続・やはり「京都市餌やり禁止条例」は「ザル法」だった


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記事、
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の続きです。これらの記事では、京都市餌やり禁止条例(正式名称: 京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例)が、「ⅰ実効性に対する疑念がある」および、「ⅱ運用面での矛盾」があることを指摘しました。やはり本条例は、設計においては抜け穴だらけで、実際に効力が無いに等しいザル法」でした。
京都市では、まさに「京都市餌やり禁止条例(以下、この記述を用いる)」(正式名称: 京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例、により改善勧告~改善勧告に従わない~過料に処すべき事例が数多くあります。しかし改善勧告にもしたがわず、当然過料5万円を科すべき事例も多くありますが、今のところ過料の処分に至った例は無いようです。狂信的とも言える、動物愛護(誤)の弁護士活動グループの圧力により、改善勧告すら出せず、「不適切な餌やり」が強行され、周辺住民が猫被害を受けるがままという事例すらあります。
明らかに迷惑な、現に被害を及ぼしている、そしてなによりも「周辺住民の理解が得られていない」、すなわち「京都市餌やり禁止条例」による、「基準」(京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例第9条第2項の 規定に基づく適切な給餌の方法に関し市民等が遵守すべき基準 (平成27年4月1日京都市告示第32号))を満たしていない、本条例に違反する餌やり行為をやめさせることもできず、横行し続けているのです。まさに「京都市餌やり禁止条例」は、「ザル法」です。
上記の事例についての、弁護士グループによる、京都府警本部及び西京警察署に対する申し入れ書があります。申 入 書 申 入 人 弁 護 士 植 田 勝 博。2016年7月20日。
(事件の概要)
1、佐川夫妻は、京都市地蔵院敷地内で野良猫に給餌をしている。
2、野良猫への給餌行為は地蔵院は許可しているが、周辺住民は同意していない(本「申入書」以外の情報による)。
3、地蔵院に隣接する駐車場に駐車している、近隣住民X氏が所有するベンツ2台に、猫による50万円相当の傷をつけられた。
4、給餌者、佐川夫妻にX氏が車の被害言い、野良猫への給餌を止めるよう抗議し、X氏は警察を呼んだ。
5、警察官は佐川夫妻に「地域が認めないと餌やりはできない。餌やりをやめるように」と言った。
6、その他。
(弁護士の主張)
1、野良猫への給餌は、基本的に自由であり、人権に基づく。
2、従って周辺住民の同意は必要ない。
3、野良猫は無主物である(所有者がない)ため、餌やり行為者には管理責任はない。
4、野良猫の給餌者には管理責任がないため、野良猫が及ぼした損害賠償責任は給餌者にはない。
5、野良猫の餌やりは公益活動であり、具体的な環境被害が発生しない限り、規制されるものではない。
(弁護士の申入)
1、X氏の、餌やり行為者、佐川夫妻らの餌やりに対する停止抗議などは、動物愛護管理法に反する違法行為である。警察はX氏の行為に対して、動物愛護管理法違反として対処せよ。
上記の申入書によれば、以下の事実が伺えます。
1、地蔵院敷地内の餌やりは、周辺住民の同意を得ていない(「自治会長が餌やりをやめるように抗議している」、などの記述)。
2、餌やりが原因であるとの因果関係が明らかである、周辺住民に既に被害が生じている(猫による車の毀損が55万円である)。
3、周辺住民が市に対して、餌やりによる被害を訴え、停止を求めている。
それはすなわち、「京都市餌やり禁止条例」( 京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例)、および京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例第9条第2項の 規定に基づく適切な給餌の方法に関し市民等が遵守すべき基準 (平成27年4月1日京都市告示第32号)、に定める、行ってはならない「不適切な餌やり」の条件を満たしています。
行って良い「適切な餌やり」の条件は、上記の条例及び告示により、告知の基準を満たしていない給餌に関しては、例外的に①②③の条件を満たせば、給餌を許可するとしているからです。地蔵院の給餌は、告示の「2(2)給餌者は周辺住民から,正当な方法により求められたときは,活動の内容及び状況並びに周辺住民の生活環境への支障の防止等を求められたときは、これに誠実に対処すること」を満たしていません。さらに例外的に給餌が認められる、「①周辺の住民の理解の下に行われているものと認められるもの、②又は基準外の給餌方法によることが周辺住民の生活環境に支障を生じさせることを防止する上で合理的であり、③若しくは支障を生じさせるおそれがないと認められるもの」のいずれも満たしていません。
本件地蔵院の餌やりは、告示の基準を満たしていません(乗用車に被害を受けているX氏が、車体カバーを求めたところ、餌やり行為者は拒否しています)。つまり、本件地蔵院の餌やりは、「京都市餌やり禁止条例」等により、京都市は餌やり行為者に対して餌やり行為による被害防止を勧告しなければなりません。改善がなければ過料5万円を科さなければならないのです。
しかし、本件地蔵院の餌やりにおいては、京都市から餌やり行為者に対して改善勧告が未だになされた形跡がありません。法曹家によるものとは到底思えない、法解釈上支離滅裂で荒唐無稽な申入が市に対しても行われたのでしょうか。「京都市餌やり禁止条例」において、「行為があれば罰する」とあれば、このような法曹家とは思えない屁理屈に配慮することはないのですが。まさに、「京都市餌やり禁止条例」は「ザル法」でした。
(動画)
THEペット法塾 動物法交流会 (H26.11.01)。「野良猫は全て地域猫である」。相変わらず法曹家とは思えない、支離滅裂で荒唐無稽な法解釈(崩壊釈)を炸裂させています。今回取り上げた、THEペット法塾の「申入書」の矛盾点については、地方裁判所の判決や学説に基づき指摘します。このようなシロモノを出せば、警察官からもあざわらわれるでしょうが。見ているこちらの方が赤面します。
(追記)
読者様よりご指摘のコメントをいただきましたので、本文の若干の訂正を行いました。
条例及び告示では、告示の2~9までに適合していることが基本的な条件であり、例外的な条件として
(1)2~9に合致していないが住民の理解の下に行われているもの
(2)2~9に合致していないが支障を防止するうえで合理的又は生じさせるおそれが
ないもの
とされています。
そのうえで、今回の餌やりが2~9に合致していたかですが、公開されている内容から伺える範囲では、「2(3)~支障の防止等を求められたときは、これに誠実に対処すること。」 あたりが該当する可能性があると思います。
しかし、誠実に対処していない、という客観性の低いことを行政が事実認定するのはハードルが高く、実効性が低いと考えます。
条例と基準は、餌そのものの不衛生や糞尿に焦点をあてていて、民事で被害認定されている「餌やりにより野良猫が集まり定着することによる被害」についての措置が不十分であると思います。
いっそのこと、条例第9条第2項に基づく基準を適用するのではなく、条例第9条第1項の包括的な文言を適用するくらいの運用が必要だと思います。(曖昧な規定で違法だ、といつもの弁護士が批判してくる可能性は高いですが、実際に世の中には曖昧な規定で処分をしている事例もあるにはあります。)
・ 京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例
抜粋
第1章 総則
(定義)
第2条
(1)所有者等 動物の所有者又は占有者を言う。
(3)飼い猫 所有者等が所有し,又は占有する猫を言う。
(4)野良猫 飼い猫以外の猫を言う。
(所有者等の責務)
第3条
4 猫の所有者等は,飼い猫が自宅等以外の場所に侵入することにより人に迷惑を及ぼすことを防止する観点から,飼い猫を屋内において飼養し,及び保管するよう努めなければならない。
(本市の責務)
第4条 本市は,次に掲げる責務を有する。
(3)野良猫に対する適切な給餌(給水を含む。以下同じ。)に係る活動を支援すること。
第2章 動物の適正な取扱い
(不適切な給餌の禁止等)
第9条 市民等は,所有者等のない動物に対して給餌を行うときは,適切な方法により行うこととし,周辺の住民の生活環境に悪影響を及ぼすような給餌を行ってはならない。
2 市長は,前項の動物に対する給餌について,必要があると認めるときは,適切な給餌の方法に関し市民等が遵守すべき基準を定めることができる。
(勧告及び命令)
第10条 市長は,前条第1項の規定に違反し,又は同条第2項に規定する基準に従わずに行われている給餌に起因して周辺の住民の生活環境に支障が生じていると認めるときは,当該支障を生じさせている者に対し,必要な措置を採ることを勧告することができる。
2 市長は,前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に係る措置を採らなかったときは,その者に対し,相当の期限を定めて,その勧告に係る措置を採ることを命じることができる。
第3章 雑則
(過料)
第14条 次の各号のいずれかに該当する者は,50,000円以下の過料に処する。
(1)第10条第2項の規定による命令に違反した者
・京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例第9条第2項の 規定に基づく適切な給餌の方法に関し市民等が遵守すべき基準 (平成27年4月1日京都市告示第32号)
1、適用範囲
この基準は、条例第2条第号に規定する野良猫(以下、「猫」という。)に対し、継続的にまたは反復して給餌(給水を含む。以下同じ)を行うものに適用する。
ただしこの基準に定める方法によらない給餌(以下、「基準外の給餌方法」という。)であっても、基準外の給餌ほ法によることについて、給餌を行う場所(以下、「給餌場所」という。)の周辺の住民(以下、「周辺住民」という。)の理解の下に行われているものと認められるもの又は基準外の給餌方法によることが周辺住民の生活環境に支障を生じさせることを防止する上で合理的であり若しくは支障を生じさせるおそれがないと認められるものにあっては、この限りではない。
・京都市まちねこ活動支援要綱 (平成27年7月8日制定 保健福祉局長決定)、としています(いわゆる「京都市まちねこ活動」)抜粋。
(まちねこ活動)
第2条 野良猫を地域住民が,その合意と協力の下,「京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例第9条第2項の規定に基づく適切な給餌の方法に関し市民等が遵守すべき基準」を基本として自ら定めたルールに基づいて適切に管理する活動で,次に掲げる要件を満たすもの(ただし,第5条第2項による登録を受けたものに限る。)を「まちねこ活動」とする。
⑴ 活動を行うことについて,町内会等(自治会,町内会その他の地域住民が組織する団体をいう。以下同じ。)の合意が得られているものであること。
⑵ 活動は,同一世帯員ではない地域住民2人以上(ただし,その管理する野良猫が10頭以上の場合にあっては3人以上)による団体を構成して行うものであること。
⑶ 活動を行う区域(以下「活動区域」という。)にいる野良猫の状況を把握していること。
(活動の登録)
第5条 まちねこ活動を行おうとする団体は,「まちねこ活動登録届出書」(第1号様式)に,町内会等の承諾書及び次に掲げる事項を示した周辺地図を添えて,活動区域を所管する保健センター長(以下「所轄保健センター長」という。)に提出するものとする。
2 前項の届出書を受理した保健センター長は,届出の内容について,次の確認をしたうえで,適切と認めるものについて,活動を登録する。
⑴ 町内会等の長に対する合意形成の確認
⑵ 現地調査による野良猫の適切な管理活動が可能であることの確認
(不適切な給餌の禁止等)
第9条 市民等は,所有者等のない動物に対して給餌を行うときは,適切な方法により行うこととし,周辺の住民の生活環境に悪影響を及ぼすような給餌を行ってはならない。
2 市長は,前項の動物に対する給餌について,必要があると認めるときは,適切な給餌の方法に関し市民等が遵守すべき基準を定めることができる。
・Model Laws Feral Cats: Regulation of free-roaming cats
Microchip means, for the purpose of this ordinance, to implant an EAID (electronic animal identification device) in an animal.
TNR Program means a program pursuant to which feral and stray cats are trapped, neutered or spayed, micro-chipped, vaccinated against rabies, and returned to the location where they congregate, in accordance with this ordinance.
この条例(TNR条例)の目的のための手段として、マイクロチップ=動物の体内にEAID(電子動物識別装置)を注入します。
条例に従えば、TNRプログラムとは、ノネコと野良猫が捕獲された後に、去勢、不妊手術、マイクロチップの施術、狂犬病の予防接種を受け、元の野良猫が集まる場所に戻されることを意味します。
・http://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000195760.html
~
保健センターには,今年度,1月末現在,野良猫への給餌に関して,243地域の苦情が寄せられている。
171地域で延べ399回の現場等調査を行った。
給餌者が不明なものなどを除く,137地域で延べ210回の指導を実施している。
その結果,指導実施地域の約4分の1に当たる33地域で,指導に従い,不適切な給餌をやめたり,給餌方法を是正したりするなどの改善が見られ始めており,
今年3月時点では、過料に処した事例は皆無である。
137地域での「不適切な給餌」の指導を実施したが、改善が見られ始めているのはわずか33地域(24%)にしか過ぎない。
その他、37地域では、給餌者が不明なために指導が不可能であった。指導不可能な地域も含めて母数として計算すれば、指導により不適切な給餌の改善が見られ始めているのはわずか19%である。
また「不適切な給餌が改善」したわけではなく、「改善が見られ始めている」に過ぎない。
つまり「京都市餌やり禁止条例」は、野良猫の給餌による被害の抑制効果は全くなかったといっても過言ではない。
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