「海外ではペットショップでの犬猫販売を禁じている」の勘違い〜アメリカ

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What is the definition of a pet shop in the United States?
日本での海外のペットショップ事情に関してですが、「海外にはペットショップがない」、「日本以外の先進国にはペットショップがない(杉本彩氏など)」のデマは問題外です。しかし海外のペットショップに関しての情報発信者自身が、「ペットショップ」のその国での定義を理解していません。「海外のペットショップでは生体販売を行っていない」も噴飯記述ですが。ペットショップの法的規制がある国では、必ず法律で「ペットショップ」の定義を明確にしています。日本でのペットショップの定義は、「小売店舗でケージでペットの生体を展示販売する業種業態」とされているようです。「フードやペット用品を販売するだけの小売店舗」と定義している人もいるようですが問題外でしょう。しかしこれらの定義は、法令によりペットショップを法律で規制している国の多くでは誤りです。
海外のペットショップ事情について、その情報発信をしている人たちは私が知る限り、一人としてその国のペットショップの定義を正確に理解して情報発信をしているわけではありません。推測するには、それらの人が「ペットショップ」としている業種業態は概ね、「小売店舗でケージでペットの生体を展示販売する業種業態」としているようです。中には「ペット用品やフードのみを売る店」をペットショップとしている人もいますが、それは問題外でしょう。
ペットショップを法律で規制している国は、必ずその法律でペットショップの定義を明らかにしています。それらの国の多くではペットショップの定義によれば「小売店舗でケージでペットの生体を展示販売する業種業態」と言う条件だけではペットショップではないのです。
例えばアメリカでは、ペットショップと犬などのブリーダーの許認可は各州法、もしくは自治体条例が根拠です。連邦法ではありません。多くは「ペットショップ」と「ブリーダー」は異なる業種に区分しており、認可も別に行われます。概ね「ペットショップ」の定義は、「自らペット動物の生産を行わずに、ペット生体を仕入れて公に販売する小売業種」としています。「自らペット動物の生産を行いかつ小売もする業種」はブリーダーとして定義され、異なる認可を受けなければなりません。ですから「小売店舗でケージにペット生体を公に展示販売」していたとしても、その業者が自らペット生産もしてその動物を小売店舗で公に販売していたとしても「ブリーダー(生産者)」であり、ペットショップとしての規制を受けません。
イギリスも、Pet Animals Act 1951 「ペット動物法 1951」7条1項(a)で、「事業者自らが繁殖させた動物を販売する業者はペットショップとは見なされない(a person shall not be deemed to keep a pet shop by reason only of his keeping or selling pedigree animals bred by him, or the offspring of an animal kept by him as a pet;)」としています。イギリス(北アイルランドを抜く)では、「自らペット生産を行う業者であれば小売店舗や商業施設での附属施設での犬猫の展示小売販売ができる」ということです。
まずアメリカ、カリフォルニア州の州法における「ペットショップ」の定義から取り上げます。
・West's Annotated California Codes. Health and Safety Code. Division 105. Communicable Disease Prevention and Control. Part 6. Veterinary Public Health and Safety. Chapter 9. Pet Store Animal Care. 「カリフォルニア州法の注釈 健康と安全に関する法律 部門105 伝染病の予防と管理 第6部 獣医師の公衆衛生と安全 第9章ペットストア(ショップ)における動物のケア」 法律原文
§ 122350. Definitions
(i)“Pet store” means a retail establishment open to the public and selling or offering for sale animals, including, but not limited to, animals for use as pets or animals intended as food for other animals.
A person who sells, exchanges, or otherwise transfers only animals that were bred or raised, or both, by the person, or sells or otherwise transfers only animals kept primarily for reproduction, shall be considered a breeder and not a pet store.
122350条 定義
(i)「ペットショップ」とは一般に公開され、ペットとして用いられる動物または他の動物の餌となる動物を含む、これらに限定されない動物を販売または提供する小売店を意味します。
その者が繁殖させ増殖した動物だけを、あるいはその両方を販売、交換、またはその他の方法で譲渡する者、それ以外では主に繁殖のために飼育されている動物のみを販売またはその他の方法で譲渡する人は、ペットショップではなくブリーダーと見なされます。
つまり「ペット動物などを一般に公開して販売する小売店」であっても、事業者が自らペット動物の繁殖を行い、それを販売するのであれば「ペットショップ」ではないのです。そこに日本で「欧米の○○国ではペットショップでの犬猫販売をしていない」と主張している人の思い込みと齟齬があります。
2019年にアメリカ、カリフォルニア州では「ペットショップ」での犬猫ウサギは保護団体由来のものしか販売できなくなりましたが、従前どおり「一般に公開された小売店舗」でも犬猫ウサギが販売されているのです。それは法律施行前に「ペットショップ」が「ブリーダー」の認可を受けて「ブリーダー」になることにより、「ペットショップ」の規制を回避したことが一つの理由です。
カリフォルニア州が「ペットショップでの犬猫ウサギの販売を保護団体由来のものに限る」という法律を施行させる前に、先行してロサンゼルス市が同様の条例を施行させました。ロサンゼルス市はその条例が施行する前に、多くのペットショップがブリーダーの認可申請を行ったことが記録されています。
・LA's ‘Puppy Mill-Pet Shop Ban’… Success or Hypocrisy?「(ロサンゼルスの)パピーミル-ペットショップ条例は成功か偽善か?」 2017年6月5日
The irony -- and hypocrisy -- of the "puppy mill pet shop ban" is that anyone can get a breeders' permit for a dog from LA Animal Services by merely paying $235, plus $100 for an intact dog license/permit.
Or they can breed and sell pets without a permit without much fear of penalty.
Also, breeding permits are issued without a zoning requirement or premises check.
The City's Finance Office advised me that it does not enforce the requirement for a business license unless someone complains or they are notified by the State of possible unreported earnings.
「パピーミル-ペットショップ禁止条例」の皮肉と偽善は、誰でもロサンゼルスのアニマルサービス(ペットショップやブリーダーの許認可を行う行政機関)に許可証を235ドル支払うだけで、つまりペットショップは100ドルを加算して支払うだけで、そのまま犬のブリーダーの免許/許可を得るということです。
あるいは、処罰(註 ペットショップが商業生産した犬、猫、ウサギを販売したとしても、罰則はわずか250ドルの行政罰の過料です)をあまり気にすることなく、許可なしでペットを繁殖し、売ることができます。
また、ブリーダーの許可証は、地区要件や施設の確認をせずに発行されます(註 小売業者がブリーダーの許可を受ければ、商業施設、小売店舗そのものので犬を展示販売することが事実上合法になります。ロサンゼルス市では、ペットショップとブリーダーの許可は別)。
ロサンゼルス市の財政事務所は、誰かがペットショップの違反で苦情を申し立てたり、もしくは州によってペットショップの収入が未申告である可能性があるとの通知がない限り、ペットショップにブリーダーの営業免許を取得することを強制しないと助言しました(註 つまりロサンゼルス市は、ペットショップがブリーダーの免許の取得すらしなくても、そのまま禁止の動物種を「ペットショップ」という形態の店舗で販売しても黙認するという意味)。
(動画)
1st time at Fancy Puppy Pet Store in Corona cute cocker spaniel puppies in Eastvale ca Philomena's 「カリフォルニア州のイーストベール・フィロメナの素敵な子犬販売ペットショップにはじめて訪問しました」 2019年5月20日
カリフォルニア州では2019年1月1日以降は、ペットショップは犬猫ウサギに限り、保護団体由来のものしか販売できなくなりました。しかしその後もペットショップでは従前どおり犬猫ウサギが販売されています。それは今回説明したとおり、「1 ペットショップ」がブリーダーの認可を得てペットショップの規制を回避したこと以外にも、「2 形式的だけ保護団体を経由した形にして、以前の通りパピーミルなどの商業繁殖者から犬などを仕入れ販売している」ことが挙げられます。また「3 処罰が行政罰の500ドルまで」ですので、年商数百万ドルの大型店舗では抑止力はないでしょう。このように、「犬猫ウサギのペットショップでの販売は保護団体由来のものに限る」という法律が施行されたアメリカ、カリフォルニア州のこのような店舗でも、子犬を自家生産していれば全く小売店舗での展示販売が合法です。
海外の動物愛護に関する情報を提供している人は、ほぼすべてが法律などの原典を調べませんし、もともとが無知無学で嘘つきです。「1」ですが、日本で「○国ではペットショップで犬などの販売を禁止している」と主張している人は、その国のペットショップの定義を理解していません。「小売店舗でペット生体をケージで展示販売している」業種=ペットショップ ではないのです。
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