「イギリスでは犬はノーリード」という偏向記事

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(summary)
Controlling your dog in public (UK)
「ペット業界への規制があまりにも行き過ぎると素人ブリーダーの台頭を招き、真にプロフェッショナルなブリーダーが衰退してむしろ健全な犬猫のブリーディングに悪影響を及ぼす」という記事があります。この点については私は同意しますし良記事だと思います。しかしこの記事のイギリスの犬に関する記述はほぼデタラメです。良い主張をされているのに残念です。ペット業界の方々がこの記事を拡散されていますので、忠告という意味で取り上げました。
サマリーで示した記事はこちらです。ブリーダー廃止・反対派へ。素人繁殖で犬が悲しむ未来が見えますか? 2020年9月26日 問題の記述を引用します。
ペット先進国でも「生体販売」は行われている
ペット先進国のイギリスでも健康的な犬を育てた「対価」をブリーダーに支払っているのである。
こうやって考えれば、生体販売自体も「悪」ではないことが伝わるだろうか。
では、どこに日本とイギリスの差があるのか。
それは、日本以上に犬に対する想いが強いため日本のように簡単に犬が飼えない点。
犬自身に社会的地位が設けられている点が大きく異なる。
人間と犬の命が平等に扱われているのだ。
具体的には、
犬を飼う時は調査が入り条件をクリアしないと飼えない
犬を飼う前に費用や自分たちが幸せに出来るか想像する
留守番をさせる場合はドッグシッターに頼む
犬を飼ったら飼い主と犬が一緒にしつけ教室へ通う
散歩は基本ノーリード。カフェや交通機関も乗れる
日本のように「犬を飼おう!」で犬を家族に迎え入れることは出来ないし、仕事だから留守番を1匹でさせることは許されない。留守番時はドッグシッターに日中ケアしてもらうか、ドッグデイケアで犬を預けに行く。
散歩は基本ノーリードだが、そのためにはしつけをキチンと行う必要がある。
公共の場やカフェでも一緒に過ごせるように犬と共に飼い主がしつけを学び実行する。
犬を人間と同等の命として扱うということ。これは日本に根付いていない文化のため、非常に難しい問題である。
本記事のイギリスに関する記述ですが、「1、イギリスでは犬を買う場合は必ず対面で購入者が犬を買えるかどうかの審査があり、それに合格しなければ買えない」、「2、犬の命は人間と同等に扱われている」、「3、イギリスでは犬はノーリード(これは和製英語で通じませんが)でよい」と述べられています。しかしこれは著しい偏向、真真っ赤な嘘です。
結論から言えば、「1、」ですがイギリスでは犬の購入シェアが最も高いのは非対面のインターネットによる販売です。イギリスでは法律上認可が必要な犬ブリーダーの規模基準が日本より大きいのです。例えばスコットランドでは年間5産以上にならなければ犬ブリーダーの登録義務はありません。また犬ブリーダーとしての法的規制(最低ケージサイズなど)も適用外です。つまり年4回ダルメシアンを繁殖させて40頭の子犬が産まれ、それらをすべて販売したとしても、そのブリーダーは全く法的規制の対象ではありません。
「2、」ですが、イギリスでは保護施設や犬の訓練士など犬の所有者や管理者であれれば、犬の殺処分が自由に行うことができ、銃殺も合法です。例えば大変権威が高いRSPCAのアニマルシェルターでは、約半数の健康な犬猫を主に銃殺で殺処分していました。またイギリスはドッグレースが盛んですが、廃レースドッグの多くはトレーナーにより銃で殺処分されています。その数は年間1万頭ともいわれています。銃殺が合法で、それが一般に行われている国が「犬の命が人間と同等」とは、あきれた記述です。
「3、」ですが、イギリスでは法律で犬のリードが義務付けられています。市街地ではほぼ全域でリードが義務付けられ、特定の犬種はさらに口輪が公共の場では必ず装着することが義務付けられています。「犬全面禁止」の公園も多数あります。罰金額も日本よりはるかに高額です。
前後しますが、「3、イギリスでは犬はノーリードでよい」が嘘であることを述べます。イギリス(UK)政府の犬のリード義務に関する広報文書、Controlling your dog in public 「公共の場での犬の管理」 から引用します。
Public Spaces Protection Orders
In public areas with PSPOs, you may have to:
keep your dog on a lead
put your dog on a lead if told to by a police officer, police community support officer or someone from the council
stop your dog going to certain places - like farmland or parts of a park
Penalties
If you ignore a PSPO, you can be fined:
£100 on the spot (a ‘Fixed Penalty Notice’)
up to £1,000 if it goes to court
If dogs are not allowed in a park, there must be signs saying so.
公共の場所の保全規則(PSPO)
PSPO(公共の場所の保全規則)がある公共の場所では、次のことを行う必要があります。
犬にリードすること
警察官、警察の地域社会における補助職員、または自治会職員のいずれかの者に指摘されたら犬にリードをしなければなりません
犬が農地や公園の一部などの特定の場所に入るのは禁じられています
罰則
PSPO(公共の場所の保全規則)に違反すると、罰金が科せられます。
その場で100ポンド(日本円で1万3,800円 1ポンド=138円)(通常の罰金の言い渡し)
起訴された場合は最大13万8000円の罰金が科されます
公園への犬の同伴が禁止されている場合は、その旨の標識が必要です。
日本では法律での犬のリードは義務付けられてはおらず、条例での規定がある自治体はありますが罰則規定を定めていない条例もあり、犬のリードに関する条例がない自治体も多くあります。ですから犬のリード義務は、ドイツほどは厳しくはありませんが、イギリスは日本よりはるかに厳しいといえます。
さらにイギリスでは禁止犬種法がある国です。この法律は「法律で原則飼育等を禁止する犬種を定め、違法飼育者から犬を没収して行政が強制的に殺処分する権限がある」などという内容です。「2、犬の命は人間と同等に扱われている」ですが、到底禁止する犬種というだけで強制的に殺処分する国が「犬の命を人間と同等に扱っている」とは思えません(笑)。「また法律で定める犬の、公共の場での口輪の使用を義務付ける規定もあります。
イギリス政府の広報、Controlling your dog in public 「公共の場での犬の管理」から、「禁止犬種」に関する記述を引用します。
2. Banned dogs
In the UK, it’s against the law to own certain types of dog.
These are the:
Pit Bull Terrier
Japanese Tosa
Dogo Argentino
Fila Braziliero
It’s also against the law to:
sell a banned dog
abandon a banned dog
give away a banned dog
breed from a banned dog
Whether your dog is a banned type depends on what it looks like, rather than its breed or name.
If your dog is in:
a public place, the police don’t need a warrant.
a private place, the police must get a warrant.
they can seize your dog.
You can give up ownership of your dog but you can’t be forced to. If you do, your dog could be destroyed without you even going to court.
You can get an unlimited fine or be sent to prison for up to 6 months (or both) for having a banned dog against the law.
Your dog will also be destroyed.
If your dog is banned but the court thinks it’s not a danger to the public, it may put it on the IED and let you keep it.
Your dog must be:
neutered
microchipped
kept on a lead and muzzled at all times when in public
kept in a secure place so it can’t escape
法律で禁止する犬種
イギリス(UK)では、特定の犬種の犬を所有することは法律違反です。
これらの犬種は次のとおりです。
ピット・ブル・テリア
日本の土佐犬
ドゴ・アルヘンティーノ
フィラ・ブラジレイロ
以下の行為は法律に違反します。
禁止犬種の販売
禁止犬種を捨てること
禁止犬種を誰かに譲渡すること
禁止犬種の繁殖
犬が禁止されている種類であるかどうかは、犬の品種や品種名よりもむしろ、その犬の外見に依存します。
そのような犬がある場合:
公共の場所では、警察が令状を必要としません。
私的な場所では、警察が令状を取得する必要があります。
警察官は犬を押収することができます。
違反者は犬の所有権を放棄することができますが、強制することはできません。
違反者が犬の所有権を放棄した場合は、違反者は裁判所に召喚されることなく犬は殺処分することができます。
違反者は、*1、金額が不定の罰金を科される可能性があります。
または、法律に違反し禁止犬種を持ったことにより、6ヶ月までの懲役、(あるいは罰金との併科)が科されます。
さらに犬は殺処分されます。
禁止犬種であったとしても、もし裁判所がそれが公衆に対して危険ではないと判断した場合は、IEDの条件を満たせばその犬の飼育が可能です。
その場合にしなければならないこと。
去勢。
マイクロチップの装着。
公共の場においては、常にリードで保持しかつ口輪をすること。
逃げることができないように、安全な場所に保管すること。
*1、法律の条文では、罰金の上限が5000ポンド(69万円。1ポンド=138円)とありますので、その範囲内での罰金。
(動画)
UK dangerous dog act 1991 enforcement - pitbull seizure 「イギリスの危険な犬法1991 施行 -ピットブルの押収」 2014年8月14日公開
イギリスの「危険な犬法 1991」に基づき、法律の施行直後に警察は違法飼育の禁止犬種の犬を押収し、強制的に殺処分を多数行いました。現在でもこの法律だけで、ロンドン警視庁だけでも数百頭の犬を押収して強制殺処分しています(野良犬等の自治体が行う公的殺処分とは別の統計で集計されるので、「危険な犬法」による殺処分はイギリスの公的殺処分統計には含まれません)。
A year after the 1991 dangerous dog act was passed the unlicensed pitbull dogs are seized.
「イギリスの危険な犬法 1991」が可決されてから1年後に、無届飼育のピットブル犬が押収されました。
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