「トルコは殺処分ゼロ」は真っ赤な嘘~危険な犬の公的殺処分がない国はおそらくない

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(summary)
Turkey/Türkei
記事、
・保護犬による重大咬傷事故~「殺処分ゼロ」は正しいのか?、
・アメリカでは「保護犬の譲渡先での咬傷事故は保護団体に民事刑事とも法的責任がある」とされている~「殺処分ゼロ」は正しいのか?、
・ドイツは行政が危険な犬を強制的に殺処分する~危険な犬の殺処分を禁じている国はおそらく皆無、
・ドイツ「咬傷犬の行政による強制殺処分は正当」という行政裁判所の1審判決原文、
・ドイツ「咬傷犬の行政による強制殺処分は正当」という行政裁判所の2審判決原文、
・続・ドイツ「咬傷犬の行政による強制殺処分は正当」という行政裁判所の2審判決原文
の続きです。
今回はトルコを取り上げます。トルコは日本では「殺処分ゼロ」と喧伝されていますが、「危険な犬等は殺処分しなければならない」と法律で明記されています。攻撃性がある危険な犬ですら、殺処分を禁止している国は皆無だと、私は断言します。
連載記事では、「海外では保護犬が譲渡後に重大な咬傷を起こす例がある」、「アメリカでは近年殺処分ゼロの圧力が高まり、咬傷犬の経歴を隠して譲渡し再び咬傷事故が起きるケースが増えており、保護団体に賠償を命じた例もある」、「ドイツでは咬傷犬は行政により強制的に殺処分される」ことを述べました。連載記事の趣旨は、
1、日本では犬猫の殺処分ゼロの圧力が近年高まっているが、弊害が表面化しつつある。
2、背景にあるのは「動物愛護先進国の外国では殺処分を達成している国がある。日本はそれを見倣うべき」があるが嘘である。
3、攻撃性がある危険な犬の殺処分を禁止している国は皆無である。
です。
今回はトルコの殺処分に関する法制度について述べます。トルコは日本では「殺処分ゼロの国」と喧伝されていますが、真っ赤な嘘です。「殺処分ゼロ」とは、「いかなる場合でも殺処分しない、できない。文字通り殺処分される数がゼロ」という意味になります。トルコは法律で、
・感染症の予防根絶が目的
・重度の傷病
・危険がある
動物は殺処分してよいと明確に記述されています。その根拠となる資料から引用します。
・Turkey Presence of animal welfare legislation 「トルコ 動物福祉法」
Protecting companion animals
Stray animals
Article 6 of the Animal Protection Law (2004) approaches the issue of 'ownerless animals.' thus including stray dogs and cats.
It is prohibited to kill these animals except where permitted by the Animal Health Police Law.
They are required to be taken to animal shelters established or permitted by the local authorities.
However, the Government does not appear to have passed secondary implementing regulations as envisaged by the Animal Protection Law (2004), and media and NGO reports persist about serious welfare concerns associated in particular with stray dogs, such as dogs being poisoned.
Euthanasia is only allowed when animals have painful and distressing or incurable disease, for the prevention or eradication of a contagious disease or when their behaviour poses a threat to the lives and health of humans and animals and where their negative behaviour cannot be controlled.
愛玩動物の保護
野良動物
トルコ動物保護法 (2004年) 6条では、「所有者のない動物」の問題を取り上げており、 それには野良犬や野良猫も含まれます。
トルコ動物衛生警察法で認められている場合(危険な犬等の警察による殺害は合法)を除き、これらの動物を殺すことは(原則)禁止されています。
野良犬猫は、地方自治体によって設立または許可された動物保護施設に収容されなければならないとされています。
しかし政府は動物保護法 (2004年) で想定されているような二次的な実施規則を可決させていないようであり、メディアと NGOの報道によると犬が毒殺されるなど、特に野良犬に関しては重大な動物福祉上の懸念が根強く残っています。
野良犬猫の安楽死(殺処分)は、伝染病の予防または根絶のため、動物が痛みを伴う重度のまたは治療不可の疾患にかかっている場合、または動物の行動が人間と他の動物の生命と健康に脅威を与え、その有害な行動を抑制できない場合に限り許可されます。
つまりトルコにおいては、野良犬猫の殺処分は、
1、トルコ動物衛生警察法で定める場合
2、伝染病の予防根絶を目的とする場合
3、苦痛を伴う重度のもしくは治療不可の疾患にかかっている場合
4、人と他の動物に対して危険性がある場合
は許可されています。日本の殺処分の法的根拠も「狂犬病の予防」です。そして「みだりな殺傷」は禁止されています。つまりトルコと同じです。
日本では今までいくつかの国で「殺処分がゼロ」と情報が流布されてきました。しかし私が確認したところ、それらは全て嘘でした。日本で「殺処分がゼロの国」とされている国においても全ての国で、「重度の傷病で苦痛を除去するため」と、「危険で人や他の動物への安全上の理由」は、調べたすべての国で殺処分が許可されています。今まで記事にした「殺処分ゼロ」と日本で喧伝された国では、今回取り上げたトルコ以外にも、ドイツ、ギリシャ、オランダがありますが、全て行政が行う犬猫の殺処分があります。
・愛誤の嘘プロパガンダの生成・拡散・定着のメカニズム~朝日新聞の大嘘「ギリシャは殺処分ゼロ」ー1
・オランダは人口比で日本の89倍の犬を殺処分、殺処分率も極めて高い〜「オランダは殺処分ゼロ」というわんちゃんホンポのデマ記事
海外のデマ情報、「動物愛護先進国では殺処分がゼロである」により、日本での殺処分ゼロの圧力は、特に危険性が高い犬を無理してでも一般譲渡することの危険性につながります。幸い今のところ日本では、保護犬が譲渡先で死亡などの重大な咬傷事故を起こした事件はないようですが、その危険性を考慮しなければならないと思います。
すでに海外では保護犬が譲渡先で死亡事故を含む、重大咬傷事故が発生しています。アメリカでは、咬傷事故を起こした犬の経歴を伏せて譲渡した保護団体への損害賠償を命じる判決があります。
(動画)
殺処分ゼロの国トルコ・イスタンブールの街で暮らす野良犬たち/映画『ストレイ 犬が見た世界』本編冒頭映像 2022年3月16日
殺処分ゼロの国トルコ・イスタンブールの街で暮らす野良犬たち。
舞台となるトルコは過去への反省から、殺処分や野良犬の捕獲が違法とされている国のひとつ。
トルコではイスタンブールなどの限られた大都市では一部の野良犬は去勢後に元居た場所にリリースされているのは事実ですが、「トルコは殺処分や野良犬の捕獲が違法」とは驚愕するような大嘘です。なぜこれほどひどい嘘プロパガンダ映画を製作しなければならなかったのか疑問です。元の映画で「野良犬の捕獲が違法」と述べられているのでしょうか。トルコでは原則法律で「野良犬猫は捕獲して動物収容所に収容しなければならない」とされています。
(動画)
A dog massacre is happening in Turkey! 「トルコで犬の虐殺がおきています!」 2022年1月
Turkish President Erdogan declared war on stray animals.
He announced that all stray dogs should be rounded up by whatever means and taken to the country’s municipal shelters, absolute hell holes, where they literally die terrible deaths.
トルコのエルドアン大統領は、野良動物に対して宣戦布告を行いました。
彼はすべての野良犬を何らかの方法で捕獲して集め、完全に地獄の穴と言える犬たちが文字通り酷い死に方をする、国の公営動物収容所に収容するべきだと発表しました。
先の動画の「トルコでは野良犬の捕獲が法律で禁止されている」は、まったく真逆の大嘘です。映画の公開後にトルコのエルドアン大統領は、「野良犬は捕獲して公的動物収容所に収容する」と公言しています。
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