咬傷犬や禁止犬種犬を飼主の意思に反して殺処分し補償もないドイツ。「動物はモノではないから」

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(Zusammenfassung)
§ 90a BGB Bedeutung von „Tiere sind keine Sachen“.
記事、
・「英仏では動物はモノではないと法改正をした」という串田誠一候補の大嘘~嘘つきは国会議員にふさわしいでしょうか?、
・フランスでは動物はモノと民法で明記している~「フランスでは動物はモノではないと法改正した」という串田誠一議員の大嘘、
・ドイツでは法律上動物はほぼモノとして扱われる~串田誠一参議院議員の狂気のドイツ法解釈、
・続・ドイツでは法律上動物はほぼモノとして扱われる~串田誠一参議院議員の狂気のドイツ法解釈、
・続々・ドイツでは法律上動物はほぼモノとして扱われる~串田誠一参議院議員の狂気のドイツ法解釈、
・ドイツは「動物はモノではない」。だから行政が犬等を強制的に殺処分することができ飼主に補償もない、
の続きです。
参議院議員の串田誠一氏は、2019年のかつての衆議院議員時の国会質問での海外の動物愛護に関する発言はほぼ全てで嘘でした。さらに衆議院時代の法務委員会では「フランスでは1999年に民法で『動物はモノではないと規定している』」と発言しています。さらに参院選での街頭演説でも「フランスとイギリスでは『動物はモノではない』」としていました。しかしこれは大嘘です。さらに2021年の衆議院法務委員会のドイツ法に関する発言はデタラメの羅列でした。今回はドイツでは民法で「動物はモノではない」と明記されているため、行政が不適正飼主の動物を飼主から没収し強制的に殺処分できる。飼主には補償もない」ことを述べます。ドイツでは行政が咬傷犬や禁止犬種を飼主の意思に反しても殺処分することが一般jに行われています。飼主には補償もありません。それが「動物はモノではない」の意味です。
サマリーで示した、串田誠一前衆議院議員の2021年衆議院法務委員会での大嘘発言、「ドイツでは動物は物ではないということを他の法律に反しない限りは本法を準用する」はこちらです。
・衆議院トップページ >立法情報 >会議録 >法務委員会 >第204回国会 法務委員会 第9号(令和3年4月2日(金曜日))
ドイツの場合も、動物は物ではない、ただ、他の法律に反しない限りは本法を流用するというか準用する、そんなような内容だったと思うんですが、私も、今度、フランスをちょっと調べてまいりました。
フランスも、一九九九年、民法が改正されまして、これによって、動物は物ではない、そういう規定になったわけでございます。
民法は動物を物としておきながら、他の法律で動物に関する保護を図っていくということもできるのではないかという考え方、これも一つあると思いますし、現在そういうような扱い方になっているわけですが、もう一方で、動物は物ではないんだと言って、ただ、他の法令に反しない限り本法を準用するというようにして、基本法である民法で動物は物ではないんだということを宣言するという方法もあるのではないか。
民法で動物を物としておきながら、他の法律で修正する。
しかし、他の法律で修正をするということは、そもそも動物は物でないということを認めることになるわけですから、基本法で動物は物ではないということをやはり宣言をして、他の法律に反しない限りは本法を準用するということであれば、全般的な改正というのは必要ないのではないか。
ドイツもフランスもそういうように言っているわけでございます。(*)
(*)
フランスでは2015年の民法改正で動物の扱いについて条文に盛り込まれましたが、「動物は感性のある命ある存在ではあるがモノ(財物)としての民法適用を受ける」と明記されました。つまりフランス民法では、明確に「動物はモノ(財物)である」としています。串田誠一議員のこの発言は完全に誤りです。
串田誠一議員は「ドイツでは動物はモノではない」と国会等で強調しています。連載記事では「ドイツではモノではない」とのドイツ民法の規定が準用される、動物保護法(Tierschutzgesetz)20条の、「司法判断や行政命令により、飼主に特定の動物の飼育や取得を禁じることができる」を取り上げました。また同条に関連する動物保護法17条「長期的反復的に動物に苦痛を与えることの禁止」と、同条16条aの、「行政が単独で動物に苦痛を与える飼主から動物を没収し、殺処分を行う権限がある」との条文の説明をしました。
前回記事では、2020年と2021年にドイツで行政職員が飼主の庭から老犬を無断で持ち出す等などして、飼主の意思に反して犬を殺処分した例を挙げました。飼主は犬の虐待飼育を否定しています。しかし第三者の判断、たとえば司法判断を経ずに、ドイツでは行政の判断のみで「不適正飼育者から動物を没収し、強制的に殺処分する」権限があります。それがドイツ民法90条aで明文化されている「動物はモノ=財物ではない」(Tiere sind keine Sachen)が準用される、動物保護法(Tierschutzgesetz)20条の実際の運用です。
ドイツ動物保護法 20条 Tierschutzgesetz Tierschutzgesetz § 20「不適正飼育者等に対して、裁判所等は動物の飼育を禁止する命令を出すことができる」ですが、各州法においてもこの規定が準用されています。各州法では咬傷事故を起こした犬や禁止犬種、行動などから危険と判断された犬を行政が強制的に飼主から取り上げて飼主の意思に反して殺処分する権限があります。その場合は、飼主に対する補償はありません。またこれらの行政による犬等の殺処分数は相当数あります。
具体的に州法令の規定を例示します。以下はヘッセン州の規則ですが、ドイツでは全州におなじ法令による規定(人や動物に危険を及ぼす可能性がある犬は行政当局が飼主の意思に反しても強制的に殺処分できる。さらに人を殺害したり重傷を負わせた犬は行政は殺害しなければならない)があります。
・HundeVO - Gefahrenabwehrverordnung über das Halten und Führen von Hunden - Hessen - 「ヘッセン州の犬の飼養及び導くことに関する危険防止規則 (ヘッセン州 犬規則)
(2) Die zuständige Behörde kann die Tötung eines Hundes nach § 42 des Hessischen Gesetzes über die öffentliche Sicherheit und Ordnung anordnen, wenn Tatsachen die Annahme rechtfertigen, dass von dem Hund eine Gefahr für Leben oder Gesundheit von Menschen oder Tieren ausgeht.
Die Tötung ist anzuordnen, wenn der Hund einen Menschen getötet oder ohne begründeten Anlass ernstlich verletzt hat.
14条 (行政当局による)犬の確保とと殺害
2項 行政の管轄当局は、犬が人間または動物の生命または健康に脅威を与えるという仮定が事実によって正当化される場合は、公共の安全および秩序に関するヘッセン州法第42条に従い、犬の殺害を命じることができます。
犬が人を殺したり、正当な理由なく重傷を負わせたりした場合は殺害を命じなければなりません。
上記のヘッセン州における「犬規則」の規定ですが、過去にこの法令に基づき、州により殺処分された犬の数の情報公開請求がドイツ連邦獣医師会により行われました。それによれば人口624万人のヘッセン州では、「危険と思われる、もしくは危険な犬」が年間平均で152頭が殺処分されました。その資料を以下に引用します。
これらの犬の殺処分は飼主が同意したものではなく、行政命令により強制的に行われました。また犬の殺処分に対する補償はありません。ドイツ民法では「動物はモノ=財物ではない」と規定されていますので、犬は飼主の所有権で守られません。さらに補償もありません。
・Gedanken / Hinweise zu den Urteilen in Hessen
"Gefährlicher Hund" galt, der Halter die Kosten für die Unterbringung des beschlagnahmten Hundes nicht zahlen konnte - und letztlich der Euthanasie zustimmte?
Dieser Rasseliste gegen den Gleichheitsgrundsatz verstoßen werden.
In Hessen werden viele Hunde ungerechtfertigt eingeschläfert - so lautet der Vorwurf der Bundestierärztekammer.
Als Beweis dient eine Statistik des Innenministeriums in Wiesbaden, wonach in der Zeit von August 2000 bis September 2003 insgesamt 456 Hunde auf amtliche Anordnung getötet wurden.
「(法律で飼育が禁じられているいわゆる闘犬カテゴリーの)危険な犬」ですが、飼い主は行政に没収された犬の(公的動物収容所の)飼育コストを支払うことができませんでしたーそのために最終的に飼い主は(行政が行う)安楽死に合意したのでしょうか?
リストアップされた禁止犬種の飼育が違法となるのは、法の平等の原則に反します。
ヘッセン州では、多くの犬が不当に安楽死させられますーそのようにドイツ連邦獣医師会が主張しています。
証拠は、ヴィースバーデンにあるヘッセン州内務省の統計にあり、これによると2000年8月から2003年9月までの期間に、合計456頭の犬が公的な制度に基づき行政殺処分されました。
ヘッセン州のこの152頭の禁止犬種法に基づく行政による強制殺処分ですが、人口624万人のヘッセン州では、人口比では日本の0.75倍です。この数には野良犬を行政が捕獲して殺処分した数や、アニマルホーダーの不適正飼育者の犬を行政が没収して殺処分した、さらに狂犬病が疑われて確定診断のために殺処分された犬の数は含まれません。
ドイツは日本のように行政サービスとして不要犬猫を行政が引き受ける制度はありませんが、野良犬猫共行政が捕獲して公的動物収容所で殺処分も行われています。さらに日本とは異なり、飼主の意思に反して、飼主から不適正飼育の動物、咬傷犬、禁止犬種の無許可飼育の犬、行動から危険と判断された犬を行政が没収して強制的に殺処分する制度があります。これらの制度により殺処分された犬などの補償は、飼主にはされません。
飼主の意思に反してもドイツが犬などを行政が没収し、強制的に殺処分を行い、飼主に補償もないのは、ドイツでは法律の特別の規定があれば「動物はモノ=財物ではない」という、民法の規定があるからです。対して日本では人を殺した犬であっても、飼主が拒否すれば、行政が強制的にその犬を殺処分することはできません。犬はあくまでもモノ=財物であって、所有権に守られるからです。日本の方がドイツより、実質的には命が守られるとも言えます。
(動画)
Mahnwache für Hund Chico: "Er ist unser Chico Guevara" | DER SPIEGEL 「犬のチコの追悼:犬チコは私たちのチコ・ゲバラです」| シュピーゲル(ドイツのマスコミ)
Rund 80 Menschen haben sich in Hannover zu einer Mahnwache für den Hund Chico getroffen.
Der Hund hatte vor zwei Wochen seine Besitzerin und deren Sohn totgebissen - das Ordnungsamt ließ ihn einschläfern.
約80人がハノーバー(ドイツ、ニーダーザクセン州)で、の犬チコの追悼のために集まりました。
犬チコは2週間前に飼い主とその息子を咬んで殺害したのですー行政組織は犬チコを(行政命令により)安楽死させました。
虐待を受けていたとされる犬が、飼主の母親と車いすの身障者の息子を咬んで殺害しました。ハノーファー市は、その犬を強制殺処分する命令を出し、行政獣医師が行いました。犬の公的殺処分に反対する市民約80名が集まり抗議活動をしました。犬の殺処分を行った行政獣医師の殺害予告も行われ、検察庁は捜査を命じました。
このような重大な犬の咬傷事故ではドイツでは仮に遺族や飼主が殺処分に反対しても、行政が強制的に殺処分します。犬はモノ=財物ではありませんので。日本は重大咬傷事故を起こした犬でも、行政が強制的に殺処分することはできません。あくまでも所有権が及ぶ財物だからです。例えば死亡事故を起こした自動車を自動車の所有者の意思に反して行政が没収して破壊することはできません。あくまでも自動車は財物で、所有権に守られるからです。犬もそれと同じことです。
(参考資料)
串田誠一氏は衆議院議員時代の2019年に国会質問を行っていますが、海外の動物愛護に関する発言はほぼ全てで嘘でした。この点について私は記事にしています。反証は全て出典を明記しています。私はこれらの記事は、全て串田誠一氏に送っています。しかし串田誠一氏は国会発言のみならず、その後もマスコミやツイッターでとんでもないデマ発言を繰り返しています。リンクした記事以外では、ブログ内で「串田誠一」で検索して戴ければご覧いただけます。
・串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問~海外情報はすべて誤り
・欧米では犬猫の殺処分は注射による安楽死だけ。ガス室の殺処分は禁止されている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・続・欧米では犬猫の殺処分は注射による安楽死だけ。ガス室の殺処分は禁止されている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・諸外国では犬猫の繁殖最低年齢や生涯繁殖回数を法律で規定している~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・続・諸外国では犬猫の繁殖最低年齢や生涯繁殖回数を法律で規定している~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・犬猫の販売においては、諸外国では圧倒的に8週齢以上を義務付けている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問(アメリカ編)
・「アメリカ合衆国では事実上8週齢未満の犬猫販売を禁じている」という、環境省のデタラメ資料
・続・犬猫の販売においては、諸外国では圧倒的に8週齢以上を義務付けている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問(EU編)
・続々・犬猫の販売においては、諸外国では圧倒的に8週齢以上を義務付けている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問(カナダ、オセアニア編)
・EUの犬猫などのペットの入手は8割近くがインターネット販売とペットショップ~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問、
・アメリカは行政単位で犬猫譲渡をしている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・殺処分100%のアメリカの公営アニマルシェルター~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問、
・99%以上の殺処分率かつ84%を24時間以内に殺処分したアメリカのアニマルシェルター~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・日本はペットショップが多い。イギリスでは生体販売ペットショップを禁止している~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・イギリスでは「犬肉禁止法案」が審議中。しかし成立は流動的~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・アメリカの半数の州が犬猫のブリーダーに関する法規制すらない~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・続・アメリカの半数の州が犬猫のブリーダーに関する法規制すらない~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・ヨーロッパ諸国より日本の犬ブリーダーの規制は厳しい~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・「ペットの数がものすごい数で増えている」というデタラメ~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問~まとめ
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