野良猫への餌やり禁止が憲法違反とは-4  ┐(´-`)┌ ヤレヤレ





 「野良猫への餌やりを禁じる条例は憲法、法令などの上位法に反するから違憲、違法で無効」と主張する方がいます。しかし全くの誤りです。


・問題のブログ記事です。

北海道羽幌町の「天売島ネコ飼養条例」の第18条を削除するよう要望してください

島ネコ飼養条例第18条に「住民並びに天売島を訪れる者は、自ら飼養していないネコに対エサ水を与えてはならない」と書かれてありますが、この文言は法令違反もしくは抵触します。

1.愛護動物である野良猫に対しての餌やりを禁止する法律はありません。
従って市民もしくは観光客に対し餌やりを禁止させる行為は憲法第31条に反する違憲行為もしくは抵触する行為となります。

2. 条例の中に「ネコに餌や水を与えてはならない」という文言を入れることはできません。
もし下位法である自治体の条例でエサやりを禁じれば、憲法第94条に反する違憲行為もしくは抵触する行為となります。

憲法第94条「地方公共団体はその財産を管理し事務を処理し及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することが出来る」

以上の理由から自治体が条例で所有者不明ネコのエサやりを規制したり、公園などにエサやり禁止看板を設置することはできません。

 
「憲法では餌やりを禁止していないため、下位法である自治体の動物条例で、上位法に書かれていない事を禁じることはできません」。


 私は上記問題のブログ記事での「餌やりを禁じることは憲法違反」との主張が誤りである理由を数回にわたって述べました。今回は、問題のブログ管理者の、上位法下位法に関する解釈の誤りを指摘したいと思います。

 自治体の条例制定権の根拠は、憲法94条「法律の範囲内で条例を制定することが出来る」、および地方自治法14条「法令に違反しない限り条例を制定することができる」です。
 「法律の範囲内」「法令に違反しない」ということは、法令(まして憲法で)書かれていることとの完全一致ではありません。

 建築基準法を例示します。建築基準法43条1項では、「建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない」と定めています。建築基準法で明文化された接道義務は「道路に2メートル以上接すること」だけです。
 しかしほとんどの自治体では、条例によって大規模建築物については建築基準法の上記規定より厳しい基準を設けています。東京都でも一定規模以上の大規模建築物については、都建築安全条例で道路に8メートル以上接することを義務付けています。

 マンション業者が新宿区で建築確認申請を行った際に、区の担当者は、敷地が8メートル接していなければならない大規模マンションであったのに、誤って接道が8メートルに満たなかったのに建築を許可してしまいました。 付近の住民は、このマンションが都条例に違反することを根拠に建築差し止め訴訟を提起しました。本訴訟は、最高裁判決で都条例に基づき建築差し止めが認められました。


平成21(行ヒ)145 事件名 建築確認処分取消等請求,追加的併合申立て事件


 「建築基準法での接道義務の規定は2メートル以上」「都条例は大規模建築物に対しての接道義務は8メートル以上」。このケースでは、都条例は、上位法である建築基準法に書かれていない事を禁じています。
 しかしこのことは、憲法94条「法律の範囲内で条例を制定することが出来る」、および地方自治法14条「法令に違反しない限り条例を制定することができる」のいずれにも抵触しません。

 画像(d)(e)で、全体集合Uは建築が許可されるための要素、Aは建築基準法で定める接道義務、Bは条例で定める接道義義務とします。
 画像(d)は、「建築基準法での接道義務は2メートル以上」「都条例では大規模建築物での接道義務は8メートル以上」を表します。これは数学でAはBを包含するといいます。大規模建築物に対して8メートルの接道義務を課すことは、必然的に建築基準法の2メートル以上の接道義務を満たすことになり、都条例は憲法にも法令にも反しません。

 画像(e)では、「建築基準法での接道義務は2メートル以上」、架空の条例、「敷地が道路に1メートル以上接していれば建築できる」を表しています。この場合、2メートル未満しか接道していない敷地での建築は建築基準法に違反します。この架空の条例は憲法94条(法の範囲を逸脱する)、地方自治法14条(法に反する)に違反するために無効です。
 ですから条例で「1メートル以上道路に接している敷地では建築できる」という規定を定めても、接道が2メートル未満の土地には建築できません。

 画像(c)のケースを説明します。建築基準法では、建物の色に関しては規制がありません。Aを建築基準法での規定、Bを建築物の色に関する条例による規定とします。
 建築基準法では、建物の色に関する規制はありませんから、条例によって建物の色を規制したとしても建築基準法に反することにはなりません。
 例えば京都府長岡京市では、建物の色に関して厳しい規制があります。条例に反する色彩では建築物を立てることはできません。対して東京都では、建築物に関しては色に関する条例での規制はありません。漫画家の楳図かずお氏が国立市に奇抜な色の家の建築に着手し、近隣住民は建築差し止め訴訟を起こしましたが却下されました。

 例示が長くなりましたが、以上が上位法と下位法の関係です。「下位法で、上位法に書かれていない事を禁じることはできません」という主張がいかにナンセンスかお分かりいただけるかと思います。
 全ての法令の規定が憲法で書かれていますか。少し考えれば分かることです。

 さて動物愛護管理法では、第1条「この法律は、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止することを目的とする」とあり、動物の管理をも目的とした法律です。
 そのために第9条で「地方公共団体は、動物が人に迷惑を及ぼすことのないようにするため、条例で定めるところにより、動物の飼養及び保管について、動物の所有者又は占有に対する指導その他の必要な措置を講ずることができる」とあり、地方公共団体に具体的な愛護動物に関する管理規定を条例化することを明示し促しています。
 それを「法令が条例に委任」「法令の授権に基づいて制定する」といい、委任条例といいます。建築基準法でも、細かな基準は条例に委任するとの条文があります。
 
 対して法令の委任授権に基づかない条例を自主条例といいます。委任条例は自主条例より、より合法性に疑いの余地がないといえます。
 天売島における野良猫への餌やり禁止条例ですが、まさに動物愛護管理法1条および9条に基づき、法から委任を受け、授権に基づいた典型的な委任条例であり、合法性は疑いの余地がありません。

 近隣の住宅地では、野良猫の糞害が問題になっています。それは近隣住民に対しての財産権の侵害です。
 また天売島は希少生物の繁殖地であり、天然記念物に指定されています。天然記念物は、国民共有の財産です。文化財の毀損は文化財保護法で懲役5年以下に罰せられる犯罪です。野良猫による希少生物の食害などの、文化財の毀損を未然に防止するための本条例は全く正当です。


 長々退屈な記事にお付き合い下さりありがとうございました。次回は「行政指導」と「法令・条例」との関係について述べたいと思います。
 問題のブログ主をはじめ、環境省ガイドラインや通達指針、はては県の指針などの行政指導の類を根拠にして、餌やりを禁じる条例が無効、違法との主張をする愛誤が多すぎるからです。それは全くの誤りです。

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さんかくたまご

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1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

・座右の銘は「人の行く裏に道あり花の山」
・好きな生き物 メジロ
・尊敬する人 ガブリエルシャネル(シャネル社創業者)
・好きな言葉 Das Beste oder nichts「最善か無か」。ダイムラー・ベンツ社の企業理念。私自身は何事も中途半端でいい加減です。ですからこの言葉に憧れます。

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