懲りない赤恥大嘘番組「ワンだランド」~「スイスでは犬はティアハイムかブリーダーからしか買えない」という狂った報道


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(Zusammenfassung)
STS-REPORT
Gemäss der ANIS-Hundedatenbank leben in der Schweiz derzeit 540 000 Hunde in 12 % der Haus-halte und jeder zweite Hund kommt aus dem Ausland.
Seit 2011 gibt es jährlich etwa 50 000 Hunde-Neuregistrierungen, wobei mittlerweile nur mehr knapp die Hälfte aus der Schweiz stammt.
Von den knapp 25 000 aus der Schweiz stammenden Hunden kommen ca. 2000 aus Tierheimen.
ABC朝日放送のTV番組、「ペットの王国 ワンだランド」が報じる海外動物愛護情報は、ほぼすべてが嘘、誤り、偏向です。昨年12月に「スイス特集」として3回放送されました。既に第1回放送の、「世界一のペット先進国スイスへ スイス流 秘 しつけ」で報じられた、「スイスでは犬はノーリード(これは和製英語で通じませんが)でも良い」が荒唐無稽の大嘘であることは書きました。第2回放送で報じられた「1、スイスは殺処分ゼロ」、「2、スイスのブリーダーは大変難しい国家資格がいる」、「3、スイスで犬を入手する人はティアハイムとブリーダーからしか買えない」なども全くの嘘、誤り、偏向です。今回は、3、に関して、スイスのティアハイムの実情について述べます。
ABC朝日放送 「ペットの王国 ワンだランド」の、「スイス特集~第2回。ペットの王国 ワンだランド スイスが殺処分ゼロを実現できた秘密、ティアハイムへ」(2016年12月18日放送、及び「スイス特集~第3回。【海外の反応】日本のペット生体販売&殺処分に世界がドン引き・・・」(2016年12月25日放送)で述べられた、スイスのティアハイムに関する報道は次のとおりです。
1、スイスのティアハイムでは、「殺処分ゼロ」である。
2、飼い主が飼えなくなった動物をティアハイムが引き取っているために、スイスは「殺処分ゼロ」を実現できた。
3、スイスでは、犬などのペットを入手するのはティアハイムかブリーダー(本番組ではスイス国内の良質なブリーダーとしている)からしか買えない。
4、スイスのブリーダーは、大変難しい国家資格が必要である。
「1、スイスのティアハイムでは、『殺処分ゼロ』である」ですが、*1、スイスのティアハイムは一定数の殺処分を行っていることを述べました。また*2、スイスは多くの殺処分制度が有り、殺処分の実数では、人口比で日本の数十倍になるとことも述べました。
今回記事では、「2、飼い主が飼えなくなった動物をティアハイムが引き取っているために、スイスは『殺処分ゼロ』を実現できた」、と、「3、スイスでは、犬などのペットは、ティアハイムかブリーダー(スイス国の良質なブリーダー)からしか買えない」が、まさに狂気の大嘘、誤りであることを述べます。
まず「2、飼い主が飼えなくなったペットをティアハイムが引き取っているために、スイスは『殺処分ゼロ』を実現できた」についてです。スイスでは多くの犬猫の殺処分があることは既に記事にしていますから、今回はスイスの殺処分が実数では人口比で日本の数十倍になることは割愛します。今回は、ティアハイムの不要ペット引受数についてみてみます。
スイスのティアハイムに関しては、動物種別別引受数、一般譲渡数(販売数)、殺処分数などの、詳細な統計資料が発表されています。また、スイスにおける新規の犬登録数は年間約5万頭とされています。それらの資料から引用します。
・スイス動物保護協会(SCHWEIZER TIERSCHUTZ STS)は、詳細な犬猫などのペットに関する調査・統計を発表しています。2016年発表の、STS-REPORTでは、主に犬ですが、違法なペット取引についての詳細な調査報告を行っています。
Gemäss der ANIS-Hundedatenbank leben in der Schweiz derzeit 540 000 Hunde in 12 % der Haus-halte und jeder zweite Hund kommt aus dem Ausland.
Seit 2011 gibt es jährlich etwa 50 000 Hunde-Neuregistrierungen, wobei mittlerweile nur mehr knapp die Hälfte aus der Schweiz stammt.
Von den knapp 25 000 aus der Schweiz stammenden Hunden kommen ca. 2000 aus Tierheimen.
Die Welpen und Junghunde werden vielfach in Privatautos aus osteuropäischen Ländern, in denen die urbane Tollwut verbreitet ist.
Der unkontrollierte Handel mit solchen Tieren stellt deshalb ein beträchtliches Risiko dar.
Angaben in Dokumenten und Ausweisen, oftmals auch ohne Kennzeichnung (Mikrochip),
sowie ohne Einfuhrsteuer-Entrichtung ins Land geschmuggelt.
Das Veterinäramt Zürich registrierte 2014 pro Woche einen illegalen Import, wovon gut ein Drittel, meist Hunde oder Katzen, eingeschläfert wurde.
ANISによる犬のデータベースによると、現在スイスでは、540,000頭の犬が12%の世帯で飼われており、常に犬は外国から輸入されています。
2011年以来、毎年約50,000頭の犬の登録がありますが、現在ではスイス生産の犬は半分に過ぎません。
スイス産の犬はほぼ25,000頭ですが、そのうち2,000頭の犬がティアハイムにより譲渡されたものです。
子犬や幼齢の犬は、都市型狂犬病が一般的である東欧諸国から、自家用車で運ばれることが多いです。
したがってこのような犬などの動物の、コントロールされていない商取引は、かなりの(感染症の)リスクを孕んでいます。
多くの場合このような犬の輸入は、通関書類や犬の情報及び個体識別(マイクロチップ)、さらには輸入税の支払いもない密輸です。
チューリッヒの獣医局は2014年には、違法に輸入された主に犬猫ですが、そのうちの3分の1以上を毎週安楽死させた記録があります。
・ SCHWEIZER TIERSCHUTZ STS 「スイス 動物保護団体」による2015年の、スイスのティアハイムの統計資料、STS-REPORT 「スイス 動物保護に関する統計 2015年」。
Schweizer Tierschutz STS aus der gesamten Schweiz sowie aus dem Fürstentum Liechtenstein.
aufgenommene Tiere
davon Hunde 2015 2628 (vermittelt 1444 zurück an Besitzer 761)
davon Katzen 2015 11145 (vermittelt 7789 zurück an Besitzer 984)
Tiere euthansiert/gestorben 2015 1382
Schweizer Tierschutz STS 「スイス動物保護団体」による、スイスとリヒテンシュタイン公国の統計(*この統計値、リヒテンシュタイン公国の数値を含む。つまりスイスのみの数値はこれよりも低い)。
引受動物の総数
犬 2015年 2628頭 (うち一般譲渡 1444 飼い主返還 761)
猫 2105年 11145匹(うち一般譲渡 7789 飼い主返還 984)
安楽死(殺処分)および施設内死亡 2015年 1382
つまり上記の資料によれば、スイスの年間犬登録数は約5万頭(さらに未登録犬もある)であり、そのうちティアハイムが販売した犬はたったの2,000頭です(この2,000とうという数字は飼い主返還も含まれています。つまり再譲渡数はそれよりも少ない)。つまり「スイスでティアハイムが販売した犬の割合」は、犬入手全体のわずか4%未満に過ぎません。
さらに、SCHWEIZER TIERSCHUTZ STS Tierschutzstatistik 2015の統計を詳しく見ると、次のことがわかります。スイスとリヒテンシュタイン公国の、ティアハイムにおける犬の「一般譲渡数と飼い主返還数」の合計が2205頭となっています。おそらく、「スイスのみ」における、「一般譲渡数と飼い主返還数」が約2000頭ということだと思います。となれば、スイスにおけるティアハイムの「犬の一般譲渡数」は、1444頭よりさらに少なくなります。スイスの新規の犬登録数が年間約5万頭であるため、スイスにおけるティアハイムから犬を入手した割合は、1444/50000=2.9%となり、スイスでのティアハイムによる犬譲渡の割合は3%未満と極めて低く、統計上無視できる数値です。
さらに蛇足を言えば、犬を例に上げれば、スイス全土のティアハイム(それにリヒテンシュタイン公国も含む)の総引き受け数は2628頭にしか過ぎません。スイス全土で飼育されている犬の数が54万頭ということを考えれば、「飼えなくなった犬を全てティアハイムが引き取り、一般譲渡している」とは考えにくいのです。54万頭の飼育数に対して、2,628頭(この数はリヒテンシュタイン公国の数を含めるのでスイスだけの数はさらに低い)では、不要となった犬をすべて吸収しているとは到底思えません。
つまり「スイスでは、飼えなくなったペットを全てティアハイムが引き取るために殺処分ゼロを実現している」が嘘だということにほかなりません。先に述べた通り、スイスでは多くの殺処分制度が有り、実数では人口比で日本の数十倍は殺処分していますし、ティアハイムも殺処分を行っていますが。
では、犬を例に挙げれば、スイスでの入手方法の割合が高いのは何でしょうか。先に挙げた、「スイス動物保護協会(SCHWEIZER TIERSCHUTZ STS)は、詳細な犬猫などのペットに関する調査・統計」の記述内容を繰り返します。
・現在スイスでは、540,000頭の犬が飼われている。
・スイスでは、常に犬が外国から輸入されており、現在ではスイス生産の犬は半分に過ぎません。
・スイス産の犬はほぼ25,000頭ですが、そのうち2,000頭(わずか4%未満)の犬がティアハイムにより譲渡されたものです。
スイスでは、犬の販売を例に挙げれば、既に約半数が外国から輸入されたものです。その内訳は、極めて安い東欧産の犬がほとんどです。スイスでは、極めて安い、東欧で劣悪飼育のパピーミルで生産された子犬の輸入が急増しています。それらの犬は、スイスのペットショップでショーケース売りされることもありますが、多くの場合はインターネットによる非対面通信販売により販売されます。スイスは日本と異なり、インターネットなどによる犬などの、非対面通信販売を禁じていません。
スイスでは近年、このような東欧産の激安子犬の輸入の急増が問題視されています。動物保護に関する法整備が遅れた東欧(スロベニア、ハンガリー、ポーランドなど)の劣悪大量生産ブリーダーによる子犬生産は動物保護上問題があること、その様は子犬は健康上の問題を抱えていることが多いこと、正規の通関手続きを経ていないために狂犬病などの感染症もリスクがあること、などです。次回は、スイスにおける、東欧のパピーミル生産の子犬の輸入激増について記事にします。
「ペットの王国 ワンだランド」の、「スイスではティアハイムかブリーダーでしか犬を飼うことができない」は、まさに狂気とも言える大嘘です。スイスで購入される犬は、半数が東欧のパピーミル生産の激安子犬で、主にインターネットの非対面販売です。
(画像)
スイスの犬雑誌、Hundemagazin-Schweiz(フントマガジンースイス)の記事、Billigwelpen 「格安の子犬」から。東欧からスイスに輸入された格安の子犬がペットショップやインターネットで販売されていることが書かれています。
スイスでは、犬猫などのペットショップでのショーケース売を禁じていませんし、行われています。犬猫のペットショップのショーケース売がスイスで少ないのは、スイスは極めて犬などのインターネットによる非対面販売が発達しており、その比率が高いからです。「スイスではペットショップでの犬猫のショーケース売がない」とは、まさに「ペットの王国 ワンだランド」の報道は狂気。

(画像)
スイスの犬インターネット販売のサイト、TtierInserate。スイスでは、日本と異なり、非対面のインターネットなどによる犬などの通信販売を禁じていません。極めて盛んに行われており、現在では既に東欧などの安い子犬のインターネット販売が、犬入手シェアの半数を占めています。
今回は激安子犬は見つかりませんでしたが、時には200スイスフラン(2万円台~)の子犬の出品も見つかります。安い子犬は、多くは東欧産で、多くはスイス人の名義を借りて出品されています。

(動画)
スイスの巨大生体販売ペットショップのプロモーションビデオ。「ペットの王国 ワンだランド」では、「スイスでは生体販売ペットショップはない」と堂々と報じていましたが、まさに狂気です。スイスでは生体販売ペットショップを禁じる法律はありませんし、普通に存在します。
(動画)
ABC朝日放送「ワンだランド」スイス特集~第2回。ペットの王国 ワンだランド スイスが殺処分ゼロを実現できた秘密、ティアハイムへ 2016年12月18日 。スイスの犬猫の引受数は極めて少ないです。その規模からして、余剰ペットをもれなく吸収出来るとは思えません。また殺処分も行っていますし、犬の入手シェアに占めるティアハイムの譲渡は、統計上無視できるほどごくわずか(3%未満。日本の保健所+保護施設の譲渡の割合の半数にも満たない)です。まさに本番組は、狂った嘘番組。
(動画)
ABC朝日放送「ワンだランド」スイス特集~第3回。【海外の反応】日本のペット生体販売&殺処分に世界がドン引き・・・。2016/12/25 に公開。
スイスでは、日本では全面的に禁止されているインターネットなどによる犬などの生体販売が極めて盛んに行われて、それがメジャーな犬の販売方法です。ティアハイムからの購入は、統計上無視できるぐらいの少なさです。また、日本より、スイスの方が犬猫の殺処分に関しては厳格におこなっています。まさに本番組は狂気のヤラセ、見ている方が思わず目を覆いたくなります。
*1、「スイスでは逃走した、または飼い主不明の浮遊犬などは、行政が射殺する権限が有り、一定数あります」については、こちらの記事で取り上げています。
~
・懲りない赤恥大嘘番組「ワンだランド」スイス編~スイスではリードから犬を放して遁走させた場合は、警察官などにより射殺されます
*2、「猫に関しては、スイス連邦狩猟法で狩猟対象であり、民間人により射殺などされて駆除される猫の数は約10万匹と推定されています(その数は日本の猫の公的殺処分数の約23倍です)」については、こちらで記事にしています。
~
・スイスは日本の約23倍の数の猫を殺処分している!(スイスの狩猟駆除数は年間10万匹で、人口比で日本の公的殺処分の約23倍)
・「スイスでは殺処分ゼロ」と言う、痛すぎる赤恥大嘘ブログ 猫編ー1
(資料)
なお、スイスの犬猫の殺処分制度に関しては、過去にこのような記事を書いています。併せてお読みくださればありがたく存じます。
・「スイスでは殺処分ゼロ」と言う、痛すぎる赤恥大嘘ブログー1
・「スイスでは殺処分ゼロ」と言う、痛すぎる赤恥大嘘ブログー2
・「スイスでは殺処分ゼロ」と言う、痛すぎる赤恥大嘘ブログー3
・「スイスでは殺処分ゼロ」と言う、痛すぎる赤恥大嘘ブログー4
・「スイスでは殺処分ゼロ」と言う、痛すぎる赤恥大嘘ブログ 猫編ー1
・「スイスでは殺処分ゼロ」と言う、痛すぎる赤恥大嘘ブログ 猫編ー2
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