家族にもなり、かけがえのない人生のパートナーになり得る。猫とのつかず離れずの関係は、心に豊かさを与えてくれることだろう。
No-killへの挑戦 殺処分廃止へ大きく動き出した台湾

生きているものは他の命を摂取して生きながらえている。それは、人も同じである。その一方では、命を慈しみ、必死に他の命を助けようとすることもある。生き物というのは、不思議なものだ。

人生観や倫理観、動物観などを語り出せばきりがないので、ここでは割愛するが、“殺処分”…何度目にしても決して気持ちのいい言葉ではない。

ある人は、「それも必要悪だ」と言った。はたしてそうなのだろうか? 筆者には、いろいろな意味でバランスが崩れている結果のように思えるのだが。

犬は友にもなり、家族にもなり、かけがえのない人生のパートナーになり得る。猫とのつかず離れずの関係は、心に豊かさを与えてくれることだろう。

そんな犬や猫たちを、“処分”することは、心が痛い。

殺処分を完全に無にすることは難しいとしても、限りなくそれに近づけることは不可能ではないはずだ。そのために、私たちは何ができるのだろう?

台湾では2015年2月の動物保護法の改正時に、2年後には収容動物の殺処分を廃止する(伝染性の病気や治療が難しいという病気などの場合は除く)という条項も含まれていたそうだ。

TAIPEI TIMES、およびフォーカス台湾NEWS CHANNEL(国営通信社である中央通訊社)によると、2年が経った今年の2月4日から、それが施行されたということである。こうした殺処分廃止は、アジアではインドに次いで台湾が2番目であると(*1, 2, 3)。

ちなみに、台湾における公営動物収容所の殺処分率は、2007年~2016年までの10年間で74.57%から12.38%まで下がり、譲渡率は13.45%から74.86%に上昇(*3)。2015年に台湾で初めて殺処分を廃止した台南市でも、2010年の譲渡率が13.4%だったのが、2016年には66.5%に上がったということだ(*1)。

また、ペットのしつけ方や動物保護について人々が学べる場となる『Pet Exercise and Education Park』が2019年にオープン予定で、同市はそれに巨額の投資をする他、動物福祉基金も設立するという(*1)。

しかし一方では、殺処分の廃止は動物収容所のキャパを超過させてしまう可能性があり、現場スタッフは厳しい対応に追われることになるのではないか、それよりもペット飼育に関する教育啓蒙や、不妊去勢手術およびマイクロチップ装着の実施率を上げるなどを優先したほうがいいのでは?というような反対意見もあるようだ。

現場スタッフと言えば、1年ほど前のこと、台湾の動物収容所に勤務していた獣医師が、世間から殺処分していることへのバッシングを受け、それを苦に、自らの命を絶ったという悲しい出来事があったことはまだ記憶に新しい。

先日、筆者はある保健所を見学させてもらえるチャンスを得たのだが、実際に殺処分に関わる経験をしたスタッフのストレスは言葉に尽くせないものがあり、本人が気づかないうちに体にもいろいろ影響が出るという話だった。

そして、「殺処分“ゼロ”という数字にばかり目が行き過ぎると、それに至るまでの過程でややもすると大事なことを見過ごしてしまう可能性もある。後世にもしっかり残していけるような道をつくらないと」という話にも考えさせられるところがあった。

ここでも筆者は“バランス”というものを考える。

アニマル・ウェルフェアの概念が浸透し、殺処分がなくなり、人と動物とがよりよく共生していける社会。1つの大きな目標を実現しようと思った時、中には意見が批判になってしまうこともあるだろう、互いの考え方や捉え方にすれ違いが生じることもあるだろう。こと人というのは自分の立場や思い込みで物事を考える生き物であるのだから。

だからこそ、一方向からだけの圧力だけではダメで、一部の人たちだけが携わるのではなく、一人一人が自分のできそうなことを、できる範囲で、協力し合って積み重ねていかねば。

日本のペット環境は今度どう変わっていくのか。殺処分はなくせるのか、人にも動物にも暮らしやすい社会がつくれるのか。それは何より私たち一人一人の“意識”にかかっているのだと思う。

参考資料:
(*1)Animal euthanasia ban goes into effect / TAIPEI TIMES
(*2)Euthanasia ban may pile stress on shelters:groups / TAIPEI TIMES
(*3)動物収容所での殺処分ゼロに アジアで2番目:台湾/フォーカス台湾NEWS CHANNEL

文/犬塚 凛
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さんかくたまご

Author:さんかくたまご
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1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

・座右の銘は「人の行く裏に道あり花の山」
・好きな生き物 メジロ
・尊敬する人 ガブリエルシャネル(シャネル社創業者)
・好きな言葉 Das Beste oder nichts「最善か無か」。ダイムラー・ベンツ社の企業理念。私自身は何事も中途半端でいい加減です。ですからこの言葉に憧れます。

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