「ロサンゼルスではTNRが行われている」という、どうぶつ基金協力獣医師の嘘

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(summary)
In 2009, several bird groups filed a lawsuit against the City of Los Angeles in a bid to prevent free-living (“feral”) cats from being saved through TNR. They claimed that under the California Environmental Quality Act (CEQA), the City had to do an environmental assessment before supporting TNR.
日本で最も先鋭的にTNR活動を行っている㈶どうぶつ基金があります。この団体が提供している情報は嘘偏向が非常に多いのですが、協力獣医師も嘘つきです。㈶どうぶつ基金の協力獣医師のブログ記事に、「ロサンゼルス市では日本と同じようにTNRを行っている」とありますが、その記事が公開された時点では、ロサンゼルス市ではTNRは裁判所の中止命令により市によるTNR制度は禁止されていました。㈶どうぶつ基金衆愚愛誤を騙す体質は、御大教祖から下位の協力者、運動員まで共通しているようです。
まず最初に、サマリーで示した、㈶どうぶつ基金の協力獣医師の「ロサンゼルス市では日本と同じようにTNRが行われている」という内容のブログ記事から引用します。
・ねことわたし スペイクリニック KOBE LA🇺🇲スペイクリニック視察
アメリカロサンゼルス市のスペイクリニックや、アニマルシェルターの視察にいってきました。
LAでは市をあげて、犬や猫の不妊去勢手術をすすめていました。
飼い犬や飼い猫は不妊去勢手術は義務となっており、守らなければ罰金の対象となります。(*)
ロサンゼルス市からも巨額の助成金がでている。
(*)
これらの記述は本当です。
上記のブログ記事ではこのような記述があり、次の写真が掲載されています。
(画像)
ねことわたし スペイクリニック KOBE LA🇺🇲スペイクリニック視察から。
「TNRの様子は日本と同じですね!」との記述が写真にあります。ロサンゼルス市の事柄のみついて述べられている記事であり、読者の全員はこの写真はロサンゼルスでのTNRと理解します。さらに「巨額の助成金が出ており」とあり、ロサンゼルス市がTNRを推奨支援しており、市の制度があるとの誤解を招きます。
おそらくこの写真はロサンゼルス市内であれば捕獲した猫を去勢して飼猫化するものと思われます。もしくはロサンゼルス市外の写真です。

しかし上記の記事が公開された2019年11月29日時点では、ロサンゼルス市ではTNRを死の制度として助成支援し、制度とすることが禁止されていました。その根拠は裁判所による禁止命令です。2005年頃にロサンゼルス市はTNRを制度化することを計画していましたが、環境保護団体の「TNRを禁止する」ことを求める提訴があり、原告環境保護団体が2010年に勝訴し判決が確定しました。したがって裁判所の「TNR禁止命令」が2019年は継続していました。その経緯について、ロサンゼルス市の公文書に記載があります。その文書から引用します。
・RE: PROJECT DESCRIPTION FOR PROPOSED CITYWIDE CAT PROGRAM ENVIRONMENTAL IMPACT REPORT (EIR) 「回答書: 提案されたロサンゼルス市全域における猫プログラム(TNR)のプロジェクトの説明 環境影響報告書 (EIR)」 2017年4月11日
In about 2005, the Board of Animal Services Commissioners accepted a proposal from staff to implement a “trap, neuter, return” (TNR) policy for feral cats.
The City also distributed vouchers to be used for feral cat spay or neuter surgeries, issued cat trapping permits, and otherwise provided support and referrals to community groups that engage in TNR programs.
In June 2008, Urban Wildlands, et al., sued to bar the City from implementing a policy for feral cats without first completing a California Environmental Quality Act (CEQA) environmental review.
The Superior Court entered its final judgment and permanent injunction (Injunction) in January 2010, prohibiting, among other things, the City from implementing a TNR program for feral cats until it had concluded an appropriate environmental review pursuant to CEQA (Los Angeles Superior Court Case No. BS115483).
In March 2010, the court issued a stipulated order as clarification to the Injunction.
2005年頃から、ロサンゼルス市アニマルサービス(註 行政組織)の委員会は、野良猫の「捕獲、中性化、リリース」(TNR) の政策を実施すべきという、スタッフからの提案を受け入れていました。
市はまた、野良猫の不妊手術や去勢手術に使用する割引券を配布し、猫の捕獲許可証を発行し、さらにその他の方法でTNRプログラムに携わる地域団体への支援と紹介を行いました。
2008年6月に、アーバン・ワイルドランド(Urban Wildlands 環境保護団体)らは、カリフォルニア州環境品質法 (CEQA いわゆる環境アセスメント) の環境審査を最初に完了せずに野良猫に対する政策を実施することを、市に禁止するように裁判所に訴えました。
上級裁判所(Superior Court 一審裁判所 訴額が25,000ドル以上の民事訴訟及び軽犯罪を除く刑事事件の一審管轄裁判所)は 2010年1月に判決し、永久的なTNRの差し止めを命令 (Injunction) しました。
これにより、特別にロサンゼルス市がCEQA(いわゆる環境アセスメント)に従って適切な環境調査を完了するまでには、市が野良猫のTNRプログラムを実施することが禁止されました (ロサンゼルス上級裁判所事件 事件番号 BS115483)。
2010年3月に、さらに裁判所は、ロサンゼルス市のTNRプログラムを差し止める命令を明確にした規定を出しました。
ロサンゼルス市のTNRプログラムの差止命令裁判は、アメリカ国内ではかなり有名です。ロサンゼルス市は約10年間にわたり、市によるTNRプログラムは禁止されたままです。したがって、どうぶつ基金の協力獣医師のブログの、「(ロサンゼルス市では)TNRの様子は日本と同じですね!」(この写真の記述は、記事本文の記述からロサンゼルス市における公的な制度によるTNRと読者は間違いなく理解します)の記述は大嘘です。
なおどうぶつ基金によって公開された記事は、著しい偏向や嘘が多く、読者をミスリードするものが大変多いです。一例としては、私は以下のような記事を書いています。
・「アマミノクロウサギは犬猫とともに進化してきた」という、愛誤のぶったまげ理論(笑)
・「アマミノクロウサギは犬猫とともに進化してきた」という、愛誤のぶったまげ理論(笑)
・アマミノクロウサギは多産!?~奄美の猫愛誤は真正無知なのか?悪質なデマゴーグなのか?
・記事検索 : どうぶつ基金
どうぶつ基金の御大教祖様は言わずもがな、下っ端の協力者、運動員まで嘘が多いということですね(笑)。なおロサンゼルス市ではTNR狂信者による市への突き上げがあり、市へTNRプログラム再開を執拗に繰り返し求めていました。RE: PROJECT DESCRIPTION FOR PROPOSED CITYWIDE CAT PROGRAM ENVIRONMENTAL IMPACT REPORT (EIR) は、それに対する2017年の市の回答です。
結果として、ロサンゼルス市はTNRの狂信者支持者の圧力があまりにも凄ましいので、2020年にTNRを復活させました。とはいえその内容は、TNR支持者の攻撃を単にかわすための「アリバイ作り」にすぎません。例えば「餌はライブトラップに仕掛ける囮餌のみ許可でライブトラップの設置は30分以内」、「ライブトラップを設置した場合は、設置中は常に人が監視しなければならない」、「市内のほとんどの主要な地区ではTNR活動は禁止する」などです。TNR支持者らは「この内容では引き続きTNRを禁止しているのと同じだ」と批判しています。次回はその点について述べます。
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