続・ペット業者が、売れ残り犬猫を大量に実験動物に払い下げているというのは悪意のある欺瞞
「ペットショップ 売れ残り犬猫 実験動物」で検索してみました。「ペットショップは売れ残りの犬猫を大量に実験動物として横流ししている」と主張しているサイトで客観的な資料を上げているところは皆無でした。全てが根拠薄弱な書き手の推測や伝聞(~と聞いた)としています。
私が検索してトップにヒットしたサイトを例示します。
ペットショップの売れ残りは 動物実験でも使われています~yahoo!知恵袋
ペットショップの売れ残りは 動物実験でも使われています。
九州大学は たくさんの犬が いたので 九大の人に尋ねたところ はっきり ペットショップの売れ残りの犬で 動物実験するために 犬を おいてるとのことです。
この話は 私の近所の人が はっきりと 聞いたこと。
私が指摘したとおり、伝聞を根拠としています。何ら信頼出来る資料は明示していません。この質問についての回答をいくつか挙げておきましょう。
信憑性のない噂話を根拠にした、感傷的な自己主張でしかないですね。
あなたの主張の根本が「近所の人に聞いた」って(笑)
なんの根拠も無い「うわさ」を基にしてますよね…
九州大学に直接聞いたわけでもなく (九州大学の人…が真実を語っているのか、そもそも真実を
知っているのかどうやって確かめました?)
根も葉もない噂話を真に受けて、「見てきたような嘘」をさも真実であるかのように言い触らすあなたの態度…
質問者は質問サイトで自己主張を行い賛同を求めるという規約違反をしています。さらにその根拠を客観性のない伝聞に求めるという二重の誤りを犯しています。「ペットショップの売れ残りを実験動物にしている」と主張するならば、公的な統計数値などの根拠を挙げるべきでしょう。
ところで掲示板では、民間動物実験施設に勤める獣医師が動物実験に回答したスレッドがあります。一部を紹介しておきましょう。
動物実験施設で働いてるけど質問ある?
実験動物繁殖専門業者があります
ここらで人間の家などより非常にクリーンな飼育室で繁殖させて
施設や大学へ供給してます
由来不明の動物を使うことはありません
そういうので得たデータを国に出しても却下されます
その他に、「ペットショップで売れ残ったもハムスターなどのげっ歯類は、全て実験動物として引き取られる」という記述がネット上で見られましたが、全くの誤りです。げっ歯類に関しては、100%実験動物専業サプライヤーが供給しています。
実験動物として用いられるラット、マウス等のげっ歯類は、厳しい衛生条件で飼育されており、病原菌寄生虫などの感染が皆無であるSPFやクリーンがほとんどです。実験動物に用いられるげっ歯類の単価は、10万円以上という高価です。遺伝子操作を施したものなどは、最低でも十数万円以上します。ペットショップで売られている単価が千数百円のものは実験動物では使い物にはなりません。
またペットとして好まれるげっ歯類はハムスターですが、ハムスターは実験では今ではほとんど用いられません。縄張り意識がラットやマウスより強いために、実験動物としての飼育が難しいからです。
私は前回の記事で「ペットショップの売れ残りが大量に実験動物として横流しされている」という主張が誤りであることを、以下に信頼できる客観的資料を根拠としてあげました。
・環境省調査資料では、ペット業界での売れ残り犬猫の実験動物転用はゼロである(平成22年)。
・犬猫に関しては、実験動物販売総数と、実験動物専業生産者による生産数と輸入総数の合計がほぼ一致する(平成22年)。
・動物実験実施機関は動物実験に対する規定があり、ペットショップ等からの調達はほぼ不可能。
それでも「統計なんて信用できない。もちろん環境省が発表したものでもだ。意図的にペット業者の売れ残りを動物実験に転用していることを隠すためのものだからだ」「売れ残りペットを売りさばく闇ルートがあり、表面化していないだけ」「研究機関は安い実験動物が欲しいのだ。そのためにペット業者と裏でつながっており、動物愛護に心ある人を欺くために意図的に捏造したデータを公表している。=動物実験施設、ペット業者性悪説」を繰り広げ、私の記事に十数回コメントされる方もいます。
さらには私のことを「無知、感情的」と人格攻撃に終始し「私は動物愛護に実際に携わっているから真実を知っているのだ。ペット業者が売れ残りペットを実験動物に横流ししているのは、数え切れないほどの事実がある」と主張されます。ぜひその事実とやらを挙げていただきたいですね。
精神医学では、集団が特定の妄想障害を持つことを「感応性妄想障害」と言います。一部の方の「ペット業界では大量に売れ残りペットを動物実験に売りさばいている」という主張は、何ら根拠がありません。しかし確信となっているようです。根拠が薄弱であるにもかかわらず、その確信が異常に堅固であることを精神医学では妄想と定義します。
これほど多くの「ペット業界が売れ残りペットを大量に実験動物として売りさばいている」が誤りであるとの客観的資料が公表されているに、誤った自説に固執する方は、一度精神科に診てもらったほうが良いかもしれません。
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