「ヨーロッパでは犬の繁殖を商売にしている人はいない」と言う、太田光明教授の大嘘

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(summary)
Dog's commercial breeder (puppy farm).
United Kingdom, Germany, Eastern European countries
「ヨーロッパでは、日本のように(犬の)繁殖を商売にしている人なんていません」という、事実と全く反する、まさに狂気というべき大嘘を公言している方がいます。東京農業大学教授の太田光明氏です。真実は、日本で「動物愛護先進国」とされているイギリス、ドイツにおいても、極めて大規模営利生産の犬ブリーダーが劣悪飼育をおこなって、大量の犬の営利販売を行っています。動物保護の法整備が遅れたポーランドなどの東欧諸国ではさらにひどく、まさに犬が「工場生産」されている状態です。ヨーロッパでは多くの国がシェンゲン協定に加入しており、ヒト、モノ、カネの移動が原則自由です。そのために、イギリス、ドイツなどは、東欧諸国から極めて安価な子犬が大量に輸入されています。
「ヨーロッパでは、日本のように(犬の)繁殖を商売にしている人なんていません」という、狂気の大嘘発言を行った太田光明氏(現東京農業大学教授)は、以前にも問題発言を繰り返しています。例えば、「ドイツには生体販売を行っているペットショップはない」と、NHKの番組で述べています(2013年8月2日放送 NHK Eテレ「団塊スタイル」知っておきたい!シニアのペット介護 私はこの点について記事にしています。「ドイツには生体販売ペットショップはない」という大嘘~元麻布大学教授、太田光明氏と狂気のメディア、NHK)。
真実は、ドイツには人口比で日本より多くの生体販売ペットショップが存在し、また人口比で日本よりペットショップにおける生体販売の売上高も大きいのです。この点については、私は記事にしています。根拠となる公的統計は、こちらにリンクしてあります。ドイツのペットショップ生体販売売上高は日本より大きい。ペットショップの数も多い(人口比)~「ペトこと」の嘘を暴く。
さて本題です。太田光明氏の、「ヨーロッパでは、日本のように(犬の)繁殖を商売にしている人なんていません」という、大嘘発言は、こちらのメディアの記事にあります。「ペットブームは嘘」減少たどる犬の飼育頭数、ペット産業が抱える“悪循環”のウラ側 2016年8月28日、から引用します。
ヨーロッパでは、日本のように繁殖を商売にしている人なんていません。
ボランティアのようなお年寄りが1~2頭飼っていて、繁殖しています。
子犬が生まれたら、えさ代くらいの経費をもらって人に譲渡するんです。
そこで稼ごうなどと考えてもいないでしょう。
生き物を扱うモラルが浸透しているんです。
それに比べて日本はモラルのカケラもないですね。
ヨーロッパでは、犬がバスや電車に乗れるんです。
遺伝子や生まれ育った環境のどちらもしっかりしているので、しつけがしやすいこともあり、(犬の)行儀がいいのでので、どこへでも連れて行ける(*1)。
日本は「問題が起きたら困る」という理由でペット不可のところが大半です(*2)。
さほど長くもない記事ですが、嘘、誤り、偏向がてんこ盛りです。本題に入る前に、若干上記の記事における、太田光明氏の嘘、誤り、偏向について、看過できない箇所について簡単に触れておきます。
(*1)
「(ヨーロッパでは)遺伝子や生まれ育った環境のどちらもしっかりしているので、しつけがしやすいこともあり、(犬の)行儀がいいのでので、どこへでも連れて行ける」。
~
イギリスやドイツでは、犬の遺伝性疾患の問題が深刻とされています。背景には、日本よりはるかに盛んなドッグショーがあり、より品種特性が重要視されることがあります。犬種のスタンダードを重視するために、近親交配が行われるからです。また、イギリスは特に、日本より犬種のスタンダーに対して厳格です。
「(ヨーロッパでは)犬の行儀が良い」も疑問です。例えばドイツでは、犬の咬傷事故の発生数は、人口比で日本の約10倍です。幼児や赤ちゃんが犬にかみ殺されるという痛ましい事件もしばしば発生します。今年の4月だけでドイツでは、相次いで犬による死亡事故が起き、3名がなくなりました。その点については、私は何度か記事にしています。ドイツの犬咬傷事故は日本の約10倍~ドイツにおける犬の咬傷事故35,000件の分析結果。そのほか、スイスでも犬による咬傷事故は人口比で日本の約10倍、フランス、リヨン市の調査でも同様の統計値が出されています。イギリスでも人口比での、犬による咬傷事故による入院件数は、日本の咬傷事故の数の3倍以上です。
「犬の行儀がいい」とは、私は第一に人に危害を与えないことだと断言します。太田光明氏の「ヨーロッパの犬は日本と異なり行儀が良い」とは、どのような点を指しているのでしょうか。大変疑問です。
(*2)
「日本は「問題が起きたら困る」という理由でペット不可のところが大半です」。
~
日本がヨーロッパに比べて、犬が不可の場所が特段多いとは言えません。例えば西ヨーロッパでは、シーズン中のビーチや湖などの遊泳場付近は、例外を除いて犬は全面禁止です。ドイツでは、おそらく全土で児童公園はフェンスで囲ってあり、犬は全面禁止です(日本ではほぼない)。そのほか、ドイツでは宗教施設(墓地など)への犬の入場を禁止している自治体も多数あります。
ヨーロッパでは、公共交通機関に犬を乗車させることはできますが、例えばベルリン州では完全にケージに入れなければ、例外なく(チワワでも)口輪とリードが必要です。鉄道で犬を乗車させることがイコール、「どこにでも犬を連れていける」とは短絡的です。ドイツは、犬に限らず、自転車も電車に載せることができるからです。
本題の、太田光明氏の、「ヨーロッパでは、日本のように(犬の)繁殖を商売にしている人なんていません」が大嘘であることは、次回以降の記事で順次、イギリス、ドイツ、ポーランドなどの、劣悪飼育の、巨大犬営利ブリーダーを取り上げます。さらに、ヨーロッパでの商業生産の犬流通のハブ地域となっている、オランダについても取り上げようと思います。
これらの国では、犬の繁殖の、あまりの飼育環境の劣悪さが動物福祉上の問題とされており、しばしばマスメディアでも取り上げられるテーマです。これらの悪質な巨大な営利犬ブリーダーが販売した犬が、「病気ですぐに死んだ」などという社会問題も生じています。イギリスでは、8週齡未満の犬の販売を禁じていますが、これらのブリーダーからペットショップが仕入れて展示し、またはインターネット販売で、わずか5終齢で販売されていることがあるのものも事実です。さらには、イギリス、ドイツなどの西ヨーロッパ先進国では、動物保護の法整備が遅れた東欧から激安な子犬が大量に違法合法問わず輸入されています。
ヨーロッパ諸国では、日本では禁止されている、犬などの生体のインターネット販売が合法で、極めて盛んに行われています。インターネットによる犬のペット販売が合法であるために、実店舗(ペットショップ)での犬の販売が、日本よりは少ない大きな理由です。インターネットの犬などの販売についても、動物福祉上の懸念が言われています。
(動画)
Britain's Puppy Dealers Exposed - BBC News 「イギリスの子犬販売業者を暴露する」 - BBC ニュース 2016/05/16 に公開
BBC放送の取材班は、イギリス、アイルランドの正規の免許を受けた、最も巨大なパピーファーム(劣悪飼育飼育の大量生産営利犬ブリーダーのたとえ)の一つに潜入して、実態を明らかにしました。Inside there are caged filled with hundred dogs. This farm has a license for 300 breeding dogs.「その中には数百の犬でいっぱいになったケージがあります。このパピーファームは、300頭の繁殖犬の飼育の免許を受けています」とあります。太田光明教授のご発言とは随分異なるようです。
Panorama investigates the ruthless world of the dog trade.
Using secret filming they have uncovered some shocking truths about where and how these animals are being bred.
Including the conditions inside puppy farms that breed dogs for the UK market.
パノラマ(註 イギリスBBC放送のドキュメンタリー番組)は、犬の流通の冷酷な世界を調査します。
隠しカメラを使用して、TVクルーは、どこでどのようにこれらの犬たちが繁殖させられているかについて、衝撃的な真実を明らかにしました。
イギリスの市場向けに、犬を繁殖させるパピーファーム(子犬農場。劣悪な条件で営利大量生産している犬ブリーダーのたとえ)での、子犬の養殖場内の状態を含めて。
(動画)
Grausamer Fall von Welpenhandel / PETA 「子犬の商業取引の残酷なケース/ドイツ PETA」 2012/09/18 に公開
ドイツの、巨大な経営規模の養豚業者が養豚設備を転用して、犬の大量営利生産を行っているケース。常に、50種の子犬を販売しています。繁殖用の台メスの数だけでも300頭は飼育しています。飼育環境は劣悪で、犬たちは糞尿にまみれ、爪が伸びています。また、自然光に全く当たることがない犬もいます。
(動画)
Organisierte Kriminalität! Großrazzia der Polizei bei Hundezüchter (Kreuztal/NRW) 「組織犯罪!犬のブリーダーに対する警察の大規模捜索(コレルツタル / ノルトライン-ヴェストファーレン州) 2016/12/14 に公開
この、警察の捜索を受けた犬ブリーダーは、東ヨーロッパから100ユーロ~200ユーロ(1万円台~)という、安い価格で子犬を仕入れ、自社生産品(ドイツ生産品)と偽って、高値で再販売していました。経営者の女は逮捕されました。この事件により、ドイツには、東ヨーロッパ産の営利生産された子犬が大量に入ってきていることが伺えます。
それにしても、太田光明教授の「ヨーロッパでは、日本のように繁殖を商売にしている人なんていません。ボランティアのようなお年寄りが1~2頭飼っていて、繁殖しています」とは、イギリスにしてもドイツにしても、随分事情が異なるようです(笑い)。報道でも、イギリス、ドイツの犬繁殖業者の規模は巨大です。また「(営利生産を追求しているために)犬にとっては残酷な飼育環境」にもなっています。
現にイギリスやドイツでは、営利大規模犬ブリーダーによる動物福祉上の問題が大きく取り上げられています。太田光明教授の発言は真逆(まぎゃく)も真逆、まさに正反対です。獣医師会の重鎮たる者が嘘を嘘と知りつつ、嘘をたれながしているのか、それとも絶望的な無知蒙昧であるにもかかわらず知ったかぶりをしているのでしょうか。いずれにしても悪影響は重大です。次回以降に個別の国について取り上げます(続く)。
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