ベルギー、ブリュッセルの殺処分数は人口比で日本の約5倍~牧原秀樹議員の「日本は殺処分が多い野蛮な国」という大嘘

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Belgium/Belgien
記事、
・「日本は欧州に比べて殺処分数が多い野蛮な国」という、殺処分ゼロ議員連の牧原秀樹議員の無知蒙昧、
・フランスの犬猫殺処分数は年間50万頭~牧原秀樹衆議院議員の無知蒙昧、
・フランスの犬の殺処分率は80%、日本は17%~フランスは殺処分数もさることながら殺処分率も著しく高い、
・スペインの犬猫殺処分数は年間30万頭~殺処分ゼロ議員連の牧原秀樹議員の無知蒙昧、
・猟犬の虐殺が横行しているスペイン~「日本は欧州より殺処分が多い野蛮な国」という牧原秀樹議員の無知蒙昧、
・日本の犬猫殺処分数はヨーロッパ諸国と比べて多いとは言えない~「日本は欧州と比べて殺処分が多い野蛮な国」という牧原秀樹議員の大嘘、
・1頭1500円で廃レースドッグを1万頭銃殺していた男は不起訴になった(イギリス)~欧州は動物に対して厳格という牧原秀樹議員の大嘘、
・引退軍用犬1,200頭殺処分していたイギリス陸軍~欧州は動物に対して厳格という牧原秀樹議員の大嘘、
の続きです。
超党派の国会議員の任意団体、「殺処分ゼロ議員連」(犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟 があります。この団体に所属する国会議員のデマによる国会答弁や、前・元議員による海外の動物愛護に関するデマ情報の拡散は目に余るものがあります。また昨年は、動物取扱業者に対する数値基準を法制化する環境省の方針に応じて「要望書」を作成しましたが、「出典とした法令にはそのような規定はない」、「そのような法令、行政指導等が存在しない」、「誤訳」などの満載で、見るに堪えない内容です。まさに動物愛護に関する嘘プロパガンダ拡散団体で、日本の動物福祉の後退に大いに貢献しました。殺処分ゼロ議員連の創立当時から重要なメンバーである牧原秀樹衆議院議員も驚くべきデマ情報を拡散しています。今回は牧原秀樹議員の「欧州は動物に対して厳格」という発言が大嘘である根拠として、ベルギーのブリュッセルの殺処分数が人口比で日本の約5倍であることを述べます。
牧原秀樹議員は、新年あいさつ - サンフロント 21懇話会 2015年1月25日(静岡新聞社が開催した懇談会と思われる)で、「日本は欧州諸国と比べて犬猫殺処分数が多く、欧州各国から野蛮な国と非難されている」という趣旨の発言を行っています。以下に引用します。
牧原:動物に関しては特に欧州が厳格で、日本の殺処分数を聞いたら「なんて野蛮な国だ」と思うに違いありません。(19ページ)
牧原秀樹議員の、「動物に関しては特に欧州が厳格で、日本の殺処分数を聞いたら『なんて野蛮な国だ』と思うに違いありません」との発言ですが、「日本はヨーロッパ諸国に比べて著しく犬猫の殺処分数が多い」という意味になります。
主語が「欧州」などと大きくなるのは大概嘘つきか、無知のどちらかですが、牧原秀樹議員のこの発言も例外ではありません。牧原秀樹議員がこの発言を行ったのは2015年(平成27年)ですが、同時期ではフランスの年間の犬猫殺処分数は50万頭、スペインでは30万頭であることを連載記事では書きました。平成27年度の日本の犬猫殺処分数は約8万3,000頭です。
スペインの推計値では、「年間の犬の殺処分数は20万頭」、「年間の犬の殺処分数は10万頭、猫は20万匹」です。この殺処分数は犬は人口比で日本の17倍~34倍、また犬猫の合計の殺処分数では人口比で10倍になります。
フランスでの年間50万頭の犬猫殺処分数は、同時期(2015年)の日本の殺処分8万3,000頭の人口比で約10倍です。フランス、スペインとも著しく犬猫の殺処分数は日本より多いのです。
またそれ以外の西ヨーロッパの国でも、民間保護団体が行う犬猫の殺処分数が過少に公開されていて、さらに私的に行う犬の殺処分が合法で数値は非公開というイギリスもあります。殺処分の実数は、イギリスは日本よりはるかに多いと判断せざるを得ません。
今回はベルギーの首都、ブリュッセルの殺処分数について書きます。ベルギーは国全体の殺処分数の統計はありませんが、ブリュッセルの詳細なアニマルシェルターの殺処分数等の統計が公表されています。牧原秀樹氏の問題発言があった2015年の資料は見つかりませんでしたが、2019年のブリュッセルの統計資料があります。同時期(2019年度)の日本の公的殺処分数とブリュッセルの殺処分数を比較すれば、ブリュッセルの殺処分数は日本の殺処分数の4.8倍も多いのです。
ブリュッセルのアニマルシェルターの統計資料はこちらです。STATISTIEKEN BETREFFENDE DE ASIELDIEREN IN HET BRUSSELS HOOFDSTEDELIJK GEWEST IN 2019 「ブリュッセルの動物収容所における動物の統計-首都」 2019年(オランダ語) から引用します。
6. Adoptie en euthanasie in 2019
Gedetailleerd onderzoek van het totaal aantal geëuthanaseerde dieren (1453 dieren, 20% van de uitgaande dieren), laat ons toe de belangrijkste oorzaken van euthanasie in de asielen te onderscheiden. De voornaamste reden voor euthanasie was ziekte (65% van de geëuthanaseerde dieren).
Geëuthanaseerd wegens plaatsgebrek 11%
Geëuthanaseerd wegens niet adopteerbaar door gedragsproblemen 6%
Geëuthanaseerd wegens andere redenen 18%
6 2019年の収容動物と安楽死(殺処分)
安楽死させた動物の総数(1453頭、収容後動物の20%)を詳細に調査することで、アニマルシェルターでの安楽死の主な原因を特定することができます。
安楽死の主な理由は疾病でした(安楽死させた動物の65%)
収容施設のスペース不足による安楽死11%
問題行動により譲渡できず安楽死された数 6%
他の理由で安楽死させた数 18%
(画像)
STATISTIEKEN BETREFFENDE DE ASIELDIEREN IN HET BRUSSELS HOOFDSTEDELIJK GEWEST IN 2019 「ブリュッセルの動物収容所における動物の統計-首都」 2019年 から。
この一覧に、2019年のブリュッセルの動物収容所での安楽死(殺処分)1,453頭の、安楽死(殺処分)の内訳と数が示されています。

ブリュッセルの人口は、約116万人です。同時期の2019年度の日本の犬猫殺処分数は32,743頭ですので、ブリュッセルの殺処分数は日本の約4.8倍です。先に述べた通り、ベルギーには国全体のアニマルシェルターでの殺処分等の統計はありません。しかしヨーロッパの他の国(例えばフランス)では、都市部のパリでは殺処分数が相対的に少なく、地方都市では多い傾向があります。
ブリュッセルはベルギーの首都です。ベルギー全土での殺処分は、人口比では地方都市の方が多く、ベルギー全土での殺処分は、人口比では日本の4.8倍より多い可能性があります。それとブリュッセルでは、今回取り上げた2019年の殺処分数は、昨年の2018年統計より増えているのです。日本が一貫して殺処分数を減らしているのとは対照的です。
私はこの連載で、すでにフランスとスペインのアニマルシェルターでの殺処分数が人口比で2015年当時の同時期で10倍以上であることを述べました。アニマルシェルターの施設外での殺処分が極めて多い国があります。例えば、イギリスのレースドッグや軍用犬の殺処分の合計は、公的な動物収容所での公的殺処分数より多いのです。ドイツにおける警察官や民間人ハンターによる射殺駆除もあります。ドイツはこの両者を合わせれば、日本の公的殺処分数の数十倍になります。とはいえ、ドイツには公的な動物収容所があり、日本と異なり犬猫とも行政が捕獲し公的動物収容所での殺処分も相当数行われています。また日本と異なり、禁止犬種や咬傷犬を行政が強制的に殺処分することが法律で明記され一定数あります。
それら合わせて鑑みれば、牧原秀樹議員の「日本は欧州に比べて殺処分が多くて野蛮な国だ」という発言は全くのデタラメといえます。公の場で公人としての立場で、根拠のないデマをべらべらしゃべりまくる。このような方は国会議員にふさわしいとは言えません。
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