「ペットを買う前に講習を受けなければならない国」はヨーロッパ、北米にはない(全犬ではドイツとスイスの一部の州にある)

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(Zusammenfassung)
Hundehalter sollen keine Kurse mehr besuchen müssen.
Das hat das Parlament beschlossen. 19.09.2016
記事、
・「カナダとアメリカの複数の州ではペットの生体販売が禁止。フランスは2024年から禁止」という坂上忍氏の狂った発言、
・「カナダでは生体販売が禁止されている」という、坂上忍氏の狂気の発言。カナダの生体販売ペットショップ数は人口比で日本の2.1倍、
・アメリカには日本の7倍の生体販売ペットショップがあり半数の州では犬ブリーダーの法的規制がない~アメリカでは生体販売が禁止されている州があるという坂上忍氏の狂気発言、
・「2024年からフランスでは生体販売禁止になる」という坂上忍氏の狂った妄想発言、
・フランスの犬猫取得に占めるネット販売のシェアは80%。ペットショップの犬猫販売制限は無意味?、
・フランスの動物収容所が引取る犬猫の数は年間75万~100万頭(日本の32倍)。捨てられる犬猫は20万頭、
・フランスの年間犬猫殺処分数は50万頭で人口比で日本の65倍。殺処分率も異常に高い。フランスをベタ褒めする坂上忍氏は殺処分がよほど好きらしい、
・公務員が野良犬野良猫を毒殺、銃殺するフランス~そのようなフランスにあこがれる坂上忍氏は犬猫殺害願望があるらしい、
の続きです。
ABEMAニュースの動画で坂上忍氏は「先進国で一番恥ずかしい国(当然動物愛護に関して)」と発言しています。そのうえで「ヨーロッパは意識が高い。(ペットを)買う側も講習を受けなければだめ」と発言しています。」しかしこの動画が公開された時点では、ヨーロッパと北米ではペットの購入前に講習を受けなければならない国は1国も確認できません(ドイツで犬に限り全犬種で講習を義務付けているのは1州のみある。スイスでは2016年に連邦でその制度が撤廃され、2州のみ犬に限り全犬種である)。
まずサマリーで述べた、坂上忍氏の「(日本は)ゆるゆるというか、先進国で一番恥ずかしい国だと思います(当然動物愛護に関してでしょう)」という、発言が収録された動画はこちらです。
(動画)
【動物愛護】「先進国で一番恥ずかしい国」動物保護"後進国"?日本の現状 坂上忍×橋下徹|NewsBAR橋下 2023年2月19日
上記の動画で、坂上忍氏は7:24~で次にように述べています。
(日本は)ゆるゆるというか、先進国で一番恥ずかしい国だと思います。
本当はヨーロッパは意識が高いですけれども、そもそも近年で言ったら、フランスはもう2024年からペット生体販売禁止になるし、買うこと自体出来ないです。
あとアメリカも州によっては禁止にしているし、カナダもそうだし。
国によって違いはあるのですけれどブリーダーをライセンス制にして買う側も講習を受けなければだめにするとか、いろんなやり方を模索しながらやっているんですけれど、世の流れとしてはいつまでも生き物で売買をしているんだよってのが世の流れなので。
それを考えるとに日本は、ただ根っこはね、もうかるからそれはズブズブになっている政治家もいるし。
マクロンがやっぱ大統領がもう生体販売やめるからって言うのって、やっぱカルチャーショックなのね。
カナダはまあ世論なんだけど、バンクーバーの主張がまずもうやめようって言ってから、カナダ全体に広がっていくとか。
「ヨーロッパは意識が高い。アメリカもカナダも。(ペットを)買う側も講習を受けなければだめ」との坂上忍氏の発言ですが、結論から言えば嘘です。問題の動画が公開された時点では、アメリカ、カナダ、ヨーロッパにおいてはペットの購入前に講習を義務付けている国、つまり全土に効力が及ぶ法律、連邦法では1国も確認できませんでした。
スイスは犬に限り、全犬種で購入者に座学と実技の講習を受け犬飼育の免許を取得することを義務付けていましたが、2016年9月9日に連邦国民議会でその制度の撤廃が可決されました。現在は26州中2州で犬に限り、全犬種で入手前に講習を義務付けています(一定の大きさ以上の犬種に限り、または初めて犬を買う人に限り講習を義務付けている州が一部であります)。しかし多くの州は、犬の飼育免許の取得のための講習を義務付けていません。それを裏付けるニュースソースから引用します。
・Obligatorische Hundekurse werden abgeschafft 「スイスでは犬の飼育のための講習受講義務が廃止されます」 206年9月19日
Hundehalter sollen keine Kurse mehr besuchen müssen.
Das hat das Parlament beschlossen.
Das Ziel des so genannten obligatorischen Sachkundenachweises für Hundehalter, der 2008 eingeführt wurde, ist es, Herrchen und Frauchen den richtigen Umgang mit ihren Hunden beizubringen.
Konnte die Evaluation keine Erkenntnisse liefern, ob durch den Kurs die Hundeattacken zurückgegangen sind.
Zudem sei es auch nicht zu weniger Zwischenfällen mit Toten oder Verletzten gekommen – im Gegenteil gebe es in den Kantonen Zürich, Bern und Fribourg mehr Bissmeldungen als vor dem Kurs-Obligatorium.
スイスでは犬の飼い主は、犬の飼育講習を受ける義務はなくなります。
スイス連邦国民議会がそう判断しました。
2008年に導入された犬の飼主のためのいわゆる義務的な能力証明書の目的は、男性でも女性でも、犬を正しく扱う方法を教えることでした。
犬の飼育講習の受講義務は結果として、犬による攻撃が減少したかどうかについての情報を提供できなかったとの評価でした。
加えて、犬の咬傷による死傷者の数は減りませんでした。
逆にチューリッヒ、ベルン、フリブールの各州では、犬飼育講習の受講が義務化される前よりも、多くの犬の咬傷の報告がありました。
スイスでは、連邦で犬飼育者に対する講習義務が廃止された後には、一部の州では独自に制度を策定しました。しかしそられの州の中には講習を義務付けるのは多くは、一定以上の大きさや、初めて犬を飼う人に限られます(Obligatorische Kurse sollen Hundebisse verhindern)。
犬の飼主に講習を義務付けているスイスの州は次の通りです。多くの州では、犬入手前の講習の制度はありません。スイスには、26の州があります。
・フライブルク、チューリヒ州~全犬種での講習を義務化。入手前に5時間の座学が必要。
・ノイエンブルク、ヴァリス州~初めて犬を入手する人に限り、講習を義務づける。
・トゥールガウ州~体重が15キロ以上の犬を入手する場合は義務。
なおスイスでは、2008年に連邦で全犬で犬の購入前に飼い主に講習を義務付けましたが、坂上忍氏が言うように「動物愛護、福祉」という、犬の保護が目的ではありません。犬の愛護ではなく、スイスでは凄惨な犬による人身死亡傷害事故が多発し、それを防止することが目的で犬の講習制度が制定されました。
直接のこの制度の制定のきっかけとなった事件は、幼稚園男児が登園時に多くの同級生の目前で、3頭のピットブルに殺害された事件です。しかし犬の講習を義務付けたのちもスイスでは咬傷事故は減らなかったので、その制度は廃止されました。スイスの犬の咬傷人身事故の発生数は、人口比で日本の10倍以上という資料があります(懲りない赤恥大嘘番組「ワンだランド」~日本の10倍以上咬傷事故が発生しているスイスは犬のしつけが素晴らしいのか?)。
日本は国際的にきわめて犬による咬傷事故が少ない国です。ですからわざわざ犬の飼主に講習を義務付けなくてもよいということになると思います。「犬の飼主に講習を義務付けても咬傷事故は減らずむしろ増えた」というスイスより、「特段の対策を講じなくても国際比較で犬の咬傷事故がきわめて少ない」日本の方が、よほど恥ずかしくないと、私は思います。
(動画)
犬を飼うのに免許が必要?海外の免許制度事情【犬を飼うと言う事】 2022年7月31日
7年も前に廃止されたスイスの制度をドヤッ!と上から目線で誤った情報を拡散するとは。この動画は他にも多くのの誤りがあります。いまだにスイスの犬飼育講習について述べている資料が多いので呆れます。なお2016年放送のテレビ朝日の番組「ワンだランド」のスイス特集ですが、その内容はほぼすべてが嘘偏向でした。スイスの犬の飼主の講習受講義務についても、廃止後にあるとして報じていました。
その他のヨーロッパでは、ドイツは16州のうち、犬に限り全犬種で購入者に座学の講習と実技を義務付けている州は、ニーダーザクセン州1州のみです。危険な行動を示した犬など一部の犬に限り、行政が飼い主に講習を命じる、もしくは犬税の軽減等の優遇措置を受けるために任意の犬の飼主の講習制度を設けている州は、ベルリン州など5州があるのみです。(*)ドイツのこの制度の目的も「動物愛護」ではなく、人の安全です。なおドイツも犬の咬傷事故が社会問題となっており、発生数は日本の人口比で約5倍です。
フランスでは2022年10月1日より、犬、猫、ウサギ、フェレットの購入者に限り、書面での飼育の能力証明の提出を義務付けることとなりました。しかしそれは一種の「宣誓書」に近い文書です。講習の受講義務はありません。(*1)
スペインでは動物福祉法(La Ley de Bienestar Animal)が改正され、2023年9月から施行予定です。改正法では全犬種の飼主に対して、犬飼育に関する講習の受講を義務付けました。しかし問題の坂上氏の発言がある動画が公開された時点では、スペイン動物福祉法の本改正案はまだ可決していませんでした(¿Qué dice la nueva ley sobre los perros de raza peligrosa?)。犬以外のペットに関しては、ヨーロッパでは飼い主に購入前に講習を義務付けている国は皆無です。
アメリカでは犬を飼育する際には「犬の免許(dog license)」の取得を義務付けている一部の州や自治体があります。カリフォルニア州とメリーランド州では、「猫の飼育免許(cat license)」が必要です。しかしライセンス(license)とはいうものの、座学や実技の講習を受けることを義務付けていません。(*2)
アメリカの犬飼育免許や猫飼育免許は、犬猫の登録と手数料を支払うのみで、書類で申し込みます。郵送やオンラインでの申請も可能です。実際は犬の登録義務と犬税に近いものです。またカナダでも、アメリカと同様の制度が一部の自治体であります。州では確認できませんでした。ですから坂上忍氏の「ペットを購入する前には講習を受ける義務がある」は、アメリカとカナダでは該当しません。(*3)
以上より結論は、坂上忍氏の発言「ヨーロッパは意識が高い。アメリカもカナダも。(ペットを)買う側も講習を受けなければだめ」があった2023年2月19日時点では、犬に限ってもヨーロッパ各国でもアメリカ、カナダでも、「飼い主に講習を義務付ける」国(国全体で効力が及ぶ規定)はありません。全犬種に関してはスイス(26州中2州)、ドイツの一部の州(16州中1州)に限りあります。犬以外のペットでは欧米では、購入前に講習を義務付けている国は1国も確認できませんでした。
つまり坂上忍氏のこの発言は、大嘘ということになります。それにしても根拠もなく、嘘、出まかせを偉そうに上から目線で発言できてしまうとは、何らかの疾患レベルの作話症かもしれません。坂上忍氏と問題のビデオのアンカーの橋本徹氏には、「ヨーロッパもしくは北米でペットの購入前に講習を義務付けている国」の具体名と、根拠法と該当する条文を原文で挙げていただきたいものです。
(出典)
(*)
・Hundeführerschein
(*1)
・Certificat d'engagement et de connaissance(フランス政府公文書)
(*2)
・Dog licence
・Online Dog Licensing
(*3)
・canada dog license
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