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狂犬病多発国だったドイツの法令による殺処分規定は日本よりはるかに厳しい






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(Zusammenfassung)
Tollwut in Deutschland


 日本では1957年を最後に、国内での狂犬病発症例はありません。しかしドイツでは1990年代には数千例の症例がありました。1991年には、3,500件もの狂犬病の症例が報告されていたのです。今でこそ激減はしましたが、ドイツはWHO基準ではいまだに狂犬病清浄国ではありません。ドイツはかつては狂犬病多発国で東欧や旧ソ連構成国より多かったのです。そのためにドイツでは、狂犬病の疑いのある犬などの殺処分に関しては、日本よりはるかに厳しい規定を法令で定めています。症状が出ていなくても疑いがあるだけ(陽性動物と接触した、同じクレートで移動した疑いがあるなどだけでも)でも、強制殺処分の対象になります。 


 日本の狂犬病予防法では、狂犬病に感染した疑いがある犬は原則経過観察を行い、殺処分は禁止されています。対してドイツの狂犬病規則(連邦規則)での狂犬病に感染した疑いのある犬猫の扱いは大変厳格です。その犬猫に疑わしい症状がある場合はもちろん行政が殺処分と速やかな生検を命じなけれならなないとしています。さらに疑わしい症状が出ていなくても、陽性が判明した犬猫と接触した疑い(例えば同じクレートで移動した、同じ犬舎猫舎にいた)があると言うだけでも、強制殺処分と生検が命令されます。実際にモロッコから輸入された犬で狂犬病が税関で発見された際には、同時に輸入された犬がすべて殺処分生研に回されました。しかしそれらの犬はすべて陰性でした。
 日本とドイツで、狂犬病に関わる犬猫の殺処分規定の厳しさにこれほどの差がある理由は、狂犬病発生数によるものと思われます。サマリーで示したとおり、ドイツはかつては狂犬病多発国でした。1980〜1990年初頭にかけてドイツは、東ヨーロッパや旧ソ連邦構成国より狂犬病が多い国だったのです。ですから厳しい法律によりドイツは狂犬病の抑え込みを行いました。まずドイツが、かつての狂犬病多発国だったことを示す資料から引用します。


Tollwut 「狂犬病」

Während noch im Jahr 1980 insgesamt 6800 Fälle gemeldet wurden, waren es im Jahr 1991 noch 3500.
Am 29. Dezember 2008 wurde jedoch im Landkreis Lörrach bei einem aus Kroatien importierten Hund amtlich die Tollwut festgestellt.
Ein weiterer Fall bei einem Hund wurde im März 2010 in Neustadt an der Aisch amtlich festgestellt, nachdem das drei Monate alte, illegal aus Bosnien eingeführte Tier einen Menschen gebissen hatte.
Im Juli 2013 wurde im unterfränkischen Landkreis Haßberge bei einem aus Marokko importierten Hundewelpen Tollwut festgestellt.
Auch im September 2021 war ein illegal importierter Hundewelpe Einträger des Tollwutvirus und führte zur prophylaktischen Impfung von 41 Personen.

(ドイツでは)1980年には合計6,800件の狂犬病の症例が報告され、1991年には3,500件の症例が報告されました。
2008年12月29日にはクロアチアから輸入された犬がレラハ地区で狂犬病と正式に診断されました。
犬の別の症例では、ボスニアから不法に輸入された生後3か月の動物が人間を咬んだ後に、2010年3月にノイシュタットアンデアアイシュで正式に確認された例があります。
2013年7月にハスベルゲのウンターフランケン地区で、モロッコから輸入された子犬から狂犬病が発見されました。
また2021年9月に違法に輸入された子犬は狂犬病ウイルスの陽性であり、それが原因で41人の狂犬病ワクチンの接種がおこなわれました。



 次に、以下にドイツの狂犬病規則(連邦規則)と、日本の狂犬病法の犬(猫)の殺処分に関する規定を引用し、対比させます。


Verordnung zum Schutz gegen die Tollwut (Tollwut-Verordnung) 「狂犬病予防規則(狂犬病規則 ドイツ連邦規則)

§ 7 Tötung und unschädliche Beseitigung
(1) Ist der Ausbruch oder der Verdacht des Ausbruchs der Tollwut in einem Betrieb oder an einem sonstigen Standort amtlich festgestellt, so kann die zuständige Behörde die sofortige Tötung und unschädliche Beseitigung der seuchenverdächtigen Tiere anordnen; bei seuchenverdächtigen Hunden und Katzen hat sie die Tötung und unschädliche Beseitigung anzuordnen.
(2) Abweichend von Absatz 1 kann die zuständige Behörde bei seuchenverdächtigen Hunden oder Katzen anstelle der Tötung und unschädlichen Beseitigung die behördliche Beobachtung bis zur Bestätigung oder Beseitigung des Verdachts anordnen, wenn diese Tiere
§ 9 Schutzmaßregeln bei Ansteckungsverdacht
(1) Für Hunde und Katzen ordnet die zuständige Behörde die sofortige Tötung an, wenn anzunehmen ist, dass sie mit seuchenkranken Tieren in Berührung gekommen sind. Sie kann die sofortige Tötung dieser Hunde und Katzen anordnen, wenn anzunehmen ist, dass sie mit seuchenverdächtigen Tieren in Berührung gekommen sind.
(3) Absatz 1 gilt nicht für Hunde und Katzen, die nachweislich bei der Berührung unter wirksamem Impfschutz standen.

7条 狂犬病感染もしくは感染の疑いがある動物の殺害と死体の無害な処分
1項 狂犬病の感染もしくは感染の疑いが施設または他の場所で公に確認された場合は、所管官庁は感染が疑われる動物の即時の殺処分および無害な死体の処分を命じることができます。感染が疑われる犬や猫においては、殺処分と無害な死体の処分を命じなければなりません。
2項 1項の例外規定として、所管官庁は感染が疑われる犬または猫においては、これらの動物の感染の有無の確認がされるまで、殺処分と無害な死体の処分の代わりに公の観察を命じることができます。
9条 感染が疑われる場合の保護対策
1項 所管官庁は犬や猫が狂犬病に感染した動物と接触したと推定できる場合は、直ちに殺処分するよう命じるものとします。感染が疑われる動物と接触した疑いがある場合は、これらの犬や猫を直ちに殺処分するよう命じることができます。
3項 1項は、接触したときに効力がある予防接種の保護下にあることが証明された犬および猫には適用されません。


 なお日本の狂犬病予防法では、「狂犬病に感染したと疑われる犬」は原則として殺害することができず、「隔離して経過観察を行わなければならない」としています。対してドイツでは症状があり、狂犬病感染した疑いが濃厚な犬猫のみならず、「狂犬病感染動物に接触した疑い(必ずしも接触したことが明らかであることの証明すらいらない)」があるだけでも、その犬猫は即時殺処分して検査を行わなければばらないとしています。
 日本とドイツとは大きな違いがあります。ドイツの狂犬病規則による殺処分規定は、日本とは比べ物にならないほど厳しいといえます。以下に参考のために、日本の「狂犬病予防法」の条文原文を引用します。


狂犬病予防法

(隔離義務)
第九条 前条第一項の犬等を診断した獣医師又はその所有者は、直ちに、その犬等を隔離しなければならない。ただし、人命に危険があつて緊急やむを得ないときは、殺すことを妨げない。
(殺害禁止)
第十一条 第九条第一項の規定により隔離された犬等は、予防員の許可を受けなければこれを殺してはならない。



(画像)

 ドイツ国内にある看板。「狂犬病の脅威 自由に徘徊する犬と猫は射殺するべきです」という内容。ドイツの狩猟法においては、非占有であれば飼い犬猫とも一定の条件下で通年狩猟駆除が合法です。背景にはかつての狂犬病の脅威があると思います。なお日本で流布されている「ドイツでは野良=無主物の犬猫は狩猟駆除して良い」という情報がありますがデマです。「飼い犬猫であれば狩猟駆除の対象ではない」とは狩猟法の規定にありません。

狩猟支持看板 (640x480)


(画像)

 TOLLWUT - EINE GEZÄHMTE ZOONOSE 「狂犬病 人畜共通感染症」ドイツ連邦動物衛生協会 2017年
 ヨーロッパにおける狂犬病発生状況。図左の1983年の狂犬病発生数を見れば、ドイツは東欧諸国や旧ソ連構成国より狂犬病発生数が多かったことがわかる。

ヨーロッパ 狂犬病 発生数
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No title

2022-3-15s,maコメント
いつもながら 大切な情報のご提供を頂きありがとうございます

日本国内の獣医師各位で リアルに「狂犬病」の個体に接触された経験を持たれるお方は極少数でしょう
ジステンパーが流行していたころにも 「狂犬病」との鑑別診断が困難ではないかと懸念されたことも有ったようです 
猫に至っては 「狂犬病」に罹患する危険性を唱える獣医師はお会いした中ではなかったと言えます
犬でさえも「狂犬病予防法」を無視される傾向のお方もおられました
小型犬なら室内飼育が多いから不要だと
鑑札の装着義務に至っては「万歳」です
環境省の啓発画像が ノーリード フリーの大型犬が 鑑札無で「いいね」が多数
その中には 彼の杉本彩さんや他の芸能人等の著名人の名もありましたね
鑑札の装着義務については屡々取り上げていますが 細かいことに拘る うるさいバーさんと言う程度の反応だと感じます
その程度の「狂犬病予防法」で 本当にいざと言うときに役立つのか?
諸外国では行政機関内に獣医師が最高責任者を務められる動物に関わる専門の部署があり 獣医師の役割にも「動物福祉」を標榜されていることも普通のようですが 日本での獣医師の最高役職が常に対人医師の部下としての位置づけです
6年生の大学になってからもそれを変えようと努力されたとは聞こえてこない
単に引退バーさんが知らないだけですと好いのですが 獣医師会はあまりにも開業獣医師の利益団体化しすぎて 獣医師自らの社会的地位の向上にも無頓着なのかと感じています
どうじに「安楽死処置」(安楽殺処置)さえも基本的に否定される傾向は 本当に動物と飼主のためになっているのか?
再考していただきたいところです

「狂犬病予防法」に関することでも ワクチン接種による利益が先行しているのではないかとさえ感じたこともありました 現状は情報を取得しなくなり あるいは改善されているのかもしれませんから 然様であれば悪しからずですが 現状で著名な指導的地位の方々にも順守されていない程度の法律であることは確かです
今後の日本では移民が増えることは否定しがたいことです
現実に ウクライナ情勢からも顕著です
小動物の侵入を絶対阻止できるとは言いが言こととなるでしょう
悪辣な動物商の小動物の密輸も表ざたにならない程度ではないかと感じます
平和ボケと言われますが 「善意」の意味を弁えない国民が増えているように感じます
動物愛誤団体も大いなる懸念材料です

Re: No title

s,ma様、コメントありがとうご会います。

> 猫に至っては 「狂犬病」に罹患する危険性を唱える獣医師はお会いした中ではなかったと言えます

私は今日の日本では、犬より猫のほうが狂犬病が日本で再発した場合は危険であると思います。
アメリカでは、狂犬病の症例数が猫は犬の約4倍で推移しています。
飼育動物から人が観戦した例は、近年はほぼ猫です。
アメリカではTNRを制度化している自治体は極めて稀ですが、条例で狂犬病ワクチンを義務付けています。
仮に日本に狂犬病が入って来たならば、地域猫は脅威です。


> 鑑札の装着義務に至っては「万歳」です

ドイツでは、犬税の納付済み票を首輪につけていなければならないという法律があります。
次の記事では、NHKの「ドイツでは大型犬ですらリードも首輪もいらない」という大デマ番組を取り上げます。
この様なデマを拡散するのは極めて悪質。


> 環境省の啓発画像が ノーリード フリーの大型犬が 鑑札無で「いいね」が多数
> その程度の「狂犬病予防法」で 本当にいざと言うときに役立つのか?

現行法でも、犬の鑑札をつけることと狂犬病予防法でのワクチン接種率を上げることができます。
ドイツでは警察官が犬税登録票をつけていない犬を公共の場で見かけたら、その場で摘発します。
日本では狂犬病ワクチンと鑑札義務は、為政者がどうでもいいと思っているということです。


> 諸外国では行政機関内に獣医師が最高責任者を務められる動物に関わる専門の部署があり 

ドイツでは犬猫等の動物に関する取締は独立した獣医局(州により名称が若干異なる。畜産関係の部署)がになっています。


> 獣医師会はあまりにも開業獣医師の利益団体化しすぎて 獣医師自らの社会的地位の向上にも無頓着なのかと感じています

それもありますが、例えば「ドイツ殺処分ゼロ」というとんでもないデマに、専門家として獣医師が疑義を唱えなかったのは怠慢だと思います。


> どうじに「安楽死処置」(安楽殺処置)さえも基本的に否定される傾向は 本当に動物と飼主のためになっているのか?
> 再考していただきたいところです

同感です。


> 小動物の侵入を絶対阻止できるとは言いが言こととなるでしょう
> 悪辣な動物商の小動物の密輸も表ざたにならない程度ではないかと感じます

日本でも狂犬病の脅威は常にあります。
NHKの番組のように、デマ満載でボケた番組は本当に有害です。
大衆と動物愛誤団体のご機嫌取りだけの頭が沸いたデマ番組の制作は本当に有害です
プロフィール

さんかくたまご

Author:さんかくたまご
当ブログのレコード
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・カテゴリー(猫)別最高順位7,928ブログ中5位
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1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

なお、SNS、掲示板、QandAサイトなどでは、多数の本ブログ管理人の私(HN さんかくたまご)(武田めぐみ)のなりすまし、もしくはそれと著しく誤認させるサイトが存在します。
しかし私が管理人であるサイトは、このページのフリーエリアにあるリンクだけです。
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よろしくお願いします。

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