流通過程における犬猫の死亡実数は環境省調べの33倍?~動物愛護(誤)ジャーナリスト、太田匡彦氏の嘘を暴く


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Domestic/Inländisch
朝日新聞記者の太田匡彦氏は、自他共に認める動物愛護(誤)ジャーナリストです。残念ながらこの方は、プロのライターでありながら、記事の根拠となる客観的な資料の読み込みをしていないか、それが甘い、さらには正しく引用せずに読者を意図的に誤認させる記事を書きます。太田匡彦氏は、朝日新聞で「犬猫の流通過程での死亡数は環境省の平成9年調査の推計値の33倍」との内容の記事を書いています。その上で犬猫の大量生産大量販売を批判していますが、環境省には氏が指摘する資料は見つかりません。さらに同じ記事で、「犬猫の国内の販売数」において、各流通段階(生産~中間業者~小売業者)の各段階の業者の取り扱い数を重複して数えるという、決定的な誤りをしています。各流通段階での犬猫の販売数を重複すれば、実数の数倍になります。
太田匡彦氏の朝日新聞記事はこちらです。朝日新聞デジタル 犬猫の流通、1年で10万匹増 途中で2万5千匹死ぬ。2017年1月27日記事。この記事は、個人ブログのコメント欄でも取り上げられ、議論になっています。【的外れ?】まずペットショップでの生体販売をやめろ!を視聴して。以下に、問題の記事を引用します。
2015年度に国内で販売されるなどした犬猫は少なくとも約85万匹で、前年度より約10万匹増えていることが朝日新聞の調査で分かった。
流通量の3%にあたる約2万5千匹の犬猫が流通過程で死んでいたことも判明した。
繁殖から小売りまでの流通過程での死亡数(死産は含まない)は犬1万9866匹、猫は5088匹の計2万4954匹。
14年度も死亡数は計2万3181匹で、両年度とも流通量の3%にのぼる。
これは環境省が09年にペット店を対象に調査した際の推計値の33倍にあたる。
本記事を読めば、「環境省が恣意的に、犬猫の生産流通過程での死亡数を低く公表した。実際は犬猫の生産流通過程での死亡数ははるかに多い」ということを強く印象付ける記事です。しかし「平成9年の環境省の犬猫生産流通過程における死亡率/数調査」という資料は見当たらないのです。
【的外れ?】まずペットショップでの生体販売をやめろ!を視聴して、における、コメントの議論を引用します。
生体販売 (サーバント)様
朝日新聞でおなじみの記者によるペット業界の記事がまた掲載されました。
「繁殖から小売りまでの流通過程での死亡数(死産は含まない)は、流通量の3%にのぼる。これは環境省が09年にペット店を対象に調査した際の推計値の33倍にあたる」。
「33倍」を強調することで、国がペット生体流通の死亡を過小評価していると印象付け、相対的に問題を大きく見せようとしています。
同記者は前にも同じような手法を使っていましたが、そもそも「09年の環境省の推計」というのが良くわかりません。
環境省が把握していた死亡率と、朝日新聞が公表した死亡率に関して、把握状況にそれほと大きな差があるとは思えません。
それをことさらに33倍と強調する手法には、不誠実さを感じます。
死亡率に関しては環境省も集計しており、第一種動物取扱業者に対する監視、指導等の徹底について(犬猫等健康安全計画の遵守)平 成 28 年 1 月 5 日、学術的な根拠を示しているこちらの方がよほど有意義な資料です。
環境省は、平成28年に犬猫の生産流通過程における死亡率の調査をしており、それは第一種動物取扱業者に対する監視、指導等の徹底について(犬猫等健康安全計画の遵守)平 成 28 年 1 月 5 日、で公表されています。
本資料によれば、平成26年における、犬猫の販売業における全国平均死亡率は、次のとおりです。つまり、朝日新聞の調査、3%とあまり変わらないのです。
表1、日本における犬猫販売事業者の犬猫死亡率
(犬猫の販売業における全国平均死亡率)
・繁殖を行っている事業者 犬の死亡率 5.6% 猫の死亡率 6.4%
・繁殖を行っていない事業者 犬の死亡率 0.8% 猫の死亡率 1.3%
・全体 犬の死亡率 2.9% 猫の死亡率 3.4%
さらに、第一種動物取扱業者に対する監視、指導等の徹底について(犬猫等健康安全計画の遵守)平 成 28 年 1 月 5 日、では海外の犬猫販売業者の死亡率も調査しています。その結果は次のとおりですが、諸外国と比べて、日本の犬猫販売事業者における、犬猫の死亡率はかなり低いと言えます。
表2、諸外国における犬猫販売事業者の犬猫死亡率
① 2001 年 オーストラリア
・18.5%の子犬が安楽死を除いて死亡(7.0%が死産、9.8%が 8 日経過未満で死亡)。
②2012 年 ノルウェー
・全ての出産のうち、24.6%の出産で死亡した仔犬がいたことが確認。
・8 日間経過前に 8%の仔犬が死亡。うち、4.3%が死産で、3.7%が出生後死亡。
③フランス(2008年~2010年)
・ 誕生から離乳までの合計死亡率は、大型犬が 25.2%(262/1039)、小型犬が 30.9%(826/2672)。
さらにこのようなコメントもあります。
犬猫等販売業者定期報告届出書
(犬猫等販売業者)様
流通過程で死亡したと書いてあるので、まるでA店からB店へ移動中に死亡したように感じますが、ブリーダーの家で繁殖を引退してペットとして天寿を全うしても、犬猫等販売業者定期報告届出書には死亡として計上するので、流通過程で死亡になります。
繁殖に使った犬猫は繁殖業者に終生飼養の義務がありますから、繁殖を引退してブリーダーのペットになっても、他の誰かに譲渡しない限りは、この報告書に計上し続けなければなりません。
繁殖業者が終生飼養して天寿を全うしても、ここに死亡として計上しなければなりません。
もちろん移動中の死亡がないとは思いませんが、犬猫等販売業者定期報告届出書には、どこでどのような状況で死亡したかを記入する欄はありません。
死亡数には天寿を全うしたかもしれない親猫の数が含まれます。
この記事を書いた記者は、犬猫等販売業者定期報告届出書の記載事項と内容を知っていてこの様に書いているのか、知らずに数字だけ見て書いているのか、とても疑問ですし、まるで私たち業者が2万5千頭も無策に死なせていると言わんばかりのこの記事は、とても乱暴だと思います。
つまり、犬猫販売事業者で、繁殖も行っている事業者が、繁殖に用いる親犬猫を他者に譲渡しない限り、終生飼育して死んだ場合も、死亡数にカウントされるのです。そのために、「表1、日本における犬猫販売事業者の犬猫死亡率」にあるとおり、犬猫の死亡率が、「繁殖を行っている事業者」の死亡率が、「繁殖を行っていない事業者」の死亡率より高いのです。
その他にも、太田匡彦氏の記事、犬猫の流通、1年で10万匹増 途中で2万5千匹死ぬ、では、数字のダマシがあります。太田匡彦氏は、「2015年度に国内で販売されるなどした犬猫は少なくとも約85万匹で、前年度より約10万匹増えていることが朝日新聞の調査で分かった」と記述しています。しかし、この国内で販売されるなどした犬猫の数85万匹は、それぞれの流通過程で、重複してカウントしたものです。ですから例えば、繁殖業者~卸売業者~小売業者という、消費者まで3段階の事業者を経たならば、犬猫の販売数は3回重複されてカウントされるので、実数の3倍になります。以下に、【的外れ?】まずペットショップでの生体販売をやめろ!を視聴して、に投稿されたコメントを引用します。
犬猫等販売業者定期報告届出書
(犬猫等販売業者)様
85万頭についても、ブリーダー→ペットショップA店→ペットショップB店への移動の場合、ブリーダーの家で生まれた仔猫3頭→ペットショップA店が入荷した仔猫3頭→ペットショップB店へ移動した仔猫2頭の場合、それぞれの業者が犬猫等販売業者定期報告届出書を提出しますので、産まれた仔猫3頭が流通数8頭になってしまいます。
流通数は同一の子猫が何度も計上されることになります。
太田匡彦氏が、「犬猫等販売業者定期報告届出書」の仕組みについて全く無知蒙昧なのか、それを知りつつ頬かむりをして、ことさら「日本の犬猫の商業生産が多い」という嘘の数字を意図的に捏造したのか、私はどちらなのかは分かりません。しかし、著しく「日本の犬猫販売事業者での死亡率が高い」と誤認させる記述とも併せて、太田匡彦氏のこの朝日新聞の記事は、事実とは大変異なる報道内容です。それにしても、「犬猫販売数」の重複集計を言う過ちを犯しながら、環境省の犬猫死亡率とさほど変わらない率が出てくるとは奇妙です。朝日新聞の調査の「犬猫販売数」はもとより捏造された数値ですが、死亡数の2万5千匹という数値も朝日新聞の創作である可能性が高いと思えてきます。
日本の動物愛護(誤?)ジャーナリストの第一人者が意図的か、無知に起因するのかはわかりませんが、このような捏造記事を書いているのです。いずれにしても、動物愛護に関する報道は、最大手メディアにおいても、嘘、捏造、誤りが常態化しているひどい状態であると言わざるを得ません。
太田匡彦氏が「アエラ」で書いた記事。「日本の常識はやはり非常識だった。『私たち(ティアハイム・ベルリンの職員)は一匹も殺さない』と動物保護施設の職員は言う。そこには気負いはない。それがドイツでは当たり前のことなのだ」。赤っ恥かく前に、「当施設は殺処分を行っています」と明記した、ティアハイム・ベルリンのHPぐらい確認しなさいよ、と私は老婆心ながら思います(呆)。

ドイツ、ベルリンの最大部数を誇るタブロイド新聞B・Z(ベルリン・ツァイティング)のトップページ。カバー写真はティアハイム・ベルリン。Ja, im Berliner Tierheim werden Hunde getötet 「そうですよ、ベルリンのティアハイムでは犬が殺されています」という見出しの記事を掲げた、新聞の広告スタンド。ドイツ人にとっては、ティアハイムが収容動物の殺処分を行っていることなんて周知の事実です(大笑い)。
ティアハイム・ベルリンは自ら健康上問題のない動物も殺処分していることを大手新聞社に経営トップが公表していますし、自らHPでその事実を認めています。「ティアハイム・ベルリンは殺処分ゼロである」と言っているのは、全世界でティアハイム・ベルリン関係者も含めて日本人だけです。狂気すら感じます。

(参考資料)
・【動物愛誤】朝日の太田はいいかげんにしてほしい
~
日本の乳児死亡率は1.9%と言うことを取り上げて、「日本の犬猫の流通過程における死亡率はむしろ少ない」と述べています。この方の主張も一理あるでしょう。ましてや、繁殖を行っている業者の死亡率は、繁殖に用いた親犬猫が天寿を全うして死んだ数が含まれるのです。繁殖を行っていない業者の、「犬の死亡率 0.8% 猫の死亡率 1.3%」は人間サマの乳児死亡率より低いのです。ほぼゼロに近い、これ以上減らすのは限界といった数値でしょう。
(犬猫の販売業における全国平均死亡率)
・繁殖を行っている事業者 犬の死亡率 5.6% 猫の死亡率 6.4%
・繁殖を行っていない事業者 犬の死亡率 0.8% 猫の死亡率 1.3%
・全体 犬の死亡率 2.9% 猫の死亡率 3.4%
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