捕獲した所有者不明猫を自治体は必ず保護しなければならないという判決~ドイツ、ミュンスター行政裁判所

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(Zusammenfassung)
Urteil des Verwaltungsgerichts Münster
Die Antragsgegnerin wird im Wege der einstweiligen Anordnung verpflichtet, die vom Antragsteller gefangene Hauskatze vorläufig als Fundkatze in Verwahrung zu nehmen.
ドイツで捕獲した猫を自治体に保護(引取り)することを求めて拒否された者(私人)が、その猫を保護(引取り)するように求めた裁判があります。判決は原告の訴えを認め、裁判所は自治体に猫の保護(引取り)を命じました。ドイツでは捕獲した犬猫等の家畜は、民法の規定により拾得物としての扱いを受けるからです。民法等の規定では、拾得物の管理は発見された場所の自治体と定められています。自治体は捕獲した猫を「飼主がない無主物=野生動物」であるから保護(引取する義務はないと主張していました。
ドイツは犬猫共行政が捕獲(保護)して公的動物収容所に収容し、遺失物として飼主返還の手続き等を行います。また一般人が捕獲した所有者不明犬猫等も、行政が保護(引取り)します。公的動物収容所では、緊急の重度の傷病や攻撃性があるなどで譲渡に適さない動物の殺処分も行います。行政による手続きを終えた後に、譲渡可能な動物を民間ティアハイムに移譲します。それらは全て法律に明記されています。所有者不明犬猫はドイツでは法律上拾得物の扱いですので、私人が保護し、第三者に譲渡等を行えば犯罪になります。
本件裁判では、原告が捕獲した猫を自治体に保護(引取り)を求めたところ、自治体が保護(引取り)を拒否しました。自治体の理由は、その猫が「その猫は『所有者のない野生動物=遺失物ではない』から、自治体には保護(引取り)する義務はない」ということでした。しかし裁判所は「通常猫はペットであり、飼主から逃げ出したり持ち去られたりした可能性がある。したがって遺失物であることは否定できず、自治体はその猫を保護(引き取る)義務がある」としました。以下に、判決文原文から引用します。
・VG Münster, Beschluss vom 15.10.2015 - 1 L 1290/15 「ミュンスター行政裁判所 2015年10月15日判決言い渡し 事件番号1 L 1290/15」
Tenor
1. Die Antragsgegnerin wird im Wege der einstweiligen Anordnung verpflichtet, die vom Antragsteller gefangene Hauskatze vorläufig als Fundkatze in Verwahrung zu nehmen.
2. Die Kosten des Verfahrens trägt die Antragsgegnerin.
Gründe
Der Antrag des Antragstellers, den Antragsgegner im Wege der einstweiligen Anordnung zu verpflichten, die vom Antragsteller gefangene Hauskatze als Fundsache in Verwahrung zu nehmen, ist zulässig und begründet.
1. Der Antragsteller hat sowohl einen Anordnungsanspruch (a) als auch einen Anordnungsgrund (b) glaubhaft gemacht. Die Antragsgegnerin ist verpflichtet, die vom Antragsteller gefangene Hauskatze als Fundsache in Verwahrung zu nehmen.
a) Der Anspruch des Antragstellers ergibt sich aus § 967 BGB.
Nach dieser Vorschrift ist der Finder berechtigt, die Fundsache an die zuständige Behörde abzuliefern.
Diese Norm regelt öffentlichrechtliche Verwahrungsrechte und -pflichten und dient in erster Linie dem Schutz des Finders,
der seine Verwahrungspflicht nach § 966 BGB durch Ablieferung der Fundsache an die Fundbehörde beenden kann.
Zuständige Behörde im Sinne dieser Vorschrift ist nach § 5a AGBGB die Gemeinde des Fundorts, mithin die Beklagte.
Den Vorschriften des Fundrechts unterliegen Sachen (auch Tiere, vgl. § 90a BGB), die besitz- aber nicht herrenlos sind.
Fundtiere sind Tiere, die dem Eigentümer entlaufen oder sonst seinem Besitz entzogen sind.
Entgegen der Auffassung der Antragsgegnerin handelt es sich bei der Katze um ein Fundtier und nicht um ein herrenloses Tier.
Die Vorschrift des § 960 BGB, wonach wilde Tiere herrenlos sind, solange sie sich in der Freiheit befinden, findet keine Anwendung, denn bei der Katze handelt es sich nicht um ein Tier im Sinne der genannten Vorschrift.
Katzen werden in Deutschland grundsätzlich als Haustiere gehalten.
Sie mögen zwar gelegentlich herumstreunen bzw. verwildern, was deren qualitative Einstufung als Haustier jedoch nicht hindert.
Vielmehr besteht eine Regelvermutung rechtstreuen Verhaltens mit der Folge, dass zunächst grundsätzlich ein Fundtier anzunehmen ist.
判決
1、被告は仮処分により、原告が捕獲したイエネコを拾得物(猫)として一時保護する義務を負う。
2、裁判費用は被告が負担する。
判決理由
原告が捕獲したイエネコを拾得物として保護することを仮処分により被告に義務付けることを求める原告の請求は、正当であり認める。
1、原告(猫を捕獲した者)は、請求 (a) に対する主張と請求 (b) の理由の双方を立証した。
そのため被告(原告が捕獲した猫の保護を拒否した自治体)は、原告が捕獲したイエネコを拾得物として引取る義務がある。
a) 原告の主張は、民法967条が根拠である。
本条の規定によれば、(拾得物の)発見者は、所轄官庁に拾得物を届ける権利を有する。
この規定は民法966条で定められており、(拾得物の発見者の)監護権と義務を、拾得物を遺失物取扱所に引き渡すことにより保管義務を終了できる発見者を主に保護すること目的としている。
民法施行規則5条aの規定の意味における管轄当局とは、拾得物が発見された場所の自治体であり、したがって被告である。
所有されているが、所有権が放棄されていない物(動物を含む。民法90条aを参照)は、遺失物の法律の規定の対象となる。
拾得された動物とは、所有者から逃げた、または所有者から持ち去られた動物である。
被告の主張に反して当該猫は拾得された動物である。
本件猫は、民法960条の規定による自由である限り所有者を持たない野生動物ではなく飼主のいない動物とはいえず、本件猫は本条の規定が意味する野生動物ではないため、民法960条(「無主物の野生動物は自治体が保護する義務がない」との規定)が適用されない。
ドイツでは猫は一般的にペットとして飼われている。
猫はしばしば野良になったり野生化したりすることがあるが、それにより猫はペットとしての質的な分類を妨げるものではない。
むしろ、法を遵守する行動の規範推定が存在し、したがって原則として当該猫は拾得物(動物)として受容される。
なぜ被告自治体は、一般市民によって捕獲された猫の保護(引取り)を屁理屈をつけて拒んだのでしょうか。ドイツにおいても自治体の所有者不明猫の保護(引取り)は財政負担になっており、また公的動物収容所も過剰収容となっています。例えば人口183万人余りのハンブルク州では、拾得猫又は捕獲猫の保護、収容と処分(飼主返還の事務手続きや殺処分等も含む)だけで年間の予算を50万ユーロ(約7,000万円)も使っています。また返還された猫は、わずか2割です。致死処分は6分の1(17%)程度です。(*)
そのような背景があって、自治体は一般人が捕獲した猫の保護(引取り)を拒否したのではないかと私は推測しています。野良猫外猫問題は、日本もドイツもさほど変わりが無いように思えます。日本とドイツが異なる点は、ドイツでは「自治体はもれなく捕獲した猫でも保護(引取り)しなければならない」という確定判決があるということです。日本の保健所のように、捕獲した所有者不明猫の保護(引取り)を違法に拒否されることはありません。
(*)
・HAMBURGER TIERSCHUTZVEREIN Verordnung fur freilaufende Katzen gefordert - worum es geht 「ハンブルク動物保護協会 自由に徘徊する猫に必要な規制- それは何についてですか?」 2022年3月28日 この文献については後程取り上げます。
(画像)
ペットの殺処分がゼロの国はあるのか(法苑180号) 2017年1月10日 から
このコラムを書いた渋谷寛弁護士は、やたらとドイツが好きで「ドイツの法律では云々」、「ドイツの制度は云々」と頻繁にドイツを取り上げます。しかし私が確認した限り、全てが真逆の卒倒しそうな大嘘だけです。しかも「ドイツの法律では」、「ドイツの裁判では」と、しつこく繰り返す割にはただの一度も法律の原文と判決文原文を示したことはありません。ただの一度もです。何らかの精神疾患でもあるのでしょうか。
このコラムでも「ドイツでの現状を調べてみました。ドイツでは、行政機関がペットを保護するのでなく、民間の動物保護団体がペットを引き取ります」という、真実とは真逆も真逆の正反対の大嘘を堂々と書いています。しかも「ドイツの現状を調べてみました」というのがお笑いです。
ドイツは先進国の中では狂犬病の発生が多い(多かった)国で、1990年代までは年数千例もありました。そのような国で狂犬病に限っても、行政がその疑いがある犬猫等を収容してして隔離することをしない、そしてそのような施設がないことはあり得ないのです。
さらにドイツの民法では、所有者が不明の犬猫等の動物の法律上の扱いは拾得物です。公的な手続きを経ずに私人が占有して第三者に譲渡などをすれば、占有離脱物横領罪になります。少し考えれば「ドイツでは、行政機関がペットを保護するのでなく、民間の動物保護団体がペットを引き取ります」が、ありえないことが正常な知能があればわかることです。ドイツでは飼主自身が引取りを依頼する場合(は民間のティアハイムが行う)以外の、所有者不明犬猫等の一次保護は行政しかできません。いったい何を調べているのやら(笑)。

(参考記事)
・渋谷寛
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