日本の飼猫迷惑防止と野良猫給餌禁止条例はザル法

Please send me your comments. dreieckeier@yahoo.de
Bitte senden Sie mir Ihre Kommentare. dreieckeier@yahoo.de
メールはこちらへお寄せください。 dreieckeier@yahoo.de
domestic/inländisch
記事、飼猫が近隣の庭で糞尿をすれば500~750ドルの罰金が科せられるカナダ、モントリオール市、の続きです。
前回記事では、飼猫が近隣の家の庭に糞尿をしたり騒音レベルにお鳴き声を発して迷惑をかけた場合は、猫の飼主に罰金500~750ドルを科す、カナダ、モントリオール市の条例を取り上げました。また同市では、屋外での給餌も禁止されています(野良猫への給餌ができない)。日本にも飼い猫の迷惑行為や野良猫の迷惑な給餌を近所る条例はありますが、おおむね北米や西ヨーロッパの同様の条例と比べれば実効性が低く、「ザル法」です。その理由を述べます。
前回記事、飼猫が近隣の庭で糞尿をすれば500~750ドルの罰金が科せられるカナダ、モントリオール市では、カナダ、モントリオール市では、飼猫が近隣の庭で糞尿をしたり迷惑な鳴き声を発すれば、飼主に罰金500~750ドルを科す条例について取り上げました。その他同市では、屋外での給餌を禁じています。つまり野良猫への給餌はできません。
カナダ、モントリオール市と同様の条例や州法は、訪北米や西ヨーロッパでは多くあります。同様の条例は日本では少数ながらありますが、決定的に異なることがあります。日本の条例は実効性が低いということです。その理由は、日本で同様の条例のある自治体では「飼猫のマイクロチップによる個体識別と自治体への登録義務がない」、「行政が外猫を捕獲して動物収容所に収容する。そのうえで飼猫の場合は返還に罰金と手数料を課すことを条件とし、MCでの個体識別がなければ殺処分する規定がない」、「処罰が軽い、処罰規定すらない」からです。さらに「1世帯当たりの飼猫の飼育数の上限」を設けている場合もあります。以下に具体例として、京都市の条例から引用します。
・ 京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例
第3条 所有者等は,人に迷惑を及ぼすことのないよう動物の適正な飼養及び保管に努めなければならない。
4 猫の所有者等は,飼い猫が自宅等以外の場所に侵入することにより人に迷惑を及ぼすことを防止する観点から,飼い猫を屋内において飼養し,及び保管するよう努めなければならない。
(不適切な給餌の禁止等)
第9条 市民等は,所有者等のない動物に対して給餌を行うときは,適切な方法により行うこととし,周辺の住民の生活環境に悪影響を及ぼすような給餌を行ってはならない。
(勧告及び命令)
第10条 市長は,前条第1項の規定に違反し,又は同条第2項に規定する基準に従わず
に行われている給餌に起因して周辺の住民の生活環境に支障が生じていると認めると
きは,当該支障を生じさせている者に対し,必要な措置を採ることを勧告することがで
きる。
2 市長は,前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に係る措置を採らなかったときは,その者に対し,相当の期限を定めて,その勧告に係る措置を採ることを命じることができる。
まず放飼いの飼猫が近隣に迷惑を及ぼすことですが、「迷惑の防止と室内飼い」は努力義務で罰則規定はありません。さらに「所有者等のない動物(野良猫がこれに含まれる)への給餌」ですが、不適正な場合のみを禁じています。つまりその給餌が不適正であるという証明が困難です。さらに適用は「所有者等のない」、つまり飼猫が除外されます。
野良猫に給餌をして近隣に迷惑をかけている者に行政が勧告命令を行おうとしても、給餌者が「餌を与えている猫は私の飼猫だ」と言えば、行政は何もすることができません。また「不適正な給餌者」に対して改善措置を命じたとしても、いったい何ができるのでしょうか。まず給餌を継続的に行っていた場合にそれを急に中断することは、動物愛護管理法に違反するとも解釈されます。ですから給餌をやめるように命令することはできないと解釈されます。
改善命令はせいぜい周辺の掃除をすることや猫の不妊去勢を行うことでしょうが、私有地内の掃除は土地所有者が同意しないでしょう。不妊去勢をしたとしても給餌をすれば新たな未去勢猫が永遠に誘引され、猫の害は続きます。命令を受けたものに猫の不妊去勢の資力がなければ実際はできないです。
そのような法律の抜け道は、カナダ、モントリオール市の条例等ではふさいでいます。カナダ、モントリオール市の条例では、次のように規定しています。
1、飼猫はマイクロチップで個体識別し、市に登録することを義務付けている。
2、飼猫が近隣の庭に侵入して害を及ぼした場合は罰金500~750ドルを科す(被害近隣住民の申し出があれば市は強権的な捜査を行う権限がある)。
3、モントリオール市では外猫を捕獲し、市の施設に収容する。3日以内に飼い主が引き取らない猫と、MCがなければ殺処分を行う。飼主返還には罰金と手数料が必要。
4、飼猫の飼育上限は、1世帯当たり4匹までとする。
したがって飼猫が近隣の庭に侵入して糞尿等で害を及ぼした場合は、飼主は「それは私の猫ではない」という言い訳はできません。市の調査員が現場に出向いて被害を受けている庭で猫を捕獲しMCを確認すれば、飼猫であることが明らかになるからです。もしMCがなければ所有者のない猫として、公的施設で殺処分すればよいので猫害は解消します。
このように、飼猫の放飼いと野良猫の給餌による加害を防止するためには、「飼猫のマイクロチップの装着と登録」と、「外猫の捕獲を行政が行い、MCのある飼猫の返還には高額の手数料を課し、飼主が引き取らないものやMCがないものは殺処分する」ことが大前提です。そして規定の実効性を高めるには、ある程度の高額罰金を科すことと、かつその要件を明確にすることも必要です。
さらに「猫の飼育数の上限」を設けることは、放飼い猫、もしくは事実上の給餌を行っている野良猫が無制限に増えることを防止し、それにより猫害が限定的になります。なおモントリール市の猫の飼育上限は1世帯当たり4匹です。4匹を超えては市に猫の飼育登録を行うことができません。市の職員は4匹を超えて猫を事実上飼育している飼い主の家に裁判所の許可を得て強制的に入り、猫を没収することができます。MC登録がされていない猫は、3日後に殺処分することができます。
上記の「迷惑を及ぼす猫」に関しては、モントリオール市は、被害を受けている住民からの通報を受け付けています。その苦情があれば市の職員は迷惑な猫の飼主の居宅に強制的に入り、捜査を行い、猫を押収没収する権限が与えられています。また迷惑を及ぼしている猫の飼主に対して、罰金を科すこともできます(Make a complaint against a cat or dog owner)。
対して日本では、近隣で放飼い猫の多頭飼いがあり、それに甚大な被害を被っていても保健所は何も解決となる働きかけを行いません。またそのための法的な根拠もありません。以下に、モントリオール市の、迷惑な猫の飼主や、迷惑な野良猫を市の職員が没収押収し、殺処分出来るとする条例の規定から引用します。
・Règlement sur l'encadrement des animaux domestiques (21-012) 「モントリオール市 動物の飼育に関する規則 (21-012)」
(フランス語)
SECTION IX
REFUGES
SOUS-SECTION 1
CENTRE DE SERVICES ANIMALIERS ET SAISIE
54. l’autorité compétente peut capturer ou faire capturer dans un endroit public ou, sur permission d’un juge, dans une unité d’occupation, puis faire garder dans un centre de services animaliers, tout animal errant, abandonné, bcausant une nuisance, ne faisant pas partie des espèces permises conformément à l’article 7, n’ayant pas fait l’objet d’un permis valide lorsqu’un tel permis est exigé en vertu du présent règlement ou étant gardé en nombre excédentaire au nombre d’animaux permis dans une même unité d’occupation en vertu du présent règlement.
55. En ce qui concerne un animal errant ou abandonné ou tout autre animal saisi en vertu de l’article 54, après un délai de 3 jours suivant un avis au dernier gardien connu à la suite de la mise en refuge, le centre de services animaliers peut mettre en adoption à son profit l’animal ou procéder à son euthanasie.
Lorsque le gardien d’un animal errant ou abandonné ou tout autre animal saisi en vertu de l’article 54 est inconnu ou introuvable, le centre de services animaliers peut mettre en adoption à son profit l’animal ou procéder à son euthanasie après un délai de 3 jours suivant sa mise en refuge.
(英語)
DIVISION IX
SHELTERS
SUBSECTION 1
ANIMAL SERVICES CENTER AND SEIZURE
54. the competent authority may capture or cause to be captured in a public place or, with the permission of a judge, in an occupancy unit, then have kept in an animal service center, any stray animal, abandoned animal, bcausing a nuisance , not being part of the species permitted in accordance with article 7, not having been the subject of a valid permit when such a permit is required under this by-law or being kept in excess of the number of animals permitted in the same unit of occupancy under this by-law.
55. With respect to a stray or abandoned animal or any other animal seized under section 54, after a period of 3 days following notice to the last known guardian following the placement in shelter, the service center animal owners may put the animal up for adoption or euthanize it.
When the guardian of a stray or abandoned animal or any other animal seized under section 54 is unknown or cannot be found, the animal service center may put the animal up for adoption or euthanize it after a 3 days following his placement in refuge.
(日本語)
第9章
動物保護施設
第1節
アニマルサービスセンターと動物の押収
54 所管官庁は、第7条に従って飼育が許可された動物種に規定された種ではない動物、この条例に基づいて許可が必要な場合に有効な許可の対象になっていない動物、または同じ住居単位で許可されている動物の数を超えて飼育されている動物は法律に基づいて、それらの動物を公共の場所で、または裁判官の許可を得て飼主等の住居で捕獲するか、飼主に捕獲させ、動物による迷惑行為を理由に、または野良動物や捨てられた動物を動物サービスセンターに収容することができます。
55 迷い子動物、または捨てられた動物、または54条に基づいて押収されたその他の動物は、動物保護施設に収容された後は、最後にわかっている動物の飼主に通知してから3日後以降は、アニマルサービスセンターに動物の所有権が移り、アニマルサービスセンターはその動物を一般譲渡するか、または安楽死させることができます。
迷子動物、捨てられた動物、または54条に基づいて押収されたその他の動物で飼い主管理者が不明または見つからない場合はアニマルサービスセンターは、動物保護施設に入れられてから3日後以降にその動物を一般譲渡するか、もしくは安楽死させることができます。
(動画)
Une deuxième chance pour des chats et des chiens 「犬と猫のセカンドチャンス」 2012年6月15日
Chaque année plus de 250 000 chats sont euthanasiés au Québec, cela sans compter ceux étant carrément abandonnés. 「(モントリオール州がある)ケベック州では完全に捨てられた猫(生粋の野良猫という意味でしょうか)以外の猫が、毎年25万匹以上安楽死されています」。この安楽死(殺処分)される25万匹に猫」は、文脈からすれば飼主から法令違反などで押収された猫や、飼主が飼育放棄してアニマスサービスセンターに引き取りを依頼した猫ということでしょうか。
少し前の数値ですが、この殺処分された猫の数25万匹は、直近の日本の猫殺処分数の人口比で332倍です(ケベック州の人口800万人日本の人口12,449万人 日本の直近の猫殺処分数11,718匹)。殺処分の是非はともかく、日本の様に猫による公衆衛生への脅威まで無視して殺処分を行わない国というのも異常という感じがします。