イギリスのメディアが動物愛護問題で名指しにした国とは?ー3
ドイツでは「民家から300m以上離れていれば、犬猫は飼い主がないと見倣し、狩猟してよい。むしろ狩野良猫犬を狩猟駆除することはハンターの責務である」と法律で定められています。しかししばしば狩猟可能なエリア外でも飼い猫が狩猟殺害されます。それと同時に、禁止されているデストラップが頻繁に用いられ、飼い猫が犠牲になることも批判されています。しかしデストラップは、摘発されることはまれです。
ドイツ連邦狩猟法では、「罠は無傷で獲物を捕獲するもののみ許可する。ハンターは、捕らえた獲物は速やかに自分の銃でその獲物を殺処分しなければならない」との規定があります。「獲物を無傷で捉える罠」のみ許可している理由は、罠は無差別に獲物を捉えますので、狩猟対象としていない保護鳥獣まで捉える可能性があるからです。
保護鳥獣の場合は、速やかに放獣しなければなりません。駆除対象の野良猫犬等であれば、速やかに銃で殺処分しなさいということです。
ドイツ連邦狩猟法Jagdgesetz
§19 Sachliche Verbote
(1) Verboten ist
9. Fanggeräte, die nicht unversehrt fangen oder nicht sofort töten, sowie Selbstschußgeräte zu verwenden;
「ドイツで野良猫犬(とみなされるものも含む)が年間46万頭が狩猟駆除されている(2009年)」とのドイツの大手メディアのニュースを紹介した時のことです。「これらの猫犬は、TNRか他の場所でリリースされるために捕獲されたものだろう。殺処分されたというのは誤りだ」と頭に血が上った愛誤が噛み付いてきました。
その時に引用した記事は「ハンターに飼い猫を殺傷された場合はどうすればよいでしょうか」という、ドイツの猫愛好家向け雑誌の、猫飼育者側の質問に対する回答です。ドイツ語の、その部分を訳さなかったのですが、愛誤の偏向ぶりには疲れます。「ライブキャッチトラップで捕獲した野良猫犬(とみなされるものも含む)は、銃により殺処分せよ」。これがドイツ連邦狩猟法の規定です。
話がそれました。ドイツでは、法律で許可されているのは「無傷で捕らえる罠」のみで、デストラップは禁止されています。しかし生産、流通、販売、所持については罰則規定がありません。禁止されているのにもかかわらず、頻繁にデストラップが使用され、その犠牲になるのは多くは猫です。
以下に、ドイツの猫愛好家向け雑誌、geliebte katze(愛する猫)の、インターネット版記事から引用します。
Rechtsurteile zum Thema Jagd und Katze
Gemäß Bundesjagdgesetz sind nur Fanggeräte zugelassen, die lebend unversehrt fangen oder sofort töten. Jedoch die Herstellung, der Vertrieb, der Erwerb und der Besitz der tierquälerischen Festhaltefallen ist erlaubt.
Daher können auch heute noch Tellereisen im Jagdversandhandel bezogen werden.
狩猟と猫をテーマとした法的判断。
連邦狩猟法によると、唯一狩猟で許可されている罠は、無傷で捕獲するもので、その後直ちに殺処分することとされています。
しかし、動物を傷つける罠の生産、流通、購入と所持が許可されます。
したがってトラバサミは、今でも狩猟用品の通販で買うことができます。
以下の画像と記述は、ドイツ人個人ブログから引用しました。Der antijagd blog.「狩猟反対ブログ」からKatze in Fangeisen: Fallenjagd lässt Jäger schlecht dastehen「猫の罠。トラップハンターが悪質と思える」。
War der sechs Monate alte Stubentiger in eine Falle getappt.
Somit konnte bis jetzt auch niemand verantwortlich gemacht werden
Springfallen im Handel frei erhältlich.
Das Jagen mit Lebendfallen ist nach wie vor für speziell ausgebildete Jäger erlaubt.
Bei denen Menschen und Tiere zu Schaden kamen, seit 2009 verboten.
Frei erhältlich und können so leicht erworben werden.
生後半年の猫が罠にかかりました。
今まで、(デストラップでペットが殺傷されたことでは)誰も責任を負うことはありませでした。
自由に市販されているスプリングトラップ(トラバサミ)。
罠は無傷で捕られるもののみ、特別に訓練されたハンターだけに使用が許可されています。
人と動物が傷つけられたため、2009年以降は傷つける罠は禁止されています。
しかし禁止されている罠は、自由に用いることができますし、簡単に購入することができます。

また、このような資料もあります。http://www.youtube.com/watch?v=STUsEx3KMUYyou yubeから。6分30秒~。
法律で禁止されているデストラップが、自由に製造販売されていることが録画されています。デストラップでの猫の捕獲のために、猫の誘引剤(Lockmittel)も自由に通信販売で買うことができます。猫の誘引剤が広く販売されているということは、それだけ猫の捕獲駆除の需要が高いと思われます。
ドイツは、野良猫犬(と思われるものも含む)の狩猟駆除に対しては寛容です。連邦狩猟法で禁じられている狩猟範囲を超えての狩猟や、禁止猟具である、動物を傷つける罠の使用で処罰されることはきわめてまれです。私が思うには、ドイツが公的な殺処分制度を持たないことが、野良猫犬の狩猟駆除に寛容である理由の一つだと思います。
ドイツでも、毎年多数の犬猫等のペットの遺棄があります(年間50万匹との推計)。特に猫は野生化して生き残り、農畜産業や生態系への悪影響を及ぼします。産業や生態系を野良猫の害から守るためには、どうしても民間人ハンターに頼らざるを得ないからです。私は、公的殺処分の制度がないことが、必ずしも動物愛護が進んでいるとは思えません。
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