特定の犬種が流行すれば殺処分が増えるという苦しい「捏造」~太田匡彦氏の噴飯講演


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Domestic/Inländisch
2016年3月26日に、東京弁護士会が動物愛護に関するシンポジウムを開催しました。かの動物愛護(誤)ジャーナリストである、太田匡彦氏もパネリストとして講演を行った一人です。氏は「ある犬種が流行すると殺処分が増える」としていました。しかしその内容を考察すれば、「事実を捏造するために、都合の良いデータを拾ってきてつなぎ合わせに過ぎません。偏向なく統計資料を精査すれば、日本に「特定の犬種が流行したことが原因で殺処分が増えた」という事実は、過去にはありません。
こちらがそのシンポジウムです。シンポジウム「人と動物の共生する社会の実現へ ~動物殺処分における法的課題~」のご案内(3/26 14時~)。なお、私が直接本シンポジウムに出席したのではなく、伝聞で内容を知りました。もし、相違がありましたならば、コメントでご指摘ください。
太田匡彦氏は、次のように述べています。「ある犬種が流行すると、衝動的に購入する人が増えるが飼育できなくなって、その犬を保健所に引き取らせる。ある犬種が流行すれば、殺処分が増えるという相関関係がある。例えば、消費者金融のCMでチワワが用いられ、チワワが流行したときは、殺処分数が増えた」です。
(画像)
こちらが、本シンポジウムのポスターです。

太田匡彦氏の講演内容は、私のブログ記事で、読者様がコメントされています。NHK「世界ネコ歩き」は、野良猫放し飼い猫至上主義の嘘プロパガンダ番組(スペイン編)。以下に引用します。
読者N様
昔、チワワが大量に殺処分され犬の殺処分数の数値が上がった年があったはずです。
その原因は「どうするアイフル」のチワワCMです。
シベリアンハスキーも流行って廃った犬でしたね。
読者S様
この話よく聞きますよね、でも都市伝説だと思ってました。
事実なんでしょうか?
当時チワワを飼いたい人が大勢いて、それと同時に早急に飼育放棄して保健所にぶち込む人が大勢いたのならばそこで消費が回って結果殺処分されない様な気がするんですけどw
保健所に殺処分待ちのチワワがいっぱいいるのならだれも大金出して業者から買いませんよね?
仮に多少チワワブームが殺処分増の原因になったところで「大金を出して購入する」と言う一ハードルがある段階でそこまで深刻な問題にはならない気がします。
大金出して買ったものをそんな簡単に捨てませんよね普通。
せめて売るとかあげるとかする人が大半でしょう。
飼育ブームと飼育放棄ブームの時期にタイムラグがあるとしても元々高価な種ですからね、タダの貰い手位なら引く手あまたのような気がします。
面倒なので捨てる人保健所にぶち込む人が皆無とは言いませんけど。
読者N様
この話は3月に東京弁護士会で開催されたシンポジウムに潜入して聞いた話です。
メディアラボ主催の太田匡彦氏がスライドで殺処分数のデータを映しながら話をしていました。
数字やグラフが創作で無い限り本当だと感じました。
まさか弁護士会のシンポジウムで数字まで捏造しますかね?
私の考えるところ、特定ブームで販売が伸び少しバランスが崩れると殺処分が跳ね上がる可能性があり、北海道の殺処分データからそのような印象を持っています。
さんかくたまご
殺処分統計の推移を見れば、全国レベルでは、特定ブームにより殺処分数が増えたとの裏付けはないです。
>ブーム到来、需要増で在庫不足が起きる
>ブーム成長期、在庫不足を埋めるため増産して対応する
>ブーム終焉期、増産されたが需要がしぼみ不良在庫と生産設備が余る
犬の生産スパンは、それほど長くはありません。
妊娠期間は3ヶ月ほどで、生後1年から繁殖に使えます。
上記の仮説は、もう少し生産設備~生産、のスパンが長いものには当てはまります。
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html
こちらが昭和49年から平成26年までの、日本全国の殺処分数グラフです。
これからは、特定ブームによる殺処分数の影響は伺えません。
何年にどのような犬種のブームがあり、それが殺処分増として影響が現れていますか。
講演会では、特定の自治体のデータを用いていませんか。
ブームとは、全国的なものでしょう。
消費者金融アイフルの、チワワを使ったテレビCMは、2002(平成14年)年8月から2006(平成18年)年4月の、約4年間放映されました(くぅ〜ちゃん)。その時期にチワワが流行し、保健所での殺処分が増えたと、太田匡彦氏は主張しています。その根拠のなる資料、グラフは、上記の読者N様のコメントにあるとおり、北海道の殺処分データであることは間違いありません。
確かに北海道の犬の殺処分数は、平成15年(2003年)に前年より増えています。太田匡彦氏は、それをもって「アイフルのテレビCMにより、チワワの流行が起きた→衝動的にチワワを買う人が増えて持て余し、保健所に引き取ってもらったなどで→殺処分数が増えた」とシンポジウムで説明したものと思われます。しかし前年より北海道で犬の殺処分数が増えたのは、平成15年度(2003年度)のみ1年度だけです。「チワワがアイフルのCMによってブームになった」というのであれば、そのブームはそれよりも長い期間ではないでしょうか。さらに太田匡彦氏の矛盾点を指摘すれば、平成15年度は北海道は犬の殺処分数は増えていますが、東京都では激減しています。東京都福祉保健局 東京都動物愛護相談センター 統計資料 動物取扱数の推移。
さらに、読者N様のご意見、「ブーム到来、需要増で在庫不足が起きる。ブーム成長期、在庫不足を埋めるため増産して対応する。ブーム終焉期、増産されたが需要がしぼみ不良在庫と生産設備が余る」が正しいとなれば、アイフルのCMが最初に放映されたのが平成14年(2002年)で、翌年の平成15年度(2003年度)に犬の殺処分数が増えるのは、リードタイムが短すぎると感じます。
さらに北海道で殺処分が増えたのは平成15年度(2003年度)だけで、その後もチワワのブームが続いていると思われますが、平成16年度以降は順調に北海道は殺処分数を減らしています。
(画像)
北海道 犬・ねこの安楽殺処分頭数

では次に、日本全国の犬の殺処分数を見てみます。環境省 犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況(動物愛護管理行政事務提要より作成)。
(画像)
環境省 犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況(動物愛護管理行政事務提要より作成)。このグラフ(日本全国の長期の犬猫殺処分数推移)においては、平成14年度(2002年度)頃から平成18年(2008年度)頃にかけてのチワワのブームはもとより、その他の犬種ブームによる、殺処分数の増加は確認できません。
このグラフで表示される最も古い昭和49年度からほぼ直線的に、全国の犬の殺処分数は減り続けています。前年より殺処分数が増えた年は一度もありません。

つまり太田匡彦氏は、「ある種の犬種が流行すれば飼い主の飼育放棄などが増え、その結果犬の殺処分数が増える」という嘘情報を捏造するために、都合の良いデータを偏向して寄せ集めた「事実の抜き書き」に過ぎません。たまたまアイフルのCMが、一般的に印象に残ったことと、北海道でその時期に犬の殺処分数が増えたデータがあったという事実を、無理やり結びつけたに過ぎないのです。
「チワワの流行により、チワワの生産数が増え、衝動買いした飼い主が飼育放棄して保健所に引き取ってもらった」、「ブリーダーの在庫処分のために保健所に引き取られたチワワが増えた(これはリードタイムからしてありえないと思います)」ことを統計から証明するのならば、なぜ日本全国の犬の殺処分数統計を用いないのでしょうか。「犬の流行」とは、全国的なものでしょう。自治体は日本全国より統計の母数が少ないために数値が振れて、北海道の殺処分統計が、太田匡彦氏の嘘に利用されたに過ぎません。「チワワの流行が殺処分数につながった」を証明するためには、殺処分された犬の犬種内訳や、チワワの生産数推移も調べる必要があります。
(動画)
これが問題の、消費者金融アイフルの、チワワを使ったテレビCM。放映は平成14年から平成18年まで行われました。アイフルCMチワワ CM集。
太田匡彦氏は、2008年に朝日新聞系「アエラ」で、「朝日新聞が独自に政令指定都市に対して調査した」とした、「犬種別 政令指定都市保健所に持ち込まれた犬の犬種別内訳」を記事にしています。それによれば、総数が12,141頭。雑種が7,885頭。純血種が4256頭です。以下が、持ち込まれた純血種犬の犬種内訳です。これは政令指定都市で、おそらく日本全国より純血種が多いと思われます(それ以前に朝日新聞の調査は正確性に疑問があります。自治体職員が正確に犬種を把握できるか、判定が微妙など)。
持ち込まれた犬のうち、純血種が35.0%です。現在の純血種の飼育割合は70%を超えていますが、2008年当時もおそらく70%程度と追われます。つまり、飼育数に対して持ち込まれた犬は雑種がより多いのです。また犬種は非常に多く、ある犬種が流行したとしても、それが犬の殺処分数全体を押し上げる程の数には成り得ないと思います。さらに純血種の方が譲渡率は高いと思われますので、殺処分率はさらに低くなると思います。これらの矛盾点については次回以降の記事で取り上げます。
1位 柴犬 701
2位 ダックスフント 481
3位 シーズー 380
4位 ラブラドールレトリバー 203
5位 ゴールデンレトリバー 175
6位 ビーグル 170
7位 マルチーズ 152
8位 土佐犬 145
9位 チワワ 142
10位 ヨークシャーテリア 135
11位 コーギー 130
12位 秋田犬 121
13位 プードル 109
ポメラニアン99、ハスキー67、パピヨン66、紀州犬63、シェルティ59、イングリッシュセッター56、シュナ53、Gシェパ52、パグ52、Aコッカー37、キャバリエ36、甲斐犬35、ポインター34、ミニピン31、グレートピレニーズ30(以下略)。
(画像)
アエラの記事。2008年。「2007(平成19)年度(2007年4月から2008年3月)に政令指定都市など28の自治体の保健所に、不要犬として飼い主に持ち込まれた犬の内訳」。

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