動物保護施設が犬の危険性を隠して譲渡して起きた咬傷事故は動物保護施設に賠償責任がある~アメリカ、インディアナ州控訴審判決

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(summary)
If the shelter does not disclose that a dog is dangerous, they may be open to civil liability in the event that the dog’s dangerous propensities come to light after adoption.
記事、
・保護犬による重大咬傷事故~「殺処分ゼロ」は正しいのか?、
・アメリカでは「保護犬の譲渡先での咬傷事故は保護団体に民事刑事とも法的責任がある」とされている~「殺処分ゼロ」は正しいのか?、
・ドイツは行政が危険な犬を強制的に殺処分する~危険な犬の殺処分を禁じている国はおそらく皆無、
・ドイツ「咬傷犬の行政による強制殺処分は正当」という行政裁判所の1審判決原文、
・ドイツ「咬傷犬の行政による強制殺処分は正当」という行政裁判所の2審判決原文、
・続・ドイツ「咬傷犬の行政による強制殺処分は正当」という行政裁判所の2審判決原文、
・「トルコは殺処分ゼロ」は真っ赤な嘘~危険な犬の公的殺処分がない国はおそらくない、
の続きです。
今回はアメリカで保護犬の咬傷事故歴を隠して譲渡し、譲渡先で咬傷事故を起こした件での民事裁判を取り上げます。譲渡の際に「動物保護施設は犬によって生じた損害について一切責任を負わない」という保護団体に有利な契約を締結していましたが、控訴審は保護団体に責任を認めました。
連載記事では、「海外では保護犬が譲渡後に重大な咬傷を起こす例がある」、「アメリカでは近年殺処分ゼロの圧力が高まり、咬傷犬の経歴を隠して譲渡し再び咬傷事故が起きるケースが増えており、保護団体に賠償を命じた例もある」、「ドイツでは咬傷犬は行政により強制的に殺処分される」ことを述べました。連載記事の趣旨は、
1、日本では犬猫の殺処分ゼロの圧力が近年高まっているが、弊害が表面化しつつある。
2、背景にあるのは「動物愛護先進国の外国では殺処分を達成している国がある。日本はそれを見倣うべき」があるが嘘である。
3、攻撃性がある危険な犬の殺処分を禁止している国は皆無である。
です。
今回は「1、犬猫の殺処分ゼロの圧力の弊害」についてです。海外ではすでに表面化しています。殺処分を避けるために咬傷事故の経歴がある危険な犬の経歴を伏せて一般飼主に譲渡し、その犬が譲渡先の飼主の過程で譲渡直後に重大な咬傷事故を起こしたケースは少なからずあります。死亡事故もあります。
さらに犬の咬傷事故歴を隠して一般に譲渡し、その犬が重大咬傷事故を起こした事件では、アメリカでは動物保護団体の責任を認めた控訴審判決があります。この事件では、動物保護団体は犬を譲渡する際に「犬が起こした事故に関しては一切責任を持たない」という動物保護団体に有利な条件で、譲渡先と契約を締結していました。それにも関わらす控訴審判決は保護団体を「詐欺」と判決文で明記し、保護団体の責任を認めたのです。その判決についての解説を、弁護士のホームページから引用します。
・Dog Bite Cases and Adopted Dogs Hurst Limontes Dog Bite Attorney Indianapolis 「犬の咬傷事件と犬の養子縁組 ハースト・リモンテス 犬咬傷事件の弁護士 インディアナポリス」 2022年4月6日
In Indiana, dog bite cases follow a particular rule.
This rule states that owners would be liable for injuries caused by their dog if they knew or should have known that their dog was dangerous.
What duty does an animal shelter have in telling a prospective dog owner that the dog they are adopting is dangerous?
The standard here is that a prior owner, or in this case an animal shelter, cannot misrepresent the potential danger an animal poses to a potential buyer or transferor.
A recent Indiana Court of Appeals case discussed this very issue.
In this case, as stated above, the dog did have a past bite history, and so there was a duty to not misrepresent that to the family, so that the animal shelter would not be liable in the event that the dog bit someone after being adopted.
If the shelter does not disclose that a dog is dangerous, they may be open to civil liability in the event that the dog’s dangerous propensities come to light after adoption.
In order for a shelter to avoid civil liability, the dog must be cured of its injurious tendencies.
アメリカ、インディアナ州では、犬の咬傷事件は特定の規則に従います。
この規則は犬の所有者が自分の犬が危険であることを知っていた場合か、または知っていたはずである場合は、所有者は犬によって起こされた傷害に対して責任を負わなければならないと記述されています。
動物保護施設には、将来の犬の飼い主に彼らが養子として迎えようとしている犬が危険であることを伝えるどのような義務があるでしょうか?
インディアは州の規則での基準によれば前の所有者、またはこのような場合は動物保護施設が、動物(犬)が購入すかもしれない者、または譲渡者にもたらされる犬による潜在的な危険性を誤って伝えてはならないとされています。
最近のインディアナ州控訴裁判所の訴訟では、まさにこの問題が議論されました。
この裁判では上記のように、犬には過去に咬傷事故を起こした履歴があったため、そのことを犬を養子縁組した家族に偽って伝えてはいけないという義務がありました。
動物保護施設がその犬が危険であることを開示しない場合は、養子縁組後(新しい飼主に譲渡されたのち)に、犬の危険な性向が表面化したならば、動物保護施設は民事責任を問われる可能性があります。
動物保護施設が民事責任を回避するためには、犬の有害な性向を治療しておかなければなりません。
上記のインディアナ州控訴審判決の原文については、次回以降の記事で取り上げます。
(動画)
4 year old nearly loses eye after family's newly adopted dog attacks 「4歳の子供は新しく家族が養子として迎えた保護犬の攻撃によりほぼ片目を失いました」 2018年5月4日
・Brooke BROWN, BY next friend Mark BROWN, Appellant-Plaintiff, v. SOUTHSIDE ANIMAL SHELTER, INC., Humane Society of Clinton County, Inc., and the City of Indianapolis, Appellee-Defendant 「控訴原告:ブルック・ブラウン、マーク・ブラウン 被告 サイスサイドアニマルシェルター社、ヒューメインソサエティ・クリントン郡社、インディアナポリス市 判決原文と解説」 2020年 ミシガン州立大学 上記の控訴審判決の解説と判決原文
Summary
This case from Indiana explores whether an animal shelter had a duty to inform a dog adopter of a dog's vicious propensities.
Plaintiffs (the Browns) appeal the trial court's grant of summary judgment in favor of Southside Animal Shelter, Inc. (“Southside”).
The case stems from the adoption of a dog from defendant animal shelter.
In 2014, the dog was surrendered by its owner to a neighboring animal shelter because it did not get along with another dog.
The dog was then adopted to another party where it attacked the family's two-year-old boy, causing significant injuries. The dog was then surrendered to the county animal shelter, who recorded the bite incident upon intake of the dog.
After the mandated quarantine, the dog was eventually transferred to defendant animal shelter who was informed of the bite according to deposition testimony.
In late 2015, plaintiffs adopted the dog with a release that stated the history of the dog was unknown and the shelter was released from all liability resulting from illness or actions by the dog.
Less than a month later, the dog attacked the Brown's six-year-old daughter causing injuries to her face.
In the trial court action by the Browns against Southside, the court granted the defendant's motion of summary judgment based on the adoption release and dismissed the case.
Ultimately, the Court found that Southside had a duty to the Browns to inform them of the dog's past bite history, and factual issues relating to that duty preclude the granting of summary judgment.
The case was reversed and remanded for further proceedings.
概要
インディアナ州のこの事件では、動物保護施設が犬の悪質な性向を犬の養子縁組者に知らせる義務があったかどうかを審議しています。
原告 (ブラウン夫妻) は、被告サウスサイド アニマル シェルター (=動物保護施設。以下、「サウスサイド」と記述する) に有利な一審裁判所の略式判決に対して上訴しました。
この事件は、被告の動物保護施設(サウスサイド)から犬を引き取ったことに端を発しています。
2014年にこの犬は他の犬と仲良くできなかったため、最初の飼主によって近くの動物保護施設に引き取られました。
その後に犬は別の家族に引き取られ、家族の2歳の男の子を攻撃し、重大な咬傷事故を起こしました。
さらにその後犬は郡の動物保護施設に引き渡され、その犬を郡の動物保護施設は引取った際に咬傷事件が記録されていました。
群の動物保護施設での義務付けられた隔離観察の後に、犬は最終的に被告の動物保護施設(サウスサイド)に移され、提供された証言によれば、サウスサイドはその犬の咬傷事故の経歴について知らされていました。
2015年後半に原告は「この犬の経歴は不明であり、動物保護施設(サウスサイド)は病気や犬の行動に起因するすべての責任を負わない」との契約で当該犬を養子に迎えました。
1ヶ月も経たないうちに、その犬は犬を引き取った原告のブラウン氏の6歳の娘を攻撃し、顔に怪我を負わせました.
原告ブラウン氏 による、被告サウスサイド(譲渡した動物保護施設) に対する一審の訴訟では、裁判所は養子縁組による犬の保護団体による譲渡に基づく略式判決の被告の申立て(註 動物保護団体、サウスサイドには責任がないという略式判決)を認め、ブラウン氏の訴えを棄却しました。
最終的に(原告ブラウン氏が控訴した)控訴審は、被告の動物保護団体、サウスサイドには犬の過去の咬傷歴を原告ブラウン夫妻に知らせる義務があと判断しました。
訴訟は取り消され、訴訟をやり直すために審議は一審に差し戻されました。
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