「京都市餌やり禁止条例」は「ザル法」なのか


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いわゆる京都市の「京都市餌やり禁止条例」(正式名称: 京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例)が、成立施行してから1年が経過しました。私は本条例制定以前から、本条例の実効性に疑問を表明していました。さらに運用面での矛盾も指摘しました。本条例は*「ザル法」ではないかと。
*ざる法~抜け穴が多いために規制の目的を達することができない不備な法律をさす俗語である。
私は、 京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例(以下、「京都市餌やり禁止条例」と記述します)の成立施行以前から、条例案を拝見し、本条例の実効性に疑念を表明していました。この条例は事実上、野良猫の餌やりを禁じることを目的としていますが、私は同様に、野良猫の餌やりを禁じる目的の*1、アメリカ合衆国の条例と*2、ドイツの条例について紹介した記事をいくつか書いています。
基本的にはアメリカの条例もドイツの条例も、考え方は同じです。つまり条文に直接「野良猫(所有者のない猫)への給餌を禁じる」とは記述していません。基本的には、①飼い猫の登録義務、②個体識別と飼い主明示(マイクロチップなど)義務、③原則室内飼いと不妊去勢を義務とする、を骨子としています。一人当たりの猫の飼育数の上限を定めている条例もあります(アメリカ合衆国ミズーリ州、リバティ郡など多数)。その上で、給餌という事実があればその猫を給餌者の飼い猫とみなし、①②③の義務を怠ったとして処罰します。
さらにアメリ合衆国では、通常アニマルコントロール(行政組織)が野良猫、放し飼い猫の捕獲殺処分を行政事務として行っています。①②③の義務違反は、常にアニマルコントロールに猫を捕獲されることにより、発覚するリスクがあります。一方ドイツでは行政が浮遊猫を捕獲殺処分することはありませんが(獣医局が捕獲してティアハイムに収容させることはある。ティアハイムはかなり高率の殺処分率なので、事実上捕獲殺処分を行政が行っていることになる)、連邦狩猟法により通年猫は狩猟対象であるために、③の義務違反者の飼い猫は、常に民間人ハンターに射殺駆除されるリスクがあります。
また野良猫に給餌をすれば罰せられる可能性が有ります。野良猫か飼い猫か区分が曖昧な猫は常に殺処分されるリスクがあるのです。つまり何重にも、野良猫への給餌と、飼い猫と野良猫の区分が曖昧な猫(放し飼い猫。不適正飼育猫)のいずれも、処罰か殺処分されることとなり、条例の実行性を高めています。
一方、「京都市餌やり禁止条例」ですが、具体的に餌やりを禁じる条文を見ていきたいと思います。以下に 京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例、の条文を引用します。
第1章 総則
(定義)
第2条
(1)所有者等 動物の所有者又は占有者を言う。
*a(3)飼い猫 所有者等が所有し,又は占有する猫を言う。
(4)野良猫 飼い猫以外の猫を言う。
(所有者等の責務)
第3条
4 猫の所有者等は,飼い猫が自宅等以外の場所に侵入することにより人に迷惑を及ぼすことを防止する観点から,飼い猫を屋内において飼養し,及び保管するよう努めなければならない。
(本市の責務)
第4条 本市は,次に掲げる責務を有する。
*b(3)野良猫に対する適切な給餌(給水を含む。以下同じ。)に係る活動を支援すること。
第2章 動物の適正な取扱い
(不適切な給餌の禁止等)
第9条 市民等は,所有者等のない動物に対して給餌を行うときは,適切な方法により行うこととし,周辺の住民の生活環境に悪影響を及ぼすような給餌を行ってはならない。
*c 2 市長は,前項の動物に対する給餌について,必要があると認めるときは,適切な給餌の方法に関し市民等が遵守すべき基準を定めることができる。
(勧告及び命令)
*d第10条 市長は,前条第1項の規定に違反し,又は同条第2項に規定する基準に従わずに行われている給餌に起因して周辺の住民の生活環境に支障が生じていると認めるときは,当該支障を生じさせている者に対し,必要な措置を採ることを勧告することができる。
2 市長は,前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に係る措置を採らなかったときは,その者に対し,相当の期限を定めて,その勧告に係る措置を採ることを命じることができる。
第3章 雑則
(過料)
第14条 次の各号のいずれかに該当する者は,50,000円以下の過料に処する。
(1)第10条第2項の規定による命令に違反した者
上記の「京都市餌やり禁止条例」ですが、*cの、「第9条 2 市長は,前項の動物に対する給餌について,必要があると認めるときは,適切な給餌の方法に関し市民等が遵守すべき基準を定めることができる」ですが、その基準は、京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例第9条第2項の 規定に基づく適切な給餌の方法に関し市民等が遵守すべき基準 (平成27年4月1日京都市告示第32号)、としています。
以上より、「京都市餌やり禁止条例」の、ⅰ実効性に対する疑念および、ⅱ運用面での矛盾を指摘していきたいと思います。少し長くなりましたので、これらについては、次回の記事で述べることにします(続く)。
(動画)
THEペット法塾 京都緊急集会「京都市・ノラ猫餌やり禁止条例と野良猫保護」。2015年2月15日公開。このようなザル法である、京都市餌やり禁止条例制定前に、狂ったように反対する勢力が現れる日本は、世界に冠たる野良猫餌やりパラダイス国家なのでしょうね。アメリカ合衆国では、例外なく野良猫への餌やりを最高90日と罰金の併科で罰する条例も平穏に可決成立しています。
吉田真澄氏「餌やり活動をする人の協力が必要不可欠。(京都市餌やり禁止条例は)欧米人の感覚からすると、動物に対する無理解・偏見の横行する未文化都市、倫理の成熟度の低い思いやりに欠ける街と映ることは間違いない」。では、日本以外の先進国で、日本より野良猫の餌やりに寛容な国を是非、具体的に教えてくださいね。
京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例第9条第2項の 規定に基づく適切な給餌の方法に関し市民等が遵守すべき基準 (平成27年4月1日京都市告示第32号)
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