「動物愛護先進国は保護犬などの取得率が高い。日本は動物愛護後進国だから低い」という愛誤家の大嘘

Please send me your comments. dreieckeier@yahoo.de
Bitte senden Sie mir Ihre Kommentare. dreieckeier@yahoo.de
メールはこちらへお寄せください。 dreieckeier@yahoo.de
(Domestic/inländisch)
記事、
・「アメリカの犬の入手シェアは〜7割がシェルターから」という加隈良枝帝京科学大学准教授のデマ、
・アメリカの保護犬の多くは偽装〜加隅良枝帝京科学大学准教授の「アメリカの犬の入手は7割がシェルターから」という大嘘、
の続きです。
動物愛護(誤)活動家やジャーナリストの主張やマスメディアの報道に「動物愛護先進国では犬などの入手では保護団体から譲渡を受けるのがほとんど」があります。そしてことさら欧米諸国が「犬の入手では保護団体からがほとんど」としています(本文で述べますが大嘘です)。さらには「スイスは動物愛護先進国なので生き物の売買を禁じており、犬の入手はティアハイムという保護団体から譲渡を受けるしか無い」という荒唐無稽なNHKのデマ番組すらあります(スイスのティアハイムの犬の入手シェアは3%未満)。しかし真に動物愛護に優れた国ならば保護動物はほぼゼロになります。保護動物の発生は不適正飼育が原因だからです。
サマリーで述べた、「動物愛護先進国では犬などの入手は保護施設からがほとんど」としている愛誤ジャーナリスト、マスコミ、研究者らを具体的に挙げます。しかしいずれの国の信頼性の高い出典を挙げていません。さらに彼らが述べていることは真実とは真逆の大嘘です。
【ドイツ】
AERA(「アエラ」2009年9月7日号)「犬を殺さないドイツの常識 犬たちの『天国と地獄』」 編集部 太田匡彦 ではこのような記述があります。「ここは動物保護施設『ティアハイム・ベルリン」。犬を飼いたいと思うドイツ人がそう考え、まず目指すのがここティアハイムだ」。
この記述では生地全体の「(ドイツでは)日本のペットショップで目にする、子犬を抱えた子どもが『かわいい!』と歓声をあげるような場面には出くわさない」との記述とも相まって、「ドイツではペットショップで犬を買うことができないこともあり、ドイツでは犬を入手するのはほぼティアハイムという保護施設から」と読者は理解します。その後は他のマスコミや動物愛誤関係者も太田匡彦氏の本記事に追随して「ドイツでは保護施設から犬を入手するのがほとんど」としています。
例えばこのような、その他の記述もほぼ全てが誤りという有害な記事もあります(2017年01月10日 ペットの殺処分がゼロの国はあるのか(法苑180号) 法苑 執筆者:渋谷 寛)。ここでは「規制の厳しいドイツでは犬猫の生態販売、いわゆるペットショップはほとんどありません。ペットを飼い始めようと思い立ったときには、まずはティアハイムへ行き、気に入ったペットを探すという慣習がある」とあります。
これらの資料ではもちろん出典をしてしていません。その他の「ドイツでの犬の入手は殆どが保護施設から」、「ドイツでは犬の入手は保護施設からが一般的」とう資料においても出典を示してるものは皆無です。また具体的な数値を示していません。「ほぼ」、「慣習がある」ですが、数値で示すとすれば8〜9割と言ったところでしょうか。またドイツではインターネットでの犬などの生体を非対面で販売することに全く規制がない国で多く行われています。完全に禁止している日本ではそのような事情がわからない読者はそのように理解すると思います。
しかしドイツの資料を調べれば2014年の、「犬猫の全取得占める保護動物の割合は約10%である」とするものがあります。また近年のドイツの子犬の輸入数激増を考慮すれば、その割合は10%よりさらに減っていると思われます。「ほぼ」が8〜9割を意味するのならば、太田匡彦氏の記事は大嘘です。以下に、いくつかの資料をあげます。
・DEUTSCHER TIERSCHUTZ 「ドイツの動物福祉」 2018年
Von den ca. 500.000 Welpen, die in Deutschland jährlich ein Zuhause finden, kommen laut VDH (Statistik hier) 1/5 (100.000) aus dem Ausland– Nur ein kleiner Teil der Hunde und Katzen, die neu in Familien aufgenommen werden, kommen aus dem Tierschutz (ca. 10%).
毎年ドイツで家を見つける(註 飼い主に販売される、もしくは譲渡される)約50万匹の子犬のうち、VDH(全ドイツケネルクラブの統計)によると、外国から来たものが5分の1(10万)であり - 新たに家族に迎えられる犬や猫のごく一部は、動物保護団体からのものです(約10%)。
(画像)
問題の、太田匡彦氏による記事、AREA '09.9.7号『犬を殺さないドイツの常識』 「ドイツでは犬の入手はほぼティアハイム(ほぼ)」と理解できる記述がある記事。
その他の記述もほぼすべてが嘘です。例えば「ティアハイム・ベルリンでは一匹も犬を殺さない」とありますが、ティアハイム・ベルリンのHPに「傷病と問題行動がある、緊急性を要する動物は殺処分します」と明記されています。

【スイス】
NHKの番組、「週間ニュース深読み あいつぐ犬の遺棄 なぜ"命"は捨てられる?(2014年11月22日放送)」では、「スイスは生き物の売買を禁じているので犬の入手はティアハイムでしかできない」と報じています。つまりNHKは「スイスでの保護犬(ティアハイムの譲渡)の入手シェアは100%」としています。地球上で「生き物の売買を禁じている国」は一国もあるとは思えませんが、この番組制作責任者の知能と精神状態は大丈夫ですかね?
真実はスイスでは年間の犬の入手頭数は約5万頭で、対して2018年のスイス全土のティアハイムの犬の譲渡数は1,448頭です。つまり「スイスでの犬の入手にしめる保護犬のシェア」は、わずか2.9%です。それを裏付ける資料を示します。
(画像)
NHKの番組、「週間ニュース深読み あいつぐ犬の遺棄 なぜ"命"は捨てられる?(2014年11月22日放送)」から。
①スイスでは憲法80条を根拠とした動物愛護精神により、生き物そのものを売買できない法律がある。
②したがって生体販売を行うペットショップは、スイスには存在しない。
③スイスでは犬(など)を入手するには、ティアハイムから譲渡を受けるしかない。
以上を説明した画像。これらの内容は、全て事実無根の真っ赤な嘘、捏造です。

・Anzahl der in Tierheimen aufgenommenen Hunde in der Schweiz in den Jahren 2009 bis 2018 「2009年から2018年にかけてのスイスのティアハイムに収容された犬の数」 2020年
Im Jahr 2018 wurden 2.624 Hunde in Schweizer Tierheimen aufgenommen.
Davon konnten 1.448 Tiere vermittelt werden.
2018年には2,624頭の犬がスイスのティアハイムに収容されました。
これらのうち、1,448頭の犬を一般譲渡することができました。
スイスの2018年のティアハイムの犬の譲渡率は55%です。日本で喧伝されている「ヨーロッパの動物保護施設ではほぼすべてが譲渡される」は大嘘です。日本の2019年の公的施設の犬の譲渡率は50%です。つまりスイスと日本の動物収容施設での譲渡率はさほど変わりません。ドイツのティアハイムの平均譲渡率は75%とされています。
・Luzerner Hundezüchterin: «Die Nachfrage ist riesig» 「ルツェルン(註 スイスの地名)の犬ブリーダー談:外国産の犬の需要は膨大です」 2020年7月11日
Rund 519’000 Hunde waren Ende Juni 2020 in der Schweiz registriert.
Viele Schweizer kaufen ihre Hunde im Ausland.
Längst nicht alle Schweizer, die an einem Rassehund interessiert sind, suchen sich einen Hund im Inland.
50 Prozent der Hunde in der Schweiz werden aus dem Ausland importiert, häufig auch von unseriösen Vermehrern.
Hundeproduzenten also, die weder über eine Ausbildung noch Bewilligung verfügen und sich häufig nicht um die artgerechte Haltung von Tieren scheren.
In Deutschland ist die Situation im Moment schlimm.
Denn tatsächlich werden gemäss Bund jährlich um die 25’000 Hunde aus dem Ausland in die Schweiz importiert.
Viele Angebote – gerade im Internet – sind zweifelhaft.
Unseriöse Anbieterinnen und Anbieter verkaufen Hunde, die häufig unter qualvollen Bedingungen gehalten werden und die beim Verkauf bereits krank sind, schreibt das Bundesamt für Veterinärwesen dazu.
2020年6月末現在、スイスでは約519,000頭の犬が登録されています。
多くのスイス人は、外国で犬を購入しています。
純血種の犬に興味があるすべてのスイス人が、スイスで犬を探すわけではありません。
スイスの犬の50%は外国から輸入されており、多くの場合では疑わしいブリーダーからも輸入されています。
言い換えれば技能もなく法的な許可も受けていない、動物の福祉などを気にもしないことが多い犬の生産者です。
現在、ドイツの状況は悲惨です。
スイス連邦政府によると、事実毎年約25,000頭の犬が外国からスイスに輸入されています。
多くのお買い得情報(特にインターネット上では)は疑わしいものです。
怪しげな販売業者は、多くの場合耐え難い酷い状態に置かれ、販売時にはすでに病気になっている犬を販売していると、スイス連邦獣医局は記述しています。
この資料では「スイスで購入される犬の半数は外国から輸入されたものであり、25,000頭である」とあります。つまりスイスの年間の犬の入手数は5万頭となります。スイスのティアハイムの犬譲渡数は1,448頭ですので、スイスの犬の入手に占める保護犬のシェアはわずか2.9%です。
【日本】
・東京都における犬及び猫の飼養実態調査の概要(平成23年度)。「犬の入手方法」。東京都の保健所+保護団体による譲渡の、犬入手全体に占める犬入手割合は9.1%です。
つまり東京都の犬の入手に占める保護犬のシェアはドイツとほぼ変わらず、スイスより遥かに高いのです。
(画像)
東京都における犬及び猫の飼養実態調査の概要(平成23年度)より。

本連載では、アメリカの犬の入手に占める保護犬のシェアを取上げています。すでに連載記事で述べたとおり、アメリカの2019年に占める、犬の全入手に占める保護犬(アニマルシェルター、もしくは人道支援団体からのもの)のシェアは23%です。加隅良枝低狂科学大学准教授の、「アメリカでは犬の入手は6〜7割がアニマルシェルターから」という発言(ペットショップで犬を買う=悪?背景にある問題と国内外の議論 )が真っ赤な嘘であることを述べました。
繰り返しますが保護犬の入手シェアはドイツでは東京都とほぼ同じ、スイスは東京都よりはるかに低いです。アメリカは欧米の中では突出して保護犬の入手割合が高いです。しかしそれにはからくりがあって、「保護団体がパピーミルから犬を仕入れて保護犬として自ら販売する、ペットショップに卸す、ペットショップに常設の展示生体販売のコーナーを設けて販売を委託する」等しており、それらの犬が保護団体による譲渡として統計に現れるからです。事実上、営利の犬販売業者と同じことをしていてもです。
(動画)
アメリカの最大手生体販売ペットショップ、Petco の店内の様子。2021年8月7日 スペイン語ですが、アメリカ国内のPetco の店です。
冒頭に、「保護犬猫」の展示生体販売コーナーが映っています。このように、アメリカでは大手のペットショップチェーンが「保護犬」の展示生体販売を常時行っています。保護団体が販売委託することもありますし、ペットショップが保護団体から仕入れて自ら販売することもあります。その多くは保護団体がパピーミルから仕入れた、商業生産された偽装保護犬です。
このように、日本の愛誤ジャーナリスト、マスコミ、研究者らはこぞって「動物愛護先進国(全て欧米というのが笑えますが)では犬などの入手では保護施設からが多い。ほとんど」発言しています。それは繰り返しますが大嘘で、日本と(アメリカは多いですがすでに述べたとおり偽装保護犬が多いという特殊要因がある)保護犬の入手シェアは変わりません。スイスのように、日本より著しく少ない国もあります。
なぜ日本の動物愛誤関係者は捏造した数字まででっち上げて、「動物愛護先進国では犬などを入手するのは保護施設からがほとんど」と言うデマを拡散しているのでしょうか。その分析は次回記事で行います。そしてその矛盾点についても述べようと思います。
- 関連記事
-
- 「海外では犬の屋外飼育を禁止している国がある」という、わんちゃんホンポのデマ記事
- スイスとドイツの犬飼育免許に関する「わんちゃんホンポ」のデマ記事
- まとめ〜日本のドッグフードは遅れているというデマ記事
- 「動物愛護先進国は保護犬などの取得率が高い。日本は動物愛護後進国だから低い」という愛誤家の大嘘
- ペットの殺害での損害賠償額は欧米は驚くほど低い〜ヨーロッパ
- ドイツ、ギリシャの動物政策のデマをばらまく有馬めぐむ、浅川千尋 堀内みどり
- ペットのニシキヘビが人を殺害する事件は欧米で発生している