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「海外のアニマルポリス」に関して正確な資料は日本で皆無〜アメリカ編






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(summary)
Powers of agents of society for prevention of cruelty to animals has some power and authority to arrest as an officer authorized to serve criminal process.


 議論がかまびすしい「アニマルポリス」ですが、「海外に倣え」、「海外では」と声高に主張している愛誤な人が多いです。しかし私が調べた限り、海外の「アニマルポリス」に関して正確な資料は日本には1つもありません。「海外ではイギリスなど多くの国で民間団体に警察と同等の法執行権限を付与している」という情報があり、一方では「海外でも民間団体に法執行権限を付与している国はない」とあります。いずれも誤りです。アメリカ合衆国では少なくともロードアイランド州では、動物虐待事件に限り範囲が限定的ながら、民間団体に警察官と同等の法執行権限を付与しています。限定的には、アメリカでは多くの州で動物虐待事件での民間団体での法執行権限を付与しています。イギリスでは民間団体に法執行権限が付与されたことは一度もありません。


 「日本でもアニマルポリスを設置すべき」と主張している国会議員、愛誤活動家等が多いです。そして必ず「海外では〜」、「海外の事例を参考にすべき」、「海外に見倣え」と彼らは声高に言っています。しかし私が調べたところ、一つも海外のアニマルポリスに関して正確な資料はありませんでした。
 「1、海外ではイギリスなど多くの国で民間団体に警察と同等の法執行権限を付与している」という情報があり、一方では「2、海外でも民間団体に法執行権限を付与している国はない」とあります。結論から述べれば、いずれも誤りです。まずイギリスでは歴史上一度も民間団体に法執行権限が付与されたことはありません。アメリカ合衆国ですが、複数の州で限定的ではありますが、民間団体に動物虐待事件に限り法執行権限を付与しています。また少なくともロードアイランド州では動物虐待事件に限り範囲が限定的ながら、民間団体に警察官と同等の法執行権限を付与しています。
 今回記事では、「2、海外でも民間団体に法執行権限を付与している国はない」という情報が完全に誤りであることを述べます。まず最初に、その記述がある資料から引用します。


もしアニマルポリスを日本に導入するなら 担い手や体制、どんな形が考えられる? 細川敦史 2021年7月29日

①民間組織に警察権限を付与する方式があります。
この方式の例としては、アメリカ・ニューヨーク市において、ASPCA(米国動物虐待防止協会、1866年設立)が警察部門を設置し、動物虐待の捜査を行っていたようですが、その後2013年でニューヨーク警察に業務を引き継ぎ、警察部門は閉鎖したとの情報があります。
①の民間方式については、現在、海外でも実施例は見当たりません。



 上記の朝日新聞系メディア、Sippoの記事の記述、「①民間組織に警察権限を付与する方式〜①の民間方式については、現在、海外でも実施例は見当たりません」が完全に誤りであることを示す資料をいくつかあげます。


Table of Enforcement Powers Granted to Humane Societies by State 「アメリカ合衆国各州の、ヒューメイン・ソサエティ(民間の動物保護も行う非営利団体)に付与された執行権限の表」(註 根拠となる各州法が一覧になっています) 2012年 Michigan State University Animal Legal and Historical Center ミシガン州立大学 動物法と歴史研究所

 この資料はミシガン州立大学の動物法とその歴史に関する研究所による資料です。アメリカ合衆国における、Humane Societies (註 動物保護活動も行う非営利の人道支援民間団体)に法執行権限を付与する、各州の州法についてまとめたものです。公開が2012年と古いのでその後の法改正があり完全に正解とは言えませんが、この表では限定的なものも含めれば、動物虐待犯罪に限り、民間団体に容疑者の逮捕権限(最も高度な部類の法執行権限と言える)を付与している州は50州20州あります(これは2012年の資料でその後、民間団体への法執行権限の付与は廃止された州がいくつかあり、縮小傾向ではありますが)。
 民間団体に法執行権限を付与している州でも、例えばケンタッキー州では、動物虐待の容疑者の逮捕では警察官を要請してその指揮下での逮捕を行う権限があるなどの、何らかの一定の制限がある州が多いです。しかし、ロードアイランド州では「警察官と同等の家宅捜索での法執行権限を民間団体に付与する」と州法で定めています。「(範囲が限定的ながら)警察官と同等の法執行権限を付与する」州は現在、私が調べたところアメリカ合衆国ではロードアイランド州1州だけです。ネヴァダ州でも民間団体に動物虐待事件に限り警察官と同等の法執行権限を付与していましたが、2020年に廃止されました。


West's General Laws of Rhode Island Annotated. Title 4. Animals and Animal Husbandry. Chapter 1. Cruelty to Animals. Title 11. Criminal Offenses. Chapter 10. Crime Against Nature 「ロードアイランド州法の一般法に関する注釈 タイトル4.動物と畜産。 第1章動物虐待。 タイトル11。刑事犯罪。 第10章自然に対する犯罪 法題4. 動物と畜産 第1章 動物虐待 法題11. 刑事処罰 第10章 自然に対する犯罪」 2021年更新

4-1-21. Powers of agents of society for prevention of cruelty to animals.
The general agent of the Rhode Island society for the prevention of cruelty to animals and any number of special agents as may be appointed by that society have the same power and authority to arrest as any officer authorized to serve criminal process for the purpose of enforcing any of the laws of this state in relation to cruelty to animals, that power and authority to extend throughout the state, and they may serve any search warrant issued under § 4-1-19 and may search any building or place named in that warrant.
A general agent and any special agents may, for the purpose of carrying out their duties, possess and carry pistols as defined in § 11-47-2, and the provisions of § 11-47-8 shall not apply to them.
Any person who interferes with or obstructs any of those agents in the discharge of their duty shall be guilty of obstructing an officer and punished as provided in § 11-32-1.

4-1-21。 動物虐待防止協会の職員の権限
動物虐待防止ロードアイランド州協会(註 民間の非営利団体)の代表者および協会によって任命される可能性のある任意の数の特別捜査員は、 動物虐待に関連するロードアイランド州の法律により州及び州全域でこの州の法律のいずれかを施行する目的で刑事手続きを行う権限があり許可されています。
4条1−9に基づき発行された捜査令状での権限を行使し、その令状で示された建物または場所を捜索することができます。
協会の代表者および特別捜査員はその職務を遂行する目的で、11条-47-2で定義されている拳銃の所持および携行することができ、11条-47-8の規定はそれらに適用されないものとします。
職務の遂行において協会の職員(註 民間人)を誰であっても妨害し、または妨害した者は警察官の公務を妨害した罪で有罪となり、11条-32-1に規定されてとおり罰せられるものとします。


(動画)

 Michigan Humane Society and Detroit police bust dog fighting raid 「ミシガン州ヒューメイン・ソサエティとデトロイト警察は共同で闘犬アジトを強制捜査して壊滅させました」 2019年3月10日

 ミシガン州ヒューメイン・ソサエティとデトロイト警察は共同で違法闘犬のアジトを強制捜査し、35頭の犬を押収しました。Table of Enforcement Powers Granted to Humane Societies by State 「アメリカ合衆国各州の、ヒューメイン・ソサエティ(民間の動物保護も行う非営利団体)に付与された執行権限の表」によれば、「ミシガン州法ではヒューメイン・ソサエティ(註 民間団体)には動物虐待法の範囲においては保安官と同等の法執行権限を付与する」(Have all the powers of a sheriff of the county to enforce animal cruelty laws)としています。
 保安官(sheriff)は州により職務権限の範囲が異なりわかりにくい職種ですが、「警察官より格下の職務で補佐的な職務を行う」事が多いです。このケースでは警察官の指揮命令下で容疑者の逮捕や犬の押収を民間団体が行ったのですが、限定的ながら法執行権限を行使したということです。



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No title

アメリカは刑事法体系としてはかなり異質な国だと感じます。例えばバウンティハンターの制度は保釈保証金の回収のため民間人に逮捕権限を認めていますが、日本では想像もできない制度です。先進国の中では警察権限を大幅に民間委託している特殊な事例とみたほうが妥当でしょう。

日本の警察は逮捕権限以外にも遺失物の管理等の強制執行権限を持たない業務も行っていますが、それらを民間に委託するという話すらありません。駐車監視員の制度も放置車両を確認するにとどまって交通反則切符を作成・交付はできません。警察権限を民間委託することに非常に慎重な中で民間のアニマルポリスに権限を委託するとなれば相応の立法事実が必要になります。しかし日常的に行われがちな駐車違反に対して、動物虐待事件はそんなに行われているものなのでしょうか?そもそも動物愛護活動家が行政職員や害獣被害者を威迫しがちであるという事実を考えれば、権限付与など行っても更なる混乱を招くだけです。

Re: No title

野生動物への餌やり反対 様、コメントありがとうございます。

> アメリカは刑事法体系としてはかなり異質な国だと感じます。例えばバウンティハンターの制度は保釈保証金の回収のため民間人に逮捕権限を認めていますが、日本では想像もできない制度です。先進国の中では警察権限を大幅に民間委託している特殊な事例とみたほうが妥当でしょう。

今でも一部に制度がありますが、保安官(sheriff)を住民の選挙で民間人から選び、警察署長と同等の権限を与えるなどです。
その場合は警察署長は自治体に存在せずに、保安官が警察の指揮命令を行います。
それとか陪審員裁判で無罪となった事件では上訴できないなど。
法執行権限を民間人がかなりの部分で担う特殊性は、アメリカの建国黎明期に移民が自分たちで自治を担ってきた伝統があるからだと思います。
当初は警察という行政組織も裁判所もなかった。


> 日本の警察は逮捕権限以外にも遺失物の管理等の強制執行権限を持たない業務も行っていますが、それらを民間に委託するという話すらありません。警察権限を民間委託することに非常に慎重な中で民間のアニマルポリスに権限を委託するとなれば相応の立法事実が必要になります。しかし日常的に行われがちな駐車違反に対して、動物虐待事件はそんなに行われているものなのでしょうか?そもそも動物愛護活動家が行政職員や害獣被害者を威迫しがちであるという事実を考えれば、権限付与など行っても更なる混乱を招くだけです。

「民間に法執行権限を付与する」ことにご執心だったのは杉本彩氏などおり、数年前の記事では「イギリスではRSPCAのInspectorに法執行権限が付与されている」とありました。
それもこちらで取り上げようと思いましたが、見つからないので削除されたのかもしれません。
ご指摘のように国により法制度はかなり異なります。
上っ面だけ都合よく取り上げて、無知な愛誤が「海外では〜」と行政や立法に圧力をかけ、それに乗っかった愛誤議員がデマを国会で垂れ流すのは本当に有害です。
杉本彩氏は「動物虐待の処罰は日本は軽すぎる」と狂ったように「猫の殺害で懲役16年の判決」を主張していましたが、アメリカは罪数は単純加算で量刑の求め方が異なります。
またこれらの猫は、飼主の庭(私有地)から窃盗したものです。
アメリカは私有地内に侵入する犬猫は、財産被害防止のために殺害することが合法ですし、CA州では毒エサも合法です。
日本では私有地内に侵入舌野良猫をクロスボウで撃った者は有罪になりましたが、テキサス州では弓で近所の飼い猫を殺害したものは刑事訴追を受けませんでした。
総合的に判断しなければなりません。
プロフィール

さんかくたまご

Author:さんかくたまご
当ブログのレコード
・1日の最高トータルアクセス数 8,163
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・カテゴリー(猫)別最高順位7,928ブログ中5位
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1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

なお、SNS、掲示板、QandAサイトなどでは、多数の本ブログ管理人の私(HN さんかくたまご)(武田めぐみ)のなりすまし、もしくはそれと著しく誤認させるサイトが存在します。
しかし私が管理人であるサイトは、このページのフリーエリアにあるリンクだけです。
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よろしくお願いします。

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