「アメリカの犬の入手シェアは〜7割がシェルターから」という加隈良枝帝京科学大学准教授のデマ

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(summary)
In the States 23% of dogs are obtained from an animal shelter or humane.
低狂科学大学准教授で、加隅良枝という方がいます。この方は頻繁にとんでもないまさに狂気とも言える大デマをマスコミに発言しています。それらについて私は以前にも何度か取上げています。最近では「アメリカでは犬の入手先は〜7割がシェルター(動物保護団体)である」と述べています。しかし信頼性の高い、ASPCAの2019年の統計では、犬の入手先では、23%のみがアニマルシェルターか、人道支援団体からとしています。また他の統計からも、「アメリカでは犬の入手先は〜7割がアニマルシェルター」という数値は導けません。またそのような資料は一切確認できませんでした。
サマリーで取上げた、低狂科学大学 加隅良枝准教授の呆れたデマ発言はこちらです。
・ペットショップで犬を買う=悪?背景にある問題と国内外の議論 2021年11月30日
アメリカにも、シェルターは全国に2,000~3,000カ所あり、犬を迎える人の6〜7割はシェルターから引き取っているというデータもあります。
つまり、ブリーダーなどから犬を買う人より、シェルターから保護犬を引き取る人のほうが多いことがわかります。
しかし「アメリカでは犬の入手シェアは7割がシェルター」という情報は一切ありませんでした。対して「アニマルシェルターや人道支援団体から犬を入手した割合は23%である」という、信頼性の高いデータがあります。これはアメリカのASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)が、2019年における、全米の犬の入手シェアを調べたものです。ASPCAはアメリカでは権威ある団体で、その資料は信頼性が高いとされています。以下に、該当する資料から引用します。
・Pet Statistics「ペットの統計」 なおこの数値は2019年のものです
Facts about U.S. Animal Shelters
Approximately 6.3 million companion animals enter U.S. animal shelters nationwide every year.
Of those, approximately 3.1 million are dogs and 3.2 million are cats.
Each year, approximately 920,000 shelter animals are euthanized (390,000 dogs and 530,000 cats).
Approximately 4.1 million shelter animals are adopted each year (2 million dogs and 2.1 million cats).
These estimates are based in part on Shelter Animals Count data and other known and estimated sources, 2019.
Dogs
Animal Shelter/Humane Society 23%
Friends/Relatives 20%
Breeder 34%
Stray 6%
Private Party 12%
Other 32%
アメリカのアニマルシェルターに関する事実
毎年約630万頭のコンパニオンアニマルがアメリカ全土のアニマルシェルターに収容されます。
その内訳は約310万頭が犬、320万頭が猫です。
毎年約92万頭のアニマルシェルターの動物が安楽死させられています(39万頭の犬と53万匹の猫)(註 39万頭の犬の殺処分数は、同時期の日本の公的犬の殺処分数の人口比で26.6倍です)。
毎年約410万頭がシェルターで養子縁組されています(200万頭の犬と210万匹の猫)。
これらの推定値は、2019年のシェルターに収容された動物数のデータ、および一部はその他のすでに知られている推定値のソースに基づいています。
アメリカ全土における犬の入手シェア(%)
アニマルシェルターもしくは人道支援団体から 23%
友達/もしくは親戚から譲渡を受ける 20%
ブリーダーから 34%
野良犬を拾う 6%
私的に譲渡を受ける(無認可ブリーダー等と思われる) 12%
その他(ペットショップが主と思われる) 32%
またアメリカでは、年間の犬の需要が830万頭という推計値が複数あります(たとえば、Have spay/neuter policies in the US been too effective? 2021年2月17日記事など)。またアニマルシェルターと人道支援団体が譲渡した犬の年間の数が200万頭という資料も複数あります。
830万頭に占める200万頭の割合は24%となり、上記のASPCAの「アニマルシェルター及び人道支援団体が譲渡した犬の数200万頭の割合23%」とほぼ一致します。したがって、「全米でアニマルシェルターもしくは人道支援団体から犬を入手した割合は23%」という数値は信ぴょう性が高いと言えます。
またASPCAの資料によれば「アニマルシェルターもしくは人道支援団体から犬を入手した割合は23%」で、「ブリーダーから犬を入手した割合は34%」です。つまり加隅良枝氏の、「ブリーダーなどから犬を買う人より、シェルターから保護犬を引き取る人のほうが多い」との発言も、全くのデマということです。
実はアメリカ合衆国は23%であっても、いわゆる保護犬(アニマルシェルターや人道支援団体由来の犬)の入手割合がヨーロッパや日本と比べて極めて高いのです。例えばドイツの保護犬猫の入手シェアは10%程度です。(*)スイスのティアハイムから犬を入手した割合は3%に満たないのです。(*1)東京都の保護犬の入手割合は9%台(*2)です。それには実はカラクリがあるのです。
その点についての詳細は次回以降の記事で述べます。アメリカでは、いわゆる保護団体がパピーミルが主催するドッグオークション(ペットオークション)で犬を大量に買付けて、それを自ら「保護犬」として販売したり、大手ペットショップに卸して事実上販売しているからです。ミシガン州立大学の2018年の論文(*4)では、パピーミル主催のオークションでは、〜4割が保護団体が落札しているとしています。実は「保護犬」は多くはパピーミル生産の犬という、偽装保護犬なのです。そのような「偽装保護犬」であっても、保護団体が販売すれば「アニマルシェルターもしくは人道支援団体」から入手した犬に統計上カウントされるのです。
(*)
・「犬の大量生産販売とオークションは日本独特」という、太田匡彦氏の大嘘~イギリス、ドイツ編
(*2)
・Anzahl der in Tierheimen aufgenommenen Hunde in der Schweiz in den Jahren 2009 bis 2018 「2009年から2018年にかけてのスイスのティアハイムに収容された犬の数」 2020年
2018年にはスイスのティアハイムに収容された犬の数は2,624頭で、譲渡されたのは1,448頭であった。対してスイスの年間犬登録数は概ね5万頭半ばで推移している。つまり保護犬の入手シェアは、スイスでは2.6%。
(*3)
・日本は保護犬譲渡が多い国~東京都の保護犬譲渡シェアはドイツのティアハイムと同程度
(*4)
・Detailed Discussion of Dog Auctions and Retail Rescue 「ドッグオークションと保護団体の犬の販売についての詳細な議論」 2018年
(動画)
FOCHP Pet Adoption Event at Petco in Lake Forest 「レイクフォレストのペトコ店でのFOCHP(保護団体)によるペットの譲渡会」 2010年4月10日
アメリカの二大生体販売ペットショップチェーンといえば、PetcoとPetsmartです。両社は保護犬猫を展示販売しています。事実上の犬猫の生体販売です。それらの犬猫は、実は多くがパピーミルが主催するドッグオークションで保護団体が落札したものです。
(動画)
PetSmart Dog Adoption Langley 「ペッツマート ラングレー店での保護犬譲渡」 2018年4月15日
アメリカの二大生体販売ペットショップチェーンのペットスマート。このチェーン店では、「保護犬猫」を常設で展示販売しています。多くはパピーミル主催のドッグオークションで落札したものが多く含まれると思われます。成犬であったとしても、パピーミルは繁殖明けの犬などをオークションに出品します。
(画像)
朝日新聞 2021年12月2日朝刊記事 「アメリカではペトコとペットスマートでは以前から生体展示販売をしていない」とありますが、両社はアメリカ合衆国では二大生体販売ペットショップチェーンとして有名です。犬猫は保護動物に限るとしていますが、その他のウサギやモルモットなどの小型哺乳類や鳥類、さらにエキゾチックアニマルの爬虫類など極めて多くの品揃えのペットの生体を常時展示販売しています。
犬猫も常設展示販売しています。保護団体の委託を受けた保護動物の販売としていますが、保護団体がパピーミル主催のドッグオークションから落札した、事実上パピーミルから仕入れた犬が多く含まれています。つまり犬の展示生体販売そのものです。
それにしても「展示生体販売がない」という大デマには驚きました。私は朝日新聞がデマ情報を報じれば批判されますので、読者の投稿という形を取ったヤラセだと勘ぐっています。朝日新聞はそのような捏造体質があります。

(動画)
EXPLORING PETSMART ! ANIMAL FRIENDS EVERYWHERE! 「PETSMARTを探検! どこでも動物は友達!」2019年7月17日
ペットスマートの店舗内。多くの種類のペット生体が展示販売されています。保護猫の常設展示販売スペースもあります。
(動画)
Petco 🐶 Browsing The Store 「Petcoの店内を見る」 2021年6月3日 こちらのペトコの店舗でも、多くの種類のペット生体が展示販売されています。
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