トキソプラズマの新たに発見された危険性ー1





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Domestic/inländisch

 日本では、野良猫による被害は、まず「糞尿が汚い」「鳴き声がうるさい」と言った類の、生活環境被害しか問題視されません。私は大変奇異に思います。欧米では、野良猫による被害は、上記のような①生活環境被害とともに、②人や家畜に対する感染症リスクや、②生態系への悪影響も必ず指摘されます。①②③の被害は、野良猫のみならず、放し飼い猫や地域猫(TNR)でも同様に原因となります。近年は、ネコ科特有の人畜共通感染症である、トキソプラズマの新たな危険性が多く報告されています。


 トキソプラズマは、ネコ科動物を終宿主とする、寄生性原虫です。主な感染経路はトキソプラズマに感染した動物の生肉を食べることと、ネコ科の糞とともに排出された原虫を経口で摂取することです。
 日本では精肉の検査体制が厳しいので、ほとんどが猫糞からの感染と思われます。トキソプラズマ症

 トキソプラズマは、抗体を持たない妊娠初期の妊婦さんが感染すれば、流産や胎児の催奇性のリスクが予てより言われてきました。しかしその危険性を過小評価していたのではないかと私は思います。近年になって、極めて長い年月の後に、トキソプラズマの胎内感染や幼児期の感染により重篤な症状が発症するケースが発見されています。かつては、その症状が、トキソプラズマが原因であるにもかかわらず、それが認識されなかったケースも多いと思われます。
 さらに高齢者のトキソプラズマ脳症による死亡例が近年次第に報告されるようになりました。死亡時には脳腫瘍が死因であると診断されたものの、死後剖検でトキソプラズマ脳症が発見され、死因はトキソプラズマ脳症であるとされた例などが学会で報告されています。この件については、私も記事にしています。トキソプラズマの恐怖~猫糞がラッコを大量死させたー3、などです。

 近年新たに発見された、トキソプラズマの危険性に関する学術論文を紹介します。それは、トキソプラズマ感染が、多くの精神疾患の原因となり、さらには癌や心臓疾患にまで関係している可能性があるという内容です。この論文は、US national library of medicine National institutes of Health 「米国国立医学図書館 国立衛生研究所」に収録された学術誌に掲載されたものです。その中では、従来定説とされている、トキソプラズマが統合失調症の一因となるばかりではなく、広範囲にわたり精神疾患、神経疾患、その他にも多くの疾患の発症に、遺伝子レベルで関わっているとの内容です。
 Toxoplasmosis and Polygenic Disease Susceptibility Genes: Extensive Toxoplasma gondii Host/Pathogen Interactome Enrichment in Nine Psychiatric or Neurological Disorders C. J. Carter 「トキソプラズマ症と多くの遺伝子性疾患及び感受性遺伝子:広範なトキソプラズマホスト(宿主)/9種の精神疾患または神経疾患におけるラクトーム濃縮 C. J.カーター」。2013年5月4日。


Abstract
Toxoplasma gondii is not only implicated in schizophrenia and related disorders, but also in Alzheimer's or Parkinson's disease, cancer, cardiac myopathies, and autoimmune disorders.
During its life cycle, the pathogen interacts with ~3000 host genes or proteins.
Susceptibility genes for multiple sclerosis, Alzheimer's disease, schizophrenia, bipolar disorder, depression, childhood obesity, Parkinson's disease, attention deficit hyperactivity disorder , and autism , but not anorexia or chronic fatigue are highly enriched in the human arm of this interactome and 18 to 33% of the susceptibility genes relate to it.

要約
トキソプラズマは、統合失調症および関連障のみならず、アルツハイマー病またはパーキンソン病、癌、心臓筋疾患、および自己免疫障害にまで関与します。
病原体(トキソプラズマ原虫)は一生のあいだに、3,000以上の宿主の遺伝子またはタンパク質と相互作用します。
多発性硬化症、アルツハイマー病、統合失調症、双極性障害、うつ病、小児肥満、パーキンソン病、注意欠陥多動性障害、自閉症のみならず、食欲不振または慢性疲労に関する感受性遺伝子は、人が管理できない領域での生理的な相互作用の感受性遺伝子の18~33%が関連し、高度に濃縮されています。



 この論文は、紹介した精神科医も「かなりのボリュームで難解である」としています。この論文を紹介している精神科医のブログはこちらです。
精神疾患を予防するために感染症を予防せよ(トキソプラズマ・ゴンディ編 その1 )
精神疾患を予防するために感染症を予防せよ(トキソプラズマ・ゴンディ編 その2 )
精神疾患を予防するために感染症を予防せよ(トキソプラズマ・ゴンディ編 その3 )

 上記の、精神科医による、 「米国国立医学図書館 国立衛生研究所」に収録された学術誌に掲載された、J.C.カーター氏による問題の論文の紹介も、かなり難解な記述があります。数回にわたって、私なりに解説を試みたいと思います。
 トキソプラズマ感染は、妊娠初期の胎児の催奇性や流産は古くから指摘されていました。近年になって、統合失調症の一因や、トキソプラズマ脳症による死亡例が相次いで報告されるなど、その危険性について認識を新たにしつつあります。さらに、それのみならず9種の精神疾患や癌、心臓筋疾患、自己免疫障害、多発性硬化症、小児肥満、食欲不振、慢性疲労にまで関係している可能性があります。それにしても潜在的なリスクまでを考えれば、トキソプラズマ感染症は恐ろしい疾患です。「たかが猫の糞」と言っていられません(続く)。


(動画)

 SFの世界のことではありませんね。目に見えないだけで。




(追記)

 SFホラー映画、スリザー。この映画での、地球外生命体がヒトの脳に寄生してマインドコントロールする、地球外生命体の形状、最後に猫に寄生して生き延びることなどは、トキソプラズマをモデルにしていることは明らかです。


ストーリー

アメリカ合衆国南西部の田舎町。
この町のグラントは、ある晩妻のスターラと喧嘩をし、酒場で一人飲んだくれていた。
そこへ昔の女友達ブレンダが現れる。
意気投合した二人は思い出の場所である町外れの森へと向かうのだった。
だが、二人が向かった森の中には、宇宙から地球にやって来た謎の地球外生命体が潜んでいた。
グラントは、ナメクジのようなその生命体に寄生されてしまうのだった。

その日からグラントの様子はおかしくなり、グラントの様子を不審に思うスターラは、ある日夫がすでに人間ではなくなっていることを知る。
グラントはスターラに襲いかかるが、警察署長ビルの手助けによって事無きを得るのだった。
ビルに撃退されたグラントはあの森へと姿を消し、それを追ったビル達は恐ろしいものを目にする。
そこにははち切れそうなぐらいに膨らんだブレンダの姿があった。
ブレンダは爆発。
彼女の体内からは無数の地球外生命体が姿を現す。

おびただしい数の生命体は町を襲撃。
生命体に侵入された住民達はゾンビと化し、次々に他の住民達を襲い始めるのだった。
地球外生命体は、ガス爆発により敗北する。
多くの犠牲者を出した惨劇は幕を閉じるのだったが、地球外生命体は猫に寄生し難を逃れていることが判明する。
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寄生虫

水辺に特攻するカマキリとハリガネムシ、
目を潰されたカタツムリが鳥に食われに高所に登り、
ギニアワームは人を水辺に駆り立てる。
虫が意図しているのでなくてたまたま宿主にそうさせえたものが、
適応進化で生き残って今も続いているのでしょう。不思議です。

トキソプラズマは原虫ですが、もっともっと小さいウイルスですら
宿主の性格を激変させます。そう、狂犬病ウイルス。
これが発症すると人ならば閉じ込めて死んでもらうのを待つ外なく、
犬猫など家畜であれば即殺処分しか選択肢はありません。
家族だろうと飼い主だろうとお構いなく襲い掛かる…文字通り「狂って」いるんですね。

市役所や保健所で大騒ぎするネコバカもトキソプラズマ脳症と診断されれば有り難いです。
これで大手を振って地域猫制度を廃止して、犬同様の捕獲回収ができます。
もしも地域猫区域で狂犬病が発生すれば、封じ込めは大変困難でしょう。
最終的に、半径20km以内の犬猫は強制的に没収して殺処分という措置もありえます。
福島の原発事故の時は非常に緩慢ではありますが、大規模な家畜廃棄が強行されました。
ですから放し飼い禁止、捨て猫禁止、野良猫幇助禁止こそは動物福祉であると思います。

Re: 寄生虫

虫様

日本は、Animal welfare underdeveloped countryであるという、英文?の記事を公開していた団体はこちらです。
http://www.salanetwork.or.jp/
今探したところ、該当する記事は見つかりませんでした。
過去に何度か、同様のことを私が書いていたのでそれを見たのかも。
将棋名人が野良猫に餌やりして民事上の損害賠償を命じられたことに対して、「このような司法判断が示される日本はAnimal welfare underdeveloped country(動物愛護後進国)だ」と、日本語と対訳して公開していました。
野良猫に餌やりをして、近隣の住民が限なく被害を受忍しなければならない先進国なんて皆無です。
この団体は、自分たちがいかに欧米の先進的な動物愛護を知っていて国際通で日本は動物愛護で遅れている、それを知らない他者を見下すというのが基本姿勢で、はなはだ笑止なのですが。


> 水辺に特攻するカマキリとハリガネムシ、
> 目を潰されたカタツムリが鳥に食われに高所に登り、
> ギニアワームは人を水辺に駆り立てる。
> 虫が意図しているのでなくてたまたま宿主にそうさせえたものが、
> 適応進化で生き残って今も続いているのでしょう。

私はこのような記事も書いています。
http://eggmeg.blog.fc2.com/blog-entry-87.html


> トキソプラズマは原虫ですが、もっともっと小さいウイルスですら
> 宿主の性格を激変させます。そう、狂犬病ウイルス。

感染者を攻撃的にすれば、より感染を拡大できるという、ウイルスの進化でしょうか。


> 犬猫など家畜であれば即殺処分しか選択肢はありません。

ドイツは、感染した動物を接した動物は人間以外は診断確定前に無条件で殺処分です。


> 市役所や保健所で大騒ぎするネコバカもトキソプラズマ脳症と診断されれば有り難いです。

残念ながら存命中は、確定診断が難しいようです。
でも、野良猫の餌やりに異常に執着する人は、メンタリティに異常をきたしているとしか思えず、トキソプラズマ感染による人格変化も疑ってしまいます。


> 地域猫区域で狂犬病が発生すれば、封じ込めは大変困難でしょう。

猫の生息密度が高い(容易に感染個体が増える)、犬と異なり、捕獲が困難、狂信的な猫愛誤が捕獲殺処分を妨害する、などが考えられます。


> 最終的に、半径20km以内の犬猫は強制的に没収して殺処分という措置もありえます。

現行の狂犬病予防法でも、狂犬病発生時には、犬以外の動物でも捕獲殺処分などを知事が命令できます。


> 放し飼い禁止、捨て猫禁止、野良猫幇助禁止こそは動物福祉であると思います。

全く同感です。
それは、私も繰り返し述べてきたことです。

No title

自分に危険がなければ、ホストの性質や行動を変えてしまう寄生虫やウィルスの研究は面白いものですね。今更ながら、私も学力があれば病原体やウイルス系の専門もできたのに…などと後悔(笑)

鼠・猫・トキソプラズマと似た関係のものには羊の旋回病とオオカミという例がありますし(旋回を繰り返させ,捕食されやすくなって終宿主にたどりつきやすくする)、バキュロウイルスはガ類の幼虫に寄生して地面に降りる行動を阻害する(幼虫の体が液状化して、それに溶けたウイルスが飛び散りやすくなる?)など、自然界には意外と多いものなんでしょうね。

犬や猫を宿主にするもので、人へ感染してあまり目立った毒性がないものってある意味成功者ですね。

しかしそれでも、恐ろしいのは、小さくて増えるのが早い生き物はインフルと同じく、現時点では害がなくても、いつ強毒化・特効薬無効化してもおかしくないところですけど。
宿主の実数・密度が増えれば増えるだけその進化のリスクは上がりますね。

Re: No title

THEO様、コメントありがとうございます。

> 自分に危険がなければ、ホストの性質や行動を変えてしまう寄生虫やウィルスの研究は面白いものですね。

最も原始的なウイルスから多細胞生物の線虫まで、寄生生物はホストの行動を変えてしまう何らかの作用を及ぼすようです。
もちろん、ホストの行動を変える目的は、自分たち(寄生生物)の増殖を容易にするためです。
それを思えば、野良猫愛誤の行動は、まさにそれです。
・餌やり~野良猫の繁殖力を高めて猫が増える~トキソプラズマの終宿主が増える。
・地域猫、TNR至上主義~放し飼いすることにより猫同士のトキソプラズマ感染が拡大する、糞をばら撒くことにより中間宿主への感染が広がる~それを捕食して猫が感染する、人が感染すれば猫愛誤になり、野良猫増殖活動をする人間が増える。
・猫愛誤の反愛誤に対する暴力行為~もちろん、トキソプラズマ感染拡大を阻止しようとする動きの封じ込みです。


> 自然界には意外と多いものなんでしょうね。

寄生生物がホストをコントロールすることは、自然界では多く見られますが、トキソプラズマはかなり高度なこと押していますね。
野良猫愛誤さんたちは、一度省みて、自分がもしかしたらトキソプラズマにマインドコントロールされているのではないか疑ってみるのも良いかもしれません。
トキソプラズマ抗体検査を、一般外来で行っているところもあります。


> 犬や猫を宿主にするもので、人へ感染してあまり目立った毒性がないものってある意味成功者ですね。

症状が出にくい、かなり期間を経てから発症するなど、巧妙です。
それゆえに、トキソプラズマの危険性が今までそれほど問題視されなかった理由でもありますが。


> 現時点では害がなくても、いつ強毒化・特効薬無効化してもおかしくないところですけど。
> 宿主の実数・密度が増えれば増えるだけその進化のリスクは上がりますね。

トキソプラズマ原虫自体進化していなくても、例えば抗がん剤や免疫抑制剤の多用、高齢化、エイズなど免疫不全の新たな疾患などにより、今までそれほど危険ではなかったトキソプラズマが、致死的な疾患にもなりつつあります。
もしかしたら知らないあいだに、トキソプラズマは進化して毒性が強まっているのかもしれません。
今までこの感染症は、「大して危険ではない」とされ(30年ほど前には、産婦人科医が「リスクはほぼゼロ」なんて言っていました)、研究が進んでいなかったからです。
プロフィール

さんかくたまご

Author:さんかくたまご
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1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

・座右の銘は「人の行く裏に道あり花の山」
・好きな生き物 メジロ
・尊敬する人 ガブリエルシャネル(シャネル社創業者)
・好きな言葉 Das Beste oder nichts「最善か無か」。ダイムラー・ベンツ社の企業理念。私自身は何事も中途半端でいい加減です。ですからこの言葉に憧れます。

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