「ドイツでは犬を飼えなくなったら罰金が科される」というひろゆき氏の大嘘

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(Domestic/inländisch)
記事、カリフォルニア州は日本より人口比でペットショップが多く10年来増加している~坂上忍氏とひろゆき氏の狂気の対談、の続きです。
海外の動物愛護に関するぶっ飛んだ、荒唐無稽なデマを強烈に拡散している大物愛誤に2ちゃんねるの創設者、ひろゆき氏と坂上忍氏がいます(他にも多くいますが。例えば「日本以外の先進国ではペットショップがない」と公言した杉本彩氏なども)。お二人の日経系のメディアの動画で、動物愛護に関する対談が公開されています。しかしそれは海外情報では荒唐無稽なデマの羅列でした。今回記事では、ひろゆき氏の「ドイツでは犬を飼えなくなったら罰金が科される」等のと大デマを取り上げます。結論から言えばドイツではそのような法律の規定は存在しません。ドイツの犬の死因は80%以上が人為的な致死処分です。つまり飼主が犬を飼い続けることができなくなれば獣医師に安楽死をしているのです。
サマリーで示したひろゆき氏の、「ドイツでは犬を飼えなくなったら罰金が科される」との大デマ発言はこちらです。
(動画)
【ひろゆき&成田悠輔】坂上忍の「裏の顔」!「涙の別れ」多発の訳【バイキング裏話】 2022年7月17日
30:30~
ひろゆき氏:フランスはもうペットショップ無くなるでしょ。
ブリーダーのとこ行ってちゃんと訓練受けてドイツの場合だと犬飼うために勉強しなきゃいけないそうですね。
飼えなくなった場合は罰金がありますよ。
(*)
フランスでは2024年から「ペットショップでは犬猫に限り販売が禁止される(他の動物種のペットの展示販売は引き続き許可される)。ただし犬猫であっても保護団体由来のものであれば展示販売できる」との法改正がありました。したがって「フランスではペットショップがなくなる」とは大嘘です。
まさに狂人の妄想大会という様相です。まず「ブリーダーのとこ行ってちゃんと訓練受けてドイツの場合だと犬飼うために勉強しなきゃいけないそうですね」ですが、ドイツにはそのような法令は皆無です。ドイツ語で検索しても「犬の購入予定者に訓練を行うことを条件にして犬を販売する」というドイツの犬ブリーダーは1件もヒットしませんでした。
なおドイツ16州のうちニーダーザクセン州1州に限り、犬を飼うには公的な犬飼育の能力証明の取得が義務付けられています(Hundeführerschein)。ブリーダーが訓練を行うのではありません。
次に、「(ドイツでは)犬が飼えなくなった場合は罰金がありますよ」。そのような法律はありません。ドイツ動物保護法では18条で犬を遺棄した場合はは最大で25,000ユーロの罰金は定めています(Tierschutz: Hunde richtig halten)。
犬などの遺棄の処罰は、日本の動物愛護管理法44条3項で、処罰規定があります(動物の愛護及び管理に関する法律)。さらに日本は努力義務とは言え、世界でも類を見ない愛護動物の終生飼育を義務付けている国です。むしろ終生飼育に対する飼主の義務は、日本の方が厳しいと言えます。
対してドイツは、犬の死因の80%以上が人為的な致死処分という国です。犬が飼えなくなった飼主の多くは、獣医師に安楽死を依頼します。(*1)日本ではペットの安楽死を行う獣医師は極端に少ないので、ドイツより日本の方が犬を飼えなくなった場合の対処が難しいと言えます。このようにひろゆき氏と、前回記事で取り上げた坂上忍氏の発言は何の根拠もなく、一切出典を調べず思い付きでの発言です。まさに狂人たちが妄想で盛り上がっているという様相です。
(*1)
・ドイツの犬の死因の9割が安楽死の根拠となる学術調査~治る可能性があっても治療費の負担を嫌い安楽死を選ぶ飼主
さらに司会の成田悠輔氏も、真実とは真逆の妄想発言を行っています。以下に引用します。
31:53
成田悠輔氏:日本でペットショップはこんなに多くて特に大都会の一番目立つところにデカデカと見える形であって、ショップが大変あるのはなんだな。
あんまり他の国の都市部で見たことがない光景だなって思う。
真実は、アメリカの生体販売ペットショップの数は日本の約7倍で、人口比では2.6倍あります。また20年以上一貫して店舗数売上高とも増えています。ドイツの生体販売ペットショップ数は約4,300店舗で人口比で1.3倍、イギリスは3,000店舗あり1.6倍あります。特にドイツは生体販売ペットショップ数の売り上げ増が著しい国です。
まさに司会もゲストも、無知無学と狂人で妄想大会を開催している様相です。根拠のない単なる思い込みでの与太話は、当事者だけでできれば塀に囲まれた閉鎖空間が望ましいですが、そのような場所でしていただきたい。嘘デマを公に広めることは有害です。さらにご自身のオツムの中身がカラッポだということを世間に知らしめる効果しかありませんよ。
次回以降の記事では「ペットショップの展示販売による衝動買いが殺処分の原因」という、お三方の主張の矛盾について述べます。坂上忍氏は「カリフォルニア州では生体販売(ペットショップのことか)がない」と述べていますが、カリフォルニア州の犬猫公的殺処分数は人口比で日本より数倍も多いのです。
(画像)
・IBISWorld Industry Report 45391 Pet Stores in the US 「IBISWorld 業界調査報告書45391 アメリカ合衆国のペットストア 2012年」(なお、Key statistics 「基本統計」として、2017年までの統計値が付けてあります)。
この資料は、アメリカの大手シンクタンク、IBIS Worldによるものです。本資料によれば、2017年のアメリカ合衆国における、個人事業の生体販売ペットショップと、法人の生体販売ペットショップの合計は、33,659件あります。この数は、人口比で日本の生体販売ペットショップの数の2.6倍です。更に生体販売ペットショップは店舗数、売上高、従業員数とも増えています。成田悠輔氏はちゃんと中学を卒業しているんですかね。こんな資料は中学レベルの英語検索ですぐに見つかります。
IBISWorld Industry Report 45391 Pet Stores in the US 「IBISWorld 業界調査報告書45391 アメリカ合衆国のペットストア】2012年」 (31ページ)

(画像)
日本のペットショップの件数は、総務省経済センサス‐基礎調査
平成26年経済センサス‐基礎調査 調査の結果)によれば、2016年の日本のペットショップ数は、5,041件です。

(訂正とお詫び)
連載の前回記事(カリフォルニア州は日本より人口比でペットショップが多く10年来増加している~坂上忍氏とひろゆき氏の狂気の対談)の記述内容を一部訂正します。
「カリフォルニア州では「ペットショップは犬猫ウサギに限り、保護断団体由来のもののみ販売を認める。その他のペットの生体展示販売は従前どおり許可される」という州法が2019年に施行されました。しかし保護団体がパピーミルから大量に子犬を買い付けてペットショップに卸すので、従前どおりカリフォルニア州のペットショップでは犬なども展示販売されています。
との記述は2019年に施行されたカリフォルニア州法、§ 122354.5.の内容です。2019年施行の法律では、ペットショップが保護犬猫ウサギの譲渡においては、上限金額はありませんでした。また保護団体に「スペース貸し」する場合に料金を取ってもよかったのです。2021年に発効した本条の改正法では、「ペットショップでは保護動物の展示をする際に手数料を取らないこと、新しい飼い主への養子縁組にかかる費用は総額500ドルを超えないこと」が新たに付け加えられました。
しかし「ザルの目が小さくなった」にすぎません。ペットショップが傘下に動物保護団体を持つことを法律は妨げていません。また保護犬猫の販売価格を500ドルまでとしても、別途会員制にして会費を高額にする、寄付金を条件にするなどの抜け穴があります。これは日本の第二種動物取扱業者の常とう手段です。日本の動物愛護管理法では、第二種動物取扱業者は販売はできません。
§ 122354.5. Sale of animals; prohibitions; penalties for violations
(a) A pet store shall not adopt out, sell, or offer for sale a dog, cat, or rabbit.
This section does not prevent a pet store from providing space to display animals for adoption in accordance with subdivision (b).
(b)(1) A pet store shall not provide space for the display of dogs, cats, or rabbits available for adoption unless the animals are displayed by either a public animal control agency or shelter, or animal rescue group.
(2) Any animal displayed for adoption shall be both sterilized and adoptable for total fees, including, but not limited to, adoption fees, not to exceed five hundred dollars ($500).
(3) The pet store displaying dogs, cats, or rabbits pursuant to paragraph (1) shall not receive any fees in connection with the display of dogs, cats, or rabbits.
122354.5条 動物の販売:禁止事項; 違反に対する罰則
(a)ペットショップは、犬、猫、またはウサギに限り養子縁組、販売、または販売のために提供してはなりません。
本項は、ペットショップが(b)号に従って養子縁組のために動物を展示するスペースを提供することを妨げるものではありません。
(b)号(1)ペットショップは、公的な動物管理機関またはアニマルシェルター、あるいは動物保護団体のいずれかによって動物が展示されない限り、養子縁組な犬、猫、またはウサギを展示するスペースを提供してはなりません。
(2)養子縁組のために展示された動物は不妊去勢されその費用は養子縁組料金に含みますが、これに限定せず500ドル($ 500)を超えない合計料金で養子縁組を可能としなければなりません。
(3)(1)に従って犬、猫、またはウサギを展示するペットショップは、犬、猫、またはウサギの展示に係る料金を受け取ってはなりません。
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