「アメリカではペットショップの生体販売を禁止している」という論破王の無知蒙昧〜アメリカの生体販売ペットショップの数は日本の7倍

Please send me your comments. dreieckeier@yahoo.de
Bitte senden Sie mir Ihre Kommentare. dreieckeier@yahoo.de
メールはこちらへお寄せください。 dreieckeier@yahoo.de
domestic/inländisch
*本記事は8,095ブログ記事中1位を獲得しました。
記事、
・「日本ではペットを捨てても処罰する法律がない。ペットショップが売れ残りを保健所で処分している」という論破王の無知蒙昧、
・「ドイツではペットショップの生体販売を禁止している」という論破王の無知蒙昧〜ドイツはペットショップ独自の規制法令すらない、
の続きです。
巨大掲示板「ちゃんねる」の開設者、西村博之(ひろゆき)氏。この方は自称か他称かは知りませんが、「論破王」と言われています。しかし最近の犬猫の愛護問題に関する一連のマスコミやYoutubeでの発言はあまりにも無知蒙昧無学で(意図的なデマでしょうか?)、さらに論理も破綻しています。例えば「日本ではペットショップで買った犬猫を捨てても処罰・制限する法律がない」、「ペットショップは売残りペットを保健所で処分する」、「アメリカとドイツではペットショップで生体を売ることが禁じられているのでない」などです。
サマリーで示したひろゆき氏の問題発言ですが、「アメリカではペットショップで生体を売ることが禁じられているのでない」と発言している動画を以下に示します。
(動画)
【ひろゆき】ペットショップでペット飼うやつ人間の〇〇【切り抜き】 2021年1月17日
この動画ではひろゆき氏が「アメリカってペットショップに行っても動物置いていない。基本的にはペットショップで売るのは禁止なので。ドイツも違法なの」と述べています。4:00〜
(動画)
【ひろゆき】ペットショップでペットを買う人は●●だと思う…処分される犬猫の現実と独自の対処法をひろゆきが語る【切り抜き/論破】 2021年7月1日
この動画ではひろゆき氏は、「ペットショップが違法の国あるの?アメリカってペットショップ行っても動物置いていないっすよ。基本的にはペットショップで売るのは禁止なので」と述べています。3:30〜
ひろゆき氏は「アメリカではペットショップで動物(の生体)を売るのは禁止されているので違法。だからアメリカではペットショップで動物(の生体)を置いていない」と述べています。
結論から言えば、ひろゆき氏の「アメリカではペットショップで生体を売るのは禁止されていて違法。だから動物はアメリカのペットショップで置いていない」という発言は真っ赤なウソです。それどころかアメリカは生体販売ペットショップの数が極めて多い国です。大手民間のシンクタンクなどが詳しい統計資料を作成していますが、アメリカ合衆国全土には生体販売を行うペットショップは約3万5,000店舗程度あります。この数は同時期の日本の総務省の統計の、日本の生体販売ペットショップの数5,045店舗の約7倍であり、人口比で2.7倍もあります。ひろゆき氏の発言はまさに真実とは真逆も真逆の狂気のデマです。以下に、アメリカ合衆国における生体販売ペットショップの統計などの資料を提示します。
・IBISWorld Industry Report 45391 Pet Stores in the US 「IBISWorld 業界調査報告書45391 アメリカ合衆国のペットストア 2012年」(なお、Key statistics 「基本統計」として、2017年までの統計値が付けてあります)。
この資料は、アメリカの大手シンクタンク、IBIS Worldによるものです。本資料によれば、2017年のアメリカ合衆国における、個人事業の生体販売ペットショップと、法人の生体販売ペットショップの合計は、33,659件あります。この数は、人口比で日本の生体販売ペットショップの数(*1)の2.7倍です。更に生体販売ペットショップは店舗数、売上高、従業員数とも増えています。
IBISWorld Industry Report 45391 Pet Stores in the US 「IBISWorld 業界調査報告書45391 アメリカ合衆国のペットストア】2012年」 (31ページ)

(*1)
日本のペットショップの件数は、総務省経済センサス‐基礎調査(2014年
平成26年経済センサス‐基礎調査 調査の結果)によれば、2014年の日本のペットショップ数は、5,045件です。
(画像)
Mmost petstore puppies come from puppy mills 「ペットショップで売られている子犬のほとんどがパピーミルから来るのです」 2018年9月25日
この記事によれば、アメリカにおけるペットショップの数は、日本の約7倍あります。この数値は、先に引用した、IBIS World による報告書の2017年統計値と概ね一致します。
・99% puppies sold in pet stores come from puppy mills.
・45,000,000 puppies are born in puppy mills and sold in pet stores every years in the United States.
・There are roughiy 35,000 pet stores in the US.
・ペットショップで販売されている99%の子犬は、パピーミル(子犬工場)から来たものです。
・アメリカ合衆国では、パピーミル(子犬工場)で450万頭の子犬が生まれ、毎年販売されています。
・アメリカ合衆国には、約35,000軒のペットショップがあります。

具体的に、最近のアメリカ国内の大手の生体販売ペットショップの様子がわかる動画をいくつが示します。
(動画)
SHOPPING AT PETLAND with my Pomeranian! they sell puppies 「ペットランド(アメリカとカナダで多店舗展開している大手生体販売ペットショップチェーン)で私のポメラニアンと一緒買い物 その店では子犬を売っています」。2021年3月14日
テキサス州ヒューストンにある大手生体販売ペットショップチェーン、Petlandの一つである店の様子。このチェーンでは、ほぼ全てで生体販売を行っており、犬猫は主力商品です。
(動画)
Thief steals pricey pooch from Pembroke Pines puppy store 「泥棒はペンブロークパインズ(アメリカ合衆国フロリダ州)の子犬販売店から高価な犬を盗みます」 2020年5月14日
この事件以外でも、アメリカではペットショップから子犬などの生体が盗まれる事件が頻繁にあり、多くの事件が報道されています。ひろゆき氏の「アメリカでは生きた動物をペットショップで売るのが禁止」なのならば、なぜこれほど堂々とペットショップで犬などのペット生体が販売されて、統計でも日本の7倍もの生体販売ペットショップがあり、更に増加傾向なのでしょうか。
アメリカ合衆国におけるペットショップでの生体販売を限定的に制限する法令ですが、50州中カリフォルニア1州のみと例外的に地方自治体条例ではあります。その内容もひろゆき氏の「アメリカでは動物(生体)をペットショップで売るのを禁止している」との内容とはかけ離れた内容です。またいわゆるザル法で、ほとんど効果はありません。
ひろゆき氏の針小棒大発言には仰天します。概ね愛誤という人種はそうです。事実を正しく引用しません。自分の都合の良いように歪曲、一部を極大化させます。ドイツでの、1割に満たないティアハイムからの犬猫入手シェアを「ほとんど(感覚的には80%から90%超だろう)」としたり、組織率が数%のドイツのペット業界団体が犬猫販売を自粛した件については「ほぼすべてのペットショップが加入する団体」としています。ここまで歪曲すれば明らかに意図的なデマ、嘘です。次回記事では、アメリカ合衆国における、カリフォルニア州1州と、例外的な自治体のペットショップの生体販売を制限する州法及び自治体条例について説明します。
- 関連記事
-
- 「アメリカの犬の入手シェアは〜7割がシェルターから」という加隈良枝帝京科学大学准教授のデマ
- 「海外ではペットショップでの犬猫販売を禁じている」の勘違い〜アメリカ
- 「ペットショップでは犬などは保護動物しか販売できない」というアメリカのザル法〜ひろゆき氏の「アメリカではペットショップでは動物を売ることは禁止」という驚愕デマ
- 「アメリカではペットショップの生体販売を禁止している」という論破王の無知蒙昧〜アメリカの生体販売ペットショップの数は日本の7倍
- エキゾチックペットの規制がゆるゆるでライオンやトラが犬より安いアメリカ〜杉本彩氏の真逆の大デマ
- 「アメリカ合衆国では生体販売を禁止する自治体が228ある」という大嘘~三菱リサーチ&コンサルティング
- 続・ドッグオークションの最大の落札者は動物保護団体という醜悪~アメリカ合衆国