東京都「動物相談愛護センター」を「ティアハイム」的施設に転換せよという荒唐無稽~TOKYOZEROキャンペーン


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「東京オリンピックまで殺処分ゼロを達成させる」ことを趣旨とする、TOKYOZEROキャンペーンという団体があります。この団体のHPを拝見しても、根拠のない嘘・誤り・捏造の羅列がほとんどです。また、その根拠となる資料などの提示はほぼありません。この団体はまた、「東京で犬猫殺処分ゼロを達成するために」、東京都「動物相談愛護センターを、ドイツのティアハイム的施設に転換せよ」と主張しています。その嘘と矛盾点について論じます。
このTOKYOZEROキャンペーンがHPで記述していること、すなわち「①日本はペットの大量生産大量販売を行っている特異な国である」「②ペットの大量生産大量販売が原因となり、日本では際立って犬猫の殺処分が多い」「③日本は不要ペットの再譲渡が遅れている。それも殺処分が多い原因である」としています。しかしこれらに関しては、同団体は、いずれも対象となる国(ドイツやアメリカなど)の公的統計や法規などの根拠を一切示していません。私は既に何度も、これら①②③は、正反対の大嘘であることを述べてきました(*1、*2、*3、*4)。
TOKYOZEROキャンペーンは、「③日本は不要ペットの再譲渡が遅れている。それも殺処分が多い原因である」の対策として、東京都「動物相談愛護センターをティアハイム的施設に転換する」ことを主張しています。今回はその問題点について述べます。
TOKYOZEROキャンペーンは、TOKYOZEROとはで、次のように記述しています。
捨てられた犬猫のために「動物愛護センター」を「ティアハイム」的施設に転換するように促す。
私たちは、捨てられた犬や猫の福祉向上のために「動物愛護センター」を「ティアハイム」的施設に転換するよう促す必要があると考えています。
施設は多くの場合「動物愛護センター」などと呼ばれ、捨て犬、捨て猫の「受け皿」となっています。
ところがこれらの施設は、名称とは真逆の「動物殺処分センター」になっています。
一方で動物福祉先進国・ドイツには、動物保護施設「ティアハイム」が存在します。
そこでは日本のような殺処分は行われていません。
東京の「動物愛護相談センター」を、そして全国の「動物愛護センター」を、抑留して殺処分するための施設から、ドイツの「ティアハイム」のような保護して譲渡するための施設に転換していくことが必要だと、私たちは考えています。
つまり、東京都「動物相談愛護センター」に引き取られた犬猫をティアハイムのように殺処分ゼロにして譲渡すれば、殺処分はゼロになるとの主張です。しかしTOKYOZEROキャンペーンが前提としているドイツのティアハイムの情報が、根底から誤っているのです。
まずティアハイムは民間の営利団体です。法人税も日本の消費税に相当する付加価値税(VAT)も課税されています。非営利団体であれば、ドイツでもこれらは非課税です。
不要ペットの引取り料金、引き取ったペットの再販売価格、老犬老猫ホーム事業(これが「終生飼育」のからくり)、葬祭事業などの営利事業における販売・サービスの価格はかなり高額です。多くの施設は、行政からの犬猫などの引取りを受託せず、私的引受けしか行っていません。私的引受においては、引取りを拒否することは多々あります。そのペットが再販売の見込みがない場合は、引き取りを拒否することが多いのです。また引取り料金はかなり高額(おおむねワクチン接種済み犬で250ユーロ前後)ですので、不要ペットの引取りをティアハイムに依頼しない飼い主も多いのです。公的機関の東京都「動物相談愛護センター」が、動物愛護管理法35条3項に基づく引取りを拒否できない、さらに無料もしくは安価に引き取りを行っているのとは決定的な差があります。
殺処分率においては、公的機関であり所有者不明犬猫の引取りを拒否できない、また飼い主引き取りにおいては原則引き取りをしなければならない東京都「動物相談愛護センター」と、民間の営利団体で引取り拒否できるティアハイムとを同列に比較することはできません。引取り拒否ができ、有償譲渡できるペットを選別するティアハイムの方が殺処分率が低くなって当然です。
さらに、TOKYOZEROキャンペーンが「ティアハイムは殺処分ゼロ」としていますが、誤りです。ティアハイムは一定数の殺処分を行っています。2014年の、ハノーファー獣医科大学の学術調査(*7)では、行政から受託した犬に限っても、3割近くの殺処分率でした(日本の「愛護センター」の統計に倣い、施設内死亡を殺処分数に加えれば、さらにその比率は高まります)。
TOKYOZEROキャンペーンが東京都「動物相談愛護センター」を、「ティアハイムのような殺処分を行わない(実際は相当数が行われている)、保護して譲渡するための施設に転換していく」という主張ですが、具体的にはどのようにそのような施設に転換するのか見えてきません。
まず引取り拒否ですが、動物愛護管理法35条3項がある限り、所有者不明犬猫の引取り拒否はできません。実際問題法改正は無理でしょう。所有者不明犬猫の引取りを拒否し、飼い主からの引受においては選別をするのがティアハイムです。では、ドイツではティアハイムが引き取らなかった犬猫はどうなるのでしょうか。多くは飼い主が私的に獣医師に依頼して安楽死処置を行います。もしくは捨てます。捨てられた犬猫は野良犬野良猫となります。ドイツで捨てられるペットは推計値で50万頭としている資料があります。そのように捨てられた犬猫の多くは狩猟駆除されます。ドイツでは、人の占有下にない犬猫は通年狩猟駆除の対象だからです。ドイツでは年間犬6万5000頭、猫40万匹が狩猟駆除されているとの推計値があります(*5)。もしくは街中を徘徊して警察官に射殺される犬もいるでしょう。ドイツでは、連邦警察統計で、警察官が射殺する犬などの数は9000頭前後で推移しています(*6)。ドイツでは、狩猟駆除と警察官による射殺が公的殺処分の代わりをになっているのです。その他にも飼い主が行う獣医師に依頼する安楽死があります。それと禁止犬種や咬傷事故を起こした犬、行動が危険な犬などの公的な強制殺処分も相当数あります。例えばヘッセン州では犬の公的殺処分が人口比で東京都の6倍です。それらによるドイツの殺処分の実数は、人口比で日本の6倍以上になるのです。
日本では、犬猫の狩猟駆除はまず行われません。犬猫を狩猟駆除する習慣がないことと、猟期が短く狩猟可能区域が限られていること、ハンターの人口が少ないなどの理由です。また警察官が犬などを射殺するのも、極めて例外的にしか行われません。
ドイツのように、犬猫の狩猟駆除の習慣がない、警察官に通常の職務で犬などを射殺する権限を与えていない日本では、犬猫を収容する施設が引取り拒否を行えば、野犬の増大を招きます。これは野犬による咬傷事故の増大などの問題を引き起こします。また、「動物愛護相談センター」が所有者不明犬猫の引取りを拒否できることを可能にするには、動物愛護管理法の改正が必要です。ですから公的機関の東京都「動物相談愛護センター」を、引取り選別可能な「ティアハイム的施設」に転換することは不可能です。
ティアハイムが引き取った犬猫が再譲渡できなくて収容期間が長期になった場合は、事実上、殺処分が行われています。また収容した犬が病気だった、攻撃性があったなどの問題があれば、それも殺処分されます(*7)。TOKYOZEROキャンペーンが「殺処分が行われていない」としているのは誤りです。
飼い主が飼育委託する、老犬老猫ホーム事業においては、飼い主が飼育料を払い続ける限り、犬猫は終生飼育されます。ティアハイムの老犬老猫ホームの飼育委託料金はかなり高額で、犬の料金は一日当たり12ユーロ程度です(これが日本で言われているティアハイムの「終生飼育」のからくりです)。公的機関が、完全な営利事業である老猫老犬ホームを経営することは経営リスクを負うことになり、好ましいとは言えないのではないでしょうか。また所有者不明犬猫の飼育料をどこがどのように負担するかもTOKYOZEROキャンペーンは示していません。
少し長くなりましたので、続きを次回記事に書きます。次回記事では、東京都「動物相談愛護センター」を、「ドイツの『ティアハイム』のような保護して譲渡するための施設に転換していく」ことの矛盾点について述べます(続く)。
(画像)
TOKYOZEROキャンペーンの主張、「①日本はペットの大量生産大量販売を行っている特異な国である」「②ペットの大量生産大量販売が原因となり、日本では際立って犬猫の殺処分が多い」「③日本は不要ペットの再譲渡が遅れている。それも殺処分が多い原因である」をイラストで図式化した、あなたに出会うまでの、7つのお話。①②③の根拠となる、公的統計やドイツ、アメリカの資料などはただの一つも示していません。
真実は、以下のとおりです。
・日本 犬と猫の年間合計商業生産数 2001年環境省調査 人口1万人当たり 7.7頭
・ドイツ 犬のみ 年間合計商業生産数 2014年ゲッティンゲン大学論文 人口1万人当たり 38.3頭~40.7頭
・アメリカ合衆国 犬のみ 年間合計商業生産数 調査年不明 ウィキペディアから 人口1万人当たり 64.4頭
TOKYOZEROキャンペーンは、「日本の犬などの大量生産・大量販売は特異であり、(ドイツ、アメリカなどの)海外先進国ではない」という、正反対の大嘘にはあきれ果てます。
アメリカ合衆国の犬ブリーダーの1事業者当たり年間生産規模は約200頭です。
対して日本では、2001年の環境省調査によれば、犬の商業的繁殖業者の1事業者あたり年間生産数は、平均で70.6頭です。
つまり、TOKYOZEROキャンペーンの、主張は正反対の大嘘。よくもまあ、これだけ正反対も正反対の大嘘を堂々と公にできるものだとその厚顔無恥(知)ぶりにはあきれ果てます。
特定非営利活動団体の認証を受けていないにもかかわらず、「特定非営利活動法人」を堂々と詐称して寄付金募集詐欺をしていた団体ですから、犯罪にならない嘘など朝飯前でしょう(苦笑)。

(画像)
年次報告書を公表しているティアハイムの一例。tierheim-altentreptow「ティアハイム・アルテントレプトゥ」のHPに掲載されている年次報告書から。
2014年には、犬猫総収容数140に対して、殺処分(Euthanasien)が34頭、施設内死(verstorben)が15頭でした。総収容数に占める殺処分+施設内死の割合は35%です(日本の自治体の殺処分数の計算方法に基づく)。概ね年次報告書を出しているティアハイムとしては、平均的な数値だと思います。

*1、「ドイツでは、日本のような犬の大量生産・大量販売はビジネスとして成り立ちません」という、TOKYOZEROキャンペーンの大嘘~ドイツはペットの商業的大量生産・大量販売が進んだ国である
~
TOKYOZEROキャンペーンは、ドイツとアメリカを日本と比較し、「日本の生体販売は、きわめて特異的に発展しています。大量販売を前提とした大量生産、その間を取り持つペットオークション、そして売れ残りや繁殖能力が衰えた親を大量遺棄することで成り立っているビジネスなのです」と記述しています。
しかしドイツと日本の犬などの営利生産の統計など根拠となるものは一切示してません。
実際は、ドイツははるかに日本より、犬の商業営利生産数が多く人口比で約4倍です。
つまり、TOKYOZEROキャンペーンの、「日本の生体販売は、きわめて特異的に発展しています。大量販売を前提とした大量生産~」は、根拠のない大嘘。
*2、まとめ 「日本の犬などの大量生産・大量販売は特異であり、(ドイツ、アメリカなどの)海外先進国ではない」という、TOKYOZEROキャンペーンの大嘘~日本は先進国の中では、犬の大規模商業生産・販売が極度に遅れた国である
~
・日本 犬と猫の年間合計商業生産数 2001年環境省調査 人口1万人当たり 7.7頭
・ドイツ 犬のみ 年間合計商業生産数 2014年ゲッティンゲン大学論文 人口1万人当たり 38.3頭~40.7頭
・アメリカ合衆国 犬のみ 年間合計商業生産数 調査年不明 ウィキペディアから 人口1万人当たり 64.4頭
TOKYOZEROキャンペーンは、「日本の犬などの大量生産・大量販売は特異であり、(ドイツ、アメリカなどの)海外先進国ではない」という、正反対の大嘘にはあきれ果てます。
アメリカ合衆国の犬ブリーダーの1事業者当たり年間生産規模は約200頭です。
対して日本では、2001年の環境省調査https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/rep_h1503/03.pdfによれば、犬の商業的繁殖業者の1事業者あたり年間生産数は、平均で70.6頭です。
つまり、日本は、はるかにドイツ、アメリカ合衆国に比較して、犬の大量生産・大量販売に遅れています。
*3、日本は保護犬譲渡が多い国~東京都の保護犬譲渡シェアはドイツのティアハイムと同程度
~
東京都の保護犬譲渡率は、ドイツのティアハイムの譲渡率とほぼ同じです。
つまり、TOKYOZEROキャンペーンの「日本は不要ペットの再譲渡が遅れている。それも殺処分が多い原因である」は大嘘。
*4、日本は保護犬譲渡が多い国~日本の保健所+保護団体による犬の譲渡割合はスイスより多い
~
保護犬が占める日本の犬の入手割合は6.3%。対してスイスは2%程度と推測されます。
つまりスイスに比較して日本ははるかに犬の入手に占める保護犬の割合が高く、TOKYOZEROキャンペーンの「日本は不要ペットの再譲渡が遅れている。それも殺処分が多い原因である」は大嘘。
*5、ドイツでの猫駆除事情
~
40万匹の猫と6万5千頭の犬が、毎年、ハンターによって殺されていると推定されます。
*6、Gefährlich, krank oder verletztPolizei erschießt 25 Tiere pro Tag「危険防止、病気、怪我を理由に、警察官は一日あたり25頭の動物を射殺する。
~
Die Polizei in Deutschland hat im vergangenen Jahr in 9336 Fällen Tiere erschossen.
ドイツの警察官は、1年間で9336例の(犬などの)動物を射殺しました。
*7、ドイツのティアハイムの犬の殺処分率は3割近く~ハノーバー獣医科大学の学術調査(2014年)
~
TOKYOZEROキャンペーンが主張する、「ドイツのティアハイムは殺処分ゼロ」は、全く根拠を示していませんし、大嘘です。
またティアハイムは引受拒否(売り物にならない不要ペットは引受を拒否する場合が多い)をしています。
原則引取り拒否ができない公的な東京都「動物愛護相談センター」と、同列に殺処分率を比較することはできません。
ティアハイムは殺処分率の計算においては、東京都「動物愛護相談センター」とは異なり、分母があらかじめ減らされているからです。
引き取るペットを選別している割には、私はティアハイムは殺処分率はむしろ高いと思います。
東京都に限れば、2008年に既に犬では「返還・譲渡率」が81.5%となっており(=殺処分率18.5%)、ドイツのティアハイムの平均殺処分率をはるかに下回っています。
つまりTOKYOZEROキャンペーンの、「東京都は殺処分ゼロのドイツを見習え」は、まさに噴飯ものの大嘘です。
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