続・まとめ・ドイツの犬猫狩猟に関して正しく解説している資料は日本に皆無

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(Zusammenfassung)
Landesjagdgesetz
Jagd Gesetz
記事、
・「ドイツ連邦法では住居から300m離れていれば犬猫を狩猟できる」は間違い〜ドイツの犬猫の狩猟駆除について正しく解説している資料は日本に皆無、
・ライブトラップで捕らえた飼猫を殺害することが合法なドイツ、バイエルン州〜ドイツの犬猫狩猟に関して正しく解説している資料は日本に皆無、
・犬猫の狩猟では住居からの制限がないベルリン州〜ドイツの犬猫狩猟に関して正しく解説している資料は日本に皆無、
・ハンブルク州は犬猫の狩猟では狩猟区域内の制限はない〜ドイツの犬猫狩猟に関して正しく解説している資料は日本に皆無、
・わなで捕獲した飼い犬猫の殺害が合法なメクレンブルク−フォアポンメルン州〜ドイツの犬猫狩猟に関して正しく解説している資料は日本に皆無、
・ノルトライン−ヴェストファーレン州では狩猟区域の制限も住居からの距離の制限もなく犬を狩猟して良い〜ドイツの犬猫狩猟に関して正しく解説している資料は日本に皆無、
・猫の狩猟が禁止されているザールラント州〜ドイツの犬猫狩猟に関して正しく解説している資料は日本に皆無、
・わなにかかった猫の殺害が合法なザクセン州〜ドイツの犬猫狩猟に関して正しく解説している資料は日本に皆無、
・狩猟区域内で犬猫を殺されても飼主は損害賠償請求が困難なチューリンゲン州〜ドイツの犬猫狩猟に関して正しく解説している資料は日本に皆無、
・まとめ・ドイツの犬猫狩猟に関して正しく解説している資料は日本に皆無、
の続きです。
多くの資料で「ドイツでは連邦狩猟法により最寄りの住宅から300m離れていれば犬猫は狩猟による殺傷が合法である」と日本で紹介されています。また「狩猟区域内」とする資料も多いです。しかしこの記述は正しくはありません。ドイツ連邦狩猟法23条では「ハンターには狩猟鳥獣を捕食する犬猫から狩猟鳥獣を保護する責務がある」とはあります。しかし具体的な狩猟可能な範囲等については、各州法に立法を委ねています。「最寄りの住宅からの距離」については州や時期により、住宅からの距離は0mから500mの幅があります。狩猟区域内とする州と制限が無い州があります。
サマリーですでに述べましたが、日本で流布されている「ドイツ連邦狩猟法では住居から300m以上離れていれば犬や猫は狩猟対象で銃などで狩猟駆除(殺傷)が合法である」ですが、誤りです。しかしそのようにドイツの犬猫の狩猟に関する法律に関する情報が多いです。例えば、次のような資料です。
・飼い犬・猫も狩猟者の標的になる!?動物福祉先進国・ドイツの驚きの制度 2018年4月2日
「ドイツ連邦狩猟法」という国が定めた法律によって認められているのです。
狩猟法の23条では”在来野生生物の保護”と”生態系の維持”のために、民家から300m以上離れた狩猟区域内にいる犬や猫は狩猟対象とし、銃などで殺傷することを許可しているのです。
ドイツではすべての野生動物は「法的な所有者がいない」と考えられ、都市部や集落などの居住区でなければ、原則どこでも狩猟が可能とされています。
上記の資料をまとめると次のようになります。
1、ドイツでは連邦狩猟法により犬猫の狩猟による殺傷(殺すこととともに故意に傷つけること)が認められている。
2、具体的に連邦法で狩猟範囲が犬猫とも最寄りの住居から300m以上離れていなければならないとしている。
3、連邦法で犬猫の狩猟は狩猟区域内に限るとしている。
しかし1、2、3とも誤りです。「1」ですが、連載の最初の記事、「ドイツ連邦法では住居から300m離れていれば犬猫を狩猟できる」は間違い〜ドイツの犬猫の狩猟駆除について正しく解説している資料は日本に皆無 で述べたとおり、ドイツ連邦狩猟法では「狩猟鳥獣を狩る犬猫からハンターは狩猟鳥獣を保護しなければならない」とは定めていますが、「殺傷せよ」や、具体的な狩猟を行える範囲については下位法の各州法に定められています。
今回記事では、「3」の、ドイツ国内における犬猫の狩猟が許可される範囲について、「狩猟区域内に限るか否か」についてまとめます。各州の「犬または猫の狩猟が可能な範囲について狩猟区域内に限るか否か」は次のとおりです。
ドイツ連邦州16州における犬猫の狩猟が「狩猟区域内に限るか否か」について
・バーデン−ヴュルテンベルク州
犬猫とも狩猟は狩猟区域内に限る
・バイエルン州
犬猫とも狩猟は狩猟区域内に限る。
・ベルリン州
犬猫とも狩猟は狩猟区域内に限る。
・ブランデンブルク州
犬猫とも狩猟は狩猟区域内に限る。
・ブレーメン州
犬猫とも狩猟は狩猟区域内に限る。
・ハンブルク州
犬猫とも狩猟は狩猟区域内との制限はない。
・ヘッセン州
犬猫とも狩猟は狩猟区域内に限る。
・メクレンブルク−フォアポンメルン州
犬猫とも狩猟は狩猟区域内に限る。
・ニーダーザクセン州
犬猫とも狩猟は狩猟区域内に限る。
・ノルトライン−ヴェストファーレン州
犬の狩猟においては狩猟区域内に限るという制限はない。
猫の狩猟は禁止されている。
・ラインラント−プファルツ州
犬猫とも狩猟は狩猟区域内との制限はない。
・ザールラント州
犬の狩猟においては狩猟区域内とも制限はない。
猫の狩猟は禁止。
・ザクセン州
犬猫とも狩猟は狩猟区域内に限る。
・ザクセン−アンハルト州
犬猫とも狩猟は狩猟区域内に限る。
・シュレースヴィッヒ−ホルシュタイン州
犬猫とも狩猟は狩猟区域内に限る。
・チューリンゲン州
犬猫とも狩猟は狩猟区域内に限る。
ドイツ連邦州16州全州における、犬猫の狩猟が可能な範囲が狩猟区域内に限るか否かまとめると次のとおりです。
・犬 16州全州で狩猟が狩猟区域外でも認められるのは4州。ただし飼主の管理下から離れている使役犬以外の犬。
・猫 狩猟が狩猟区域外でも認められる州は2州。猫の狩猟が禁止される州は2州。その他の12州は狩猟区域内に限る。
つまりドイツ連邦州16州のうち、「犬猫の狩猟において狩猟区域内に限る」とする州は犬では12州です。4州では、犬の狩猟においては狩猟区域内とは制限を設けていません。猫は狩猟を狩猟区域内に限るとしている州は12州です。狩猟区域内との制限を設けていない州は2州、猫の狩猟を禁止している州は2州です。日本で流布されている、「ドイツでは犬猫の狩猟は最寄りの住居から300m離れていれば合法であると連邦狩猟法で定めている」という情報は、あまりにもずさんでいい加減としか言いようがありません。このような記述をしたライターは原典を一切調べていないと思われます。
また「殺傷が合法」も誤りです。犬猫の狩猟駆除では、速やかな殺害が求められているからです。意図せずいわゆる半矢になり死に至らしめなかった場合はやむを得ないとしても、故意に犬猫を狩猟行為により傷害だけを負わせることは認められていません。例えば、töten(「殺すこと」バーデン-ヴュルテンベルク州)、zu töten(「殺すこと」バイエルン州)、zu töten(「殺害」ベルリン州)、zu töten (「殺害」ブランデンブルク州)、zu töten(「殺すこと」ブレーメン州)、zu töten(「殺すこと」ハンブルク州)、zu töten(「ヘッセン州」殺すこと)、zu töten(「殺すこと」メクレンブルク-フォアポンメルン州)、zu töten(「殺すこと」ニーダーザクセン州)、töten(「殺すこと」ノルトライン-ヴェストファーレン州)、zu töten(「殺すこと」ラインラント-プファルツ州)、zu töten(「殺すこと」シュレースイッヒ-ホルシュタイン州)、zu töten(「殺すこと」チューリンゲン州)の各州法に「犬もしくは猫の殺害」と明確に記述があります。しかし「傷つける」、「障害を負わせる」ことは認めておらず、故意に行った場合は違法と解釈されます。ドイツの犬猫の狩猟一つとっても、日本では正確な情報が一つもありません。ライターが原典を調べることすらしないのは明らかです。
なおドイツの各州の狩猟法は、数年間隔で改正が行われています。かつては犬の狩猟においても、住居からの距離の制限があった州法があったと記憶しています。また住居からの距離が緩和された、または撤廃された州があり、全体としては犬猫の狩猟は緩和傾向であると私は感じます。
また16州のうち2州が猫に限り狩猟を禁じました。それは在来の野生動物であるヨーロッパヤマネコの誤射の防止という面があると思います。
(動画)
Bensheim: Jäger erschießt zwei freilaufende Hunde im Wald 「ベンスハイム:森の中で自由に走り回っている2頭の犬をハンターが射殺した」 2020年12月2日
ヘッセン州ベンスハイムで、自由に走り回っている犬をハンターが射殺しました。しかしドイツ、ヘッセン州の法律ではそれは合法だという内容の動画です。
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