ネコは、撲殺しても、槍で刺殺しても、水没殺しても違法ではないー4
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ネコは、撲殺しても、槍で刺殺しても、水没殺しても違法ではないー1、
ネコは、撲殺しても、槍で刺殺しても、水没殺しても違法ではないー2、
ネコは、撲殺しても、槍で刺殺しても、水没殺しても違法ではないー3、の続きです。ネコ(「イエネコ種」。学名Felis silvestris catus)に対する規定がある法律は、鳥獣保護狩猟適正化法と、動物愛護管理法があります。前者では、(ノ)ネコは狩猟鳥獣ですが、後者では飼い主がないものも、ねこは法律の保護の対象としています。両法律の規定は相反します。このような場合は、一般法に対して特別法が優越されます。つまり本件では、特別法である鳥獣保護狩猟適正化法が優越すると考えられます。
まず一般法と特別法の定義から述べます。ウィキペディア一般法・特別法、から引用します。
一般法(いっぱんほう)とは、適用対象がより広い法のことを、特別法(とくべつほう)とは、適用対象がより特定されている法のことをいう。
両者の区別は相対的である。
一般法とはその分野に対して一般的に適用される法であり、特別法がない限りその法律は適用される。
特別法は一般法に優先する。一般法と特別法とで法が異なった規律を定めている場合、特別法の適用を受ける事象は一般法の規律が排除され、特別法の規律が適用される。
一般法と特別法が相反する規定があるのは珍しいことではありません。例を挙げれば、建築業界でしばしば紛争の原因になった、建物建築に際しての、隣地との境界後退義務があります。
民法234条では、「建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない」と規定しています。しかし建築基準法65条では、「防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる(つまり境界後退は必要ない)」としています。
民法234条で定める境界からの50センチ後退をせずに鉄骨造の建物の新築に着手した隣人に対して、民法本条の規定を根拠に、その建物の収去を求める裁判を提起した人がいます。しかし最高裁判所は、建築基準法65条を根拠とし、原告の請求を棄却しました。最高裁判所判決 昭和58(オ)1413 建物収去等請求事件。
この判例についての解説では、法学上の原則=「特別法は一般法に優越する」を、最高裁が支持したとしています。
さて、猫を殺害した場合ですが、・殺害した時期が猟期内であり、・狩猟可能区域内であり、・かつ法律に違反しない猟法と仮定します。この猫の殺害という行為ですが、鳥獣保護狩猟適正化法を援用すれば、全く合法的な行為です。しかし動物愛護管理法では、44条1項「みだりな愛護動物の殺傷」違反になる可能性があります。
では、どちらの法律が優越するのでしょうか。前述したとおり、学説では、特別法である鳥獣保護狩猟適正化法が優越し、この場合の猫の殺害は合法であり、処罰できないということになります。
前回記事、ネコは、撲殺しても、槍で刺殺しても、水没殺しても違法ではないー3、では、猫を殺傷した者を動物愛護管理法違反で起訴するのであれば、刑事訴訟法上、その猫が完全に動物愛護管理法上の愛護動物である「ねこ」であることの立証責任は、検察が負うことを書きました。
その猫が、鳥獣保護狩猟適正化法上の狩猟鳥獣である「ノネコ」であれば(愛護動物である「ねこ」である証明ができなければ)、その者は無罪となるべきです。
今回述べた、特別法である鳥獣保護狩猟適正化法が、一般法である動物愛護管理法に優越するという、法学上の原則からしても、殺傷された猫が明らかに動物愛護管理法上の「ねこ」でない限り(鳥獣保護狩猟適正化法上の狩猟鳥獣である「ノネコ」である可能性がわずかでもある限り)、猫を殺傷した者は無罪であるのが正しいのです。
猫を殺傷して、動物愛護管理法で有罪になった事件はいくつかありますが、その多くは無罪、もしくは鳥獣保護狩猟適正化法違反(動物愛護管理法違反より最高刑が軽い)であった可能性があります。猫を殺傷した犯人側についた弁護人も動物愛護管理法や鳥獣保護狩猟適正化法に疎かったと思われます。
猫の殺傷事件は、多くの場合、愛誤が「動物愛護管理法違反」と大騒ぎして起訴に至りました。愛誤の大騒ぎがなければ起訴以前に、起訴猶予程度で収まった事件も多いと思われます。起訴後も、適切な審議(既に述べた通り、その猫がノネコの可能性がなかったかなど)が行われたかは甚だ疑問です。
日本は、野良猫愛誤の妄言が行政を左右する、狂気の愛誤国家です。司法まで愛誤の圧力が及び、適切な審議を阻害しているとなれば、日本は世界に冠たる狂気のお猫様国家、超愛誤先進国です。
次回は、動物愛護先進国ドイツの猫駆除についてご紹介します。ドイツでは、連邦狩猟法(=Jagdgesetz)では、犬猫(飼い主のない、と思われる)は、狩猟対象で、その駆除はむしろハンターの責務とされています。ドイツでは、「連邦狩猟法(=Jagdgesetz)が動物保護法(Tierschutzgesetz)に優越する」と、動物保護法(Tierschutzgesetz)の条文に明記されています。また、「フリーローミング(自由に外を徘徊している)猫は、狩猟対象である」との判例が確立しています。さらには、動物保護法(Tierschutzgesetz)の保護対象は、現に人に飼育されている動物のみであり、人の管理外の飼育動物種や野生動物は本法の適用外です。
日本は、動物愛護管理法では、特定の愛護動物は人に占有されていなくても保護の対象です。人に管理されていなければ、動物はいくらでも被害をもたらします。そのような動物まで保護の対象としている国は、先進国ではおそらく日本だけでしょう。
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