続・犬の特攻~戦争の愚かさと狂気


地域猫 ブログランキングへ
Please send me your comments. eggmeg@hotmail.co.jp
Bitte senden Sie mir Ihre Kommentare. eggmeg@hotmail.co.jp
メールは、こちらにお寄せください。eggmeg@hotmail.co.jp
(summary)
anti-tank-dog
Anti-tank dogs were dogs taught to carry explosives to tanks, armored vehicles and other military targets.
They were used in 1941–1942 against German tanks in World War II.
Their deployment revealed some serious problems.
In the field, the dogs refused to dive under moving tanks.
Some persistent dogs ran near the tanks, waiting for them to stop but were shot in the process.
They would run back to the trenches and often detonated the charge upon jumping in, killing Soviet soldiers.
"Such a stupid biological weapons, the Japanese army in the end of World War II was planning the deployment" There is a theory that.
But the Description is incorrect.
前回記事、犬の特攻~戦争の愚かさと狂気の続きです。前回記事では、第二次世界大戦中の1941~1942年の期間において、旧ソ連軍が、ナチス・ドイツ軍の戦車部隊攻撃のために犬の特攻を行っていたことを書きました。犬に爆弾を背負わせて、ナチス・ドイツ軍戦車の車体の下に犬が潜り込めば、爆弾が起爆するという方法です。しかし犬が自軍に逃げ帰り、自軍で自爆するなど、ソ連軍の思惑通りにはいかず、わずか2年でソ連軍の犬の特攻は廃止されました。日本においても、「犬の特攻が計画された」との説がありますが、それは誤りと思われます。
・関連記事
犬の特攻~戦争の愚かさと狂気
日本軍がソ連軍と同様の、「犬の特攻部隊」の編成を計画していたとの説は、八王子郷土資料館に収蔵されている資料に基づきます。その資料は、1944年(終戦の前年)の年末に、一般市民に対して、「犬の供出」を求める文書です。当時日本は、(人による)特攻攻撃が状態化し、一般国民においても「本土決戦はやむなし」という認識にありました。
その問題の資料の画像が次のものです。地域社会に回覧されたものと思われますが、このような文面があります。「私たちは勝つために、犬の特別攻撃隊を作って、敵に体当たりさせて立派な忠犬にしてやりませう」と、飼い犬の献納を呼びかけています。
(画像)
八王子郷土資料館収蔵。

上記の資料に関しては、スレッドもたっています。「犬の献納運動」って正気かよ。「勝つために犬の特別攻撃隊を作って敵に体当たりさせて立派な忠犬にしてやりましょう」だと?頭がイカれてる。 pic.twitter.com/4NaIkpTCtH。また郷土史家のブログで、「犬の特攻隊編成が計画されていた」とあり、ソ連軍の犬の特攻装備の画像などを補足資料として掲載したものもあります。
しかし結論から言えば、日本が犬の特攻隊編成を計画していたことは否定されます。理由は、八王子郷土資料館が収蔵している当資料は、日本陸海軍の軍犬購買ではないからです。献納先は、八王子市役所だからです。
第二次世界大戦時の、民間からの犬の戦時供出は、①「民間人飼育の軍用候補犬の出征」と、②「ペットの毛皮(などの)用途の供出」に分けられます。
①「在郷軍用犬(民間飼育の軍用候補犬)の出征」
~
社団法人帝国軍用犬協会の仲介による、民間飼育者から日本陸海軍への軍犬売却契約。
当時軍用犬は全て、同社団法人が仲介して民間から軍に売却されました。
またそれらの犬は、軍用犬に適するとされる、ジャーマンシェパード、ドーベルマン、エアデールテリアの3種に限られます。
参考資料 軍犬。
②「ペットの毛皮供出」
~
当時の商工省の皮革統制に倣い、地方公共団体が行った飼犬の皮革などの用途での供出を国民に求めた事業。
毛皮用の犬などは、当初は野犬を捕獲していました。
野犬の捕獲などには、警察が地方公共団体に協力していました。
参考資料 「戦時下における畜犬の献納・供出」 を教材化する - 奈良教育大学
八王子郷土資料館が収蔵する本件資料は、・社団法人帝国軍用犬協会の仲介ではないこと、・日本陸海軍の軍犬購買契約ではないこと、・軍用犬に適し、軍が購買する対象犬種(ジャーマン・シェパード、ドーベルマン、エアデール・テリア)に限定していないこと、から、②の、「ペットの毛皮用供出」を求めたものと思われます。
つまり本件資料の記述、「私たちは勝つために、犬の特別攻撃隊を作って、敵に体当たりさせて立派な忠犬にしてやりませう」は、犬の飼い主に対してより供出を促すための方便(嘘)であったと推測されます。特攻隊員の防寒具用の毛皮のためや、はなはだしきは食料(に、供出犬が用いられたとの資料もあります)では、飼い主にとっては、あまりにも惨めで哀れと感じられ、供出をためらったのではないでしょうか。
ソ連軍の犬の特攻隊は愚かで狂った戦術でした。当然、犬が怯えて自軍に逃げ帰ることが予想されるからです。日本の「犬の特攻隊」が真実であれ、方便(嘘)であれ、それを口実に民間人に飼い犬を供出させようというのも、愚かで狂っています。戦争というものは、愚かで狂っていなければ遂行できないのでしょうか。
しかし歴史上最も愚かで狂っていたのは、日本の特攻でしょう(亡くなった方のご遺族、関係者の方がこの表現に不快な思いをされたのであればお詫びします)。ソ連の対戦車犬は愚策でした。しかしソ連軍は、わずか2年でこの戦術を撤廃しています。また私の感覚としては、自国民の若者に特攻攻撃をさせるほうが、よほど愚かで狂っているとしか思えません。しかも日本は、それに歯止めをかけることができず、終戦まで拡大し続けました。しかも特攻が当初はある程度効果をあげたものの、末期にはほぼ全てが迎撃され効果はほぼゼロであったにもかかわらずです。
NHKの番組で、日本の特攻が歯止めがかからず、拡大していった史実に関するドキュメンタリー番組があります。客観的事実を淡々とありのままに積み上げて、番組制作者の主観や感情、偏向を排した秀逸な作品です。特攻 ~なぜ拡大したのか~。2015年8月8日。
その中では繰り返し、当時軍の最高責任者であった昭和天皇(大元帥)が、「特攻」を賛辞し、継続を指示したことが、昭和天皇ご自身の肉声などの紛れもない証拠が挙げられて報じられています。また近衛文麿氏が昭和天皇に終戦を奏上したものの、昭和天皇は戦争(特攻)継続を指示されたことも報じられています。
歴史が科学であるためには、客観的な資料をありのままに、感情を排して積み上げることが必要です。しかし歴史の分析は、その時の政治的背景や利害関係者、研究者の思想のバイヤスが入ります。
朝日新聞の従軍慰安婦の記事は、元の情報の多くが信ぴょう性にかける、捏造である可能性が高いことが判明しました。しかし未だに、従軍慰安婦を政治に利用する利害関係者は絶えません。また昭和天皇を必要以上に美化する傾向もあると思います。それも政治や利害、思想が関係しています。「歴史が科学であるのは難しい」。ふと終戦記念日を控えて想った私でした。
(動画)
数少ない、ソ連軍の「対戦車犬」による、戦車爆破の成功例。
- 関連記事