「日本ではペットを捨てても処罰する法律がない。ペットショップが売れ残りを保健所で処分している」という論破王の無知蒙昧

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domestic/inländisch
巨大掲示板「ちゃんねる」の開設者、西村博之(ひろゆき)氏。この方は自称か他称かは知りませんが、「論破王」と言われています。しかし最近の犬猫の愛護問題に関する一連のマスコミやYoutubeでの発言はあまりにも無知蒙昧無学で(意図的なデマでしょうか?)、さらに論理も破綻しています。例えば「日本ではペットショップで買った犬猫を捨てても処罰・制限する法律がない」、「ペットショップは売残りペットを保健所で処分する」、「アメリカとドイツではペットショップで生体を売ることが禁じられているのでない」などです。
サマリーで示したひろゆき氏の問題発言ですが、「日本ではペットショップで買った犬猫を捨てても処罰・制限する法律がない」、「ペットショップは売残りペットを保健所で処分する」について、以下のニュースソースから引用します。
・「ペットショップで犬猫買うヤツは人間のクズ」ひろゆきが苦言 「犬猫は可愛い。でもその前にどれだけ殺してんの?」 2019年3月12日
ひろゆきさんは、「犬猫を捨てたら死刑とすれば殺処分される犬猫はいなくなる」という。
しかし現状、ペットショップで動物を購入しても面倒くさがって捨てる人もおり、日本にはこれを処罰・制限する法律がないことを挙げる。
「ペットショップで売るというシステム自体が違法になればいいと思っているんですけど、日本では合法。ペットショップは、子犬子猫は売れるんですけど、ちょっと大きくなると売れなくなる。売れなくなったやつが野良になったり保健所に流されたりする」
「ペットショップに行ったら今犬や猫は5万円とかで買えると思うんですけど、最低50万円からにしちゃった方がまだマシなんじゃないか」
上記のニュースソースのもととなった動画はこちらです。
(動画)
【ひろゆき】起業するならコンビニは避けたほうが、、、 Delirium Tremens を呑みながら 2019/03/10
この動画の、46:00〜から、「ペットショップで動物を購入しても面倒くさがって捨てる人もおり、日本にはこれを処罰・制限する法律がない」。「ペットショップでは、売れなくなったやつが野良になったり保健所に流されたりする」との発言があります。
(画像)
先に示した動画の1シーン。問題発言があります。

結論を述べればひろゆき氏の「ペットショップで動物を購入しても面倒くさがって捨てる人もおり、日本にはこれを処罰・制限する法律がない」。「ペットショップでは、売れなくなったやつが野良になったり保健所に流されたりする」との発言はいずれも誤りです。それぞれ動物愛護管理法での定めがあります。
まず「ペットショップで動物を購入しても面倒くさがって捨てる人もおり、日本にはこれを処罰・制限する法律がない」ですが、動物以後管理法44条3項で、愛護動物の遺棄を禁じています。違反者は「懲役1年以下または罰金100万円以下」で処罰されると規定されています。
・動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号) 44条3項 全文
第四十四条
3 愛護動物を遺棄した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
次に「ペットショップでは、売れなくなったやつが野良になったり保健所に流されたりする」についてです。ペットショップなどのペット販売業者からは、保健所は「引取を拒否することができる」と動物愛護管理法35条1項で明記されています。「することができる」とはありますが、現在はほぼ完全に、保健所は業者からの引取を拒否している状態です。
・動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号) 35条1項 全文
(犬及び猫の引取り)
第三十五条 都道府県等(都道府県及び指定都市、地方自治法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)その他政令で定める市(特別区を含む。以下同じ。)をいう。以下同じ。)は、犬又は猫の引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。ただし、犬猫等販売業者から引取りを求められた場合その他の第七条第四項の規定の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合として環境省令で定める場合には、その引取りを拒否することができる。
さらにひろゆき氏の「ペットショップに行ったら今犬や猫は5万円とかで買えると思うんですけど、最低50万円からにしちゃった方がまだマシなんじゃないか」の発言ですが。この発言があった2019年当時でも「ペットショップの犬猫が5万円」では買えませんでした。当時から犬の価格は高騰しつつあり、現在では人気犬種は50〜60万円、それ以上の値がつくこともあります。当時でも犬種によっては50万円で販売されていたこともあったと思います。
ひろゆき氏は、あまりにも無知といわざるをえません。無知であるならば無責任に動画配信などするのはやめるべきでしょう。また最低でも公に情報発信するのであれば、事前に調べてからにするべきです。
(参考資料)
ブリーダーの子犬販売価格比較サイト
・トイプードルの子犬 100万円台の大台を超えたものもあります。
・フレンチブルドッグの子犬
・ゴールデンレトリバーの子犬
その後もひろゆき氏は何度も動画配信などで、「ペットショップで動物を購入しても面倒くさがって捨てる人もおり、日本にはこれを処罰・制限する法律がない」、「ペットショップでは、売れなくなったやつが野良になったり保健所に流されたりする」との無知蒙昧な妄言を繰り返しています。さらに驚くことに「アメリカとドイツでは動物の生体をペットショップで販売することを禁じており、ペットショップで動物を見ることはない」(*)というデマ発言を行っています。いまどきこのような噴飯デマを本気で信じているのか、嘘と知りつつ意図的に嘘プロパガンダを広めているのか、ご本人に聞いてみたいものです。このような手垢がついた「周回遅れ」デマで偉そうに人を見下したものの言い方は滑稽を通り越して醜悪です。
その上で「ペットショップが日本の殺処分の原因だから殺処分をなくすためにペットショップをなくせば良い(殺処分の原因はペットショップでペットを買った飼い主が捨てることと、ペットショップが売れ残りを保健所に引き取らせることが原因だから)」と主張しています。この結論は、前提条件に誤りがあり、さらに論理が飛躍して支離滅裂です。連載記事で他の問題動画なども紹介しつつ、ひろゆき氏の発言の問題点を指摘していきます。しかし動画配信する前に、せめて日本の法律ぐらいは確認すべきでしょう。この方は真正バカなのですか、それとも何か狂信的な信念があるデマゴーグなのでしょうか。いずれにしてもこのようなデマを広めるのは社会にとって有害です。
(*)
・続・「アメリカではペットショップの犬の展示ケージは体長の2倍以上」という、高井たかし議員の大嘘
〜
アメリカの生体販売ペットショップの数は日本の7倍。人口比では2.7倍あります。アメリカ合衆国において「ペットショップで生体の販売を禁止する法律」は連邦法を始め一つもありません。
・Tierhandlungen – Geschäfte auf Kosten der Tiere
〜
ドイツにある生体販売ペットショップの数は4,300程度であり、日本の総務省統計値と比較すれば人口比で約1.3倍あります。またドイツでは連邦法を始め、ペットショップで生体(生きた動物)の販売を禁止する法令は一つもありません。それ以前にドイツはペット生体販売に関する法規制が極めて緩い国で、ペットショップのみを対象とする規制法令が皆無の国です(註 犬の飼養基準に限り厳しい全般規制はある)。
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