なぜマスメディアは、野良猫放し飼い猫の感染症リスクについて触れないのか~エキノコックスー2





Domestic/inländisch

 前回記事、なぜマスメディアは、野良猫放し飼い猫の感染症リスクについて触れないのか~エキノコックスではエキノコックスは複数の種が有り、イヌ科動物を終宿主とするものもありますが、ネコ科動物を終宿主とするものもあることを述べました。日本に存在するエキノコックスは多くがネコ科動物も終宿主とする種です。人がエキノコックスに感染する経路は、終宿主の糞便とともに排出されたエキノコックスの虫卵を経口接種することです。つまり日本のエキノコックスの多くの種が終宿主をネコ科動物とするということは、野良猫や放し飼い猫は、野犬やキツネなどのイヌ科動物以上に、エキノコックスの感染リスクとなりうるということです。


 The Scottish Terrier Club of America、おそらくアメリカの愛犬クラブのような団体だと思いますが、HPでエキノコックスに関する学術論文を掲載しています。かなり専門的な内容です。以下にその記事を引用します。Echinococcus (hydatid tapeworm) Infections in Dogs, Cats, and Other Animals 「犬、猫と他の動物におけるエキノコックス(水胞体条虫)感染症」。


Human and animal echinococcosis, acquired through contact with the feces of infected canids or felids, is a potentially serious disease, requiring constant surveillance by knowledgeable, trained personnel.
Table 1 displays the four species of Echinococcus that currently are recognized as valid.
Echinococcus multilocularis uses canids and felids as definitive hosts and micro tine rodents (voles, lemmings, muskrats, water rats) as principal intermediate hosts.
Numerous cases of multilocular hydatid disease have been reported in the Eskimo populations of Alaska, and from Europe, northern Eurasia and the Far East.

人間と動物のエキノコックス症は、感染したイヌ科やネコ科動物糞便との接触を介して人が感染する、博識で熟練した関係者が、常に監視しなければならない潜在的に重大な疾患です。
表1は、現在エキノコックス症の原因となることが確認されている、エキノコックスの4種です。
多房性エキノコックス(Echinococcus multilocularis)は、イヌ科やネコ科動物などを固有の終宿主とし、最も小型のげっ歯類(ハタネズミ、レミング、マスクラット、ウオーターラット)を中間宿主として利用します。
多房性エキノコックスの多数の症例は、アラスカのエスキモーの集団、ヨーロッパ、北ユーラシアおよび極東から報告されています。



 引用した論文によれば、日本(極東=the Far East)に存在するエキノコックスの種は、多房性エキノコックス(Echinococcus multilocularis)です。この種は、終宿主になるのはイヌ科動物とネコ科動物です。つまり野犬、キツネなどのイヌ科動物とともに、ネコ科動物が感染源として危険ということです
 さらにこのエキノコックス種は、中間宿主として小型のげっ歯類(ネズミ類)を利用するとあります。小型のげっ歯類を好んで捕食するのは、野犬や飼い犬より、野良猫、放し飼い猫でしょう。終宿主は、虫卵では感染しません。中間終宿主を食べることにより、幼虫が感染します。

 日本経済新聞電子版の記事では、飼育動物種ではエキノコックス感染対策として、野犬の危険性と飼い犬の移動実態を調べるとあります。猫には全く触れていません。しかし現在日本では、野犬の数は極めて少なくなっています。また飼い犬は、自由に屋外に放されることはなく、ネズミ類を捕食することはまず考えられません。
 対して、小型のげっ歯類(ネズミ)を好んで捕食するのは猫です。野良猫、放し飼い猫は、常にエキノコックスに感染したネズミ類を捕食する環境にあります。

 対して猫は、野良猫の数が大変多く、飼い猫でも放し飼いをする飼い主が多いです。それらの猫は、常に係留されている飼い犬と異なり、自由に屋外を徘徊します。犬と猫が、どちらがエキノコックスに感染する危険性が高いか、明白でしょう。
 また、野生動物のキツネからの感染より、より人の生活圏に近い野良猫放し飼い猫の方が、よりリスクが高いかもしれません。野良猫放し飼い猫は、仮にエキノコックスに感染しなくても、虫卵を体に付着させて人間の生活圏に運んで来るという働きもします。それなのに日本経済新聞(共同通信)の記事は、キツネと犬の危険性しか触れていません。私は大変疑問に思います。


(追記)

 エキノコックスに関しては、こちらでも詳しく取り上げています。エキノコックスと猫 2。またウィキペディアでも、猫によるエキノコックス感染リスクについては、ほとんど無視されています。エキノコックス症
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No title

>さんかく様

前回記事のコメントですが、10^(-10)%でも棄却される、というのは言い過ぎかもしれません(棄却されるかどうか微妙なラインです。)(汗)。ただ、10^(-5)%程度のオーダーでは余裕で棄却されてしまいます。すみません。

後、"definititive hosts"は単に『終宿主』という意味で、ここで"definititive"は単に『最終の』という意味です。同様に"intermediate hosts"は『中間宿主』です。

私が前回記事のコメントで、この論文は根拠にならないのではないか、と言ったのは、終宿主として犬科動物も区別無く扱われているからです。同じ犬科動物同士でも、タヌキはキツネほどは好適ではない事が知られていますが、この論文ではそれらを一まとめにして犬科動物として記述してあるので、ここでの終宿主とは『成虫が寄生し得る動物種』程度の意味だと思われます。

本来、宿主が好適であるかどうかを判別するには、その動物の体内での成育状態を調べたり、また明らかにその動物種が終宿主として機能している事を示すような統計的データが必要です。特に終宿主となり得ても、好適度に応じて虫卵の排出数やその確率(比率)等は変わって来るのが一般的ですので。特にここでは犬との比較で述べておられるので、そのような議論またはデータ無しに猫が(直接的なホストとして)犬と同等かそれ以上に危険である、という主張には論理的飛躍があるように感じたので、少し込み入った質問をさせて頂きました。

ただ、総合的な感染のリスク要因としては、さんかく様がおっしゃるようにある面犬より高いかも知れません。その事はしっかり周知されるべきだと思います。

長文失礼しました。

Re: No title

ー様、コメントあろがとうございます。

できれば、HNを付けていただけるとありがたいです。
ほかの読者様には、先にどのコメントをされた方かわかりませんので。


> "definititive hosts"は単に『終宿主』という意味で、ここで"definititive"は単に『最終の』という意味です。同様に"intermediate hosts"は『中間宿主』です。

解説ありがとうございます。
~definititive hosts「を決定した」、つまり「終の宿主とした」という意味ですね。


> 私が前回記事のコメントで、この論文は根拠にならないのではないか、と言ったのは、終宿主として犬科動物も区別無く扱われているからです。同じ犬科動物同士でも、タヌキはキツネほどは好適ではない事が知られていますが、この論文ではそれらを一まとめにして犬科動物として記述してあるので、ここでの終宿主とは『成虫が寄生し得る動物種』程度の意味だと思われます。

それは存じませんでした。
イヌ科動物でも、好不適があるということですね。


> 本来、宿主が好適であるかどうかを判別するには、その動物の体内での成育状態を調べたり、また明らかにその動物種が終宿主として機能している事を示すような統計的データが必要です。特に終宿主となり得ても、好適度に応じて虫卵の排出数やその確率(比率)等は変わって来るのが一般的ですので。特にここでは犬との比較で述べておられるので、そのような議論またはデータ無しに猫が(直接的なホストとして)犬と同等かそれ以上に危険である、という主張には論理的飛躍があるように感じたので、少し込み入った質問をさせて頂きました。

ご指摘の意味が理解できました。
本文を訂正しておきます。


>総合的な感染のリスク要因としては、さんかく様がおっしゃるようにある面犬より高いかも知れません。その事はしっかり周知されるべきだと思います。

終宿主としての好不適という面だけではなく、人の生活に密着している度合いなども総合的に評価されるべきでしょう。
ネコ科動物がエキノコックスの終宿主となり、虫卵も排泄しているのは確認されている事実です。
それとその動物が終宿主にならずとも、虫卵を付着して、人間の生活圏に運び込むけーすもあります。
ですからやはり日経新聞の、野良猫、放し飼い猫の危険性に全く触れなのは、偏向・誤りであることには間違いないと思います。


>
> 長文失礼しました。

アクセス御礼

ぎりぎりレコード更新にはなりませんでした。

カテゴリー 猫
順位 33/6848
純アクセス数 925
総アクセス数 2649

カテゴリー ペット
順位 98/39027

No title

アクセス 地域内訳(解析できたもののみ)
1 jp 日本 2,292 94.7%
2 com 不明 (米国営利組織) 118 4.9%
3 fi フィンランド 6 0.2%
4 id インドネシア 1 0.0%
5 cz チェコ共和国 1 0.0%
6 tv ツバル 1 0.0%
7 es スペイン 1 0.0%
8 net 不明 (ネットワーク組織) 1 0.0%

使用言語 内訳(解析きたもののみ)
日本語 (ja) 891 64.8%
日本語/日本* (ja-jp) 297 21.6%
英語 (en) 174 12.7%
英語/米国 (en-us) 13 0.9%


国別ドメインがjpで、使用言語が英語の方からのアクセスが意外と多かったです。
最近、ドイツ語の記事を書いていませんので、ドイツ語圏からのアクセスが激減しています。
また、ドイツの動物愛護事情を取り上げたいと思います。

おそらく

スマホだと日本なのに使用言語が英語になるようです。

全く関係ない話で申し訳ないですが

多頭飼育崩壊の統計は出てるんでしょうか?
Twitter等で回って来るのを見てたら、年間五千~一万頭ぐらいはありそうなんですが・・・

>さんかく様

すみませんでした。HNはねこ好き大学生でお願いします。多分数年前にも一度コメントさせて貰った事があると思います。

後、前回記事のコメントも分かり難くてすみませんでした。寄生虫の基本的な事項等をもう少し詳しく説明した方が良かったかも知れません。

確かに、この記事は猫について触れていないだけでなく、何に気をつけなければいけないのか、というような事さえ曖昧なので、ちょっと…と思ってしまいます。個人的には最近のメディアの、主に科学分野の報道のいい加減さ、適当さには呆れてしまいますが。

エキノコックスに関しては私も時間がある時に最新の研究結果等を少し調べてみようと思います。

Re: おそらく

フェイル様、コメントありがとうございます。

> スマホだと日本なのに使用言語が英語になるようです。

なるほど、それで海外からのアクセス数より使用言語が英語でのアクセス数がはるかに多い謎が解けました。
以前、ドイツ語圏からのアクセス数より、使用言語がドイツ語でのアクセス数が多かったことがありました。
多分ドイツ大使館に、NHKの嘘番組のことをお知らせして「注意したらいかがですか」と申し上げたことがありました。
多分、ドイツ大使館からのアクセスだと思います(ホスト名は出ないようにしてありました)。

Re: 全く関係ない話で申し訳ないですが

人間山脈様、コメントありがとうございます。

> 多頭飼育崩壊の統計は出てるんでしょうか?

私は存じません。
これは私の想像ですが、そのような統計はないのではないでしょうか。
「多頭飼育崩壊」の定義が定まっていないでしょう。

Re: タイトルなし

ねこ好き大学生様、コメントありがとうごあいます。

> 前回記事のコメントも分かり難くてすみませんでした。

2回目のコメントで、おっしゃりたいことが理解できました。


> この記事は猫について触れていないだけでなく、何に気をつけなければいけないのか、というような事さえ曖昧なので、ちょっと…と思ってしまいます。個人的には最近のメディアの、主に科学分野の報道のいい加減さ、適当さには呆れてしまいますが。

少し前にも、NHKの報道で「トキソプラズマの原因は、トキソプラズマに感染した生肉を食べることである」とありました。
猫の糞便については、一切触れていませんでした。
日本のと畜場法や食品衛生法は、世界的にも基準が厳しく、トキソプラズマ感染の畜肉はまず市場に出回りません。
私はかつて、「日本のトキソプラズマ感染原因は、猫の排泄物がほとんどである」との文献をいくつか見ています。
中南米などでは、感染原因の多くは、感染した生肉を食べることとされていますが。
NHKの報道は、偏向を通り越して「嘘」と言えると思います。


> エキノコックスに関しては私も時間がある時に最新の研究結果等を少し調べてみようと思います。

今回のエキノコックスに関する記事は、やや未消化という感じがします。
よろしければ、参考資料を頂ければありがたいです。

さんかくさま

有り難うございます。
やっぱりないですか。確かに定義が曖昧ですもんね。
こういう話、ここぐらいしか聞けないんですみませんm(_ _)m他は大体、多頭飼育崩壊したら、全国民で協力し合えば助けれる(勿論、全然追い付く訳ないです)というお花畑の人が多く、事前の対策を考える人がいなくて、へきへきします

Re: さんかくさま

人間山脈様

> やっぱりないですか。確かに定義が曖昧ですもんね。

と思いますね。
お役にたてずすいません。

多頭飼育

>人間山脈さん
 行政上の多頭飼育崩壊の定義が無いため、その名前での統計は見たことがありません。しかし、以前に国会で多頭飼育の問題が議員から指摘され、環境省が全国自治体にアンケート調査を行ったことがあります。その結果は、環境省の審議会で報告されています。
動物愛護管理基本指針の点検(第2回)について参考資料 5-8ページ
HYPERLINK "http://www.env.go.jp/council/14animal/y140-24/mat02_3.pdf" http://www.env.go.jp/council/14animal/y140-24/mat02_3.pdf
 資料はあくまでも行政が苦情として認知した件数に留まります。また、全体の苦情件数は掲載されていますが、例えば「改善した」という結果についてもその動物がどのように措置されたのか、譲渡・引取りにより飼育数が減少したのか、飼養形態を変更したのかはわかりません。

No title

さんかくたまご様、こんばんは。
先日より仕事で時間が取れず、記事・コメント欄を拝読しつつ、コメントを入れれずにおりました。

前記事のゴミステーションですが、北海道方言だったようで…お恥ずかしいです<(__)> 正しくは、ゴミコンテナでした。居住地町内に、複数、あります。

横から失礼いたします。

ねこ好き大学生様

最新の研究結果等見つかりましたら、ぜひぜひ教えてください。
先のコメントの通り、生活環境に不安があるためです。
私自身は、大学でも文系を専攻、現在は、全く関係ない分野に勤務しているため、ネット情報以外のものを調べられませんで…… 申し訳ありません。

Re: No title

mmStrayCat様、コメントありがとうございます。

> 前記事のゴミステーションですが、北海道方言だったようで…

こちらでは、ゴミステーションは、ゴミを集約する場所のことです。
地域によって言い方が違うのですね。


No title

>さんかく様
>mmStrayCat様

はい、暫くは本業(専門)が忙しいので時間がかかるかも知れませんが、調べてみたいと思います。

>mmStrayCat様

いえいえ、とんでもありません。私も全く専門外ですので、似たようなものです。

Re: No title

> >さんかく様

ご紹介いただいた、野良猫のグループ化の学術研究については、こちらでも資料を消化してから記事にしたいとおもいます。
内容が重いので、しばらく掛かるかもしれませんが。
プロフィール

さんかくたまご

Author:さんかくたまご
当ブログのレコード
・1日の最高トータルアクセス数4332
・1日の最高純アクセス数1324
・カテゴリー(猫)別最高順位7267ブログ中15位
・カテゴリー(ペット)別最高順位41358ブログ中37位

1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

・座右の銘は「人の行く裏に道あり花の山」
・好きな生き物 メジロ
・尊敬する人 ガブリエルシャネル(シャネル社創業者)
・好きな言葉 Das Beste oder nichts「最善か無か」。ダイムラー・ベンツ社の企業理念。私自身は何事も中途半端でいい加減です。ですからこの言葉に憧れます。

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