続・日本の犬は「モノ」である。だから殺処分できない


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(Domestic/inländisch)
前回記事、日本の犬は「モノ」である。だから殺処分できない、の続きです。日本では犬などの動物はあくまでも「モノ」=私有財産権が及ぶ財物、であり、「モノ(=財物)」であることを制限するとの民法の規定も、特別法もありません。ですから例え死亡咬傷事故を起こした犬であっても、行政が強制的に押収して殺処分する法的根拠がありません(もちろん飼い主=所有者、が任意で保健所に届ければ所有権が保健所に移り、保健所は殺処分できます)。明確な法的根拠がないために、咬傷犬の扱いにおいてはトラブルも発生します。
高知県小動物管理センターを変えよう!。2016年5月16日。
今年の3月に、高知県東洋町で四国犬1頭が子供3人に噛み付き、一人に10針縫うけがを負わせました。被害者の子供の両親は犬の殺処分を求めました。犬の飼い主はそれに同意し、犬を高知県小動物管理センター(犬猫引取り施設)に引き渡しました。
しかし愛護(誤)活動家らが、その犬の殺処分に反対し、「殺処分をやめろ」と言う、署名活動などを始めました。そして高知県小動物管理センターが引き取った犬を引き取ると申し出る人が現れました。保健所は一旦は殺処分を決定したものの、一旦は停止しています。Face Bookのコメントによれば、5月23日までは殺処分はされていないようですが、それ以降は不明です。現在は保健所(高知県小動物収容センター)に収容されている状態なのでしょうか。高知県小動物管理センターを変えよう!。2016年5月16日、より引用します。
東洋町の咬傷犬
保護期限 5/16(月)まで
5/17(火)殺処分!
※現在条件を満たす引き受け先が決まってません
この子は子供を噛み10針くらいの怪我を負わせその加害者の親が殺してくれといい、(高知県小動物管理センターが)それを承諾した飼い主から引き取ってるということ。
だから再度同じことが起きるかもしれないし、加害者がわの心情を考え譲渡する可能性は全くない。
100%殺処分という強行に出た。
俺は何度も安芸保健所や県と話したが、どんなにこちらから管理や飼い方などまた施設に入れるなどトレーナーにお願いしたりとかの提案を出しても頑として100%殺処分は譲らなかった。
そして最終手段として県知事へのメールをFacebookで呼びかけたくさんの方がメールを送ってくれた。
その結果、100%殺処分では無く条件付きで間口は狭いが譲渡の道は開けた。
その譲渡条件が
1. 高知県内の方(東洋町は避けてほしいとのこと)
2. 飼養施設を頑丈な檻にし逃げないよう鍵をかけてもらうこと
3. 有資格者(トレーナー等)に飼い方のトレーニング受けながら飼養してもらうこと
以上を証明できる方
となった。
譲渡条件をクリア出来る県内の方がいれば連絡ください。
日本での咬傷事故を起こした犬の扱いは、保健所が犬の飼い主に対して「行政指導」として犬の所有権の放棄~保健所の引取り、を促し、殺処分を行います。しかし犬の所有権の放棄(=保健所が殺処分すること)はあくまでも任意であり、強制的に保健所が犬を押収して殺処分を行う法的権限は日本にはありません。
犬の飼い主が犬の殺処分にとことん拒否すれば、行政が強制的に行うことはできないのです。もし飼い主が拒否しているにもかかわらず、押収して強制的に犬の殺処分を行政が行ったとしたら、行政の犬の飼い主に対する財産権の侵害です。行政は、犬の飼い主の対して損害賠償の責任を負う可能性があります。また刑事責任も問われることもありえます。
例えば、ポルシェが子供を轢いてその子供が死んでしまったとします。子供の親が「ポルシェが憎い。そのポルシェをスクラップにしろ」といっても、それをポルシェの所有者などに求める法的根拠はありません。仮にポルシェが時価500万円としたら、その損失を事故を起こした所有者に負わせる法的根拠はありません。もちろん強制はできません。
ポルシェはモノ=私有財産権が及ぶ財物、だからです。私有財産権と処分の自由は、憲法で守られた権利です。日本では、犬もクルマと同じ、あくまでもモノ=財物、です。犬が財産的価値が極めた高かった場合もあります。例えば土佐闘犬の横綱などは、数百万円はするでしょう。すなわち日本では、犬はモノ=財物、であるがゆえに殺処分できないのです。
一方ドイツなどでは、咬傷事故を起こした犬を行政が押収し、飼い主が拒否しても、強制的に殺処分を行う権限を法律が行政に与えています。それが民法90条aの「動物は特別法の定めがある場合はモノ=財物。私有財産権及ぶもの、ではない」(Tiere sind keine Sachen .Bürgerliches Gesetzbuch (BGB))の規定と、「特定の場合において、行政が犬などを押収して強制的に殺処分して良い」という、特別法の定めです。「ドイツでは動物はモノではない」とは、そのような意味でもあるのです。しかし、日本では大変誤解されています。
それにしても日本は、法的根拠が曖昧なために、動物愛護(誤)活動家の圧力により、咬傷事故犬の殺処分の実施が左右されるということでしょう。そのような恣意的な行政事務は、法治国家としては好ましくないと思います。私は、法律で明文化したルールにより、咬傷事故犬の扱いを決める方が透明性が高いでしょう。
次回は、ドイツで犬を押収~強制殺処分予定の犬の飼い主が行政に対して犬の返還を求める行政訴訟を提起した件を紹介します。原告は最高裁まで争いましたが、判決は、原告(犬の飼い主)の請求(行政に対して犬の返還を求める)を棄却するという、原告(犬の飼い主)の完全敗訴でした。犬は強制的に殺処分されました。
先に述べた、民法90条aの「動物は特別法の定めがある場合はモノ=財物。私有財産権及ぶもの、ではない」(Tiere sind keine Sachen .Bürgerliches Gesetzbuch (BGB))と、「特定の場合において、行政が犬などを押収して強制的に殺処分して良い」という、特別法の定めが当然援用されたと思われます(続く)。
(画像)
ベルリン市内の公園。ドイツ連邦共和国では日本と異なり、児童公園はほぼ全てで犬が全面禁止です(どんなに小さな小型犬でもに口輪をしていても犬はダメ)。フェンスで公園全体を囲ってあります。幼い子供が安全に遊べるようにです。
児童公園以外でも、緑地公園(自然公園)などでもドイツでは、「犬は全面禁止」の公園が大変多いです。画像のような「犬禁止」の看板を非常に多く見かけます。公園での犬禁止が極めて稀な日本とは大きな違いです。

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