ドイツでの犬猫狩猟駆除は明確に飼主があるものも対象~「野良犬猫=無主物だけ」は大嘘

Please send me your comments. dreieckeier@yahoo.de
Bitte senden Sie mir Ihre Kommentare. dreieckeier@yahoo.de
メールはこちらへお寄せください。 dreieckeier@yahoo.de
(Zusammenfassung)
Inhalt des Jagdschutzes
Bezüglich der Jagd auf wildernde Hunde und Katzen.
ドイツでは犬猫の狩猟が合法ですが、その内容は日本では正確に伝えられていません。例えば「狩猟駆除の対象になるのは飼主がないものに限る」があります。しかし連邦法および各州の狩猟法においてはそのような規定はありません。対象は一定条件であれば、飼主の有無にかかわらず狩猟対象となります。その他「猟期がある」ですが、連邦法および全州の狩猟法では犬猫は猟期がなく、通年行えます。「多くの州で犬猫の狩猟が禁止された」ですが、現在2州では猫の狩猟を禁じています。しかし全州で犬の狩猟が合法です。
ドイツの犬猫の狩猟に関して、ソーシャルメディア等でのあまりにもいい加減で無責任なデマがはこびっています。その一例を挙げます。
(画像)
ニャンコ友人帳 ツイッター から。
この方は私とは全くかかわりがないにもかかわらず、私をブロックしていますので、私はキャッシュコピーでしか見ることができません。しかし私が知る限り、この方は誤った海外の動物愛護情報を上から目線で偉そうに解説しています。もちろん原語の出典を示したことは一度も確認できていません。リプライにも出典を示したものは一つもありません。


上記のツイッターでの投稿をまとめると次のようになります。
1、 ドイツでは狩猟法で犬猫が射殺されているが、所有者のないものだけがその対象となる。
2、 ドイツでの犬猫の狩猟は、猟期に限られる。
3、 ドイツでは2020年現在、多くの州で犬猫の射殺が禁止されている。
その他 2007年から2015年の8年間に射殺された数は猫が14万匹、犬が1,000匹である。
結論から言えば、上記のツイッターでのスレッドは、まさに狂人が妄想で盛り上がっているのに等しい内容です。ただの一つも出典を挙げていないのもお笑いです。法律云々、統計云々というのであれば、法律では必ずその規定があるはずです。具体的な数字を示すのだから、根拠となる統計推計があるはずなのです。しかしそれを示していません。正しくは次の通りです。
1、ですが、ドイツでは連邦法および各州法で「犬猫の狩猟は所有者のないものに限る」という規定は一つもありません。一定の条件下では、犬猫は所有者のあるなしにかかわらず、狩猟対象となります。
2、ですが、ドイツでは連邦狩猟法及び各州法では、犬猫の狩猟は猟期を定めていません。犬猫の狩猟は通年(1年を通して)許可されています。
3、ですが、2020年時点でドイツ16州のうち、猫の狩猟を禁じているのはノルトライン-ヴェストファーレン州とザールラント州の2州のみです。犬は全州で狩猟が合法です。
なお、「その他」ですが、裏付ける統計推計資料は検索して調べても、該当する者は一切ありませんでした。2015年の「1年間で猫30万~50万匹、犬3万~5万頭が狩猟駆除されている」という推計値があります。順を追って、出典を示しならがそれらの誤りを示していきます。
まず最初は「1、 ドイツでは狩猟法で犬猫が射殺されているが、所有者のないものだけがその対象となる」が大嘘である点について。先に述べた通り、ドイツでは連邦法および州法で「犬猫の狩猟は所有者のないものに限る」という規定は一切ありません。具体的に法律の条文を引用します。
・Bundesjagdgesetz ドイツ連邦狩猟法 23条
§ 23 Inhalt des Jagdschutzes
Der Jagdschutz umfaßt nach näherer Bestimmung durch die Länder den Schutz des Wildes insbesondere vor Wilderern, Futternot, Wildseuchen, vor wildernden Hunden und Katzen sowie die Sorge für die Einhaltung der zum Schutz des Wildes und der Jagd erlassenen Vorschriften.
23条 狩猟鳥獣の保護の内容
ドイツの各連邦州は、狩猟鳥獣の保護に関して詳細な規制(立法)を行うことができ、以下が含まれます。
それらは特に密猟者から狩猟鳥獣を保護すること、餌不足、野生動物の病気、犬や猫が狩猟鳥獣を狩ることを防止する、狩猟鳥獣保護と狩猟の法令順守のための規制(立法)です。
ドイツ連邦狩猟法での犬猫の狩猟の根拠となる条文では単に、Hunden und Katzen とあり、それらには所有者の有無は問うていません。この条文は、ドイツの各連邦州は狩猟鳥獣の保護のために「犬猫が狩猟鳥獣を狩ることの防止」などの詳細な立法を行うことを委任しているという内容です。これを委任立法と言います。
次に、各州の狩猟法の具体的な条文を引用します。まずドイツ連邦共和国の首都州である、ベルリン州の州狩猟法から引用します。
・Gesetz über den Schutz, die Hege und Jagd wildlebender Tiere im Land Berlin (Landesjagdgesetz Berlin - LJagdG Bln) in der Fassung vom 25. September 2006 「ベルリン州(Landesjagdgesetz Berlin-LJagdG Bln)における野生動物の保護、世話、狩猟に関する法律 2006年9月25日版 33条全文
§ 33
Aufgaben und Befugnisse der Jagdschutzberechtigten
(zu § 23 des Bundesjagdgesetzes )
(1) Die zur Ausübung des Jagdschutzes berechtigten Personen sind insbesondere befugt,
2. im Jagdbezirk wildernde Katzen sowie Hunde, die außerhalb der Einwirkung der führenden Person im Jagdbezirk wildern, zu töten. Diese Befugnis gilt nicht gegenüber Hirten-, Jagd-, Blinden- und Polizeihunden, soweit sie als solche kenntlich sind, die sich der Einwirkung ihres Führers entzogen haben.
33条
狩猟鳥獣を保護する権限を与えられた者の義務と権限について
(連邦狩猟法第23条に基づく)
(1)狩猟鳥獣保護を行使する権限を与えられた者が具体的に許可されていること
2.狩猟地区内で狩猟鳥獣を狩る猫と狩猟区域内で飼主の管理外にある犬で狩猟鳥獣を狩っている犬(の狩猟)。
この許可は、飼主の管理下を離れていたと認識されても牧羊犬、狩猟犬、盲導犬、警察犬には適用されません。
つまりこの条文では「牧羊犬」、「狩猟犬」、「盲導犬」、「警察犬」以外であれば、飼主の管理下から離れていると認識されれば飼主があったとしても(飼主の管理下から離れているのだから当然「飼犬」です)、狩猟駆除が合法という意味になります。
また猫は単に「猫(katze)」とあり法律の条文からは、狩猟が許可されている猫は所有者があることにより除外されるとは一切ありません。ベルリン州以外のドイツ連邦州の州狩猟法でも、概ねベルリン州と犬猫の狩猟に関する規定は同じです。
繰り返しますが、ドイツでは連邦狩猟法においても各州の狩猟法においても、「犬猫の狩猟は飼主があるものは除外する」という規定はありません。単に「犬(hund)」、「猫(katze)」と記述があるだけです。それらの犬猫が例えば飼主の占有下にないなどの一定の条件下であれば、飼主の有無にかかわらず狩猟が合法です。それが明らかに飼主があると推定できる犬猫(目立つ首輪をしているなど)であってもです。
しかし日本では「ドイツの狩猟法では野良犬野良猫(=飼主がない、無主物)に限る」という情報が蔓延しています。その理由を私は考えてみました。日本人の常識として、明らかに飼主があると思われる犬猫を殺すことに躊躇する人が多いことがあると思います。次回以降の記事では、「明らかに飼主があることが明白な犬猫であっても、狩猟駆除がドイツでは合法である」ことを証明する、具体的な事例を取り上げたいと思います。
(動画)
Wer tut so etwas? Hund kaltblütig ausgesetzt! | SAT.1 Frühstücksfernsehen 「このようなことをしたのは誰ですか?冷酷な飼主に捨てられた犬」 2019年11月10日。
ドイツでは小動物も含めて、年間に捨てられるペットの数が50万匹と推定されています。2mのフェンス越しにティアハイムの敷地に投げ捨てられた犬、森の中で木につながれたまま置き去りにされた犬、氷点下の寒さの中で自転車置き場に繋がれたまま捨てられた犬、犬用ベッドとともに路上に置き去りにされた犬。置き去りにされた犬が必死で飼主の自動車を追いかけていくのは涙を誘います(これはイギリスの事件ですが)。これらの犬は保護されたから良いものの、多くは迷い犬になってハンターに撃たれます。犬が不憫でなりません。
- 関連記事
-
- ドイツは犬猫とも行政が捕獲し公的動物収容所で殺処分もしている〜所有者不明犬猫は民間団体は行政に先立って行うことはできない
- ドイツでは犬猫の狩猟は猟期の制限はなく1年中許可されている。また野生動物でも統一した猟期はない
- ドイツの狩猟法では「首輪をしていて飼主があることが明確な犬猫」も殺害が合法~野良犬野良猫=無主物、に限るは悪質なデマ
- ドイツでの犬猫狩猟駆除は明確に飼主があるものも対象~「野良犬猫=無主物だけ」は大嘘
- ドイツでは年間55万匹の飼犬飼猫をハンターが殺害している?それもすごい話ですが
- ドイツでは警察官がノーリードの犬を射殺することが合法〜NHKの「ベルリンでは犬はノーリードでも良い」という発狂番組
- 「ベルリンは殺処分ゼロ」というNHKの狂気のデマ〜「NHK 地球イチバン ペットが幸せな街〜ベルリン」