「海外では犬の屋外飼育を禁止している国がある」という、わんちゃんホンポのデマ記事

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(summary)
A law that restricts the sale of dogs and cats in pet stores.
記事、「ドイツでは長時間犬に留守番をさせてはならない法律があるので共働き家庭は犬を預けなければならない」というわんちゃんホンポの大嘘記事、の続きです。
「わんちゃんホンポ」というメットメディアがあります。このメディアが配信する海外情報に関する記事では、私は一度も正確なものを見たことがありません。最近でもまさに妄想作文レベルの記事を配信しています。日本とは違う!ペットにまつわる『海外の法律』5選 ですが、私はスウェーデンの法律は確認していません。しかしその他の記述ではほぼ嘘誤りか、デマです。今回は「海外では犬を屋外で飼育してはならないという法律がある」などの記述がデマであることを述べます。
前回記事では、問題の「わんちゃんホンポの記事」の、「(ドイツでは)犬だけを長時間留守番させてはいけない。日本でも共働き家庭が増えているため、長時間、犬が1匹でお留守番するという環境が増えてきていますが、これが禁止されているのです」が嘘であることを述べました。今回記事では、他の記述の嘘、偏向について述べます。以下に該当する記述を引用します。
・日本とは違う!ペットにまつわる『海外の法律』5選 2022年4月9日
1.ペットショップでの犬や猫の販売を禁止
2.犬を屋外で飼育してはいけない
上記の1、2ですが、前提として具体的な国名と法令に内容の記述がないのは無意味と思います。まず最初に、「1.ペットショップでの犬や猫の販売を禁止」について述べます。
現在「ペットショップでの犬猫販売を制限している国、州、自治体」がいくつかありますが、完全に禁止してるところは1つも確認していません。全ての法令で「ペットショップでの犬猫の販売は原則禁止するが例外規定があり、従前どおり犬猫が販売されている」のです。具体例をあげれば次のとおりです。
1.ペットショップでの犬や猫の販売を禁止 に関して
① アメリカ合衆国カリフォルニア州等のいくつかの州と自治体
アメリカ合衆国内の「ペットショップでの犬猫の販売禁止」ですが、確認した限りすべての州法条例で「犬猫は保護団体由来のものであればペットショップは展示販売して良い」とされています。つまり形式的にでも一旦保護団体が取得してペットショップに卸せば、ペットショップはそれらの犬猫を展示販売できます。現に保護団体がパピーミルから大量に子犬を買い付けて、ペットショップに卸しています。
またアメリカの法律では、ペットショップの定義が「自ら生産を行わずにペット生体を仕入れて小売再販売する業者」です。したがって「ペット生体の店舗での展示販売を行う業者」であっても、自宅などで犬猫を繁殖させ、ブリーダーの届け出をし散れば、「ペットショップという形態の店舗」で犬猫の展示飯場が合法となります。したがって「ペットショップでの犬猫販売禁止」を立法した州、自治体でも、従前どおり犬猫が売られています。
2024年に同様の法律がフランスでも施行されますが、「保護団体由来の犬猫ならば、ペットショップでの店舗での展示販売が許可」されています。カナダの一部の自治体の条例とオーストラリアの西オーストラリア州法等も同様の規定です。
(動画)
1st time at Fancy Puppy Pet Store in Corona cute cocker spaniel puppies in Eastvale ca Philomena's 「カリフォルニア州のイーストベール・フィロメナの素敵な子犬販売ペットショップにはじめて訪問しました」 2019年5月20日
カリフォルニア州では2019年1月1日以降は、ペットショップは犬猫ウサギに限り、保護団体由来のものしか販売できなくなりました。しかしその後もペットショップでは従前どおり犬猫ウサギが販売されています。それは「1 ペットショップ」がブリーダーの認可を得てペットショップの規制を回避した、「2 形式的だけ保護団体を経由した形にして、以前の通りパピーミルなどの商業繁殖者から犬などを仕入れ販売している」ことが理由です。またカリフォルニア州ではこの法律の違反では「3 処罰が行政罰の500ドルまで」ですので、年商数百万ドルの大型店舗では抑止力はないでしょう。
② イギリス
イギリスはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4カ国からなる連合国家です。イングランド、スコットランド、ウェールズでは「犬猫の販売は生後6ヶ月齢以上に限る」としています。つまり6ヶ月齢以上であれば犬猫はペットショップで販売できます。また北アイルランドでは、8週齢以上であれば、ペットショップで犬猫を展示販売できます。
③ ベルギー
「ペットショップ(自家繁殖しないペット小売業者)での犬猫販売を禁じる」としています。「ペットショップ」という店舗形態であっても、事業主が自家繁殖をしてブリーダーの登録をしていれば、犬猫の店頭展示販売が許可されます。
④ オーストリア
「ペットショップ(ペットの自家繁殖を行わず、仕入れて小売する業態)の犬猫の販売」を動物保護法で禁じていますが、それは商業施設に限ったことです。自家繁殖しないペット小売業者であっても、自宅に保管してあるものや、インターネットでの販売は許可されます。
なお日本で喧伝されている「ペットショップでは犬猫の販売が禁止されてる国」として、ドイツ、スイス、オランダがありますが、禁じる法律はありません。
2.犬を屋外で飼育してはいけない に関して
私が調べた限り、「犬の屋外飼育を禁止する」法律はありませんでした。アメリカ合衆国ペンシルベニア州では、鎖に繋いだままで一定の条件下での犬を屋外に置くことを禁じています。例えば無人で厳冬期や猛暑の時期に一定時間以上鎖で繋いだままなどは禁じています。しかしきちんとした犬小屋を用意し、鎖に係留していなければ屋外飼育は許可されています。ペンシルベニア州の、犬の屋外飼育の禁止に関する法律の条文を引用します。
・Pennsylvania General assembly 2017 Act 10 「ペンシルベニア州 2017年の包括的な法改正」
§ 5536. Tethering of unattended dog.
(a) Presumptions.--
(1) Tethering an unattended dog out of doors for less than nine hours within a 24-hour period when all of the following conditions are present shall create a rebuttable presumption that a dog has not been the subject of neglect within the meaning of section 5532 (relating to neglect of animal):
(i) The tether is of a type commonly used for the size and breed of dog and is at least three times the length of the dog as measured from the tip of its nose to the base of its tail or 10 feet, whichever is longer.
(ii) The tether is secured to a well-fitted collar or harness by means of a swivel anchor, swivel latch or other mechanism designed to prevent the dog from becoming entangled.
(iii) The tethered dog has access to potable water and an area of shade that permits the dog to escape the direct rays of the sun.
(iv) The dog has not been tethered for longer than 30 minutes in temperatures above 90 or below 32 degrees Fahrenheit.
5536条 無人の犬を鎖で係留すること
(a)推定
1項 以下のすべての条件を満たした場合は、24時間以内に無人で犬を9時間未満屋外に拘束することは、犬が5532条の定義のネグレクトの範囲内の対象ではないという反証が可能な推定とあります (動物のネグレクトに関して)
(i)鎖は犬の大きさと品種に適した一般的に使用される形状であり、犬の鼻の先から尾の付け根までの長さの少なくとも3倍、または10フィートのいずれか長くなければなりません 。
(ii)鎖は回転式の固定具、回転式の留め金、または犬が絡まないように設計されたその他の機能のあるものによって、適切に取り付けられた首輪またはハーネスに固定されていること。
(iii)つながれた犬は飲料水が自由に飲めることと、犬が直射日光を逃れることができる日陰に行けること。
(iv)犬は華氏90度以上(摂氏32.2度)または華氏32度(摂氏0度)以下の温度で30分以上鎖で拘束されてはなりません。
「犬の屋外飼育の制限」に関して、近い法令の規定は探してもこれだけでした。この法律があるペンシルベニア州においても、犬を鎖で拘束せずに、断熱性のある犬舎に自由に出入りできる状態であれば犬の屋外飼育は許可されます。
なお追記すれば問題の記事では記述はありませんが、日本で流布されている「ドイツでは犬の屋外飼育が禁止されている」という情報は全く根拠のない嘘です。ドイツでは、犬の屋外飼育を禁じる法律はありません。
私は問題の記事に、「2.犬を屋外で飼育してはならない」ん、具体的な国と法令を示していただくよう二コメントしました。しかしそのコメントは非表示です。もちろん回答はありません。情報を公にするのであれば、その情報が正しいことを証明するために出典を求められれば回答するのが責任と、私は思います。
(動画)
DIY-Hundehütte 「DIYで犬小屋を作る」2020年7月25日
DIYでなくても、ドイツの巨大ペットショップや通販ではこの様な外置きの犬小屋が多数売られています。ドイツでは、普通に犬が屋外飼育されています。追記ですが、日本で喧伝されている「ドイツの犬舎は最低6㎡以上でなければならない」ですが、これは犬を常に閉じ込めて飼育し、散歩にも出さない状態の例外規定です。逆に言えば、広い犬舎を確保すれば毎日運動をしなくても良いとうことです。日本では、海外の動物愛護に関する法律が原文を読みもしない人により、曲解、歪曲、拡大解釈されて誤って伝えられていることがほとんどです。
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