メールでの質問がありましたので公開します(保健所の所有者不明猫の引取り拒否は合法か 野良猫の毒餌駆除は動物愛護管理法違反か、など)
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私は本ブログでメールアドレスを公開しています。しかしこれは、①外国人に向けたもの~コメント投稿で文字認証ができない、日本語の説明がわからない、など、と②個人や団体が特定できる情報で公開がふさわしくないもの、を前提としています(なお、スパムやウイルスチェック対策は十分にしておりますので、希に悪意がなくても受信できないケースがあるようです)。ですから、法律解釈などの一般論は、公開コメントにしていただきたいと思います。公開メールアドレスですが、かなりの長文で、一般論での私の意見を求めるメールがありました。より多くの方に参考にしていただいた方が良いかと思いますので、一部を公開させていただきました。もちろん回答者は私(さんかくたまご)です。
(質問)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14144167169;_ylt=A2RAj5cCeidVQBYArnhmwut7
この質問の回答者"boudideomekkere"が違反ではないと主張していますが、果たして違反ではないと言えるのでしょうか?
(回答)
動物愛護管理法35条を引用します。
第35条 都道府県等(都道府県及び指定都市、地方自治法第252条の22第1項の中核市(以下「中核市」という。)その他政令で定める市(特別区を含む。以下同じ。)をいう。以下同じ。)は、犬又は猫の引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。ただし、犬猫等販売業者から引取りを求められた場合その他の第7条第4項の規定の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合として環境省令で定める場合には、その引取りを拒否することができる。
3 第1項本文及び前項の規定は、都道府県等が所有者の判明しない犬又は猫の引取りをその拾得者その他の者から求められた場合に準用する。
1項で、引取り拒否ができる例外を定めているのは、犬猫販売業者に限ってのことです。
つまり所有者不明犬猫には、引取り拒否の例外規定はありません。
環境省令でも、所有者不明犬猫の引取り拒否の定めはありません。
つまり、3項の準用とは、1項の「これを引き取らなければならない」と考えるのが妥当です。
さらに、平成25年環境省告示86号では、所有者不明犬猫は、例外なく引き取らなければならないと改めて行政指導が行われました。
さらに、弁護士ドットコムでは、このような回答があります。
http://www.bengo4.com/other/1146/1288/b_339121/
動物愛護及び管理に関する法律第35条3項が準用しているのは、35条1項本文だけであり、但し書きは含まれていません。したがって、私はあなたの御主張通り、都道府県等には野良猫(所有者の判明しない猫)を引き取る義務があると考えます。
また、第7条4項は「努めなければならない」とあるとおり、努力義務に過ぎません。
なお、35条1項但し書きに記載されている「その他第7条4項の規定の趣旨に照らして引取を求める相当の事由がないと認められる場合として環境省令で定める場合」としては、同法施行規則21条の2をご参照下さい。
(質問)
私からの意見・情報ですが、毒殺理由は猫被害が相当ひどかっただけで十分ではないでしょうか?
(回答)
動物愛護管理法44条1項の「みだりに殺す」ですが、この「みだり」は、司法では、①目的、と②手段、の両面から判断しています。
①目的~正当な事由がある。
つまり野良猫による環境被害等が有り、その野良猫を捕獲したが保健所が引き取らなかったという場合は、殺害駆除は正当な事由のひとつとして考慮される可能性があるかもしれません。
②手段~止むなく殺害する場合は、同法40条により、できるだけ苦痛軽減しなければならないとあります。
つまりいくら野良猫による被害がひどく、保健所も引き取らなかったとしても、ことさら苦痛を与える殺害方法であれば、動物愛護管理法違反に抵触する可能性があります。
例えば、こげんたのように、徐々に生きたまま切り刻ざむという方法です。
こげんたも、近所でゴミ荒らしなどして被害を及ぼしていたそうですし。
対して獣医師に野良猫を捕獲し、安楽死処分を依頼したケースでは、違反に問われたことはありません(大手の野良猫駆除業者がしています)。
牛の屠殺方法が不適切であったために、動物愛護管理法違反に問われたケースがあります。
ですから、例えば不凍液や農薬を使用した毒殺が、果たして、②の手段において、合法であるかどうかは疑問です。
②の手段において、動物愛護管理法違反に問われる可能性は否定できません。
ただ、動物愛護管理法44条1項違反は、判決例も少なく、司法判断において一定の線引きがまだできていない状態と言えます。
ですから、野良猫による被害が酷かった場合でも(①駆除の正当な事由があったとしても)、不凍液や農薬による毒殺は、②手段(苦痛軽減に配慮していない)により、動物愛護管理法44条1項違反に問われる可能性があります。
しかし野良猫と法的地位が全く同等のドバトは、建物管理会社により、生きたひなごと巣をゴミとして廃棄されたりしています。
当然、ドバトのひなの殺害においては、苦痛軽減に配慮していません。
しかしそのようなドバト駆除をしている建物管理会社は、動物愛護管理法違反に問われたことがありません。
動物愛護管理法44条1項違反の、「みだりに愛護動物を殺す」ですが、早期に司法判断の一定の見解が示されることと、愛護動物間の整合性が取られることを望みます、。
(質問)
実際に糞害を理由に愛護動物を故意に殺して愛護法違反に問われていない事例を発見しました。
http://homepage2.nifty.com/dragonsam/ryoko_073.htm
この事件②をご覧ください。
この事件は糞の後始末を放置したことを理由に飼い犬を毒殺して逮捕された事例ですが、器物損壊にしか問われていません。
愛護動物を故意に殺しているのは事実ですから、後は正当な理由が無ければ愛護法第44条の違反が成立します。
しかし、実際には器物損壊しか問われていないので、これは殺す理由について正当性が認められていると考えます(私は)。
愛護動物を故意に殺すところまでは事実ですから。
(回答)
法学のイロハを学んだ方には当たり前のことですが、観念的競合という概念があります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%B3%E5%BF%B5%E7%9A%84%E7%AB%B6%E5%90%88
「観念的競合(かんねんてききょうごう)とは、刑法の罪数論上の概念、用語の一つであり、1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合(刑法54条1項前段)をいう。『一所為数法(いちしょいすうほう)』ともいう。観念的競合の処罰については、その最も重い刑により処断するとされる(同項。吸収主義)」。
例えば、ひったくりが窃盗罪で起訴される場合と、強盗罪で起訴される場合があります。
歩行者からモノをひったくって、歩行者が「やめろ」と静止したにもかかわらず無理やり奪い取ったのであれば、強盗罪が成立するでしょう。
しかし歩行者が静止する間もなく、瞬間に逃げ去れば強盗罪が成立するのは難しく、この場合は窃盗罪で起訴されます。
仮にひったくり事件で犯人が、強盗罪で起訴されたとします。
その事件が窃盗罪で起訴されなかったからといって、ひったくりで窃盗罪で成立しないわけではありません。
それを「観念的競合」といいます。
ですから本論では、「飼い犬を毒殺した犯人は、器物損壊罪で起訴され、動物愛護管理法44条1項『みだりに殺す』違反では起訴されなかったので、毒殺は動物愛護管理法違反にはならない」は、誤りです。
その行為による結果は、「飼い犬を殺害する」ことに共通していますので、「観念的競合」と判断できます。
したがって、「飼い犬を殺した」ことを処罰する根拠を器物損壊罪(懲役3年以下)とし、動物愛護管理法44条1項違反(2年以下の懲役)を援用しなかったのは、法学上の「観念的競合」が成立しているためであり、動物愛護管理法44条1項違反が成立しないためではありません。
(質問)
(野良猫の毒殺が)愛誤の回答で廃棄物処理法違反とありますが、果たして廃棄物処理法違反に問われる可能性はあると言えるのでしょうか?
(回答)
「猫に毒餌を与えて殺すのは廃棄物処理法違反が成立する」もナンセンスで、お答えするのもバカバカしい。
廃棄物処理法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO137.html#1000000000005000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
廃棄物の定義「第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう」。
動物の生体は含みません。
また「捨てる」の意味は、「不用のものとして、手元(現に占有下にあるもの)から放す」です。
つまり(占有下にあるものを)手元から放す時点で、現に「死体」でなければ廃棄物処理法違反は成立しません。
例えば、殺鼠剤を使用する、有害鳥獣駆除で有志のハンターが有害鳥獣を銃で撃ったりします。
すべて死体を回収できるわけではありません。
半矢でかなり遠くに逃げて、回収できない場所で鳥獣が死ぬケースが多いです。
殺鼠剤でネズミを駆除する、ハンターが有害鳥獣を駆除するケースで、廃棄物処理法違反に問われる可能性があるのならば、恐ろしくてやっていられませんからね(廃棄物処理法違反の不法投棄は、懲役5年以下です)。
質問者の方からは、議論の対象となっている知恵袋への、私の参加を再三要請されました。しかし質問者、回答者、その他ヤジも、法学の基本中の基本をご理解していません。また、日本語の語彙の意味(定義)も、曖昧なまま用いています。
①法学の基礎の基礎と、②用いる語彙の意味(定義)が確立していること、の前提がなければ、議論は全く不毛です。ですから私は参加していません。このような議論では、むしろ原語の「ドイツ民法典の○条の下位法の援用における解釈を述べよ」の方がむしろ易しいという感じがします。以前、「憲法で野良猫の餌やりを禁じていないから条例で禁じるのは違憲」との主張が愛誤ブログで繰り返されましたが、それに反論するのが案外難しかったことを覚えています。それに通じます。
yahoo!知恵袋は、特に動物愛護分野の、法律および海外情報は、ほぼ9割以上が誤りもしくは真逆の嘘です。それと質問の趣旨に沿っていない回答も多すぎます。
知恵袋は、そのようなものと思っておいたほうがよいでしょう。私も利用します。その目的は、いかに日本では、海外の動物愛護事情が誤って伝えられているかなどの実例を集めるために用いてます。
(参考資料)
かつて私は、アメリカ、ドイツ、イギリスでの、猫の不凍液による毒殺を記事にしましたが、スイスでも猫駆除には不凍液が使われることがあるようです。もちろん不凍液で駆除した猫は、食べないほうがいいでしょうね!
pfuedi vergiftet「ニャンコが(不凍液で)毒殺されてしまった」。
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