「英仏では動物はモノではないと法改正をした」という串田誠一候補の大嘘~嘘つきは国会議員にふさわしいでしょうか?

Please send me your comments. dreieckeier@yahoo.de
Bitte senden Sie mir Ihre Kommentare. dreieckeier@yahoo.de
メールはこちらへお寄せください。 dreieckeier@yahoo.de
(summary)
Animals are not things.
Austria, Germany, Swiss Civil Code, Catalonia in Spain, Netherlands only.
However, all these civil codes also specify that provisions applying to things also apply to animals.
前衆議院議員で現在参議院議員に立候補している串田誠一氏。この方は2019年の衆議院議員時の国会質問では、海外の動物愛護に関する発言はほぼ全てで嘘でした。前回の衆議院議員選で落選して現在国会での議席はありません。落選後もマスコミでの発言やツイッターでの投稿で、主に海外の動物愛護に関するデマを吹聴しまくっています。2022年7月3日の参議院選の街頭演説で「イギリス、フランスでは『動物はモノではない』という法改正があった」というとんでもないデマを発言しました。これほどまでに虚言が多い方は国会議員にふさわしいでしょうか。
サマリーで示した、串田誠一前衆議院議員、現参議院候補者の街頭演説の動画を示します。
(動画)
【税金は命を救うために】動物愛護一筋の串田誠一を国会へ【犬猫殺処分ゼロ】(この動画が公開されたのは2022年7月3日です)。
23:18ごろから「(日本では)動物をモノとしている。英や仏や独ではモノじゃないと法律が改正された」と、串田誠一候補は主張しています。
わざわざ動画公開者がこの発言を大文字で字幕を付けています。しかしイギリスとフランスでは「動物はモノではない」という法律の条文は一切ありません。串田誠一候補の無知無学ぶりには呆れますが、それを必死で拡散してさらに恥をさらす支持者の痴性には笑えます。
先に述べた通り、イギリスとフランスでは「動物はモノではない」との明文化された法律の条文は一切ありません。それは次に引用する、フランスとスイスの弁護士のグループによる、動物の地位向上のための運動団体、 THE GLOBAL ANIMAL LAW (GAL) PROJECTによる、動物法の資料に書かれています。
引用する資料は2016年のものですが、イギリスとフランスでは、該当する法改正はその後ありません。現在(2022年7月9日)に確認したところ、イギリス、フランス両国とも「動物はモノではない」という法律の条文はありません。
・FEATURE: THE EVOLUTION OF THE LEGAL STATUS OF ANIMALS: FROM THINGS TO SENTIENT BEINGS 「特集記事:動物の法的地位の発展:モノから感性のある命ある存在まで」 2016年1月
Animals are not things.
This clear formulation is now in the civil codes of several European countries.
Austria has initiated the integration of this provision in 1988 and Germany followed in 1990.
Later, this statement was made in the Swiss Civil Code in 2003, in the province of Catalonia in Spain in 2006, and the Netherlands since 2011.
However, all these civil codes also specify that provisions applying to things also apply to animals.
Everywhere in the world today, animals are subjected to the property regime and are, therefore, tradable, alienable and exploitable.
Some civil codes have also recognized animals as “sentient beings”- France in 2014, followed by Quebec in 2015 and shortly after by Colombia in 2016.
Here the same principle applies. Eventhough recognized as sentient beings in these countries, animals remain subjected to the things (or common “goods”) legal regime.
動物はモノではありません。
この明確な定型文は現在、ヨーロッパ諸国のうちいくつかの国の民法で規定されています。
オーストリアは1988年にこの規定を(民法に含め)施行し、ドイツは1990年に続きました。
その後この記述は2003年にスイスで、2006年にスペインのカタルーニャ州、2011年からオランダの民法で盛り込まれました。
ただしこれらの国の民法の全ての規定は、動物にも適用されるとしています。
今日では世界中のどの国でも動物は私有財産の対象となっており、したがって商取引、譲渡が可能で、動物から搾取することが可能です。
民法で認められている感性:感性のある命ある存在としての動物
一部の国の民法では、動物を「感性のある命ある存在」として認識しています。
2014年にフランス、2015年にカナダのケベック州、2016年にコロンビアが続きます。
しかしここでも同じ原則が適用されます。
つまりこれらの国では動物は感性のある命ある存在として認識されていますが、動物はモノ(または一般的な「商品」)として法制度の対象となっています。
つまり串田誠一氏の街頭演説での「イギリスとフランスでは『動物はモノではない』という法改正を行った」という発言は真っ赤な嘘です。串田誠一氏には、両国の該当する法律の条文を原文で挙げていただきたいです。
「動物はモノではない」との明確な記述を盛り込んだ法律がある国々においても実際には動物は、単に「私有財産」として民法の規定が適用されています。「動物はモノではない」との条文の記述は、理念として述べられているにすぎず、実際の法の適用では動物は「財物」であり、「一般的な商品の1つ」にすぎません。
一方、動物をあくまでも「私有財産」としての民法の規定が適用されることにより、動物の命が守られるという面があります。日本では動物は「モノ」、つまり財物=所有権が及ぶ有体物、という民法での位置づけです。あくまでも「モノ」=所有権により守られるということは、たとえ人を咬み殺した犬ですら、飼主がとことん拒否すれば行政がその犬を強制的に殺処分する法的根拠は日本にはありません。レトリーバーが孫を咬み殺した事件が東京八王子市でありましたが、その犬は現在も祖父母に飼われ続けているという情報があります。このようなケースでは、ドイツ等においては間違いなく行政により強制的に殺処分されます。
ドイツ、オーストリア、スイス等では、重大な咬傷事故を起こした犬は、飼主が拒否しても「行政は殺処分しなければならない」と、各州法で明記されています。またこれらの国では、法律で原則飼育等を禁止している闘犬種の犬の無許可飼育のものも、行政が没収して強制的に殺処分する権限があります。さらにアニマルホーダー等の不適正飼育者の動物は、行政が没収して強制的に殺処分する権限があります。日本では「あくまでも『モノ』=所有権により守られる」ことにより、逆に動物の命が守られているともいえるのです。
次回記事では、ドイツを例に挙げて「咬傷事故を起こした犬」、「禁止犬種」、「不適正飼育舎の動物」を行政が飼主から無理やり取り上げて強制的に殺処分できるとする法律を取り上げます。これらの法律による犬の公的殺処分数は相当数あり、日本の公的殺処分数に匹敵する数です。
また串田誠一氏は日本の公的殺処分数の年間2万頭台の数字を繰り返し挙げて「日本は世界で最低最悪の動物愛護後進国」と絶叫しています。しかしイギリスの犬の殺処分数は公的殺処分(自治体が公的施設で行う殺処分)だけでも約年間7,000頭あり、日本の犬の公的殺分数の約3倍です。民間のアニマルシェルターを含めた犬の殺処分数は8万頭と推計されており、人口比で日本の40倍です。その他のペットも含めた殺処分数は年間40万頭で、人口比で日本の30倍以上です。さらにイギリスでは殺処分数が増加傾向です。
フランスの犬猫殺処分数は年間50万頭で、人口比で日本の約40倍です。そして」殺処分率は日本より著しく高いのです。いずれにしても、この串田誠一氏の発言は完全に噓ですし、著しい事実の歪曲があると言わざるを得ません。
(参考資料)
串田誠一氏は衆議院議員時代の2019年に国会質問を行っていますが、海外の動物愛護に関する発言はほぼ全てで嘘でした。この点について私は記事にしています。反証は全て出典を明記しています。私はこれらの記事は、全て串田誠一氏に送っています。しかし串田誠一氏は国会発言のみならず、その後もマスコミやツイッターでとんでもないデマ発言を繰り返しています。リンクした記事以外では、ブログ内で「串田誠一」で検索して戴ければご覧いただけます。
・串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問~海外情報はすべて誤り
・欧米では犬猫の殺処分は注射による安楽死だけ。ガス室の殺処分は禁止されている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・続・欧米では犬猫の殺処分は注射による安楽死だけ。ガス室の殺処分は禁止されている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・諸外国では犬猫の繁殖最低年齢や生涯繁殖回数を法律で規定している~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・続・諸外国では犬猫の繁殖最低年齢や生涯繁殖回数を法律で規定している~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・犬猫の販売においては、諸外国では圧倒的に8週齢以上を義務付けている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問(アメリカ編)
・「アメリカ合衆国では事実上8週齢未満の犬猫販売を禁じている」という、環境省のデタラメ資料
・続・犬猫の販売においては、諸外国では圧倒的に8週齢以上を義務付けている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問(EU編)
・続々・犬猫の販売においては、諸外国では圧倒的に8週齢以上を義務付けている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問(カナダ、オセアニア編)
・EUの犬猫などのペットの入手は8割近くがインターネット販売とペットショップ~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問、
・アメリカは行政単位で犬猫譲渡をしている~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・殺処分100%のアメリカの公営アニマルシェルター~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問、
・99%以上の殺処分率かつ84%を24時間以内に殺処分したアメリカのアニマルシェルター~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・日本はペットショップが多い。イギリスでは生体販売ペットショップを禁止している~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・イギリスでは「犬肉禁止法案」が審議中。しかし成立は流動的~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・アメリカの半数の州が犬猫のブリーダーに関する法規制すらない~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・続・アメリカの半数の州が犬猫のブリーダーに関する法規制すらない~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・ヨーロッパ諸国より日本の犬ブリーダーの規制は厳しい~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・「ペットの数がものすごい数で増えている」というデタラメ~串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問
・串田誠一議員の動物愛護管理法改正に関する赤恥国会質問~まとめ
- 関連記事
-
- 日本のペットの動物愛護評価はフランス、イタリアと同じでアメリカよりはるかに高い
- 行政が強制的に犬を殺す「動物はモノではない」ドイツ、しない韓国、できない日本
- 「中東では動物愛護のため猫の販売が禁止されている」という大嘘~ひろゆき氏の動画から
- 「英仏では動物はモノではないと法改正をした」という串田誠一候補の大嘘~嘘つきは国会議員にふさわしいでしょうか?
- 公的殺処分数の国際比較は無意味~水面下で行われる欧米の民間の「殺処分」は数字に表れない
- ドイツでは9割、イギリスでは8割、アメリカでは7割の犬が殺されて生涯を終える
- なぜ日本の犬の平均寿命が欧米より長いのか?~日本は世界にまれにみる犬猫の終生飼養義務国