「ドイツでは猫の放飼いが常識」は偏向もしくはデマ記事

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(Zusammenfassung)
in Deutschland, Ist artgerecht, Katzen nur im Haus zu halten?
Draußen oder Drinnen?
私がしばしば取り上げる、「ねこちゃんホンポ」と「わんちゃんホンポ」という犬猫に関するネットメディアがあります。このメディアの記事で記述されている海外の動物愛護情報は、私が確認した限り、すべてがとんでもいない大嘘、デマでした。今回取り上げるのは、ドイツの猫の飼育に関しての記述です。「ねこちゃんホンポ」に「日本とは逆。ドイツでは猫を外に出すのが常識」と、保護猫譲渡でも猫を自由に外に出すことが条件になっている」という内容の記事がありますが、著しい偏向と嘘であることを述べます。
まず問題の記事から引用します。
・ドイツの人と猫の暮らし 202年10月16日
日本とは逆!ドイツでは(猫を)外に出すのが常識?!
日本では、保護猫を里親に出すとき“完全室内飼い”を条件にしているところが多いですし、実際に完全室内飼いの方が猫にとって安全であると考えられています。
これが、ドイツになると全く逆で、ドイツの保護猫は“外に自由に出歩かせること”が譲渡条件に含まれているのです。
引用した通り、「ねこちゃんホンポ」の以下の記述は、いずれも偏向、もしくは嘘です。
1、ドイツでは、猫を外に出して飼うのが常識。
2、ドイツでは、「猫を外に自由に出歩かせること」が保護猫の譲渡条件になっている。
まず「1」ですが、ドイツでは日本と異なり外猫に厳しい法律制度があります。それらから推測すれば「ドイツは日本より猫の外飼いでの法令による処罰などが厳しく、常識だ」とは思えません。その法律、制度には次のようなものがあります。
① ドイツでは一定条件下では、外にいる猫は飼猫であることが明白であっても、狩猟駆除が通年合法です。その数は年数十万にもなります。
・ドイツ 猫 狩猟駆除
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Tollwutgefahr! Freilaufende Hunde u. Katzen werden erschossen 「狂犬病の危険! 自由に徘徊する犬と猫は射殺される」と書かれています。同様の看板は通販で普通に販売されています。このような国、ドイツでもでも猫の胃放飼いを止めない飼主が多いのは事実です。しかし褒められたもの位ではない。

② ドイツでは行政組織が犬猫とも捕獲を行い、飼主返還にはかなりの手数料が必要です。公的動物収容所での殺処分もあります。
(画像)
Hunde- und Katzenfang (Tierfang) 「犬と猫の捕獲」から。 ベルリン州ホームページにある、公的動物収容所のページの自動翻訳。
行政が捕獲した犬猫の飼主返還は、日数に応じて手数料を支払わなければならなりません。日本の自治体で猫の捕獲を行っているところは今は多分ないはずです。また迷い猫の飼主返還では、手数料を取らない自治体が多いようです。ドイツでは、猫が自治体に保護されて最短で翌日に引き取りに行っても、例えばベルリン州では返還手数料が57.27ユーロ(8,132円 1ユーロ=142円)になります。

③ ドイツでは希少生物生息地や、鳥インフルエンザ流行地では猫の放飼いを厳しく罰する条例規則があり、罰金額はきわめて高額です。例えば希少生物を猫が殺傷した場合は飼主に5万ユーロ(710万円 1ユーロ=142年)以下の罰金が、鳥インフルエンザ流行地で猫を放飼いした場合は3万ユーロ以下(426万円 1ユーロ=142円)で捕獲された猫は行政により殺処分されるなどの条例や規則があります。
・感染症流行地で猫犬のリードが義務のドイツ。違反は罰金3万ユーロ(354万円)以下、犬猫は殺処分
・ドイツでは希少生物生息地での猫の放飼いは禁止。希少生物を殺傷した場合は罰金5万ユーロ(700万円以上)の罰金が科される
④ 動物愛護団体やティアハイムの統括団体のドイツ動物保護協会が「猫の放飼いは好ましくない」と明言しています~この点については後程連載記事で取り上げます。
⑤ ドイツでは2州と700あまりの自治体で飼猫のマイクロチップによる個体識別と自治体への登録を義務付け、無去勢猫の放飼いを禁じています~この点については後程連載記事で取り上げます。
「2」の、「ドイツでは猫を外に自由に出歩かせることが保護猫の譲渡条件」はあり得ません。2015年に「ティアハイムが某物を譲渡する際の、引き渡し後の飼養等に制限を設ける譲渡契約は無効」との判決が確定しているからです。またこのような猫の譲渡条件を示している保護団体(ティアハイム)は、1つも見つかりませんでした。
ドイツの2015年に確定した、「保護犬猫等の譲渡で、譲渡後の飼育等に制限を設ける契約は無効」との判決は、後ほど連載記事で詳述します。この確定判決後は、ドイツではティアハイム等の保護団体の譲渡契約では、譲渡後の飼育方法を縛り、制限を盛り込んだ契約はほぼありません。蛇足ですが、「譲渡時に幼齢で不妊去勢手術ができなかった犬猫の不妊去勢を義務付ける契約」ですら、無効との判決が確定しています。
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