判決に見る「犬はあくまでも物のドイツ」、「犬を人並に扱う日本」

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domestic/inländisch
犬などのペットを過失で死傷させた件では、日本では慰謝料が認められる判決が続いています。また金額は上昇傾向です。「近年は動物の殺傷に対して慰謝料が日本でも認められてきたがまだまだ額が少ない。それは日本は動物は物扱いで法的な感性が遅れているからである。ドイツのように動物は命あるものとして法律上の地位を人と同等に向上させるべき」と述べている弁護士がいます。しかし真実は真逆で、ドイツでは動物の死傷に対する慰謝料が認められた判決は確認できていません。対して連邦裁判所(日本の最高裁に相当)で、犬の交通事故死で慰謝料を棄却した判決があります。またドイツと法制度が近いオーストリアでは「動物に対する慰謝料は認められない」との最高裁判決が確定しました。
まずサマリーで述べた、「犬などのペットを過失で死傷死させた件では、日本では慰謝料が認められる判決が続いています。また金額は上昇傾向です」について。それを報じるニュースソースから引用します。
・事故でペットを死なせた… 慰謝料は増加傾向 2016/03/02 (最終更新:2018/05/01)
一般的に、ある物が他人の故意または過失によって壊されたときには、その物を修理する費用や買い替え費用の賠償を命じれば、「所有者の精神的苦痛は慰謝された」として、それ以外に慰謝料の請求は認められません。
動物は単なる物とは違い、「命あるもの」です。
そのため、飼い主にとってペットが単なる物以上の存在であると認められる場合には、ペットの死亡によって飼い主が受ける精神的苦痛は、動物の経済的価値を賠償してもなお慰謝されるものではないという論理で、さらに飼い主に慰謝料を支払う必要があるとされています。
①2002年3月28日宇都宮地方裁判所判決は、獣医療過誤により死亡した猫(アメリカンショートヘア)について20万円
②2004年5月10日東京地方裁判所判決は、獣医療過誤により死亡した犬(日本スピッツ)について60万円(飼い主1人あたり30万円)
③2007年9月27日東京高等裁判所判決は、獣医療過誤により死亡した犬(犬種不明)について105万円(飼い主1人あたり35万円)
④2013年8月21日東京地方裁判所判決は、ドッグホテルから逃げ出し交通事故で死亡した犬(犬種不明)について20万円(飼い主1人あたり10万円)
など、慰謝料をそれぞれ認めています。
次に、「近年は動物の殺傷に対して慰謝料が日本でも認められてきたがまだまだ額が少ない。それは日本は動物は物扱いで法的な感性が遅れているからである。ドイツのように動物は命あるものとして法律上の地位を人と同等に向上させるべき」との、弁護士の主張を引用します。
・明治大学法曹界 会報(平成14年5月30日発行)に掲載 ペット法学会に参加して 弁護士 渋 谷 寛
ペットに関する我が国の法的な感性は欧米に比べてそうとう遅れていうるといえましょう。
ドイツ民法典(BGB)第九〇条a1文には「動物は物ではない。」(1990年改正、2文・3文省略)。物と動物の違いに着目しているのです。
日本では動物はあくまでも(不動産以外の有体物なので)物の中の動産に分類されます(民法第85条・86条参照)。
しかし、生命をやどしているか、痛みを感じることができるか否か、この違いを無視すべきではないと思います。
今後我が国においても動物の法律上の地位を可及的に人間と同等に向上させるべきであると考えています。
ペットを何らかの事情により殺された場合の飼い主の精神的苦痛即ち慰謝料については、裁判上も認められていますが、認容額は極めて低く数万円にしかならないことが多いようです。
今年の3月28日、宇都宮地裁第1民事部(合議)において、飼いネコを獣医の避妊手術のミスで死亡させられた事例で、ネコの価格賠償50万円、買い主の慰謝料20万円、その他解剖費・弁護士費用等も含めて合計93万円あまりの賠償を命じる判決が出て新聞にも掲載されました。
ペットの死亡事故の賠償慰謝料額も時代の変化を反映して増加しつあるように思えます。
動物が命を絶たれることなく怪我をしたにとどまった場合はどうでしょうか。
動物の精神的苦痛それ自体を損害と考え動物自身の慰謝料を認めることができるのではないかと考えています。
この記述「日本ではペットの死傷に対して飼主への慰謝料の支払いを命じた判決は古くからあり金額は増額傾向にある。しかし日本はペットに関する法的な感性は欧米に比べて遅れている。例えばドイツは民法で『動物は物ではない』とされ、今後日本でも動物の法律上の地位を人間と同等に向上させるべき」の要旨は、次のように解釈できます。
1、近年日本はペットの死亡に関して飼主に支払を命じる判決では金額は増額傾向であるが、欧米に比べて極めて低い。
2、動物の死亡に対する慰謝料額が欧米より低い理由は、日本は欧米と異なり動物は物扱いだからだ。
3、ドイツが民法で定めるように動物を命あるものとして法的地位を人間と同等に引き上げれば高額な慰謝料や、動物の精神的苦痛に対する動物自身への慰謝料も欧米のように認められるようになるだろう。
結論から言えば、このような方がまともな社会生活を営んでおられるとは驚愕です。まさに狂人の妄想とも私には思えます。欧米(とはいえ、この渋谷寛弁誤士はドイツ狂で何かとドイツ出羽出羽と、妄想ドイツを連発している人ですが)、特にこの文章の記述にあるドイツと法制度が近いオーストリアでは、全くの逆です。そしてこの渋谷寛弁護士のドイツ民法90条aの解釈も噴飯モノです。
以下に、それぞれの記述についての真実を対比させれば次のとおりです。
1、近年日本はペットの死傷に関して飼主に支払を命じる判決では金額は増額傾向であるが、欧米に比べて極めて低い。
〜
ドイツでは、犬などのペットの死傷で、加害者に飼主に慰謝料の支払いを命じる判決はありません。対して棄却された終審判決があります。またドイツと法制度が近いオーストリアでは、2020年に最高裁で「動物の死亡事故で飼主への慰謝料請求は認められない」という判決が確定しました。下級審でもすべて被害者飼主の慰謝料請求が棄却され、最高裁はそれを支持しました。
またドイツでは、猟犬が野生動物と誤って殺害されたケースでは、犬の価格500ユーロと訓練費790ユーロの合計1290ユーロ(日本円で16万円台。1ユーロ=130円)と損害額が高裁で認定され、一般的に動物の死亡に対する損害額の認定は極めて金額は低いのです。
2、動物の死亡に対する慰謝料額が欧米より低い理由は、日本は欧米と異なり動物は物扱いだからだ。
〜
渋谷寛弁誤士は、ドイツ民法90条aを挙げていますが、この条項の物が意味するところは、「物、民法が対象とする有体物、物権、所有権の客体としての物」です。解釈が完全に誤っています。ドイツでは特別法の規定があれば、動物の所有権を制限できるということです。例えばドイツでは法律で禁止する犬種(ドイツでは世界でも例外的な「禁止犬種法」があります。これは法律で飼育、繁殖、国内持ち込みを禁止するというものです)、咬傷犬、不適正飼育者が飼育している動物を没収して公的機関で殺処分する権限が行政に与えられていますが、その場合飼主への補償はありません。「特別法の規定があれば動物は物=所有権の客体」ではないからです。所有権を制限できるからです。なおこの規定は、狂犬病規則での強制殺処分や、警察法に基づき警察官が犬を射殺した場合でも同様です。
3、ドイツが民法で定めるように動物を命あるものとして法的地位を人間と同等に引き上げれば高額な慰謝料や、動物の精神的苦痛に対する動物自身への慰謝料も欧米のように認められるようになるだろう。
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動物の法的地位が人間と同等な国は少なくとも先進国では存在しませんし、存在のしようがありません。このような荒唐無稽な妄言を平気で公に発言できるとは、この方は私は何らかの精神疾患があると思えます。
(動画)
Polizei erschießt Hunde / OHNE GRUND!! 「警察官は理由もなく私の犬を射殺した」 2020年9月4日
誤認捜査で無実の被疑者の部屋に踏み込んだ警察官は、無実の被疑者の飼犬を理由もなく射殺しました。犬の飼い主が撮影したビデオ。同様の事件はドイツでは度々報道されます。しかし飼主への補償はありません。ドイツでは警察法で犬などの射殺が職務として認められていて、また民法で特別法の規定があれば動物の所有権が制限されるからです。警察が職務で犬を射殺した場合、警察法(特別法)の規定があるために、犬の所有権は制限されるからです。
渋谷寛弁誤士 「ドイツでは動物の法律上の地位が人間と同等」〜この方は精神科に入院すべき。ドイツでは警察官による犬などの射殺が合法で年間1万5000以上ありますが、飼主への補償はないです。要するにドイツでは動物は物未満。
(参考資料)
これらについては、次回以降の記事で解説します。
・Jäger erschießt versehentlich Hund bei Jagd: Urteil zu Schadensersatz 「ハンターは狩猟中に(他のハンターの)猟犬を誤って射殺しました。その損害賠償の判決」 2021年5月11日
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狩猟中に誤って他のハンターの猟犬をイノシシと誤って射殺したハンターに対する、高裁での損害賠償の支払い命令は1,290ユーロ(日本円で16万円台)だった。損害が認められたのは犬の価格500ユーロと、猟犬にするための訓練費790ユーロのみだった。なおドイツでは、動物の死傷において、加害者に飼主への慰謝料の支払いを命じた判決は確認できていない。
・Kein Trauerschmerzengeld bei Verlust des „Familienhundes“ 「『飼い犬』を過失で殺された場合は飼主の精神的苦痛の慰謝料は認められない」 2020年11月27日
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オーストリア最高裁判決。家族同様の飼犬を事故により殺された飼主は、加害者である被告に対して8,000ユーロ(日本円で約100万円)の慰謝料を求める訴訟を提起したが、下級審から最高裁まですべてその請求は棄却された。
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