「ペットショップにおける犬猫販売8週齢規制により殺処分ゼロが実現できる」という、塩村文夏都議の荒唐無稽な政策提言


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動物愛護活動議員である、塩村文夏東京都議は、議会質問や講演会などで「日本が殺処分を実現するための」方策を繰り返し述べています。要点は次のとおりです。
①欧米先進国にはほとんど見られない生体小売業、つまりペットショップが存在している。
②ドイツでは、公的殺処分がない。対して日本は年間14万頭の犬猫が殺処分されている。
③(①、②の状況を改善するためには)ペットショップでの犬猫8週齡未満販売を規制を早期に実現すべきである。
④(①、②の状況を改善するためには)終生飼育が前提のドイツのティアハイム的保護施設を設立し、譲渡を促す。
今回は、③の「ペットショップでの犬猫8週齡未満販売を規制」が殺処分ゼロ(減少)になるとの、塩村文夏東京都議の政策提言が荒唐無稽であることを述べます。
・こうとう‐むけい〔クワウトウ‐〕【荒唐無稽】~言動に根拠がなく、現実味のないこと。また、そのさま。
東京都議会義委員である塩村文夏氏は、「動物愛護活動政治家」と自称しており、熱心に「犬猫のノーキル実現」を訴え、そのための政策提言を行っています。その主張する政策の内容は、サマリーで述べた通りです。これらの政策低減は、繰り返し都議会質問や、講演会で述べています。
①欧米先進国にはほとんど見られない生体小売業、つまりペットショップが存在している。(*1、日本が著しく生体小売業が多いという統計はない。むしろドイツなどは、日本よりはるかに生体小売業が多い)。
②ドイツでは、公的殺処分がない。対して日本は年間14万頭の犬猫が殺処分されている。(*2、塩村文夏議員が主張している「公的殺処分ゼロ」のドイツでは厳然と公的殺処分が有り相当数がある。例えばヘッセン州では、人口比で東京の6倍もの犬を公的殺処分していた)
③(①、②の状況を改善するためには)ペットショップでの犬猫8週齡未満販売を規制を早期に実現すべきである。
④(①、②の状況を改善するためには)終生飼育が前提のドイツのティアハイム的保護施設を設立し、譲渡を促す。(*3、ドイツのティアハイムの終生飼育とは、いわゆる「老犬老猫ホーム」事業のこと。飼い主が高額な飼育料を払い続ける限り飼育が継続されるだけ。所有者不明犬猫を収容して終生飼育しているわけではない。ティアハイムでは、収容期間が伸びるなどすれば殺処分を一定数行っている)。
今回は、③の「ペットショップでの犬猫8週齡未満販売の規制」が殺処分ゼロ(減少)になるとの、塩村文夏東京都議の政策提言が荒唐無稽であることを述べます。結論から言えば、ペットショップにおける犬猫販売の8週齡規制は、ゼロとは申しませんが、殺処分ゼロどころか、殺処分減少の効果も極めて限定的です。この根拠は次のとおりです。
まず、東京都における犬猫の収容と殺処分の内訳を示します。東京都福祉保健局 の中の 東京都動物愛護相談センター の中の 統計資料 平成26年度によれば、
・犬猫の収容内訳は、猫が全体の72%、犬が26%(その他はうさぎ)です。さらに猫のうち子猫が占める割合は48%。
・犬猫の殺処分内訳は、犬が5%であるのに対し、猫は94%です。
(画像)
東京都動物愛護相談センター の中の 統計資料 平成26年度「収容動物の内訳」。

東京都動物愛護相談センター の中の 統計資料 平成26年度「殺処分内訳」。

一方東京都は、犬猫の入手経路についての調査も行っています。東京都における犬及び猫の飼育実態調査の概要 - 東京都福祉保健局。それによれば、犬の入手経路において、ペットショップから購入した割合は33.5%であるのに対して、猫は7.2%です。
(画像)
東京都における犬及び猫の飼育実態調査の概要 - 東京都福祉保健局。犬猫の入手経路。

つまり、上記の統計資料により、次の事実がわかります。
・東京都動物愛護相談センターに収容される犬猫のうち、猫が占める割合は74%であり、猫が犬より圧倒的に多い。さらに収容された動物種のうち、約半数の48%が子猫(離乳前)である。
・殺処分された動物全体のうち、犬が占める割合が5%であるのに対し猫は94%である。
・犬猫の入手経路に占めるペットショップからの購入は、犬が33.5%であるのに対して、猫は7.2%である。
塩村文夏都議が主張する、「殺処分ゼロ化」のための政策提言、「ペットショップにおける犬猫の8週齡販売規制の実現」ですが、統計資料からは到底導くことができません。まず殺処分の大多数(94%)を占めるのは猫です。しかし猫の入手経路に占めるペットショップからの購入割合は、わずか7.2%です。対して猫の入手経路では、「屋外で拾った(捕まえた)」が48.9%と圧倒的に多いのです。次が「友人・知人から譲り受けた」が27.7%、「自宅で繁殖して増えた」が8.0%です。「屋外で拾った(捕まえた)」は、ほぼ全てが野良猫の自然繁殖の雑種猫でしょう。「友人・知人から譲り受けた」も、友人が野良猫を拾って持て余した、友人の家で飼っていた猫が無計画繁殖したもので、おそらく雑種多いと思われます。なぜならば純血種の計画繁殖であればブリーダーに分類されるからです。「自宅で繁殖して増えた」も、雑種猫の無計画繁殖が多いのではないかと思われます。
つまり「屋外で拾った(捕まえた)」「友人・知人から譲り受けた」「自宅で繁殖して増えた」の合計84.6%が、無償で入手した、元野良猫か、それに近い扱い(放し飼い等)雑種猫と思われます。収容動物の内訳では、猫が74%で圧倒的多数である原因は、猫の入手は野良猫か、それに近い(放し飼い等)雑種猫であるために、飼育がずさんで無計画な繁殖が起きて仔猫が生まれるなどして捨てることが多いと思われます。収容された猫のうち、約半数が離乳前の仔猫であることもそれを裏付けています。成猫であっても、安易に手放す人が多いと思われます。
対して犬は、「ペット販売業者の店舗販売で購入した」が33.5%で最も高く、「ブリーダーからの直接販売で購入した」が18.2%、「通信販売(インターネットなど)で購入した」が2.3%、「イベントや出張販売で購入した」が0.4%です。これらは有償での入手経路です。有償での犬の入手割合は、54.4%で過半数を超え、猫がほとんどが無償入手(84.4%)であるのと対照的です。
これらの結果から推測できることは、犬は有償譲渡、つまり純血種の割合が高く、飼い主がきちんと管理飼育をして大事にするということです。また無計画な繁殖も起きにくいとうことです。それは収容された犬のうち、仔犬が0%であることからも伺えます。
以上をまとめますと、殺処分の原因の主なるものは、「野良猫の自然繁殖」「野良猫か野良猫に近い(放し飼い等)雑種猫のずさんな管理による無計画繁殖により仔猫を捨てる」「野良猫か野良猫に近い雑種猫を無償で入手し、無償であるが故に入手もたやすく、捨てるのが惜しくないから安易に捨てる」ということになります。
もし、塩村文夏都議が主張するように、「ペットショップの犬猫販売8週齡規制が殺処分ゼロ、もしくは減らす」方策というのであれば、「犬猫のペットショップによる入手割合」と、「収容数と殺処分割合」が逆転していなければならないのです。客観的な統計値からは、到底塩村文夏都議の、「殺処分ゼロを実現するためにはペットショップの犬猫8週齡販売規制を実現すること」は導けず、荒唐無稽な政策提言と断じざるを得ません。統計から「殺処分を減らす」ために導ける政策は、猫飼育者(野良猫に関わる人も含む)に対する適正飼育化の啓蒙と管理飼育化、そして野良猫対策です。
(画像)
塩村文夏氏は、2016年9月16日に、東大阪市で講演会を行っています。この講演会の内容は、今回紹介した、2015年2月27日東京都議会における、議会質問と内容を踏襲しています。すなわち、以下のとおりです。
①欧米先進国にはほとんど見られない生体小売業、つまりペットショップが存在している。
②ドイツでは、公的殺処分がない。対して日本は年間14万頭の犬猫が殺処分されている。
③(①、②の状況を改善するためには)ペットショップでの犬猫8週齡未満販売を規制を早期に実現すべきである。
④(①、②の状況を改善するためには)終生飼育が前提の、ドイツのティアハイム的保護施設を設立し、譲渡を促す。
塩村文夏議員の政策提言の矛盾点、「ペットショップにおける犬猫販売8週齢規制により殺処分ゼロが実現できる」の矛盾点は、次回の記事でも論じます。

【塩村都議質問】
塩村あやか都議質問<2015年2月27日(金)東京都議会本会議>全文書き起こし(動物愛護関係等)
1.動物愛護について
「国の偉大さ、道徳的発展は、その国における動物の扱い方で分かる」。これは、マハトマ・ガンジーの有名な言葉です。まずは私が政治家になるきっかけであり、10年取り組んでいる動物愛護の分野より質問をいたします。
日本では年間14万頭の犬猫が殺処分されています。一方で、欧米先進国にはほとんど見られない生体小売業、つまりペットショップが存在しています。このビジネスを支えるために、子犬の繁殖工場であるパピーミルと競り市が営まれているのです。
この日本の異常な状況を改善するためには、過剰な生体販売ビジネスの抑制につながる8週齢規制を早期に実現させ、終生飼養が前提の保護施設「ティアハイム」を設立し、さらには保護された犬猫の譲渡を促進することです。これが行政殺処分のないドイツ式だと、これまで都議会で提案させていただきました。
さらに、私は当選以来、アメリカ式のアニマルポリスやイギリス式のインスペクター、地域猫対策、動物愛護センターのティアハイム化、ボランティアの活用と支援など、あらゆる分野の質問と提案を行ってきました。
昨年は犬の大量死亡・遺棄事件が相次いで発生するなど、経済活動が優先で、動物の命を軽んじている実態が改めて浮き彫りになりました。これは他県での事件ですが、犠牲となった犬は繁殖の役目を終えるなどした、まだ5、6歳の犬達であり、その犬達が産んだ子犬の供給地は間違いなく東京などの都市部です。東京はその点も鑑みた取組が期待されています。現状に対する知事の認識と所見をお伺いいたします。
さて、東京都は動物愛護において、他県をリードしてきた自負があると聞いています。しかし、近年においては、神奈川県が犬の殺処分ゼロを達成し、岐阜県は殺処分を行わない動物愛護に特化したセンターを新設し、収容された犬の中からアニマルセラピー犬の育成を始めました。佐賀県でも、犬猫の譲渡を目的とした専用施設の開所が間近、群馬、大阪も新しいセンターの開所を予定しています。こうした積極的な取組を打ち出す自治体は成果を挙げ、東京など他の自治体をリードしつつあります。
東京都も築40年を超えているセンターの改修や新築、収容された犬の中からセラピー犬等の育成など、積極的な施策を打ち出し、他自治体をいい意味でリードする取組をすべきです。
また、国においても、超党派の議連が立ち上がるなど、2020年に向けて動物愛護の機運は高まっています。行政による動物殺処分がないドイツを見ても分かるように、まずは8週齢規制や飼養施設規制など、国で法を敷くことが一番の特効薬です。東京都もオリンピック・パラリンピックを開催するにふさわしい成熟都市であることを証明するためにも、国に提言をするべきだと考えますが、知事に所見を伺います。
平成27年度の予算案を見ますと、要求を続けてきていた、動物愛護に関する予算が増額されました。内容をお伺いするとともに、私はセンターをティアハイムに近付ける新築や改修の提案をしてきました。その進捗も併せてお伺いいたします。
動物愛護の目指すところは、行政殺処分の撲滅だけではありません。人と動物が共生していくためには、周囲との摩擦を回避するために、飼い主のマナーの向上も必須です。例えば、都市部においては、ノーリードは条例違反になることや、散歩の前にトイレを済ませることがマナーであることは、意外と知られていません。つまり、こういった基本的な啓発が不十分だったことを表しています。飼い主としての自覚や、動物を飼う覚悟など、普及啓発をしっかり行うべきだと考えますが、今後の取組をお伺いします。
都の譲渡事業にはボランティア団体が協力をしていますが、譲渡数を増やすためには他県の先進的事例も鑑みた都の更なる取組が必要と考えます。
また、私は、殺処分数を減らすため、民間企業との連携を要請してきました。徳島県はセンターに収容をされた犬の中から、災害救助犬の育成を官民を挙げてスタートさせています。民間連携についても、併せて見解と進捗をお伺いいたします。
(資料2)
*1、
~
・「日本では、欧米先進国にはほとんど見られない生体小売業、つまりペットショップが存在しています」という塩村文夏東京都議の無知蒙昧
*2、
~
・東京都の6倍もの健康上問題のない、かつ咬傷事故を起こしていない犬を公的殺処分していたドイツ、ヘッセン州
・ドイツのティアハイムの犬の殺処分率は3割近く~ハノーバー獣医科大学の学術調査(2014年)
*3、
~
・ティアハイムというビジネスモデル~日本で喧伝されている「ティアハイムは収容した動物を終生飼育する」の真実
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