オーナーを搾取する「家賃集金管理システム」-4
以下は賃貸不動産の全面委託(家賃集金システムと称しているところもあります)と呼ばれるものです。
大手ハウスメーカーや大手投資分譲マンションの賃貸管理部門では、全面委託を条件としているところがほとんどです(独立系の管理会社では、業務の一部を受託するところもあります)
1、入居者の募集・賃貸借契約締結。
~専任媒介契約(入居者募集を一社が独占して行う媒介契約。賃貸での入居者募集では、専任媒介契約のメリットはオーナーにはほぼありません。それは別の機会に詳述します。対して複数の業者に媒介を依頼できる契約を一般媒介契約です)を条件とします。
もちろん入居者が決まれば、宅建業法で定める最高額の仲介手数料がかかります(あたり前)。
2、入居者が支払う家賃、敷金等一切を、賃貸管理会社が一旦集金する。
~この危険性については、既に述べました。
3、家賃の督促や入居者の苦情受付など。
~家賃の督促回収は、賃貸管理会社には法的権限はありません。
また、オーナーと入居者間のトラブルの仲裁も権限はありません。
以上は法律事務に該当し、弁護士等に資格を要するからです(これも既に述べました)。
4、保険引き受け、リフォーム、清掃、警備等緊急対応。
~これがもっとも賃貸管理会社にとって、利益になります。
なぜならばリフォームや緊急対応費は、賃貸管理会社が他社に下請けさせれば料金を上乗せするからです。
3割くらいは平気です。
また自社で行う場合でも、大変割高な金額になります。
競合がなければ、がんばって良心的な金額を提示する業者なんていません。
今回は、この問題について論じます。
不動産賃貸経営においてはリフォームは欠かせない、もっともランニングコストがかかる業務です。またオーナー、入居者間でもっともトラブルが頻繁に発生します。入居者様の退去に伴う原状回復費用の分担でです。
賃貸不動産管理会社は、オーナーの入居者様の退去立会いを認めないところが多いです。理由は「原状回復費用の分担については、賃貸管理会社が専門知識がある。無知なオーナーが口出しすればトラブルになるから」という理由です?
また退去後のリフォームをどの程度するかも、管理会社に一任することを求められます。理由は「どの程度リフォームするかの判断は専門的知識を要するから」という理由?です。
また、一括借上げ契約をしていれば「十分なリフォームをしなければ入居者募集で不利になから一括借上げすることができない」という理由です。これは、一括借上げ契約で「借主(賃貸管理会社)が行うリフォーム工事を行うことを条件とする」と謳っているはずです。
他に賃貸管理会社にリフォーム工事を一任し、オーナーが現場を確認できなければ、「高コスト」以外にどのようなリスクがあるのでしょうか。
以下のリンクは「国土交通省総合政策局不動産課」が発表した、不動産賃貸管理会社の、リフォーム代行トラブルです。
http://top.zenjyu.or.jp/report/pdf/report06/re...
○家賃等100万円の着服
マンションの賃貸人であるXは、平成10年6月頃から、業者Yに賃貸マンションの媒介と管理業務を委託していたが、委託後程なく、家賃等がYからXにきちんと交付されなくなってきたと感じたため、独自に調査を行った。
その結果、Yは、行ってもいないと思われるリフォームをしたと言って、リフォーム代相当をXに渡す家賃から差し引いて、賃借人から受領した賃料の一部をYに渡していないことが判明した。
○ 原状回復に伴う賃貸管理業者とのトラブル
入居者が入れ替わるたびにたとえ半年でもリフォーム代を請求される。
一度腹に据えかね、退室時の様子を見たいと告げ、退去者が出た際にアパートを見に行ったことがあるが、事前に伝えていたにもかかわらず、壁紙など剥がされリフォームの途中だった。入れ替わるたびにリフォーム代がかかるばかり。
上記事例で、行ってもいないリフォーム工事を行ったと偽り、その代金を家賃等から差し引くなどは起きてあたりまえでしょう。同様のケースはしばしば見聞します。オーナーが現場を確認することもなく、その空代金を家賃等から勝手に差し引いて取りはぐれも無ければ。
餓えた犬をつなぐことも無く、その前にご馳走を置いて「ご馳走の番をしろ」と言いつけるのと同じです。私に言わせれば「ご馳走を犬に食われてしまった」と文句を言うほうがバカです。
また過剰なリフォームを行うのも、上記の理由で起きるのは必然です。
よほど酷い使い方さえしなければ、半年の入居期間でクロス全面貼り替えはまず必要ありません。もし半年でクロス全面貼り替えが必要なほど毀損していれば、自然な経年劣化では無く、入居者の故意過失です。入居者からその現状回復費用を請求できます。
しかし賃貸管理業者はオーナーに負担させます。なぜならば家賃から差し引けば取りはぐれがないからです。
賃貸管理業者が「オーナーは素人だから専門知識のある賃貸管理業者に管理委託するのが常識」というのは大嘘です。
リフォームのセンスや必要範囲の把握など、驚くほど無知な賃貸管理業者も多く存在します。彼らの目的は、オーナーの賃貸経営のサポートではなく、自社の利益です。
「賃貸管理業者にリフォームを任せていたら、玄関のクッションフロア(ビニール系床材)が木目柄で仰天した」なんていう話は頻繁に聞きます。玄関床が木目柄とはどういうセンスをしているのでしょうか。
それは他所の室内床材のあまりを廃物利用したからです。それでもしっかり工事費は取られたそうですw
私は賃貸管理を委託していませんが、宅建業者から私の物件に難癖を付けられて「ウチでリフォームしなければ決まりません」と脅されます。「和室の塗り壁は人気がありません。洋室に変えなさい。塗り壁に直接クロスを貼る方法があります」などです。しかし間柱を残したままクロス仕上げの洋室に変更しても、中途半端でかえって安っぽくなります。
要するにオーナーの物件をけなしてリフォームさせ、代金のピンハネが欲しいだけ。リフォーム工事のど素人が平気でそんなことを言います。
・こちらでも記事を公開しています。
オーナーを搾取する「家賃集金管理システム」-4
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