ドイツの警察官が年間約1万2,000もの犬などを射殺する根拠~まとめ


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(Zusammenfassung)
Polizei schießt im Jahr rund 10.000 Mal auf Tiere.
Das macht etwa 99 Prozent aller Fälle aus, in denen Beamte zu ihrer Dienstwaffe greifen.
Dass Tierbesitzer dagegen klagen, kommt selten vor.
Nach Angaben des Deutschen Tierschutzbundes ist ein Gnadenschuss nur dann erlaubt, wenn keine Überlebenschance gesehen wird.
Allerdings besitzen Polizisten in der Regel nicht die erforderliche Sachkunde.
記事、
・ドイツでは、警察官が犬などを射殺する数は年間11,901頭~10年間で2倍に激増した要因、
・ドイツでは、年間50万頭ものペットが捨てられる~ドイツでは、警察官が犬などを射殺する数が年間約1万2,000頭にもなる要因、
・交通事故で重傷を負った猫を射殺した警察官に飼い主は憤慨~ドイツの警察官が年間約1万2,000もの犬などを射殺する根拠
の続きです。今回は、「警察官が動物に対する人道的配慮により、動物を射殺する権限」について、警察法などの根拠を述べます。
まずお詫びですが、私は以前の記事で「私がブログを初めて以来、ドイツで警察官が猫を射殺したニュースは1件だけでほとんどが犬である」と書きました。それは誤りでした。探したところ、前回で取り上げたニュースソースなど、複数の猫射殺の事件がありました。
私がかつて記事にした、ドイツでの警察官による猫の射殺の記事はこちらです。警察署に届けられた猫を警察官が射殺~ドイツ、ヴッパータール。この事件は、ゴミ袋に入れられて捨てられた、瀕死の猫を通行人が警察署い届けたところ、警察官がその猫を射殺しました。こちらの記事でも引用したとおり、警察法(州法)で、「警察官は、人道上から瀕死状態の動物を発見した時は、その動物の苦しみを早く除去するために射殺しなければならない」とされています。再び、 Polizeiliches Grundlagenwissen für Studium und Praxis PolG NRW 「研究と実践のための警察の基礎知識 ノルトライン=ヴェストファーレン警察法」から引用します。
Schwer verletzte Tiere
Verletzte oder kranke Tiere dürfen erschossen werden, wenn die Befürchtung besteht, dass sie sonst unter Qualen verenden würden.(VVPolG NRW Ziff. 63.13).
重症の動物
もしその動物が怪我をしていたり病気にかかっていて、射殺されなければより大きな苦しみで死ぬおそれがある場合は、その動物を射殺しなければなりません。(ノルトライン=ヴェストファーレン州警察法63条13項)
また、警察官が職務で犬などの飼い主がある動物を射殺する場合は、ドイツ連邦民法90条aの規定が援用され、警察は飼い主に対して損害賠償の責任を負いません。ドイツ連邦民法90条aの規定は、日本では「ドイツでは動物はものではない」と紹介され、その意味が著しく曲解されています。
本条で日本語に「モノ」に訳される単語、Sachenは、法学用語では「財物」「私有財産が及ぶもの」という意味です。つまり特別法の規定があれば、それを毀損(警察官による飼い犬の射殺)したり、行政による飼い犬の押収~強制殺処分においては、警察や行政には犬の飼い主に対して損害賠償の責任を負わないという意味です。以下に、ドイツ民法90条aの原文を挙げておきます。なお、geschützt 「保護される」は、「適用される」といった程度に理解すべきでしょう。
§ 90a Tiere
Tiere sind keine Sachen.
Sie werden durch besondere Gesetze geschützt.
Auf sie sind die für Sachen geltenden Vorschriften entsprechend anzuwenden, soweit nicht etwas anderes bestimmt ist.
90a
動物は「(民法上定義する)物(財物)」ではありません。
これらは、特別法により保護(規定)されています。
特に明記しない限り、その上で(民法の)該当する諸規定が準用されます。
Polizeiliches Grundlagenwissen für Studium und Praxis PolG NRW 「研究と実践のための警察の基礎知識 ノルトライン=ヴェストファーレン警察法」(ノルトライン=ヴェストファーレン州警察法ガイドライン)においては、このような記述もあります。
§ 58 PolG NRW
Damit unmittelbarer Zwang rechtmäßig ist, muss Verwaltungszwang zulässig sein.
Der Bulle ist zwar keine Sache (§ 90 a BGB).
§ 90a BGB
Weil eine gegenwärtige Gefahr für die öffentliche Sicherheit abzuwehren ist, sind die Voraussetzungen für eine Sicherstellung zur Gefahrenabwehr erfüllt (§ 43 Nr. 1 PolG NRW).
23 Schusswaffengebrauch gegen Sachen
Die mit Abstand häufigsten Fälle des Schusswaffeneinsatzes gegen Sachen betreffen die Fallgruppen:
・gefährliche Tiere
ノルトライン=ヴェストファーレン州警察法58条
同法条文により、この警察官の(危険な犬に対しての)射殺の行使は、行政が執行を許可しなければならないのは合法的です。
ブルドッグは民法90条aでは物(財物=Sache)ではありません。
民法90条a
公共の安全の確保への脅威は、安全性を確保するための前提条件として、ノルトライン警察法43条1項が優越して適用されます。
私有財産権(財物=Sache、であることにご注意ください)を侵害する警察官の銃器の使用。
最も一般的な、私有財産権(財物=Sache)を侵害しても不法行為責任を負わない警察官による銃器の使用は、次のケースに関するものです。
・危険な動物(など)
私はFaceBookで、ドイツの動物愛護の実情を投稿することがあります。ドイツでは、飼い犬を含めて警察官が射殺する事件の報道が大変多いこともコメントしています。近年は、飼い主が至近距離にいるのにリードをしていなかったと言うだけの理由で、飼い主の目前で警察官が犬を射殺する事件が複数報道されています。
それに対して、「ドイツで警察官が犬を射殺するなどは妄想」と私を攻撃してきた人がいます。その上で「私はドイツ留学経験がある。交通事故に遭った重傷の犬を警察官が必死になって手当しているのを目撃した。ドイツの警察官は犬にこれほど優しいと感動した」との反論コメントをしています。
残念ながら、私がインターネットで調べたところ、ドイツで「交通事故にあった犬を警察官が必死に手当した」というニュースソースは見つかりませんでした。こちらのブログ記事で取り上げたとおり、「警察官が、自らパトロールカーで轢いた重傷の犬を射殺した」「高速道路でクルマにはねられた犬を、警察官が射殺した」「交通事故で重傷を負った猫を警察官が射殺した」「警察署に届けられた、ゴミ袋に入れられた瀕死の猫を警察官が射殺した」などという事件は多数見つかります。
警察法によれば、「警察官は怪我をしたり病気にかかっている動物を見つけた場合は、その動物の苦痛を取り除くために射殺しなければならない」と規定されているのです。ですから、交通事故で重傷を負った犬は、法律上警察官は射殺しなければならないのであり、むしろそれが普通に行われているのです。日本人には理解しがたいですが、それは「文化」の違いです。
私は、常にドイツなどの海外の動物愛護事情は、その国の原語の情報を元にしています。それが「嘘」ということであれば、私は根拠となる情報は必ずリンクをつけておりますので、情報源(例えば政府機関やマスメディアなど)にお問い合わせするか、抗議するべきでしょう。「さんかくたまごの書いていることは嘘だ」というご意見は、ブログコメントでもいただきますし、私のブログとは関係ないところ、たとえばFaceBooknタイムラインや、私のFaceBookのコメントへの反論でも行われます。
その反論の根拠は例外なく、反証を挙げていません。その上で、反論の根拠は、「私はドイツに在住経験があるから知ってる」「私がドイツで見聞した、経験した」がほぼ全てです(もしくは根拠、反証を一切上げない)。例えば「私はドイツ在住の同時通訳だ。さんかくたまごが書いていることが全て嘘だ」「私はスイス人だ。さんかくたまごが書いていることは全て嘘だ」です。しかしブログにコメントされた方は、全て日本のドメインからのアクセスでした。
反論される方は、ご自身の体験より、「反証」、その国の法律の原文、政府広報、公的統計、マスメディアの記事、などの客観的で信頼性の高い「証拠」を挙げてください。私は、私が誤っていることが明らかに確認できた場合は記事を訂正しています。希には、かなり信頼できるマスメディアの記事でも誤りがあることがありますし、公的文書でも数字などは誤りがあることが希にあるからです。
個人的な経験はそれを証明しようがありませんし、いくらでも捏造できます。例えば「ドイツでは交通事故で重傷を負った犬を警察官が必死になって手当する愛犬国家だ」というのならば、ご自身が仮にそのような経験をされていたとしても、それを証明しなければ信用することはできません。またその一例を持って、ドイツ全土がそうであるとは言えません。ご自身の個人的な体験よりも、マスメディアの記事などを挙げる方が、第三者に対して説得力があると思います。また「ドイツで警察官が犬を射殺するなどは妄想」なのであれば、それを裏付ける資料(例えば警察官の銃器の発砲件数の公的統計などでほとんどゼロであれば裏付けられます)を提示されることをおすすめします。
(画像)
Katze getötet: Tierschützer beschweren sich über Wuppertaler Polizisten「『猫殺し』動物愛護活動家は、ヴッパータール警察署に文句たらたら」。2012年1月5日の記事より。
クリスマスイヴにバス停にゴミ袋に入れられて捨てられた瀕死の猫は警察署に届けられましたが、警察官に射殺されました。私だって、可哀想だと思います。

(動画)
Getötete Hunde: Demonstration gegen Polizei in Rüsselsheim 「殺された犬 リュッセルスハイムでの警察官による犬の射殺に抗議するデモ」。2014/09/29 に公開。
警察官により、犬が射殺されたことに対する抗議デモ。犬は本事件では、市民に危害を及ぼしてはいませんでした。同様のデモは、ドイツではしばしば開催されます。
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