「殺処分をなくすためにはペットショップの生体販売をなくせいば良い」という、太田匡彦氏の自爆論説~犬編


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Domestic/Inländisch
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動物愛護(誤)ジャーナリスト太田匡彦氏ですが、朝日新聞などで繰り返し「ペットショップの生体販売が犬猫殺処分の原因である。したがって殺処分を減らす~ゼロ化のためにはペットショップの生体販売を廃止しなければならない」と述べています。しかし氏は、その主張に反する記事を過去に書いているのです。「保健所に届けられた犬は圧倒的に雑種が多い」という事実を調査して記事にしたものです。対して日本で飼育されている犬は7割以上が純血種、つまりペットショップなどの営利業者から購入された犬です。つまり、犬の殺処分の原因は、雑種犬の不適正飼い主が主な原因と言うことを太田匡彦氏自身が証明しているのです。
太田匡彦氏は繰り返し、「ペットショップでの生体販売が、日本の犬猫殺処分の原因である。殺処分を減らす~ゼロ化のためにはペットショップの生体販売を廃止しなければならない」と主張しています。例えばこのような記事です。朝日新聞デジタルSippo Opinion 太田匡彦の暮らしの中の動愛法2 首都東京は動物愛護先進都市になれるか。2013年12月11日です。以下に引用します。
東京には、欧米先進国では極めてまれな(*1)(*2)(*3)、小売業として犬や猫の生体を販売する動物取扱業者が全国で最もたくさんある。
そして自治体としての東京都(八王子市、町田市を除く)は11年度、犬猫あわせて2184頭を殺処分した。
小さなショーケースに子犬や子猫がずらりと陳列され、消費者が群がって歓声をあげる。
そこで衝動買いされた犬や猫は飽きられれば捨てられ、自治体が税金を使って殺処分する。
売れ残ったり、繁殖が終わったりした犬や猫の命は、人知れず消えていく。
動物愛護後進国・日本。
五輪後に使い道に困るようなハコモノを新設するくらいなら、老朽化した東京都動物愛護相談センターを建て替えることもできるはず。
誰もが足を運びやすく、もちろん殺処分など行わない(*4)、ドイツの「ティアハイム」のような動物保護・譲渡施設に生まれ変わらせればいい。
*1、イギリスではペットショップとインターネットから犬を購入する割合は日本より多い。
*2、ドイツは生体販売をこなうペットショップは約4,100あり、日本より多い。
*3、世界最大の生体販売ペットショップはドイツ、デュイスブルクにあり、もちろん犬猫もショーケース販売している。
*4、太田匡彦氏が「殺処分ゼロ」と繰り返し報じている、ティアアイム・ベルリンのHPには殺処分を行っていると明示しています。
(*1、*2、*3、*4の出典については「続き」をご覧ください)。
太田匡彦氏の「Sippo 朝日新聞デジタル」での論説では、「ペットショップで買われた犬猫は、衝動買いされて飽きられれば捨てられ、自治体が公費で殺処分する~」という記述があります。つまり氏は、「ペットショップが犬猫の殺処分の原因である」と述べています。さらに「犬猫の8週齡未満の販売禁止」などのペットショップの規制が殺処分を減らすなどとも、他の記事でも氏は同様のことを繰り返し述べています。「ペットショップの規制強化が殺処分減少に効果がある」も、殺処分の原因がペットショップの生体販売にあると言うことです。では、ペットショップが殺処分の原因なのでしょうか。
私はかつて記事、朝日新聞は狂気の動物愛誤メディア~太田匡彦氏の「ペットショップで買われた犬猫は、飽きられば捨てられ、自治体が公費で殺処分する」の偏向記述、で、猫の殺処分について論じたことがあります。概要は次のとおりです。
・東京都の平成24年度の、動物愛護センターでの収容動物内訳のうち、収容された犬猫のうち、猫が4分の3である。
・猫は、「拾得者からの引取り」(つまり野良猫)が、猫の総数のうち7割近くを占めます。
・さらに、「拾得者からの引き取り」(野良猫)のうち、子猫が占める割合は約99%である(子猫の定義とは「離乳前のもの」)。
(*5、*6)
東京都の収容犬猫では、猫が圧倒的にく、その多くが野良猫の子猫です。つまり殺処分の大きな原因は、野良猫の自然繁殖です。保健所に収容された犬猫のうち、大多数がペットショップにより販売されたものではありません。つまり、太田匡彦氏の、「殺処分の原因はペットショップの生体販売である。それらの犬猫を衝動買いする飼い主が飽きて捨てることが殺処分の原因であるから、殺処分をゼロにするためにはペットショップの生体販売をなくさなければならない」は誤りです。
今回は、殺処分にしめる割合がの4分の1にしかならない、犬についても考察します。保健所に届けられた犬の内訳ですが、太田匡彦氏自身が調査し、「アエラ」の記事にしています。以下の画像が、「アエラ」の記事、「2007(平成19)年度(2007年4月から2008年3月)に政令指定都市など28の自治体の保健所に、不要犬として飼い主に持ち込まれた犬の内訳」。2008年、です。
(画像)
「朝日新聞が独自に政令指定都市に対して調査した、犬種別 政令指定都市保健所に持ち込まれた犬の犬種別内訳」。それによれば、保健所に届けられた犬の総数が12,141頭。雑種が7,885頭。純血種が4256頭です。以下が、持ち込まれた純血種犬の犬種内訳です。これは政令指定都市の調査ですので、おそらく日本全国より純血種の割合が多いと思われます(それ以前に朝日新聞の調査は正確性に疑問があります。自治体職員が正確に犬種を把握できるのか、判定が微妙など)
2007年に保健所に持ち込まれた犬のうち、純血種が35.0%、雑種が65%です。一方、2007年の犬飼育においては、純血種の割合は71.2%、雑種が28.8%です。つまり、飼育数に対して、持ち込まれた犬は雑種がより多いのです。雑種犬の保健所届け出割合は、純血種犬の4倍以上です。さらに純血種の方が譲渡率は高いと思われますので、殺処分率はさらに低くなると思います。
雑種 7,885
(以下、純血種の犬種内訳)
1位 柴犬 701
2位 ダックスフント 481
3位 シーズー 380
4位 ラブラドールレトリバー 203
5位 ゴールデンレトリバー 175
6位 ビーグル 170
7位 マルチーズ 152
8位 土佐犬 145
9位 チワワ 142
10位 ヨークシャーテリア 135
11位 コーギー 130
12位 秋田犬 121
13位 プードル 109
ポメラニアン99、ハスキー67、パピヨン66、紀州犬63、シェルティ59、イングリッシュセッター56、シュナ53、Gシェパ52、パグ52、Aコッカー37、キャバリエ36、甲斐犬35、ポインター34、ミニピン31、グレートピレニーズ30(以下略)。

保健所に収容された犬の犬種内訳は、雑種が65%、純血種が35%ですが、これは収容時点の割合です。保健所は、収容した犬を一般譲渡していますが、人気のあるのは小型の純血種犬です。実際に殺処分された割合では、さらに雑種犬が増えていると思われます。おそらくそれを勘案すれば、雑種犬と純血種犬が殺処分される割合は70%対30%程度ではないかと推測します。
雑種犬はペットショップでは販売されることはまずありません。ペットショップで展示販売されている犬は、ほぼ全てが純血種犬です。先の東京都の数値を再び用いますが、殺処分される犬猫の比率は犬25%、猫75%です。さらに、純血種犬(多くはペットショップから入手したもの。しかしすべての純血種犬がペットショップから入手したものとは限りません。ブリーダーから直接購入した場合もあるでしょうし、知人から貰い受けたケースもあるでしょう)の殺処分に占める割合は、25%×30%=7.5%です。ペットショップで販売した犬が殺処分に占める割合は、最大でも7%台なのです。
つまり、犬においても、太田匡彦氏が主張する「殺処分の原因はペットショップの生体販売である。それらの犬猫を衝動買いする飼い主が飽きて捨てることが殺処分の原因であるから、殺処分をゼロにするためにはペットショップの生体販売をなくさなければならない」は、完全に誤りなのです。犬においても殺処分の内訳は、ほとんどが「ペットショップ由来の犬」以外の犬です。
統計から導かれる、「殺処分を減らすため、さらにはゼロに近づける」方策は、プライオリティが高い事柄は、犬においては雑種犬の飼育者の適正飼育の啓蒙です。雑種犬はペットショップで販売されたものではありません。多くの場合は「知人からもらった」、「保健所から貰い受けた」といったケースでしょう。雑種犬は無料である場合が多いので、安易に飼い始めて飼育放棄も抵抗がないということが考えられるからです。さらに、犬においても不妊去勢の徹底が重要でしょう。「保健所に収容された犬種では雑種犬の比率が際立って高い」ことは、雑種犬が望まない繁殖をしてしまったことが考えられます。またペットショップから購入した純血種犬においても不妊去勢をしない、発情期に遁走するなどして望まない繁殖をすることがあります。その場合は生まれた子犬は雑種になります。不妊去勢の徹底と飼い主の適正飼育は、ペットショップで販売された犬に対しても、殺処分減少のための有効策です。
統計からは、犬に関しても「ペットショップをなくすこと」、「ペットショップの規制強化(例えば8週齡未満販売禁止の厳格化)」は、殺処分を減らす、ゼロ化には、ほぼ効果がないか、効果があったとしても極めて限定的としか考えられません。
出典は、以下のそれぞれの記事のリンクをご覧下さい。
*1、
・イギリスにおける犬のペットショップ+インターネット販売の比率は日本よりはるかに多い~「ヨーロッパの中にはイギリスやドイツのように犬猫の生体販売(ペットショップ)を禁止している国もあります」との滝川クリステル氏の大嘘
*2、
・日本より生体販売ペットショップが多いドイツ
*3、
・ドイツの巨大生体販売ペットショップを攻撃する、ドイツの愛誤団体の愚かさ
*4、
・ティアハイム・ベルリンは、自ら殺処分を行っていることを認めています~「ティアハイム・ベルリンは殺処分ゼロ」の嘘プロパガンダを広める狂気のメディアと太田匡彦氏
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