「咬傷犬を行政が強制的に殺処分するのは合法」というドイツ高裁判決

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(Zusammenfassung)
Amtliche Tötung eines Hundes / Euthanasie von Amts wegen: Einschläfern eines gefährlichen Hundes
urteil
ドイツには日本と異なり、咬傷犬、法律で飼育が禁止されている犬、アニマルホーダーでの劣悪飼育されている動物などを行政が飼い主から没収して、強制的に殺処分する権限が法律により定められています。対して日本では、人をかみ殺した犬ですら、行政が強制的に殺処分が行える法的根拠はありません。ドイツで女児にかみついてけがを負わせたロットワイラー種の犬の飼い主は、行政による犬の没収と殺処分命令を不服として裁判所に差し止めを請求する裁判を提訴しました。しかし一審二審とも、「行政の判断は安全対策上正しく合法的な行為」として、飼い主の請求を退けました。
日本では驚くようなデマ、「ドイツでは犬猫の公的(行政が行う)殺処分はない」が流布されています。真実は、ドイツには多くの法律により犬猫等の行政による殺処分が規定されており、制度化されています。また公的な動物収容所があり、徘徊している野良犬猫を行政が捕獲~保護してそこでの殺処分も行われます。狂犬病の疑いがある犬猫を行政が強制的に殺処分し、検体を採取し、疫学調査を行政が行うのは言うまでもありません。ドイツでは、1900年代までは、年間数千例もの狂犬病が発生していたのです。
さらに日本にない制度としては、法律で飼育等を禁止する犬種を定め、無許可で飼育した場合は行政が没収して強制的に殺処分する権限があります。この「禁止犬種」の殺処分だけで、人口比で日本の公的な犬殺処分数を上回る多くの犬を殺処分していたヘッセン州などがあります(*1)。また人や動物を咬んだ咬傷犬や、行動などから行政が危険と判断した犬を行政が飼い主から没収し強制的に殺処分する法律に基づく制度や、アニマルホーダーなどの不適正飼育者から飼育動物を没収し、強制的に殺処分する規定も法律で定められています。
(*1)
・東京都の6倍もの健康上問題のない、かつ咬傷事故を起こしていない犬を公的殺処分していたドイツ、ヘッセン州
「ドイツにおける咬傷犬の強制殺処分」ですが、裁判で争った飼い主がいます。この犬はロットワイラー種の犬で、女児に咬みついてけがをさせたために行政に没収され、強制殺処分の決定がされました。しかし飼い主は不服として、犬の強制殺処分を差し止める請求訴訟を提起しました。今年の1月4日に二審の高裁判決が出されましたが、一審と同様に「行政が件の犬を強制的に殺処分するのは安全確保の観点から合理性があり、また正当な行為である」として、飼い主の請求を棄却しました。その判決について、動物法に詳しい弁護士のサイトから、解説を引用します。
・Amtliche Tötung eines Hundes / Euthanasie von Amts wegen: Einschläfern eines gefährlichen Hundes 「犬の公的な殺処分/行政の職権による犬の安楽死:危険な犬の安楽死」 2021年1月4日
Amtliche Tötung eines Hundes / Euthanasie von Amts wegen: Einschläfern eines gefährlichen Hundes
Nachdem ein Hund einem Kind lebensgefährliche Hundebiss -Verletzungen zugefügt hatte, verfügte die Behörde die Euthanasie des gefährlichen Hundes.
Ein Hund, der unvermittelt angreift, Personen durch lebensgefährliche Hundebisse schwer verletzt und sich nicht therapierbar zeigt, muss eingeschläfert werden, so entschied das Oberverwaltungsgericht in Münster.
Ein Hund der Rasse Rottweiler, griff unvermittelt an, stürzte sich auf ein zwei Jahre altes Mädchen und verletzte es lebensgefährlich.
Nach dieser Hundeattacke ordnete die Stadt die Einschläferung des gefährlichen Hundes an.
Die Hundehalterin versuchte im Wege des Eilantrags die angeordnete Euthanasie des gefährlichen Hundes abzuwehren.
Wie schon zuerst das Verwaltungsgericht Düsseldorf lehnte nun auch das OVG Münster dies ab.
Die von dem Hund ausgehenden Gefahr rechtfertigte seine Einschläferung.
das Oberverwaltungsgericht (OVG) Nordrhein-Westfalen in Münster (Az.: 5 B 925/15)
犬の公的殺処分/行政の職権による犬の安楽死:危険な犬の安楽死
犬が子供の命を脅かすほどの咬傷を負わせた後に、行政当局は危険な犬を安楽死させるように命じました。
ミュンスター高等行政裁判所は突然攻撃して生命に危険を及ぼす咬傷で人に重傷を負わせ、矯正できないことを示す犬は安楽死(殺処分)させなければならないと判決しました。
ロットワイラー種の威が2歳の幼女に突然襲いかかり、幼女は転倒して重傷を負いました。
この犬の攻撃の後に、市は危険な犬を安楽死させるように命じました。
犬の飼い主は、危険な犬は安楽死せよとの命令による安楽死を阻止するために、緊急の申し立てを行いました。
一審のデュッセルドルフの行政裁判所の判決と同じく、ミュンスター高等裁判所は飼主(原告)の申し立てを棄却しました。
犬によってもたらされる危険は、犬の安楽死(行政による強制殺処分)を正当化しました。
ミュンスターの高等行政裁判所(OVG)ノルトラインヴェストファーレン州(事件番号:5 B 925/15)
次回記事では、この事件があったノルトラインーヴェストファーレン州の犬法(Hundegesetz für das Land Nordrhein-Westfalen (Landeshundegesetz - LHundG NRW))について解説します。本法では、咬傷犬、行動から危険と思われる犬、法律で飼育等が禁止されている犬で無許可飼育されているもの、を行政が強制的に飼い主から没収して殺処分する権限を行政に与えています。ドイツ16州全州に、同様の法律があります。
(動画)
Eine Tierärztin erklärt, wie „Chico“ sein Frauchen und deren Sohn totbeißen konnte 「獣医師は、咬傷犬『チコ』が、飼い主の女性とその息子をどのように咬むことが可能かを説明します」 2018/04/06 に公開
飼い主の母子をかみ殺した犬は、2週間後に強制的に殺処分されました。このようなセンセーショナルな事件での犬の殺処分は報道されますが、行政による犬の強制殺処分は珍しいことではありません。州が犬の殺処分統計を公表していないだけです。ヘッセン州は過去に情報開示請求により危険な犬の殺処分数が公開されましたが、人口比で日本の公的な犬の殺処分数よりむしろ多いぐらいです。
Nach der tödlichen Attacke auf seine Besitzerin Lezime K. (†52) und deren kleinwüchsigen Sohn Liridon K. (†27) in Hannover wurde der Staffordshire Terrier Chico ins Tierheim gebracht.
Chico wird zeitnah eingeschläfert.
Das gab Udo Möller, Sprecher des Landeshauptstadt Hannover, am Freitagnachmittag bekannt.
飼い主の、リツッイマ・K.(52歳)さんと、短命におわった息子リリドン・K.(27歳)さんを、ハノーバーで攻撃して死に至らしめた、スタッフォードシャー・テリア種の犬チコは、ティアハイムに収容されました。
チコはすぐに安楽死(殺処分)させられます。
これは金曜日の午後に、州都ハノーバー市の、広報官ウド・メラー氏が発表したものです。
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