オーナーを搾取する「家賃集金管理システム」-5
書籍「不動産投資で地獄を見た人の怖い話」の、内容を一部ご紹介します。著者の加藤隆氏は、25年、50戸の不動産賃貸経営をサラリーマンと兼業で続けておられる方です。本書の他にも著書多数。
東京勤務の加藤氏は、名古屋にアパートを所有していました。賃貸管理会社のS社に管理を全面委託しています。
2011年、加藤氏は勤務中に消防署から連絡を受けました。なんと空室のはずの部屋で練炭自殺を図った者がおり、アパートに掲示してある賃貸管理会社に電話をかけても通じないということでした。消防署が言うには「一酸化炭素が他の部屋にも充満している恐れがある。他の部屋の入居者の安全確認のために、今すぐ部屋を開けて確認したい」とのことでした。
管理会社から加藤氏に連絡があったのは、その日の夕方でした。練炭自殺を図った入居者?は亡くなりましたが、他の方は無事でした。
「ところでこの部屋は空室だったはずですが?」と加藤氏が問えば、管理会社の担当者は「(入居されていたことを)オーナーさんに連絡するのが遅れてしまって」と答えました。遠隔地の物件は、入居後もオーナーには黙っておいて、管理会社が家賃を貰いっ放しということだって可能です。
この物件を管理受託していたS社は「緊急連絡先」として、アパートに会社の代表電話を掲げていました。それでは休日夜間など対応できませんから意味のないことです。
管理会社によっては、警備会社に再委託して、夜間休日の緊急対応にあたっているところもあります。ただ警備会社が部屋の鍵を管理することは少ないようです。警備会社が各戸の鍵を保管していなければ、夜間休日に上記のような事件が発生すれば対応できません。ましてや上記の事件は、平日の昼間に発生しました。管理会社に連絡が付かなかったというのはもってのほかです。
賃貸管理会社の「緊急対応」には、期待しないほうが良いでしょう。
さらには、負担分担が不明朗、管理受託会社が「空」緊急対応費を計上して着服することも多々あります。緊急対応費はリフォーム工事と異なり、「していない」ことの立証が難しいからです。
たとえば「近隣からアパート内で大声で争う声がするという苦情が夜間に寄せられたので緊急出動した」というケースでは、その事実を確認することは難しいです。
オーナーが入居者に一人一人に「夜中に大声を出していたのはあなたですか」と訊ねることなんてできません。また通報をした近隣住民の特定もできません。管理会社は「匿名で通報を受けました」といえばそれでおしまいです。緊急対応費は、やろうと思えばいくらでも空計上できるのです。
このようなケースもあります。
賃貸不動産管理をめぐるトラブル等の現状平成21年 国土交通省総合政策局不動産課
○管理手数料に関するトラブル
借主がトイレの鍵を壊してしまい、夜中に閉じ込められた時、管理会社の人が駆けつけて修理してくれた。
その時、鍵代のほかに手数料3千円を管理会社に請求された。
家主である自分がそれを負担した。
手数料3千円は緊急対応費という名目でしょう。しかし入居者の過失により鍵を壊したのであれば、緊急対応費も含めて入居者が負担すべきです。
○管理業務に関するトラブル
アパートで漏水があり建物の管理委託した会社の怠慢で住民から損害賠償を求められた。
休日だった為、アパートの管理を任せた管理会社がきちんと対応をしなかった。
管理会社は24時間対応すると言っていたのに話が違う。


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オーナーを搾取する「家賃集金管理システム」-5
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