ドイツ「咬傷犬の行政による強制殺処分は正当」という行政裁判所の1審判決原文

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(Zusammenfassung)
Einschläferung eines Rottweilers Ein lebensbedrohlicher Angriff auf ein Kleinkind rechtfertigt die Einschläferung eines Rottweilers.
Die angeordnete Einschläferung des Rottweilers voraussichtlich offensichtlich rechtmäßig ist.
記事、
・保護犬による重大咬傷事故~「殺処分ゼロ」は正しいのか?、
・アメリカでは「保護犬の譲渡先での咬傷事故は保護団体に民事刑事とも法的責任がある」とされている~「殺処分ゼロ」は正しいのか?、
・ドイツは行政が危険な犬を強制的に殺処分する~危険な犬の殺処分を禁じている国はおそらく皆無、
の続きです。
ドイツ、ノルトラインヴェストファーレン州デュッセルドルフ市で、路上でリードが外れたロットワイラー種の犬が突然2歳の女児を攻撃してけがを負わせました。市は「行政は危険な犬を殺処分しなければならない」との州の法律の規定に基づいて犬を押収し、殺処分を行うことを決定しました。犬の飼主はそれを不服として、犬の殺処分の差止請求を裁判所に申立てました。しかし1審2審とも、裁判所は市の犬の殺処分決定は正当と判決しました。今回は1審判決の内容を取り上げます。
サマリーで示した、2015年に発生したロットワイラー種の犬が2歳の女児を咬み負傷させた事件にかかわる裁判を取り上げます。市は犬の強制的な殺処分を行うことを決定し、犬を飼主から押収しました。飼主は市の決定を不服とし、市の犬の強制殺処分の差止を請求する申立てを行いました。
1審2審とも裁判所は「女児を咬んで負傷させた犬は将来の危険を防止するために市が殺処分を命令するのは正当」と判決しました。その判決を報じるニュースソースから引用します。判決理由は判決の原文通りです。
・Einschläferung eines Rottweilers Ein lebensbedrohlicher Angriff auf ein Kleinkind rechtfertigt die Einschläferung eines Rottweilers 「ロットワイラーを安楽死させる 幼児への命を脅かす攻撃は、ロットワイラー種の犬の安楽死(殺処分)を正当化します」 2015年9月16日
Verwaltungsgericht Düsseldorf, Beschluss vom 04.08.2015, Az. 18 L 2369/15
Die Stadt Duisburg hatte die Einschläferung eines sichergestellten Rottweilers nach den Vorschriften des Landeshundegesetzes verfügt, nachdem der Hund ein Kleinkind angegriffen und lebensgefährlich verletzt hatte.
Die Antragstellerin beantragte die Wiederherstellung der aufschiebenden Wirkung der Einschläferungsanordnung im Eilverfahren beim Verwaltungsgericht erfolglos.
Entscheidungsgründe
Die angeordnete Einschläferung des Rottweilers voraussichtlich offensichtlich rechtmäßig ist.
Auch im Übrigen muss das private Interesse der Antragstellerin am Aufschub der Vollziehung hinter dem öffentlichen Interesse an der sofortigen Vollziehung der Maßnahme zurücktreten.
Danach kann mit Zustimmung des amtlichen Tierarztes die Einschläferung eines zur Abwehr gegenwärtiger Gefahren für Leben oder Gesundheit sichergestellten Hundes angeordnet werden.
Verfahrensfehler sind nicht ersichtlich.
Der freilaufende Rottweiler hat nach dem Sachverhalt in gefahrdrohender Weise unvermittelt und ohne Droh‑ und Warnsignale an Menschen schwere Bisswunden verursacht.
Die Zustimmung zur Einschläferung durch den amtlichen Tierarzt liegt vor.
Das Gutachten der Amtsveterinärin legt dar, dass wegen eines inadäquaten bzw. fehlgeleiteten Jagdverhaltens sowie wegen einer mangelnden Beißhemmung die sofortige Einschläferung das einzige Mittel darstellt, um die von diesem Hund ausgehenden erheblichen Gefahren für Menschen zu beherrschen.
Das Gutachten legt insbesondere schlüssig dar, dass eine Umerziehung des Hundes aufgrund seines Alters nicht erfolgversprechend ist.
Es bestehen auch keine Zweifel an der fachlichen Kompetenz der Amtstierärztin.
Ermessensfehler sind nicht ersichtlich.
Auch eine Übernahme in die Hände von Tierschutzorganisationen, die sich gegenüber der Antragstellerin zu einer kostenlosen Aufnahme des Hundes bereit erklärt haben, ist aus Gefahrenabwehrgründen ausgeschlossen.
Eine zukünftige Angriffe ausschließende dauerhafte Haltung in einem Käfig ist bereits aus tierschutzrechtlichen Gesichtspunkten keine Alternative.
デュッセルドルフ行政裁判所 2015年8月4日の判決 事件番号 Az. 18 L 2369/15
デュイスブルク市はロットワイラー種の犬が幼児を攻撃して重傷を負わせたために、州の犬法の規定に従って押収されたロットワイラー種の犬の安楽死を命じました。
申立人(ロットワイラー種の犬の飼主)は行政裁判所での(犬の安楽死命令の)略式手続きにおいて、安楽死命令の差止請求を申立てましたが棄却されました。
判決理由
当該ロットワイラー種の犬の安楽死命令は、合法である可能性が高い。
他のすべての点においても、犬の安楽死の実行を延期することにおける申立人の私的な利益は、犬の安楽死の即時実行による公益より優先してはならない。
行政獣医師の同意を得た後に人命や人の健康への今ある危険を回避するために、押収された犬の安楽死を命じることができる。
本件の、手続き上の誤りは明らかにされていない。
事実によると、リードを離れたロットワイラー種の犬は突然危険な状態で、脅したり威嚇したりすることなく人々に重い咬傷を負わせた。
行政獣医師はその犬の安楽死を承認した。
専門家である行政獣医師の意見によると、この犬の不適切または誤った狩猟行動と、咬むことを抑制することができないことにより、この犬による人間への重大な危険を制御するには即時にこの犬の安楽死を行うことが唯一の解決策である。
報告書では特に犬の年齢が理由で、犬を再訓練することは望ましくないと結論付けている。
行政獣医師の専門的能力についても、何ら疑いの余地はありません。
行政獣医師の判断の誤りは明らかにはされてはいない。
犬を無料で引き取る意向を表明している動物愛護団体があるが、そこに犬が引き取られることも、危険を回避しなければならないという理由から除外されるべきでえある。
将来の犬の攻撃を防止するためにケージで長期間犬を閉じ込めておくことは、動物福祉の観点からも安楽死の代わりとはなりえない。
上記の判決からは、「ドイツでは咬傷事故を起こした犬は行政が強制的にその犬を殺処分することができる」ということが分かります。前回記事 ドイツは行政が危険な犬を強制的に殺処分する~危険な犬の殺処分を禁じている国はおそらく皆無 で述べた通り、ドイツでは行政が行う犬猫の公的殺処分制度が複数あります。
ドイツでは、狂犬病が疑われる犬猫の強制的な検査殺処分、野良犬猫共行政が捕獲して公的施設に収容して殺処分も行います(日本は野良猫を行政が捕獲しない)。さらに咬傷事故を起こした犬、禁止犬種の無許可飼育、行動などから危険と判断された犬など、「危険な犬」は、飼主が拒否しても、行政が殺処分する制度は日本にはありません。日本ではたとえ死亡事故を起こした犬であっても、飼主が拒否すれば犬を行政が強制的に殺処分する法的根拠はありません。ある面では、ドイツは日本より犬の殺処分を厳格に行っているということです。
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2017年度 新聞広告クリエーティブコンテスト、で、最終選考まで残った作品。殺処分数の数値も古いモノを用いていますし著しい偏向と誤りがあります。このような作品を最終選考まで残す新聞社等メディアの無知蒙昧ぶりには呆れます。

(画像)
このようなパロディー画像も、早速ツイッターで拡散されています(笑い)。私はこの画像でも、「ドイツには行政が行う公的殺処分がある」ことが盛り込まれていないことが残念です。ドイツには、州が行う犬の公的殺処分も、狂犬病規則による殺処分も、通関法による検疫不備な犬猫の強制殺処分(日本にはない)があります。それと、警察官が犬などに対する射撃は2015年には11,901件あったのは真実ですが、犬以外の動物も含めての数です。もっとも新しい統計では、警察官が犬などを射殺した数は1万5,000頭を超えました。
いずれにしても「ドイツが殺処分ゼロ」などと本記事で信じている人がいる日本が少なからず存在する日本の知能の劣化は、目も当てられないです。

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