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捕食だけではなくトキソプラズマ感染でも野生動物を殺す猫~オーストラリアのアシカ







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(summary)
Toxoplasma gondii is an emerging pathogen in marine mammals, with substantial worldwide seroprevalence in pinniped (seal and sea lion), cetacean (dolphin and whale) and mustelid (sea otter) species, and documented mortalities in critically endangered populations.


 記事、
捕食だけではなくトキソプラズマ感染でも野生動物を殺す猫~ハワイモンクアザラシ
捕食だけではなくトキソプラズマ感染でも野生動物を殺す猫~カリフォルニア州のラッコ
の続きです。
 猫(ネコFelis silvestris catus)は国際自然保護連合(IUCN)においても、日本生体学会においても「侵略的外来種ワースト100」に選ばれています。猫の直接的な影響により絶滅した脊椎動物は63種とされています。猫は捕食により、特に鳥類や小型哺乳類に脅威を与えているのは周知されています。それ以外にも、猫はトキソプラズマ感染症により大型の希少な海洋性哺乳類を殺しています。希少種のアザラシ、ラッコ、アシカ、イルカ等が猫が終宿主のトキソプラズマ感染によって死亡していることが明らかになっています。今回は希少種のオーストラリアアシカについて述べます。



 オーストラリアアシカとは、オーストラリアに生息する固有種のアシカであり、絶滅危惧種に指定されています。オーストラリア政府は保護に力を入れていますが、残念なことにオーストラリアでもネコ科動物が終宿主の取りきプラズマ感染症により、このオーストラリアアシカが死んでいます。トキソプラズマ感染症は、オーストラリアアシカの保全にも、難問を突き付けています。
 オーストラリアアシカのトキソプラズマ感染率に関して、アデレード大学の研究者らが昨年論文を公表しています。以下に引用します。


Toxoplasma gondii seroprevalence in the endangered Australian sea lion (Neophoca cinerea) 「絶滅危惧種のオーストラリアアシカ (Neophoca cinerea) におけるトキソプラズマ・ゴンディの血清感染率」 2022年9月5日

Toxoplasma gondii is a ubiquitous parasite increasingly detected in marine mammals and suspected to contribute to limited recovery of endangered populations.
This study reports on the exposure of the Australian sea lion (Neophoca cinerea) to this protozoon using archived adult and pup sera from three island colonies in South Australia.
Modified agglutination testing (MAT) detected a seroprevalence of 30.4% and high antibody titers in adult females (median age 9.5 y, range 5.5-14.5 y) at Dangerous Reef, a felid-free island.
Findings have implications for parasitic disease risk in wildlife inhabiting Australia’s islands and for the feral cat control program on Kangaroo Island.
Toxoplasma gondii is an emerging pathogen in marine mammals, with substantial worldwide seroprevalence in pinniped (seal and sea lion), cetacean (dolphin and whale) and mustelid (sea otter) species, and documented mortalities in critically endangered populations.
Understanding of the parasite’s potential to modulate marine mammal population size and geographical range comes from surveys of European and North American cetaceans and marine mustelids.
In the threatened southern sea otter (Enhydra lutris nereis), for instance, T. gondii-associated encephalitis was considered a primary or contributing cause of more than a quarter of deaths, predominantly in adults.
For the endangered Australian sea lion (Neophoca cinerea), toxoplasmosis is listed as a potential threat to the species’ recovery, based on observations in other marine mammals and documented disease susceptibility.
Consequently, disease-induced mortality outbreaks pose the greatest risk to the species’ resilience based on modelling of future population decline.
Domestic (Felis catus) and wild (including feral) felids are the only definitive hosts of T. gondii.
Across these species, the mammals and birds, parasite transmission is related either to foraging or to transplacental transmission from recently infected mother to offspring.
Transplacental transmission, placental inflammation and disseminated congenital fetal infection, resulting in early or late-term abortion or stillbirth have also been documented in multiple species.
The infection of marine mammals indicates contamination of coastal and marine environments with oocysts shed in cat feces, by terrestrial water run-off or from ocean sewage discharge.
For species frequenting coastal habitats, such as pinnipeds, infection could also result from direct contamination of haul out sites by cat feces.

トキソプラズマ・ゴンディは、海洋哺乳類で検出されることが増加している広く蔓延している寄生虫であり、それは絶滅の危機に瀕した海洋哺乳類の個体群の個体数回復の妨げになっていると疑われています。
この研究は南オーストラリア州の3つ島の一群から採取された成体および幼体の保存血清を使用して、オーストラリアのアシカ (Neophoca cinerea) のこの原虫(トキソプラズマ・ゴンディ)への曝露について報告しています。
修正凝集検査(MAT)によって、ネコ科動物のいない島であるデンジャラスリーフの雌の成獣のオーストラリアアシカ(年齢中央値9.5歳、範囲5.5~14.5歳)における、トキソプラズマの血清有病率は30.4%であり、高い抗体価が検出されました。
この調査結果は、オーストラリアの島々に生息する野生動物の寄生虫症のリスクと、カンガルー島の野良猫駆除プログラムに影響を与えるとしています(=さらに野良猫の駆除が強化されるべきという意味)。
トキソプラズマ・ゴンディは海洋哺乳類では新たな病原体であり、鰭脚類(ひれ足類。アザラシとアシカ)、鯨類(イルカとクジラ)、イタチ科(ラッコ)の種では、世界的にかなりの血清における感染の蔓延があり、絶滅の危機に瀕している種の個体群の死亡例が記録されています。
このトキソプラズマ・ゴンディは、海洋哺乳類の個体数と地理的範囲を変化させる可能性(=個体数を減少させ、生息域を縮小させる)があることは、ヨーロッパおよび北米のクジラ目と海洋性イタチ科の調査から得られています。
たとえば絶滅の危機に瀕しているミナミラッコ(Enhydra lutris nereis)では、トキソプラズマ・ゴンディの感染に関連した脳症が、主に成獣の死亡の4分の1以上であり、主な死亡の原因または寄与原因であると考えられています。
絶滅危惧種のオーストラリアアシカ (Neophoca cinerea) に関しては、他の海洋哺乳類での観察と病気に対する感受性の記録に基づいて、トキソプラズマ症がこの種の回復に対する潜在的な脅威として挙げられています。
その結果、将来のオーストラリアアシカの個体数減少のモデルに基づくと、トキソプラズマ感染症による死亡率は、種の個体数回復力にとって最大のリスクとなります。
イエネコ (いわゆる「猫」 Felis catus) および野生の猫 (ノネコを含む) ネコ科動物は、トキソプラズマ・ゴンディの唯一の最終宿主です。
哺乳類と鳥類の種全てで寄生虫の感染は感染した餌を食べることと、または感染したばかりの母親から仔への胎盤を経た感染のいずれかです。
トキソプラズマの胎盤経由感染、胎盤炎症、播種性先天性胎児感染症により、初期または後期の流産や死産が引き起こされることも複数の種で報告されています。
海洋哺乳類のトキソプラズマ感染は、陸の水の流入または海洋への下水の排出によって、猫の糞便中に排出されるオーシスト(トキソプラズマの卵状のもの)による沿岸および海洋環境の汚染を示します。
鰭脚類(ひれ足類 アシカやアザラシ等)などの、海岸の陸の生息地に頻繁に出入りする種の場合は、猫が糞便をした汚染場所から直接感染が生じる可能性もあります。



(動画)

 Meet Taronga's New Australian Sea Lion Pup! 「タロンガ動物園で生まれた新しいオーストラリアンアシカの仔をご紹介します!」 2020年9月24日公開

 We are seal-iously thrilled to announce the recent birth of an endangered Australian sea-lion pup who has just made her first splash in her new home at Taronga's Seal Bay! と、絶滅危惧種のオーストラリアアシカが新たに動物園で誕生して、喜ぶ関係者。本来ならば感染症のリスクにおびえずに、自然環境での個体数回復が望ましいです。トキソプラズマが在来生物を脅かしている現状からすれば、さらにオーストラリアの野良猫ノネコ駆除を厳格に進めなければなりません。なおオーストラリアでは、猫のTNRは全土で禁止です。

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No title

失礼します
よく欧米が、先進国がーと人くくりにされることが多い、イギリス、オーストラリア、アメリカで特に、イギリスが相当違うのは不思議ですね。英米法とか旧植民地ということで歴史的につながりが強い国なのに、猫への対策がここまで真逆とは驚きです。イギリスは島国ですしヤマネコもいますから余計に対策とらなければまずいんじゃないかと思います。お互いの国同士の環境保護団体や人との交流で相互で何らかの変化があってもおかしくないかと思うのに謎です・・・

Re: No title

クセル様

> よく欧米が、先進国がーと人くくりにされることが多い、イギリス、オーストラリア、アメリカで特に、イギリスが相当違うのは不思議ですね。

非所有の猫に対してですか。
おそらく先進国でイギリスほど野良猫に対して放任無策(ただし虐待殺害は禁止)な国はないと思います。
イギリスでは犬は完全に狩猟が禁止、猫は離島のマン島とガーンジー島でのみ、完全に野生化したもののみ狩猟できます。
なお2島は高度に自治が認められた、イギリス領土内でも特殊な自治体です。
日本ではノイヌ、ノネコの狩猟が合法で、環境省の統計でも年間にノイヌは数十頭ノネコは数百頭の狩猟統計数字があります。
イギリスでは犬猫の狩猟は本島では完全禁止ですので、犬猫の狩猟統計はありません。
イギリスでの野良猫の数の制御は、ずさんなTNR一択です。

オーストラリアは外猫は飼猫も含めて通年ほぼ狩猟が無制限です。
TNRは全国土で禁止です。

イギリスが野良猫に対してほぼ放任なのは、島国で狂犬病の清浄国だったことが大きいと思います(オーストラリアは清浄国ですが特異な生態系を守る必要がある)。

ドイツが外犬猫の狩猟を通年合法にしている理由は、かつてドイツが狂犬病多発国であったことが大きいと思います。
1990年代まで狂犬病症例が年数千例ありました。
https://www.bft-online.de/fileadmin/bft/bft-special/2017-70/Tollwut.jpg
上記の図の通り、ドイツはかつては現在狂犬病多発国として外務省も注意喚起しているトルコ、ルーマニア、ウクライナ等よりはるかに狂犬病が多かったのです。
そのために徘徊する犬猫は危険とされ、射殺がむしろ奨励されてきたという自然環境や時代背景があります。

現環境省審議会部会の座長をしている西村亮平(東大狂授)ですが、かつて同審議会で「ドイツもイギリスも(狩猟で)犬猫を殺しまくった」と発言し、バ官狂症も「イギリスやドイツでは犬猫が有害獣として狩猟駆除されている」と公文書にまとめています。
イギリスでは犬猫(猫はほぼ)の狩猟が完全に禁止されていることなど、中学レベルの英語でも検索すれば即わかることです。
犬猫に対する政策や法令は、その国の地勢自然条件や時代背景、文化により異なります。
それを「ドイツでは犬猫は狩猟対象」だからと言ってイギリスも同じと思い込むとは西村亮平狂授やバ官狂症職員の知能は底辺でしょう。
彼らはやたらと「欧米出羽」、「欧州出羽」を連発しますしw
バカの証明です。


>イギリスは島国ですしヤマネコもいますから余計に対策とらなければまずいんじゃないかと思います。

イギリスはある面、日本以上に猫愛誤な国です。
TNRに関しては、日本ではアメリカのことばかり取り上げられますがアメリカはTNRに対しては比較的厳しい考えです。
イギリスはほぼ野放図放任で、TNRはやりたい放題レベルです。
TNR推進派で欧米出羽守はイギリスの施策を取り上げればいいのに、と思いますがする人はほぼいません。
英語でいくらでもソースがあるのに、外国文献を調べる人がほぼいないのでしょう。
私はTNRに反対の立場ですから、イギリスのTNRの例は今まで取り上げていませんでした。
小野塚狂授の研究の件を調べるなどして、つくづく愛誤ってピン(省庁や大学教授、政治家)からキリ(町の餌やりレベル)まで一貫して知能が足りない、オツムが底辺レベルの人ばかりと痛感します。

なおヨーロッパヤマネコがイギリスでほぼ絶滅したのは、イエネコ(いわゆる猫)の放置放任により、交雑競合があったからでしょう。
イギリス周辺の海洋では、北米やオーストラリア以上に海洋哺乳類がトキソプラズマに汚染されています。

https://acmsf.food.gov.uk/sites/default/files/mnt/drupal_data/sources/files/multimedia/pdfs/committee/acm1034toxoreport.pdf
Toxoplasma infection has been reported in a number of marine mammal. Seroprevalence in terrestrial and marine mammals in UK waters45,46%.
多くの海洋哺乳類でトキソプラズマ感染が報告されている。 英国海域における陸生および海洋哺乳類の血清有病率45,46%。

学術調査ではかなり深刻との認識が示されていますが、一般のマスコミの記事では取り上げられません。
イギリスでは野良猫に関してはほぼ「TNRしましょう」しか言われません。
プロフィール

さんかくたまご

Author:さんかくたまご
当ブログのレコード
・1日の最高トータルアクセス数 8,163
・1日の最高純アクセス数 4,956
・カテゴリー(猫)別最高順位7,928ブログ中5位
・カテゴリー(ペット)別最高順位39,916ブログ中8位

1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

なお、SNS、掲示板、QandAサイトなどでは、多数の本ブログ管理人の私(HN さんかくたまご)(武田めぐみ)のなりすまし、もしくはそれと著しく誤認させるサイトが存在します。
しかし私が管理人であるサイトは、このページのフリーエリアにあるリンクだけです。
その他のものは、例えば本ブログ管理人が管理人と誤認させるものであっても、私が管理しているサイトではありません。
よろしくお願いします。

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