びっくり!世界の猫事情~ドイツ猫毛皮狂騒曲
私は既に何度かドイツ文化圏では、猫の毛皮がリウマチなどの治療効果があるという根強い信仰があることを紹介しました。2008年末から、EU域内での猫犬毛皮の貿易が禁止されました。しかしその後も、病気に悩む高齢者に猫毛皮毛布が法外な値段で売られたり、安価なウサギの毛皮を猫毛皮と偽って売られたりしています。
ドイツケルンテンのローカルニュースサイト、kleine zeitungの記事から引用します。Trotz Verbotes: Katzenfell verkauft「禁止されているにもかかわらず、猫の毛皮は売られています」2009年7月。
Tierschützer schlagen Alarm:
Oberkärntner Pensionisten (79) wurden - trotz Verbotes - Decken aus Katzenfell angeboten.
Zahlreiche Kärntner dürften in letzter Zeit Decken aus Katzenfell gekauft haben.
Obwohl der Import und Verkauf von Katzenfell seit Anfang des Jahres streng verboten ist.
Die Herstellung der Decken, die als Wundermittel gegen Rheuma und Arthrose gepriesen werden, geht auf grausamstes Tierleid zurück.
Ein schmerzgeplagter Oberkärntner Pensionist (79) ist einer österreichischen Handelsgesellschaft, die offenbar solche Decken verkauft, auf dem Leim gegangen:
Zuerst erhielt er einen Flyer ins Haus, auf dem ein Naturheilmittel gegen Schmerzen versprochen wird.
Dann sendete er den "Gratis-Informations-Gutschein" ein.
Ein paar Tage später stand ein Vertreter an der Haustüre.
Der Pensionist kaufte schließlich eine Unter- und eine Zudecke um 1838 Euro.
Es sei gar kein Katzen- sondern Kaninchenfell.
hätte die Firma keine 1800 Euro verlangen dürfen, denn Kaninchen sind viel viel billiger.
Ein Laie kann den Unterschied nur schwer feststellen.
動物愛護団体は警鐘を鳴らしています。
「オーバーケルンテンの、79歳の年金受給者は、禁止されているにもかかわらず、猫の毛皮の毛布を購入しました」。
ケルンテンの多くの人が、今でも猫の毛皮の毛布を買っているに違いありません。
今年の年初から、猫の毛皮の輸入および販売は固く禁じられているにもかかわらず。
リウマチや関節炎のための奇跡の治療法としてもてはやされている毛布は、猫にとって最も残酷で苦痛な方法により生産されます(引用した記事では「生きたまま皮を剥がされる」とありますが誇張でしょう)。
病気の痛みに苦しむオーバーケルンテンの79歳の年金受給者は、無理やりそのような毛布を販売しているオーストリアの商社に連れて行かれました。
状況は次のとおりです。
まず彼は、「この自然療法(猫毛皮毛布)は、痛みに効くことを保証します」というパンフレットを社屋の中で受け取りました。
それから彼は、「無料クーポンを差し上げます」というアンケート欄に個人情報を記入しました。
数日後、猫毛皮毛布商社の代表者が彼を訪問しました。
その年金受給者は、最終的に1,838ユーロ(24万円あまり)で猫毛皮毛布と付属品を買わされました。
しかしそれは猫の毛皮ではなく、ウサギの毛皮だったのです。
ウサギははるかに安価ですので、同社は、1,800ユーロで販売してはならないでしょう。
素人は猫とウサギの毛皮の、違いをほとんど見分けることができません。
EU域内で、猫犬の毛皮貿易が禁じれれて以降は、猫の毛皮が民間療法で用いられる国では、猫の毛皮の価格が高騰しています。しかし高齢者を中心に、猫毛皮のリウマチなどの治療効果があるという信仰が根強いので、未だに売られています。またご紹介した記事のように、安価なウサギの毛皮を猫毛皮と偽って売りつける詐欺商法がドイツでは横行しています。
詐欺商法の手口は、万国共通で笑えます。全文を訳していませんが、この事件では「あなたのお知り合いも買っていますよ」とか「素晴らしい治療効果がある」と煽り立てて、にせ猫毛皮毛布を購入させています。猫毛皮が禁止されているために、価格が高騰して騙される人も出てくるのです。しかしなぜウサギ毛皮が合法で、猫犬が禁止されるのかわかりません。
逆に、中国で生産された猫毛皮をウサギの毛皮と偽って、ドイツなどに輸出されているケースも大変多いのです。ウサギの毛皮と猫の毛皮は、専門家でも目視では区別が難しいのです。ドイツなどでは、散発的に通関時にDNA鑑定が行われ、中国からの猫毛皮輸入が摘発されていますが、氷山の一角でしょう。
中国での猫毛皮生産は盛んです。日本では全く規制がありません。三味線皮革用の原皮は、ほぼ100%が中国から輸入されています。なお日本に多く輸出される、リアルファーを用いた猫用おもちゃは、多くは猫毛皮製と考えて良いでしょう。
本文とは全く関係ない「辻井伸行・読売交響楽団 ベートーベンピアノ協奏曲5番「皇帝」」。
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